倉阪鬼一郎のレビュー一覧
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ラストへ向かってのうねりは非常に素晴らしいが、前半はいささか繰り返しが多い。
たとえば、影の出自について繰り返し同じ言葉で語られることは、全体としてみれば一種の詩のリフレインのようにも思えるが、小説としては少しくどいのではないかと感じられた。
とはいえ、このモチーフは怖い。今までで一番怖い。前作の黒い楕円でも、句点を楕円に変えるという恐怖の着想が凄かったのだが、これはもう、変えなくてもどこにでもあるというのが怖い。
白い矩形。それこそ、どこにでもある。
結局、影の真の出自は語られることなく終わり、おそらく黒形上の悪霊もまだ消滅してはいないのだが、影がその宇宙的恐怖に耐え、生還するというラストは -
Posted by ブクログ
【本の内容】
人気作家の著者にも食えない時代はあった。
十六年前、年収(月収ではない)十四万円の限りなく無職に近い現実不適応者・暗坂が就職雑誌を見て選んだ仕事、それは印刷会社での「文字校正」だった。
チラシ、社内報、カレンダー…押し寄せる印刷物と耐え難いカイシャ生活でついに鬱憤は爆発。
読み始めたら止まらない、思わず噴き出す現代の奇書。
[ 目次 ]
校正者はなぜ漢字なのか
印刷業界残酷物語
まぬけな営業の話
耐えがたいこと
まぬけなオペレーターの話
まぬけな製版屋の話
オー、ミステイク!
「待った」は遅かった
驚異の逆効果
文字禍は生きている〔ほか〕
[ POP ]
エッセイはよほ -
Posted by ブクログ
この作品を評する時に「バカミス」というキーワードが使われるようですが、この作品を完成させるまでの倉阪先生の労力に驚愕しない人はいないのではないでしょうか。正直な話、私はもう…ドン引きしたよ…←絶賛してる
この作品に張られた伏線の周到さたるや、病的じゃないかと要らぬ心配をしてしまいました。それほど偏執的、狂信的な拘りを感じます。倉阪作品は今作が初読ですが、どうしてどうして、THE・新本格ではないですか~\(^o^)/また一人、マストリードな作家先生を見つけてしまったぜ\(^o^)/わーい
閑話休題(^^)
読んでいるときに感じた違和感(文章の拙さとか…ゴニョゴニョ)は、全てこの伏線を張る為 -
Posted by ブクログ
草むらに倒れていた若い男を、自分の店「小料理・のどかや」に、運び込んだ、料理人の時吉。正気づいた男の口から語られた話は、にわかには信じられない内容だった。男は、時吉たちの、末裔だというのだ。しかし、その話を証明するかのような、不思議なできごとが、周りで次々と起こる。しかも男は、のどかや秘伝の「たれ」を、懐にもっていたのだ。
和食っていいなぁ、と、改めて思ったほど、おいしそうな料理が、次々でてくる。昔はなかった食材が、今は、簡単に手に入る(輸送技術の発達のおかげもあるけど)、それは、わかっていたけど、今は手に入らなくて、昔は、普通に、食されていたものもあるのだと、改めて気づかされた。そして、「の