萩尾望都のレビュー一覧
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萩尾先生の漫画は上手すぎて読んで満足しながらもいろいろ考えるけど、でもそんなことはとうにファンによって語り尽くされているはずで…
とか思ってしまいますが、感想だけ。
「ローマへの道」から続くバレエ連作で、本作は不潔恐怖症の兄を持つ少年、レヴィの内的成長を淡々と綴っています。
もちろん読み応えはあるし、心理描写のリアルさに舌を巻きます。
一番好きなのは「海賊と姫君」
昔のパートナーを神様のように完璧だと神聖化し、影を追い求めてしまう少女を、たらしの大人が格好悪くもなりふり構わず必死に口説き落とす話。
最後に少女が言う
「なんで欠点だらけの人を好きになったのかしら」
という科白がおかしい。 -
Posted by ブクログ
全4巻。すべて読みましたが、表紙がかわいいアオバちゃんを本棚に並べました。2052年、未来のお話。人の夢に入り、癒すカウンセラー時夫は、義理の息子であるキリヤと、ある凄惨な事件のあと眼を覚まさないアオバという少女の夢がつながっていることを発見する。
萩尾先生が講演会で、「残酷な神が支配する」を書いて、自分のなかで憑き物がとれたみたいにいままでの凝り固まった思いがすべて流れ出て、それから日本を舞台にした作品を書くことができた、というようなことをおっしゃっていたので、手に取った作品。最後まで読むと、とても切ない気持ちになります。なぜかはいえないけれど。アオバちゃんは、聡明で、美しくて、一途な気持 -
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文庫で全10巻。
最初、10巻大人買いする勇気がなくて、4巻しか買いませんでした。そうしたら、一番苦しいところまででぷっつり途切れてしまって、苦しくて苦しくてとても後悔して、もう続きも買わないし、持っている4冊も売ってしまおうと思った。でも、最後まで買って本当ーーーーに、良かったです。
義父に性的虐待を受けていたこと、義父を殺そうと仕掛けた事故により誤って母親を死なせてしまったことがきっかけで、深く苦しんでいるジェルミ。ジェルミは黒髪で、巻き毛で、まゆげがキリリと長く、まつげも長くて、濡れたような美しい目をしています。
愛が信じられなくなってしまったジェルミを必死に抱きしめる義兄のイアン。 -
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原作の透明感というか、実世界とほんの薄紙一枚だけ位相のずれただけの繊細なレイ・ブラッドベリのSF小説の世界を、見事に絵にしていて、すごい。これを読んで、ブラッドベリファンになりました。
「夢見る少年(少女)」が主人公の、全部で8編のSFポエジーが入っており、その一遍一遍が、異彩を放って忘れがたい。
特に、「ウは宇宙船のウ」と「霧笛」は何度読み返しても、心に響き、泣きそうになります。(最初に読んだときは号泣しました。しばらくこの本を手に取ることができないほどショック。)
コドモは共感し、オトナはかつての純粋な夢見る気持ちを思い出す。
心揺さぶられるマンガ! -
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この作品群は一遍の美しい純文学であり、
その精神世界は漫画を超え、時を越え、数多くの作家や映像に多大な影響を与えた原点となる作品です。
アン・ライスの「夜明けのヴァンパイア」は萩尾作品からヒントを得たのか‥? 時を超えて私の宿題となっているが発表された年代からしてアン・ライスが模倣したのだと思います。
ブラッド・ピットの演じたハリウッド映画の「インタヴュー・ウィズ・ヴァンパイア」もこの作品の模倣でしょう。ここまでパクられると気持ちいいです。
世界に影響を与えた萩尾作品。美しいヴァンパイアの苦悩と葛藤‥。
その着想の奇抜さと、萩尾先生の繊細な感性。
今もなお輝き続ける、後世に残したい不朽の大作 -
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「半神」・・・ユージーとユーシーは腰のあたりで体が繋がっている双子の姉妹。
姉のユージーは高い知能を持つが髪は抜け落ち醜くやせ衰え。
妹のユーシーは素晴らしき美貌を持つが、知能の発達が遅れていた。
そんな姉妹が13歳になったある日。このままでは二人とも生き延びることができないことが判明し医師は二人を分離することを決断する。
だが、自ら養分を作ることの出来ないユーシーには死が待っていた。
一方で自分の養分を奪われていたユージーは妹からの解放を喜ぶのだが・・・
表題作他9編収録。この16頁しかない短編だけでも星5つはつけられる、それだけ内容が濃く想いに耽る時間も長かった。
ユージーは衰え死にゆく