萩尾望都のレビュー一覧

  • AWAY-アウェイ- 1

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    小松左京著『お召し』を原案に描いたというSF。原案では突然大人が消えて12歳以下の子供だけの世界になってしまうらしいが、AWAYでは年齢の設定が変わり18歳未満の世界となる。赤ん坊の世話や食料や電気やゴミや病気や犯罪や火事や、問題山積みの設定環境で子供達は生き残れるのか。18歳になって戻っていく大人の世界でも、何故ウチの子は戻らないのかと帰還した人を攻撃する親達や、ただの誘拐や洗脳だと言い張る政治家なんかがいてこれまた大変。人間の弱さ、恐ろしさがリアルに伝わってくるなか、大介と一紀のロマンスもあり、今後の展開が楽しみだ。

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    2014年08月09日
  • AWAY-アウェイ- 1

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    「お召し」だ、とすぐにわかった。
    巻末にもそのことが書いてあるが、小松左京の「お召し」と違うのは、本作での年齢ラインが18才であることと、両方の世界が描かれていることである。
    「お召し」の方は、混乱のあとの「明日はお召しの日だ」という少年の静かな思いが印象的なのだが、本作はもちろん、まったく違うテイストで、オープニングはとても「萩尾望都的」である。ここからどういう世界が展開されていくのかとても楽しみである。
    本当に、「平穏無事な日常生活を送って行くこと」って実はとてもむずかしくて、危うい均衡の上にかろうじて成立しているものなんだよなあと思う。

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    2014年07月10日
  • 母と娘はなぜこじれるのか

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    著者が「対談を終えて」のコメントにも書いたように、萩尾望都さんのプライヴェートなお話が聞けてよかった。就活の学生さん、本当の「貴重なお話」っていうのは、こういう話のことなんですよーーだそうですw
    まあ皆さん酷い母親をお持ちで。私も機能不全家庭で育ちましたが、大して珍しい事ではなかったんだなと。また母親と距離を置きたいと思う事に罪悪感を感じなくてもよかったんだと今更ながら納得しました。水無田さんのように理路整然と考えていれば、もっと早くに楽になれたのかなと思いました。
    母性は存在しない、精神分析的には男性は身体を持っていない、にはビックリ。

    p152
    信田 だからあんなメタボな身体でも平気でさ

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    2014年06月10日
  • 11人いる!

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    これ以上ないくらいズバリで秀逸なタイトル!
    懐かしさと当時の思いふつふつ。
    久しぶりにフロルに会って、「ヨッ!」なんてハイタッチした気分。
    いくつか似たシチュエーションのものを読んだり観たりしたけれど、この作品が最初だったせいもってか一番印象的。
    ぜひ読み返したいと思っていた1冊。


    もし、萩尾作品のSFにこ難しいイメージを持たれている方がいるとしたら、これならいかが。

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    2020年05月14日
  • あぶな坂HOTEL

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    この世とあの世のあわいに建つあぶな坂HOTEL。そこにやって来る人々の物語。霧が晴れて戻れば生き返り、美しい中庭を横切った先の門を出ればあの世行き。HOTELのオーナーや従業員にも物語がある。伝説のロックンローラー・スズカプリンスと、メイドのマルちゃんのやりとりが切なかった。

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    2014年04月03日
  • 母と娘はなぜこじれるのか

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    ネタバレ

    水無田先生以外の方の本は読んでいたのでより深く理解できた。「母がしんどい」「さよなら、お母さん」「母は娘の人生を支配する」など事前に読んでおかれるといいかもです。
    今まで対談形式の本は面白いと思ったことがなかったけど、これは最後まで飽きることなく読めた。
    特に水無田先生ところがググッと来る。明治30年以降の急速な変化の中で、良妻賢母とロリコン言説と少女趣味と、家父長制の強化と幼児虐待と言うのは、同時期に発生している云々

    あぁ、それ以前に帰りたい(笑)

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    2014年04月09日
  • 王妃マルゴ -La Reine Margot- 2

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    マルゴも年頃になり、ますます面白くなってきた。美しいギーズに夢中のようだが、頭のいい(テクニックも巧みな)ナヴァルの王子についていく方が絶対幸せになれそう。シャルルの血の汗が怖い。

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    2014年03月15日
  • 王妃マルゴ -La Reine Margot- 1

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    16世紀、エリザベス1世の時代におけるフランス王家の物語。相変わらず美しく緻密な絵と濃密な内容に魅せられた。王家の娘の処女は国家財産という侍女の言葉に納得。カトリーヌ母后はなかなかの政治家だったようだ。宮廷一の伊達男アントワーヌに7歳のマルゴが流し目を送るシーンが印象的。それにしてもヴァロア王家の王子達は病弱・シスコン・男色等、おかしな輩ばかりだったようだ。

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    2014年03月15日
  • 残酷な神が支配する 10

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    はぁ・・・終わった・・・。

    解決という解決はしていないし、誰しも癒しきれない傷を抱えたまま生きていくことには変わりない。
    それでも、ジェルミはサンドラ、イアンはグレッグと向き合えたことは大きいです。

    愛する人がいてるから、
    受けとめてくれる人がいてるから、
    自分を捧げる人は親から他人へと変わっていく。

    感じ方は人それぞれですが、これほどまでに精神を揺さぶられる漫画を読んだことがありません。
    この作品を世に出し書ききってくださった、先生に感謝。

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    2014年03月08日
  • バルバラ異界 4

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    眠り続けてることでそれを見守るしかない周囲の人間に謎を振りまき続けた青羽が何ゆえにそうしていたのか解った瞬間、約束されている訳ではない未来の為だけに身を削ってたのか、と思うと感情が揺さぶられる。切ない部分はありつつも、渡会が息子を思う父として着地している所が優しくて素晴らしい。

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    2014年03月04日
  • バルバラ異界 3

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    読んでいて気付いたが、どの登場人物にも背景があり、主人公近辺の人物は他の人物に比べて情報量や付加価値は無論多めなのだが、主人公だけを追っていても物語全体の一部しか掴めない、と言う意味でも、これはSFでありながらも上質なミステリなんだな、と。1冊の情報量が多くて、1冊読むだけで脳みそが心地よい疲労に包まれるんだよ…

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    2014年03月03日
  • バルバラ異界 2

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    萩尾先生の親子関係は集団的他者と言うか、親は親、子は子で、それぞれが自己を持っていて、親として、子としての自分よりも、一人の人間としての自分が勝っている気がする。

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    2014年03月02日
  • バルバラ異界 1

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    読みたいものは自分の本棚の中に眠っている…と言う、ずっと持ち続けている本にはなんらかの予兆が隠されているのかもしれない、数年後に読んだ時に心が揺さぶられるよ、と言う…萩尾望都先生は私にとっては私の様な趣味嗜好の人間は読んでなければ、と言う人でもあって、偉大すぎてその良さが解らないままに読んでいた時期が多いんだよ!SFも、萩尾作品だから一応読んでた、と言うくらいで、SFはよく解らないんだよなー、難しくて、とか思って読んでたんだよ。架空のモノはその事象の理屈が解らなければならない、と言う意識が働いて(面倒臭い)ってなるんだよ、人間ドラマの部分だけ読みたいのに、とか…即物的な頭だから(笑)読まねばな

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    2014年03月01日
  • 訪問者

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     萩尾望都の文庫の中で、いや漫画の文庫本で一冊を選べと言われたら迷わずこれを推します。表題作、『エッグ・スタンド』、脇を固める『城』と『天使の擬態』、いずれも傑作・大傑作。

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    2014年01月31日
  • イグアナの娘

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    わたしもイグアナになりたい。…ってくらいイグアナが好き。…ってところから入ったけど何度読んでも必ず泣く。タイトルは巻頭の作品名。やっぱりこのお話がダントツです。人間になることを願ったイグアナの白痴的な浅ましさ。イグアナの娘を毛嫌いする母親のエゴイスティックな浅ましさ。愛情の裏側にあるカルマみたいなもののやるせなさがとてもリアルなんだな。だから泣いちゃう。…と思ってたけどもしかしたらあたしが大好きなイグアナが辛そうなのが悲しくて泣いたのかもしれないと今気づいた。動物にするの、ズルい。ふぬぅ。

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    2014年01月11日
  • 王妃マルゴ -La Reine Margot- 2

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    だいぶ人間関係を理解できてきました。
    マルゴがどんどん色っぽくなっていき、兄弟達の異常性も露わになってきました。

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    2013年12月25日
  • イグアナの娘

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    萩尾望都さんの作品によくみかける毒親のお話。コミカルにホラーで現実的なのにファンタジー。

    萩尾望都さんの表現はある程度理解出来てもある程度以上は不思議で仕方ない。
    なぜ比喩にイグアナを選んだのか……謎でありその辺りのセンスが刺さる。

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    2013年12月07日
  • フラワー・フェスティバル

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    ティーンの頃から大好きなコミック。久しぶりに読みたくなって文庫版を購入した。
    女子高生の主人公が夏休みにロンドンのバレエスクールに参加し、自己主張の激しい人たちとの交流を通して成長していくさまが清々しい。
    人生の一時期において、限界まで挑戦することは重要。精神的にも人を成長させる。と改めて思う次第。
    主人公を悩ませる癖のある登場人物たちもそれぞれ愛嬌あふれている。そしてその個性を尊重し合う人間関係のあり方がとてもヨーロッパ的な感じがして、かつてはそういうところに憧れたなー、と懐かしく思った。

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    2013年09月25日
  • 残酷な神が支配する 1

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    萩尾望都さんの作品を読んでいると、やっぱり萩尾さんにとって、家族、親と子供の関係というのは永遠のテーマなんだろうなと思います。
    「遭難」という言葉がすごく印象に残りました。東京事変の曲を思い出したりもして。

    ただすっごくもやもやする話なので、もし連載で読んでたら辛かっただろうなと思いました。
    キリのいいところまで読んだら寝ようと思ってるのにキリのいいところが全然来ない!
    結局全巻読んでもまだもやもやしてます。

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    2013年08月01日
  • 残酷な神が支配する 1

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    ネタバレ

    養父グレッグを、そして母サンドラを殺したという罪の意識
    グレッグに犯され続けたという性と暴力のトラウマ
    愛し、愛されいたと信じて疑わなかった母の裏切り
    これがジェルミという少年の心を縛り、
    人を愛することの恐怖を感じるようになる。
    このATフィールドをこじ開けようとする義兄弟のイアン。
    そして、そのイアンさえも信じいた父グレッグの裏切りを知り、
    自分にグレッグの影を見つけ、怯えています。
    恐ろしく繊細なテーマを恐ろしく緻密なプロットで描いた傑作。

    作中、母サンドラはジェルミによって、心の弱い人と何度も語られてきた。そのサンドラが死ぬ間際の車に乗り込む際に「大切な話がある」と強く告げる。おそら

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    2013年07月19日