倉阪鬼一郎のレビュー一覧
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ピクトマンシ-、すなわち絵画魔術というものが文学上にあって、最も有名なものは、『ドリアン・グレイの肖像』であろう。従って、ほとんどのピクトマンシ-は、ゲームに登場するものを含め、「あるものを絵の中に写すことにより、その対象を封じ込めたり操作する」というスタイルをとっている。
本作のなかのピクトマンシ-も基本的には同じなのだが、一種の呪物である負のエネルギーに満ちた絵画を用いる事で、不特定多数に致死的な呪いを振りまくという凶悪なバリエーションを作っている。
これは怖い。作中にも語られているが、今は容易に映像や音、画像がインターネット上でどんどん拡散複製されていく時代だから、もしそういったものがC -
購入済み
じっくり、しみじみ…
穏やかな文体が心に優しくしみて、江戸を感じる単語達がさりげなくちりばめられ、そして静にリズム良く進むストーリー。大切に何度も読み返したい小説です。
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そういえば最近、
(怖い思いをした事が無いな・・・。)
本書を手にとりながら、そう思った。
夜中のトイレも
母親の小言も
ホラー映画の中のゾンビにも
ビビらなくなったね。私…。
ふと、
(怖いもの…
どこへ消えたんだろう?何時の間にいなくなっちゃったんだろう?)
無敵の私は、ほんのちょっとだけ寂しくなり、
歌人達が一体何を怖れているのかが、
突然気になりだした。
ねぎを切る うしろに廊下 続きけり
戦争が 廊下の奥に 立っていた
口開けぬ 蜆(しじみ) 死んでいる
ぞくっ、とする。
私には全くみえない
亡霊が 歌人の目には 見えている おそまつ。 -
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世界最短の詩である俳句。
その俳句の世界で、誰もがその名を知る「俳聖」松尾芭蕉は
「言ひおほせて何かある」(すべてを言いつくしてしまって、何の妙味があるだろうか)
と言っている。
(この言葉は本書の中でも紹介されている)
要するに「チラリズム」
ただ、俳句で「怪奇」や「恐怖」を表現した場合、短いだけに、かえって想像が掻き立てられてしまう。
本書では、そんな怖い俳句を紹介している。
その怖さの種類にも
「幽霊画を見たり、怪談話を聞いているような怖さ」
「作者自身、もしくは作者がおかれている状況が怖い」
「作者が体験したことが怖い」
といったものがある。
「幽霊画を見たり、怪談話を聞いて -
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何を書いてもアレだな...ネタバレになってしまいそうです。
という元に書いてますので...ご了承を。
で、... ... ...最高です。素晴らしいです。素敵なバカです。
なんじゃこりゃ? 作者の書きたい目的が明らかに歪んでます(笑)。
目指してる方向自体が、完全にオカシイ。なのに、ここまで
完璧に書ききった尽力は尊敬と感動を生む。倉阪氏の仕掛けた
無駄に大きく、偏執狂的に深い落とし穴にすっかり嵌ってみると
その穴の中の異常性に驚かされます。
正直本丸自体は結構早い段階で気付き、密室や殺人事件の
トリック自体の大枠は分かるものの、そこから先は常人の
領域ではないw。解決篇を読まずしてこの「 -
Posted by ブクログ
「純度120%の恐怖譚」とは言いえて妙。それぞれにテイストの違う物語が集まって、そしてよりいっそう怖くなる。これぞ恐怖小説! 著者近影のミーコちゃんが、ちょっと和ませてくれますけどね。
好きなのは表題作「鳩が来る家」や「天使の指」。オーソドックスなホラー、といった感じ。だけど中でも一番凄まじいのは「蔵煮」。タイトルからして、わけのわからないぞくぞくした感じをうけるし。なんといってもこの表現の気持ち悪さは一流かも。とりあえず、こんな缶詰を目にしても、手にとってはいけません(笑)。
「緑陰亭往来」は、逆に静かな恐怖を醸し出す一品。この雰囲気は非常に好き。じっくり読み込むのが良いなあ。