倉阪鬼一郎のレビュー一覧

  • あられ雪~人情処 深川やぶ浪~

    じっくり、しみじみ…

    穏やかな文体が心に優しくしみて、江戸を感じる単語達がさりげなくちりばめられ、そして静にリズム良く進むストーリー。大切に何度も読み返したい小説です。
  • 怖い俳句
    寺山の歌集に衝撃。
    しかし頭の悪い高校生ゆえ季語を知らない。
    切れ字もぴんとこず。
    とはいえ川柳というと言葉が低俗な印象。
    やっぱり俳句より短歌だ、
    俳句ではわずかに山頭火くらいだな、
    とまったく無駄なこだわりを持ち続けていたが、
    まったくの誤りであると眼を見開かされた。

    言葉少なく指し示すことの...続きを読む
  • 怖い俳句
    【怖い~を読む―2】
    いそうでいない…とか、見えそうで見えない…
    ってのが、「怖さ」を引き起こすんだろうなぁ。
    俳句は17音…すべてを語るには短すぎる…
    わかりそうでわからない…う~む、やっぱり怖い…

    本書にもあるように…
    「鑑賞する主体によって、感じる怖さはおのずと違ってきます。」
    …というわけ...続きを読む
  • 怖い俳句
    そういえば最近、
    (怖い思いをした事が無いな・・・。)

    本書を手にとりながら、そう思った。

    夜中のトイレも
    母親の小言も
    ホラー映画の中のゾンビにも

    ビビらなくなったね。私…。

    ふと、
    (怖いもの…

    どこへ消えたんだろう?何時の間にいなくなっちゃったんだろう?)

    無敵の私は、ほんのちょっ...続きを読む
  • 不可能楽園 〈蒼色館〉
    前代未聞の不可能誘拐劇!
    東京⇔東北に張り巡らされた超絶の罠は、解き明かされるのか?
    往年の美人女優と双子の妹を巡る、絢爛たる犯罪の宴

    読み終えてあまりの馬鹿らしさに壁本になりかけたが、
    作者の企みは尋常ではない。
    こういったタイプは泡坂妻夫の某作品でしか触れたことがなかったので、
    逆に、これぞ小...続きを読む
  • 怖い俳句
    世界最短の詩である俳句。

    その俳句の世界で、誰もがその名を知る「俳聖」松尾芭蕉は
    「言ひおほせて何かある」(すべてを言いつくしてしまって、何の妙味があるだろうか)
    と言っている。
    (この言葉は本書の中でも紹介されている)

    要するに「チラリズム」

    ただ、俳句で「怪奇」や「恐怖」を表現した場合、短...続きを読む
  • 赤い球体 美術調律者・影
    新シリーズのアートホラー。狂気の芸術家・黒形上赤四郎の作品を巡って起こる惨劇。だけどこの禍々しい作品……なんとなく惹かれてしまうのではないか、と思ってしまうのは気のせいかなあ。
    絶大な人気を誇るアイドルグループ(どっかで見たような?)の活躍に仕掛けられた、恐るべき罠。「霊的爆弾」って、こんなものやら...続きを読む
  • 怖い俳句
    これはすばらしい。俳句はあまり知らなかったが、この1冊で、とたんに興味が湧いてきた。俳句とは写生であるという理論もあるが、その場合も描写される現実をあるフレームで切り取るということになり、その構成の中に暗示された「背後の意味関係」が重要になる(それがなければ凡庸な句にしかならない)。そういった暗示性...続きを読む
  • 下町の迷宮、昭和の幻
    文庫版再読。レトロホラー短編集。ホラーなのでもちろん怖いのだけれど、とてもノスタルジックで優しさを感じられる作品もあります。しんみりと浸って読みたい一冊。
    お気に入りはやっぱり「廃屋」。この句があまりに怖いのは相変わらず。「おかあさんはざしきにいる」がもはやトラウマのような言葉となっています。いろい...続きを読む
  • 五色沼黄緑館藍紫館多重殺人
    お疲れさまでした!作者の徒労を眼前に明かされて、他にも労力の使い道があっただろうにと思う一方、その無邪気な稚気が微笑ましい限り。意表を突く行動で蓋然性の欠如を拾っていく最後の様は爽快的。ページ数の問題で文庫化したら話が成り立たないんですが…
  • 三崎黒鳥館白鳥館連続密室殺人
    作中に「倉阪鬼一郎は、すべての文章、ひいてはすべての言葉が伏線になっているミステリーが理想」と記されている。これを偏執的ともいえる努力で完成させた本書の前では、読者はただただひれ伏すしかない。作者のことば、著者近影にまで伏線張り巡らすとかばかでしょ…。一癖も二癖もある作品で万人受けしないだろうが、私...続きを読む
  • おそれ
    他の聖域修復師シリーズのような、「嫌悪感からくる怖さ」みたいなものはあまり感じなかったが、読み物としては面白かった。
     
  • 三崎黒鳥館白鳥館連続密室殺人
    今まで読んできた中でも最高峰のバカミス。
    あの狂気的とも言えるこだわりにはひたすら脱帽です。

    「作者のことば」や「著者近影」も必見です!私は本屋でブックカバーを着けてもらったことに後悔しました。
    文庫化どうするんだろう・・・?といらない心配もしつつ(笑)、非常に感心しながら読んでしまいました。
  • 三崎黒鳥館白鳥館連続密室殺人
    何を書いてもアレだな...ネタバレになってしまいそうです。
    という元に書いてますので...ご了承を。

    で、... ... ...最高です。素晴らしいです。素敵なバカです。
    なんじゃこりゃ? 作者の書きたい目的が明らかに歪んでます(笑)。
    目指してる方向自体が、完全にオカシイ。なのに、ここまで
    完璧...続きを読む
  • 田舎の事件
    田舎で起こる、田舎ならではの数々の奇怪な事件。

    究極の麺を追求するがゆえに、田舎の片隅である男が開業した蕎麦屋。
    究極の麺を味わわせるために、客には水で蕎麦を食べさせる。

    主人はある日、その店の前に毎日そばつゆを置いてゆく謎の人物を殺害してしまう・・・


    などなど、シュールなミステリー短編集。...続きを読む
  • 鳩が来る家
    「純度120%の恐怖譚」とは言いえて妙。それぞれにテイストの違う物語が集まって、そしてよりいっそう怖くなる。これぞ恐怖小説! 著者近影のミーコちゃんが、ちょっと和ませてくれますけどね。
    好きなのは表題作「鳩が来る家」や「天使の指」。オーソドックスなホラー、といった感じ。だけど中でも一番凄まじいのは「...続きを読む
  • すきま
    後半は少しばかりダイナミックな展開になってしまって意外でした。こうなってしまうと、面白いけどあまり怖くはないかなあ。でも前半の雰囲気は、個人的には怖くて怖くてしかたありませんでした。「すきま」なんて、気にしだしたらどこにでもあるんだよなあ……(泣)。
    七五調の恐怖が絶品。倉阪さんは句集もものすごーく...続きを読む
  • ひだり
    冒頭から怖い。中盤の盛り上がりも怖いしラストも怖い。「ひだり」という言葉が出てくるたびに怖く、とにかく最初から最後まで全部怖い! 左を見るのが怖くなってしまうような作品です。それでもがんがん一気読み。
    こういうホラーに儀式ってのは付き物ですが。この儀式は悪辣すぎるなあ。こんなのが本当にありませんよう...続きを読む
  • うしろ
    オーソドックスなホラー。でもこういうものに恐怖を催させられるのか!というポイントがさすが倉阪さんだと思いました。タイトル「うしろ」という言葉自体も怖いけれど、これを読んで私が一番怖く思えるようになったのは……句点。
    とりあえず読みましょう。そして数限りない句点に恐怖しましょう。というわけでこれを読ん...続きを読む
  • 怖い短歌
    古今の「怖い」短歌を、570首も集めたアンソロジー。

    「怖い」にもいろいろな質がある。
    本書の九つの章は、その切り口を示している。
    1怖ろしい風景
    2猟奇歌とその系譜
    3向こうから来るもの
    4死の影
    5内なる反逆者
    6負の情念
    7変容する世界
    8奇想の恐怖
    9日常に潜むもの

    おぞましい対象がダイ...続きを読む