萩尾望都のレビュー一覧
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短編集。
*水玉
*シャンプー
*百合もバラも
*花嫁
*海と真珠
*春の小川
「春の小川」が圧巻である。
母親を亡くした男の子。現実を受け入れない故に、と説明をつけてしまえばそうなのかもしれないけれど、でも、それだけじゃない。そういう奇跡みたいなものがあってもいいじゃないかと思う。
むしろ、そういうものを願う気持ちだけが、人をつないでいくものじゃないのだろうか。
「百合とバラも」
15年ぶりに妊娠した夫婦の話。
ただ純粋に妊娠したことを喜べない状況にあるのが、身につまされるというか、切ない。
そして素敵な<おまじない>
夫婦であることを考えさせられる作品だった。 -
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私はこのころのおもー様が一番好き。
小学生が読んでも心がときめいて楽しい。大人が読んでも楽しい。
そういうのをマンガに求めている、私は。
子供のころはリュスが好きだったけど、今はサンダーが好き。そういう楽しみ方をできるキャラクターの良さもいい。
恋愛と成長とを楽しむ半面で、フェスティバルが成功するまでどうなっていくのか、まるで自分もカンパニーの一員になったように最後まで駆け抜けて行く疾走感が良い。
蘇芳さんもレイチェルも適度に感じが悪くて、でも適度にいい子で、「いそう」で「いてくれたらいい」絶妙なバランス。
これ読んでバレエ好きになったと言って過言ではないくらい。 -
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傑作だ。
僕には難しい。
難しいけれど読む度に彼らの心情を少しずつ理解出来ているような気がする。
今回で3度目。
やはり、以前より理解は深まったと思う。
いかにオスカーがユーリを愛していたか。
いかにエーリクがユーリを愛していたか。
いかにトーマがユーリを愛していたか。
いかにユーリがトーマを愛していたか。
いかにユーリがエーリクを愛していたか。
ユーリは皆を愛していた。
翼をもぎ取られたというユーリ。
しかし、ユーリに翼がなくともユーリを愛する人たちの力でユーリは飛べたのだ。
ユーリは翼が無い天使なのだ。
潔癖な年頃の少年の心情は柔らかく脆い。
素直さ故に乱暴で
素直さ故に暖かい
傷つくのを恐れ
傷をいつまでも忘れない
けれど成長するのが少年だ
美しく脆く儚く
しかしたくさんの可能性を秘めた年頃を
望都さんは描く。
痛いほどの純粋さに僕はハッとする。
僕にもその純粋さの欠片がまだ突き刺さっているのだろう。
胸に深く刺さって永遠に痛みを伴う。
そうでなくては大人に慣れない理由が無いのだ。
大人になれず子どものまま死んでしまう子もいるとはポーの一族の言葉だけど
僕は子どものまま死ぬことも成長することも叶わない、取り残された歯車なのだと思う。
使われることがなく引き出しに忘れさられた歯車。
心を震わせてくれるものがなくては生きてはいけまい。
そう、望都さんが描く世界のような美しいものが -
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この話、相当エグいです。
覚悟して読み始めないと、痛い目みます。特に性的虐待と同性愛が苦手な人は要注意。
私も性的虐待というテーマは、血反吐を吐きたくなるほど生理的に駄目なのですが、それでも最後まで読まざるを得ない麻薬のような作品でした。一度読み始めたら、絶対に途中でやめられない。
なんというか、人間の愛憎、殺意、偽善、執着、欺瞞とか、とにかく思いつく限りの負の感情をどろどろに溶かして混ぜ合わせて作りました、みたいなイメージ。
しかも、心理描写が妄執的と言えるほど緻密なために、安直な「悪者」というものが存在しない。性的虐待を繰り返していたグレッグにさえ、許せないはずなのにどこか理解できなくもない部分が出てきてしまうという恐ろしさ。
曖昧さや虚りを許さないリアルが忠実に描かれているというか……当然、漫画ですから虚構なんですけど、登場人物の苦悩や感情に無理がないし、嫌悪感を抱いてしまうのですけど、それを人間の持ちうる弱さとして理解できるからこそ、いつも以上に感情移入してしてしまい、やりきれなかったです。
なんだろう。臭いものには蓋、じゃないですけど、この話の登場人物が持っている弱さは、多分、私たちが心のうちに持っているもので、普段は隠しているそれを突きつけられているような気になるのかな。
冒頭がお葬式で始まり、その後に回想としてストーリーに入るのですが、最初が特に精神的にきついです。主人公のジェルミが追い詰められていく様とか半端なく心臓が痛くなります。
この話、大雑把に二部に分けられると思うのですが、一部はジェルミが殺意を抱くまでの過程と、それが成ってしまうまで、そして二部はジェルミとイアン、それぞれの罪と許し、そして再生がテーマなんじゃないかなと思いました。
つっても二部も歪んでるし、鬱ってるし、一部に引き続き精神的に重さメガトン級なんですけどね。でも、二部があって少なくとも私は救われました。ラストもはっきりとした形ではないんですけど、微かに光が感じられてよかったなぁ。最後までどうなるかわからなかったので、祈るような気持ちで読み進めていました。萩尾さん最後まで書ききってくださってありがとうございます! 救いようのないバッドエンドじゃなくて本当によかったよ……。
かなり内容がダークアンドヘビーなので、そういうのに耐性ない人はきついかもです。でも、私はこの作品と出会えてよかったなぁと思います。どこかで読みましたけど、このお話が30禁ってなんだか妙に納得。人を選ぶけれど、圧倒的な力を持つ作品でした。 -
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萩尾先生の漫画は上手すぎて読んで満足しながらもいろいろ考えるけど、でもそんなことはとうにファンによって語り尽くされているはずで…
とか思ってしまいますが、感想だけ。
「ローマへの道」から続くバレエ連作で、本作は不潔恐怖症の兄を持つ少年、レヴィの内的成長を淡々と綴っています。
もちろん読み応えはあるし、心理描写のリアルさに舌を巻きます。
一番好きなのは「海賊と姫君」
昔のパートナーを神様のように完璧だと神聖化し、影を追い求めてしまう少女を、たらしの大人が格好悪くもなりふり構わず必死に口説き落とす話。
最後に少女が言う
「なんで欠点だらけの人を好きになったのかしら」
という科白がおかしい。 -
Posted by ブクログ
全4巻。すべて読みましたが、表紙がかわいいアオバちゃんを本棚に並べました。2052年、未来のお話。人の夢に入り、癒すカウンセラー時夫は、義理の息子であるキリヤと、ある凄惨な事件のあと眼を覚まさないアオバという少女の夢がつながっていることを発見する。
萩尾先生が講演会で、「残酷な神が支配する」を書いて、自分のなかで憑き物がとれたみたいにいままでの凝り固まった思いがすべて流れ出て、それから日本を舞台にした作品を書くことができた、というようなことをおっしゃっていたので、手に取った作品。最後まで読むと、とても切ない気持ちになります。なぜかはいえないけれど。アオバちゃんは、聡明で、美しくて、一途な気持ちのある女性。キリヤ君は、ちょっとさびしくて、意地がある、でも揺れている青年。キリヤと時夫が向かい合って食事しているシーン、気まずい空気なのだけど、二人の男性のむずがゆい色っぽさは、さすが萩尾先生。
トーマとはまったくちがうけれど、これもよい作品でした。