萩尾望都のレビュー一覧

  • 感謝知らずの男

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    萩尾先生の漫画は上手すぎて読んで満足しながらもいろいろ考えるけど、でもそんなことはとうにファンによって語り尽くされているはずで…
    とか思ってしまいますが、感想だけ。
    「ローマへの道」から続くバレエ連作で、本作は不潔恐怖症の兄を持つ少年、レヴィの内的成長を淡々と綴っています。
    もちろん読み応えはあるし、心理描写のリアルさに舌を巻きます。
    一番好きなのは「海賊と姫君」
    昔のパートナーを神様のように完璧だと神聖化し、影を追い求めてしまう少女を、たらしの大人が格好悪くもなりふり構わず必死に口説き落とす話。
    最後に少女が言う
    「なんで欠点だらけの人を好きになったのかしら」
    という科白がおかしい。

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    2010年08月04日
  • スター・レッド

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    コスモ、時間、エスパー、生命・・・。
    全てがギュッと凝縮して存在する、まさに1冊のコスモゾーン。

    火星に帰る日を心待ちにする火星人と、
    故郷を失ったエイリアンの 凛とした果てしない恋物語。

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    2010年07月30日
  • バルバラ異界 2

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    全4巻。すべて読みましたが、表紙がかわいいアオバちゃんを本棚に並べました。2052年、未来のお話。人の夢に入り、癒すカウンセラー時夫は、義理の息子であるキリヤと、ある凄惨な事件のあと眼を覚まさないアオバという少女の夢がつながっていることを発見する。

    萩尾先生が講演会で、「残酷な神が支配する」を書いて、自分のなかで憑き物がとれたみたいにいままでの凝り固まった思いがすべて流れ出て、それから日本を舞台にした作品を書くことができた、というようなことをおっしゃっていたので、手に取った作品。最後まで読むと、とても切ない気持ちになります。なぜかはいえないけれど。アオバちゃんは、聡明で、美しくて、一途な気持

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    2010年07月18日
  • 残酷な神が支配する 10

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    文庫で全10巻。
    最初、10巻大人買いする勇気がなくて、4巻しか買いませんでした。そうしたら、一番苦しいところまででぷっつり途切れてしまって、苦しくて苦しくてとても後悔して、もう続きも買わないし、持っている4冊も売ってしまおうと思った。でも、最後まで買って本当ーーーーに、良かったです。

    義父に性的虐待を受けていたこと、義父を殺そうと仕掛けた事故により誤って母親を死なせてしまったことがきっかけで、深く苦しんでいるジェルミ。ジェルミは黒髪で、巻き毛で、まゆげがキリリと長く、まつげも長くて、濡れたような美しい目をしています。

    愛が信じられなくなってしまったジェルミを必死に抱きしめる義兄のイアン。

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    2010年07月18日
  • スター・レッド

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    約30年ぶりに再読。モトワールドにどっぷりつかりました。今読んでもこの物語が持つスケールの大きさに感嘆してしまいます。

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    2010年07月17日
  • イグアナの娘

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    昔ドラマ化してた記憶があるから長編かと思っていたら短編だった。
    だが、他の短編合わせて密度が濃い。
    人の心をどうしても支配するコンプレックス。それは自分を認め、他者を認めるというほんの些細なことで変わるかもしれない。

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    2010年07月08日
  • ウは宇宙船のウ

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    原作の透明感というか、実世界とほんの薄紙一枚だけ位相のずれただけの繊細なレイ・ブラッドベリのSF小説の世界を、見事に絵にしていて、すごい。これを読んで、ブラッドベリファンになりました。

    「夢見る少年(少女)」が主人公の、全部で8編のSFポエジーが入っており、その一遍一遍が、異彩を放って忘れがたい。
    特に、「ウは宇宙船のウ」と「霧笛」は何度読み返しても、心に響き、泣きそうになります。(最初に読んだときは号泣しました。しばらくこの本を手に取ることができないほどショック。)

    コドモは共感し、オトナはかつての純粋な夢見る気持ちを思い出す。
    心揺さぶられるマンガ!

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    2010年07月06日
  • マージナル 1

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    全3巻。
    とにかくいろいろつめこんで収拾がついているのがすごい。女性キャラがほぼいないのに、華やかなこと。メイヤードだけでスピンオフがつくれそう。

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    2010年06月23日
  • マージナル 3

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    不治の病を治す為に投与された女性ホルモンが死ぬ行く己の胸をふくらませる。その命のしくみの馬鹿馬鹿さに疲れてしまうメイヤード。
    ナースタースは彼の「愛」だけほしかったけど、あげられないからそれ意外のものはと告げられ「全部貰う」と叫ぶ。強い愛情。

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    2010年06月17日
  • 残酷な神が支配する 1

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    萩尾先生が神です。過去作品でこれだけの長編はないのではないかしら。
    とにかくジェルミの告白からが見所。
    カバー内側の作者一言欄で「逆の展開(前半がイアン目線で後半がジェルミの回想)でやっていたら読者から反応がどうなったかな、と考えるとワクワクする」みたいな事が書いてあって、作家に翻弄される喜びを覚えた。
    もちろん構成だけではない細部の描写や言葉がエグく、美しく儚く。コミックス14巻の表紙が好きだ。この本は本屋で売り続けたい。読者を獲得し続けたいです。名作。

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    2010年06月06日
  • マージナル 1

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    初期萩尾望都の傑作……と言うか、初期の作品はほとんど傑作です。その中でも偏愛して止まないのが、こちら。
    ファンタジーというか、SFというべきか悩みますがものの見事に融合してます。男だけしかいない星で繰り広げられる壮大な、或いは、ミクロな物語。何度も読み返し、その度に愛を確認する作品です。

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    2010年05月18日
  • 11月のギムナジウム

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    短編集。トーマの心臓を底本にしたという映画・1999年の夏休みには、実はこちらが底本ではないかと思わせる台詞が多々ある。
    収録されているセーラ・ヒルの聖夜も、涙なしには読めない名作。

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    2010年04月12日
  • マージナル 1

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    男しか存在しないとされる惑星の話。
    不毛さの中にも愛や絆、裏に蔓延る思惑など、様々な伏線がかみ合った物語。

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    2010年04月01日
  • 残酷な神が支配する 1

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    タイトルの通り、残酷な運命に翻弄される少年のストーリー。
    元は平凡な少年の、残酷な運命に巻き込まれる過程と、親・兄弟・友人を超えた絆の存在を描く。
    読み始めた途端に鬱々となるので、気分が落ち込んでいる方は要注意。
    元気に居られる時に読みましょう。

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    2010年04月13日
  • ポーの一族 1

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    この作品群は一遍の美しい純文学であり、
    その精神世界は漫画を超え、時を越え、数多くの作家や映像に多大な影響を与えた原点となる作品です。

    アン・ライスの「夜明けのヴァンパイア」は萩尾作品からヒントを得たのか‥? 時を超えて私の宿題となっているが発表された年代からしてアン・ライスが模倣したのだと思います。
    ブラッド・ピットの演じたハリウッド映画の「インタヴュー・ウィズ・ヴァンパイア」もこの作品の模倣でしょう。ここまでパクられると気持ちいいです。
    世界に影響を与えた萩尾作品。美しいヴァンパイアの苦悩と葛藤‥。
    その着想の奇抜さと、萩尾先生の繊細な感性。
    今もなお輝き続ける、後世に残したい不朽の大作

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    2022年03月15日
  • スター・レッド

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    太陽系第4惑星・火星。赤い風の吹く星。
    23世紀末の地球に天を見つめる1人の少女がいた。レッド・星(せい)。
    火星に生まれ、火星を恋する第5世代の火星人。
    しかし、夢にまで見た故郷に帰った時、火星の大いなる災いが始まった。火星と火星人の呪われた運命を救うため、
    銀河系の中心で少女が見たものは……。

    萩尾望都はまったくたいしたSF作家だと思う。
    古い作品だけどまったく色あせない、今の時代読んでも
    面白いSF。

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    2010年01月21日
  • マージナル 1

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    レビューを書くのに10年以上もためらってしまったのは、言葉で表現すると薄っぺらい評価しかできないから。これは一遍の文学作品。マンガを超えた精神性の高さと壮大なスケール。登場人物が体を重ねあう場面でも品を失わないのは萩尾先生ならでは。
    不毛な地で繰り広げられる不可解な出来事は、時空を超えて、登場人物たちに降りかかる。たくさんのミステリアスを残して2巻に続く。

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    2011年02月18日
  • 銀の三角

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    読み返しですが、ほとんど覚えていなかった。

    始めは少々難しくてついていけてなかったけど、次第にのめりこんでいった。
    美しいけど、すごく悲しい。
    けど、悲しいだけではない。
    う~ん、、、

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    2010年01月14日
  • スター・レッド

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    ‘きみを独り占めし
     数千年の孤独を すべてうめたかった’

    異端とか異質とか異形とか、そういうものの「哀しみ」を描くのが、凄まじく上手いと思うのです

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    2010年04月25日
  • 半神

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    「半神」・・・ユージーとユーシーは腰のあたりで体が繋がっている双子の姉妹。
    姉のユージーは高い知能を持つが髪は抜け落ち醜くやせ衰え。
    妹のユーシーは素晴らしき美貌を持つが、知能の発達が遅れていた。
    そんな姉妹が13歳になったある日。このままでは二人とも生き延びることができないことが判明し医師は二人を分離することを決断する。
    だが、自ら養分を作ることの出来ないユーシーには死が待っていた。
    一方で自分の養分を奪われていたユージーは妹からの解放を喜ぶのだが・・・

    表題作他9編収録。この16頁しかない短編だけでも星5つはつけられる、それだけ内容が濃く想いに耽る時間も長かった。
    ユージーは衰え死にゆく

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    2009年12月22日