【感想・ネタバレ】怖い俳句のレビュー

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Posted by ブクログ 2021年07月14日

先日読んだ「怖い短歌」の姉妹書で、著者である倉阪鬼一郎基準で選ばれた古今の怖い俳句を集めたアンソロジー。(刊行はこちらの方が先)
読み比べてみると短歌に比べて文字数が少ない分、描写がよりタイトで読み手の想像の入り込む余地が多く「怖い」。
収録されている句では渡辺白泉の「戦争が廊下の奥に立つている」や...続きを読む高柳重信「六つで死んでいまも押入れで泣く弟」、津田清子「ホントニ死ヌトキハデンワヲカケマセン」などが良い。
しかし川柳の方が季語などの成約がない分、「怖い文章」という意味では有利なのかもしれない。草地豊子「蛇口からしばらく誰も出ていない」「解体は終わり頭が売れ残る」、樋口由紀子「三角形のどの角からも死が匂う」

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Posted by ブクログ 2019年05月21日

俳句って、なんか、いいもんだなと思った。俳句は写真に似てるかもね。描写しつつ仄めかす。俳句の世界に興味を持たせてくれたいい本でした。

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Posted by ブクログ 2015年03月14日

寺山の歌集に衝撃。
しかし頭の悪い高校生ゆえ季語を知らない。
切れ字もぴんとこず。
とはいえ川柳というと言葉が低俗な印象。
やっぱり俳句より短歌だ、
俳句ではわずかに山頭火くらいだな、
とまったく無駄なこだわりを持ち続けていたが、
まったくの誤りであると眼を見開かされた。

言葉少なく指し示すことの...続きを読む豊饒さ。

ホントニ死ヌトキハデンワヲカケマセン

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Posted by ブクログ 2013年06月07日

【怖い~を読む―2】
いそうでいない…とか、見えそうで見えない…
ってのが、「怖さ」を引き起こすんだろうなぁ。
俳句は17音…すべてを語るには短すぎる…
わかりそうでわからない…う~む、やっぱり怖い…

本書にもあるように…
「鑑賞する主体によって、感じる怖さはおのずと違ってきます。」
…というわけ...続きを読むで、ボクが怖いぃ~と思ったのは、
こんな句でした…絞りに絞って10句…

  稲妻に道きく女はだしかな            泉鏡花

  戦争が廊下の奥に立つてゐた         渡邊白泉

  葱を切るうしろに廊下つづきけり        下村槐多

  うしろとは死ぬまでうしろ浮き氷         八田木枯

  不安な世代完全な形で死ぬ電球        上月章

  水を、水を、水の中より手がそよぎ       坂戸淳夫

  呪う人は好きな人なり紅芙蓉           長谷川かな女

  六月の皿に盛りたる人の顔            栗林千津

  きみのからだはもはや蠅からしか見えぬ    中烏健二

  かあさんはぼくのぬけがらななかまど      佐藤成之

怖いもの見たさで一気に読んじゃったけど、
ふと気がつけば、この本…俳句の世界を概観できるように
なっています…そして、人の心に蠢く闇のありようも…まさに、
本書で語られることのすべてがある世が「怖い」のかも…

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Posted by ブクログ 2013年03月23日

そういえば最近、
(怖い思いをした事が無いな・・・。)

本書を手にとりながら、そう思った。

夜中のトイレも
母親の小言も
ホラー映画の中のゾンビにも

ビビらなくなったね。私…。

ふと、
(怖いもの…

どこへ消えたんだろう?何時の間にいなくなっちゃったんだろう?)

無敵の私は、ほんのちょっ...続きを読むとだけ寂しくなり、

歌人達が一体何を怖れているのかが、
突然気になりだした。


ねぎを切る うしろに廊下 続きけり

戦争が 廊下の奥に 立っていた

口開けぬ 蜆(しじみ)  死んでいる 


ぞくっ、とする。

私には全くみえない

亡霊が 歌人の目には  見えている    おそまつ。

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Posted by ブクログ 2012年12月01日

世界最短の詩である俳句。

その俳句の世界で、誰もがその名を知る「俳聖」松尾芭蕉は
「言ひおほせて何かある」(すべてを言いつくしてしまって、何の妙味があるだろうか)
と言っている。
(この言葉は本書の中でも紹介されている)

要するに「チラリズム」

ただ、俳句で「怪奇」や「恐怖」を表現した場合、短...続きを読むいだけに、かえって想像が掻き立てられてしまう。
本書では、そんな怖い俳句を紹介している。

その怖さの種類にも
「幽霊画を見たり、怪談話を聞いているような怖さ」
「作者自身、もしくは作者がおかれている状況が怖い」
「作者が体験したことが怖い」
といったものがある。

「幽霊画を見たり、怪談話を聞いているような怖さ」は比較的、分かりやすい。(紹介されている句の数も最も多い)
なにより、所詮「絵」や「話」なので、実際に危害を加えてくるようなものではないという、ある種の「安心感」もある。

そのような句の中で印象に残った句としては次のようなものがある。

稲づまやかほ(顔)のところが薄(すすき)の穂  松尾芭蕉
  骸骨たちが能を舞う絵に感じ入っての句。骸骨の幽霊たちが踊り狂うさまを偶然、見てしまったかのよう。

狐火や髑髏に雨のたまる夜に
公達(きんだち)に狐化けたり宵の春
巫女(かんなぎ)に狐恋する夜寒かな
  すべて与謝蕪村の句。怖い句ではあるが、同時に絵になる感じがする。

流燈(りゅうとう)や一つにはかにさかのぼる  飯田蛇笏
  怪奇現象?

蛍死す風にひとすぢ死のにほひ  山口誓子
  嗅覚にうったえる、というのはこの句だけ。「死のにほひ」がどんなものか分かりませんが、嗅げば、それと分かるものなのだろう

百物語果てて点せば不思議な空席  内藤吐天
  さきほどまで百物語をしていたメンバーの一人こそ実は死者そのものだったのか・・・。
  「山小屋の四人」の怪談を連想させる。

水を、水を 水の中より手がそよぎ  坂戸淳夫
  水の中からのびてくる手は「助け」を求めているのか、「仲間」を増やそうとしているのか・・・。

海避けて裏道とほる死者の夏  大屋達治
  海水浴客でごったがえす海沿いの表通りから一歩、裏通りに入ると表の喧騒がウソのような静けさ。
  死者が歩くにはもってこいの環境なのだろう。

隙間より雛の右目の見えてをり  小豆澤裕子
  ホラー映画で隙間から外の様子を覗いたら、邪悪な者もその隙間から中の様子を覗いていた、というシーンを連想させる。

「作者自身、もしくは作者がおかれている状況が怖い」という句(自由律詩が多い)は紹介されている数は少ないものの、かなりゾッとするものがある。

皿皿皿皿皿血皿皿皿皿  関悦史
  よく見ると「皿」の羅列の中に、形のよく似た「血」が混ざっている。
  いまだに意味不明だが、「皿」という日常品の中に突然「血」が出てくる怖さがある。

ホントニ死ヌトキハデンワヲカケマセン 津田清子
  文句なしで怖い・・・。

本書の中で一番、怖かったのが「作者が体験したことが怖い」という句。

戦争が廊下の奥に立つてゐた   渡邊白泉
  廊下の奥に立っていた「戦争」は人型で、ずんぐりむっくりの体型、全身真っ黒、顔は大きな口だけの異形の者(推測)
  「冷酷無比」ではあるものの、「邪気」はない気がする。

この作者の他の句も怖い。

繃帯を巻かれ巨大な兵となる
赤く蒼く黄色く黒く戦死せり
眼をひらき地に腹這ひて戦死せり 
  どれも「この世ならぬ者」が関わっておらず、戦場で実際にありそうな光景なので、よけいに恐ろしい。

結局、一番怖いのは「この世ならぬ者」ではなく、「生きている人間」なのだろう。

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Posted by ブクログ 2013年01月06日

これはすばらしい。俳句はあまり知らなかったが、この1冊で、とたんに興味が湧いてきた。俳句とは写生であるという理論もあるが、その場合も描写される現実をあるフレームで切り取るということになり、その構成の中に暗示された「背後の意味関係」が重要になる(それがなければ凡庸な句にしかならない)。そういった暗示性...続きを読むが、たとえば幻想や想念と組み合わさったときに、「怖い」俳句が生まれるのだろう。

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Posted by ブクログ 2019年06月26日

世界最短の詩文学・俳句は同時に世界最恐の文芸形式でもあります。日常を侵犯・異化するなにか、未知なるものとの遭遇、人間性そのもの…作品の中心にある怖さはそれぞれですが、どれも短いがゆえに言葉が心の深く暗い部分にまで響きます。一句二句、暗唱して秘められた世界に浸ってみてください。不思議なことに、そこはか...続きを読むとない恐怖がやがてある種の感動へと変わるはずです。数々のホラー小説を手がけ、また俳人でもある著者が、芭蕉から現代までたどった傑作アンソロジー。(裏表紙)

基本的には575の17文字なんだから、確かに「世界最短だわな」と改めて思う。
とはいえ、17文字の世界のなんと広いことか。テーマの「怖い」一つとっても、様々なシチュエーションが展開されている。
興味深い分野だから次のを…と思うんだけど、なかなかないなぁ。そも詩集自体見かけないし。

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Posted by ブクログ 2013年03月09日

まえがき冒頭は
  俳句は世界最短の詩です。
とのこと

俳句・・・何気にと手にしたら、結構はまりました
はっきりくっきりこわい句や、そこはかとなくこわい句の数々
芭蕉から、戦前、戦後、女流、自由律、現代まで、
多くの俳人の作から著者が採ったものを紹介
この最短の詩から、背景や意味を読みとるのは、
...続きを読む慣れていないからなかなかむつかしかったけど
解説のおかげで楽しめました
また、読んでみたくなりました








稲づまやかほのところが薄の穂  松尾芭蕉

稲妻に道きく女ははだしかな    泉鏡花

ホントニ死ヌトキハデンワヲカケマセン   津田清子

口あけぬ蜆死んでゐる        尾崎放哉

無人駅にころがるつぶれたランドセルの記憶   種田スガル

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Posted by ブクログ 2013年02月20日

 短歌やってて俳句に触れないってやっぱ変じゃね、と思って入門の入門から。前に『怖い絵』がプチベストセラーになりましたね。「怖い」ものって実は悲しみとか可笑しさとかと表裏一体で、単純な感情ではない。
 ただ、取り上げる句数が多過ぎなんですかね。評がボキャ貧な気も。「気絶するほど怖い」「白いぶよぶよした...続きを読む原形質のようなもの」って言葉が評に何回も何回も出て来て退屈。
 あと、「でももしこういう意味だったら……怖いよね〜〜」って評も多くて、それでいいんスかって気も。短歌よりも俳句のほうが景が確定しないからそういうものなんでしょうか。

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Posted by ブクログ 2012年09月28日

このテーマ、最初は絵画だったんじゃないかと思うんだけど。いきなり俳句に飛んだか?w。指摘されてみると、情報量が極端に少な、く想像の入る余地が大きい俳句だからこそ怖いと思える点があるし詠み人の解釈によって、普通の俳句が恐怖に変わる点も面白い。、

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Posted by ブクログ 2012年09月16日

タイトル通り、怖い俳句が集められた一冊。「最短のホラー」とは言いえて妙。たしかに短すぎて語られない部分が多いのだけれど。だからこそその背景を想像して、ますます怖くなってしまうものばかりです。
気に入ったのは、「眠りましょうだんだん怖くなる童話」。どのように怖くなっていくのか。気になります。そんなこと...続きを読む言われたって、気になって眠れません。だけどあまりに怖くて聞きたくなくなるのでしょうか……?

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2023年06月29日

「ぼんぼん彩句」のあとがきで、
宮部みゆきがこの本を読んで俳句の世界に魅せられたと書いてあったので。

面白かった。
俳句と言えば学校で習った有名どころしか知らなかったので、
こんな俳句もあるんだ、というのが正直な感想。
だが、紹介されている俳句の数が多く、
怖くて不気味で意味不明なこともあって、か...続きを読むなりの消化不良。

それと、著者がたとえにちょくちょく絵画を出してきて、
それを調べるのに忙しい。

私が怖かったのは、
稲妻に道きく女はだしかな 泉鏡花

夕焼けや
みな殺されて

歩きだす

岩片仁次

実際に溺れた同僚を助けて水死した河本緑石の俳句も怖かった。
死んで俺が水の中にすんでる夢だつた

あと面白かったのは、
府中の猫はこれは嘘だがぜんぶ片目 前島篤志

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Posted by ブクログ 2018年06月20日

怖いものが好きというよりも俳句が好き。あの短く切り詰められた形式は、長い文章よりも人の想像力をさまざまに刺激するからこそ、見えない世界の怖さを感じさせる作品も多いのだろう。怪奇趣味のものだけでなく芭蕉から今日まで幅広い句集を渉猟して紹介した編者の労力がすごい。以下、個人的に印象に残ったものをいくつか...続きを読むメモ。

流燈やひとつにはかにさかのぼる(飯田蛇笏)

人殺ろす我かも知れず飛ぶ蛍(前田普羅)

死にければ闇たちこむる蛍籠(山口誓子)

包帯を巻かれ巨大な兵になる(渡邊白泉)

萬緑や死は一弾を以て足る(上田五千石)

野遊びの児を暗き者擦過する(永田耕衣)

鶏殺すこと待て海を見せてから(大原テルカズ)

鶏しめる男に雪が殺到す(橋本多佳子)

この樹登らば鬼女となるべし夕紅葉(三橋鷹女)

ひとりゐて刃物のごとき昼とおもふ(藤木清子)

もう一度 核爆発の閃光(ハトがでますよ)ハイ、チーズ(高橋龍)

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Posted by ブクログ 2015年02月17日

似たような感じで先行ヒットした桐生操『ほんとうは怖いグリム童話』や中野京子『怖い絵』みたいな「あの有名な作品に実はこんな怖い意味が…」というのとは違うが、俳句にもいろんな味わいの作品があるんだと知ることができて面白かった。

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