平岩弓枝のレビュー一覧
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「聞き流す」ならぬ、「読み流す」感じの読書は短時間の暇つぶしやちょっとしたストレス解消につながるので、私にとってはないと困る存在。で、こういう傾向の作品が続くと、ある日突然と言った感じで「ちゃんとした日本語」が恋しくなる時が来る。
そういう時の作家さんの一人、平岩弓枝さんの作品を久しぶりに読んだ。ずいぶん前に購入したと思っていたが、今話題の「ドライブ・マイ・カー」が公開される前だったのか、2021年8月の文春文庫のチラシが挟まれていた。
大事件ではないけど日常に起きる事件や事故、人間関係のトラブルなどが、とても素敵なホテルを舞台にして繰り広げられる。
最後はとうとう殺人事件に発展したが、1 -
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成人した子ども2人を持つ五三子は蕎麦屋を切り盛りしている。五三子を取り巻く人間模様を描いた物語。
古き良き大家族、ご近所付き合いは20代の私には新鮮だった。
家族に振り回されることを疎ましがらずに上手くまとめようとするところが、昔は当たり前だったのかな。でも、粘り強く細やかなコミュニケーションが必要だろうなぁ、面倒くさくないのかなぁと思った。
最後に考えが変わる一言があった。
人は人に支えられて生きている、とあった。
支えてくれているはずの他者を疎んだり面倒くさがるのは失礼だし傲慢だなぁと思った。
現代は便利だと言われる(私は昔と比較できないから本当に便利になったか分からない)けれど、支 -
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老舗の料亭の娘、お京は、数ある縁談を断り、出入りの豆腐屋の信吉を見初める。しかし、信吉はその気持を受け入れず、頑なに拒むのであった。ある日、こっそり信吉の店を覗きに行ったところ、小さな子供たちが信吉の家の家事を行っているではないか…。
色々あるものの、大方が縁談の上手くいく行かないといったたぐいの短編集である。おしゃれげだからと気軽に時代物のライトノベルを書いている作家と違い、文章に安定感があるので読みやすい。
何本有ったっけな。結構細かくて、さらには時代物特有のオチがふんわりとなって引きで締める、みたいな、現代物を読み慣れた我々にとっては、インパクトを受けにくい作品があるが、いくつかはか -
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初出 2019〜20年「オール讀物」の一代記のようなエッセイ18編。
私が時代小説好きになるきっかけとなった『御宿かわせみ』シリーズのことが出てこないのは残念だが、代々木八幡宮の神主の娘として育ち、第三作が直木賞というちょっと考えられないデビューをし、長谷川伸の同門であった小説家と結婚して、夫が神主を継いでくれて、神社での話が多いのが珍しくも面白かった。
朝ドラの「旅路」を見ていた昭和天皇から、登場人物にかつての学友がいて聞きたいことがあると呼ばれたという話にはびっくり。そして代々木練兵場での観兵式で、自分の立ち位置の目印にしていた代々木八幡の松について「健在かね」と問われたのだという。
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ネタバレ初版が昭和だけあって時代を感じる場面が多々あった。一軒家だからと鍵をかけて留守にするのが不用心だとか携帯がない時代ですれ違う場面だとか。それでも永子さんの奥ゆかしく品があり嫁としては完璧な女性には感心してしまう。こんな嫁がきてくれたら万々歳だ。こんな姑、小姑がいる夫にはいくら夫に問題なくとも現代ならすぐに離婚する原因となるはずだ。こんな姑にはなるまい、娘にはこんなところに嫁にやりたくないと思う。佐竹さんとお似合いで2人がうまくいけばいいのにと思ったけれど、永子さんの性格からそう簡単に成就はしないだろうとも思った。それにしても木村家の女ともは最悪だ。前半は読んでいてもイライラした。永子さんが新婚