平岩弓枝のレビュー一覧

  • 花影の花 大石内蔵助の妻

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    残された者の回想
     大石、赤穂、浅野――いはゆる赤穂事件、忠臣蔵をつなぐものとしては、男の物語になることが多い。しかし、これは妻のりくから書いてゐる。

     りくと義弟の喜内、りくと姑のくま、りくとをばの戸世。をさない頃から家老に嫁ぐことになったりく――それが徳川の世の習慣であった――から、往時を思ひだしつつふりかへるあの頃は、切なくもあり、にぎにぎしくもあり、いつの世の人間模様も変らぬものだと感じる。

     平岩弓枝の筆は冗長を嫌って巧みだった。ちょっと人物相関が分りづらいが、とりわけ最後のしめくくりの月と星の比喩は圧巻であった。

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    2025年07月13日
  • 御宿かわせみ

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    子供の頃NHKでやっていたのを知ってはいたけど もちろん内容は知らない   
    戦前生まれの女性の作家が紡ぎだす言葉は ”還暦のおじさん” の心に沁みる  昔は良かった なんて言いたくないけど・・・ しょせん男なんて おだてりゃ木に登るし 褒めときゃご機嫌だし そのうちつけ上がって踏み外して  

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    2025年06月19日
  • 御宿かわせみ21 犬張子の謎

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    「独楽と羽子板」「柿の木の下」「犬張子の謎」「鯉魚の仇討」「十軒店人形市」「愛宕まいり」「蓮の花」「富貴蘭の殺人」

    全般的に人間の業や悲しさを感じた。「蓮の花」「富貴蘭の殺人」は一体どうしてと思わなくもない若干陰鬱さを感じる話。その中での「犬張子の謎」「十間店人形市」に関しては、悲しさも感じつつも、それならよかったと思える話に感じる。

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    2025年06月10日
  • 御宿かわせみ4 山茶花(さざんか)は見た

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    「山茶花は見た」「女難剣難」「江戸の怪猫」「鴉を買う女」「鬼女」「ぼてふり安」「人はみかけに」「夕涼み殺人事件」

    「ぼてふり安」女郎を落籍させるために娘を売る安吉。人非人といえば人非人。しかし、最後の妙な「江戸っ子」としての意地には分かるような分からないような、それでいて滑稽さもある。
    「人はみかけに」は爽快な捕り物劇だった。最後の展開は、とあるドラえもんの映画ストーリーを思い出した。

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    2025年06月10日
  • 御宿かわせみ3 水郷から来た女

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    「秋の七福神」「江戸の初春」「湯の宿」「桐の花散る」「水郷から来た女」「風鈴が切れた」「女がひとり」「夏の夜ばはし」「女主人殺人事件」

    神隠しかと思いきや次々と子どもが誘拐されて、殺されて、その事件の裏にあったある女性の悲しい人生。「水郷から来た女」には哀れさと憤りとそんな感情の混じる話だった。

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    2025年06月10日
  • 新装版 はやぶさ新八御用帳(一) 大奥の恋人

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    僕は、平岩弓枝さんは、小説家というより脚本家だろうと思っていた。しかし、この作品は、本格的な時代小説であり、サスペンスであり、恋愛小説である。何事も思い込みは禁物だと、改めて思った。

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    2025年05月25日
  • 御宿かわせみ9 一両二分の女

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    「むかし昔の」「黄菊白菊」「猫屋敷の怪」「藍染川」「美人の女中」「白藤検校の娘」「川越から来た女」「一両二分の女」
    この巻は全ての話が面白い。敢えて言うと、大河ドラマ「べらぼう」で検校の金貸しについて聞いていたので「白藤検校の娘」、そしてちょっと変わった妾の話である「一両二分の女」の二作が面白かった。

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    2025年05月13日
  • 御宿かわせみ11 二十六夜待(にじゅうろくやまち)の殺人

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    「神霊師・於とね」「二十六夜待の殺人」「女同士」「牡丹屋敷の人々」「源三郎子守唄」「犬の話」「虫の音」「錦秋中山道」
    「二十六夜待の殺人」は、現代の刑事ドラマを見ているかのようだった。
    印象に残ったのは次の三つ。「女同士」のちょっとした心がけの行き違いから起きたトラブル。「牡丹屋敷の人々」は刀剣の盗みに関わるトラブル。「錦秋中山道」は漆にかぶれた商家の娘さんに関するトラブル。

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    2025年05月13日
  • 御宿かわせみ6 狐の嫁入り

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    「師走の月」「迎春忍川」「梅一輪」「千鳥が啼いた」「狐の嫁入り」「子はかすがい」
    ちょっとした行き違いで取り返しのつかないことが起きるのは誠にもって悲しいものだ。本作ではそのストーリーの組み立て方やちょっとしたトリックが面白い「狐の嫁入り」がとても気に入った。

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    2025年05月07日
  • 御宿かわせみ3 水郷から来た女

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    久しぶりに御宿かわせみを読んだ
    さまざまな事件を解決していく東吾と
    かわせみの女主人るい
    市井の事件は庶民の事情が絡んで
    わかりやすい

    二人の場面描写も直接的な言葉を使わず 私には好ましい
    イメージしやすく情緒がある

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    2025年05月04日
  • 御宿かわせみ32 十三歳の仲人

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    <目次>


    <内容>
    お石が大工の棟梁の小源と夫婦になった。そこまでいくつかの話を織り交ぜながら「十三歳の仲人」で決着がついた。おもわずニヤニヤしながら、話を読ませてもらった。

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    2025年05月04日
  • 御宿かわせみ17 雨月

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    「尾花茶屋の娘」「雨月」「伊勢屋の子守」「白い影法師」「梅の咲く日」「矢大臣殺し」「春の鬼」「百舌鳥の琴」
    本作は全体的に後味が悪いというかやる瀬なさの残るものが多かった。標題の「雨月」に加え、「伊勢屋の子守」「矢大臣殺し」「百舌鳥の琴」が印象に残る。

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    2025年04月06日
  • 御宿かわせみ2 江戸の子守唄

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    「江戸の子守唄」
    「お役者松」
    「迷子石」
    「幼なじみ」
    「宵節句」
    「ほととぎす啼く」
    「七夕の客」
    「王子の滝」

    「七夕の客」年に1回泊まる男女の客。それを利用しようとする者。この話が一番印象に残った。

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    2025年03月23日
  • 御宿かわせみ7 酸漿(ほおずき)は殺しの口笛

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    「春色大川端」
    「酸漿は殺しの口笛」
    「玉菊燈篭の女」
    「能役者、清大夫」
    「冬の月」
    「雪の朝」

    「能役者、清大夫」ここに出てきた大川紋之助。文字通り得体の知れない男であり、この男はまたどこかで出てくるのだろうかとふと思った。

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    2025年03月23日
  • 御宿かわせみ5 幽霊殺し

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    「恋ふたたび」
    「奥女中の死」
    「川のほとり」
    「幽霊殺し」
    「源三郎の恋」
    「秋色佃島」
    「三つ橋渡った」

    一番印象に残ったのは「三つ橋渡った」幼いころに拐された少女が盗賊の一味にされる。その女性が覚えていたのは「三つ橋渡った」所。不幸ばかりでなかったところに救われる。

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    2025年03月23日
  • 魚の棲む城 田沼意次の大いなる夢

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    純粋に田沼意次が実施した政策やそれに反対する人々にどう対処したのか!みたいなものかと思ったらまるで違くて驚いた。但し内容はとても面白く頭に入ってきやすかったので高評価。

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    2025年03月10日
  • 千姫様

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    千姫、好きです。
    戦国時代の最後のお姫様、というところでしょうか。
    どんな困難を経験しようとも、生き抜いていくその強さに憧れます。

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    2024年07月18日
  • 御宿かわせみ10 閻魔(えんま)まいり

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    『源三郎の祝言』が特に良かった

    通之進の鮮やかなお裁きならぬとりなしが爽やかで、読んでいてとても気持ちが和む良いお話です
    源さん末長くお幸せに…

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    2024年06月07日
  • 日本のこころ

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    昭和の日本の風景が、鮮やかに目に浮かびます。
    タイトルは堅苦しいのですが、文章は美しく、是非若い世代にも読んでもらいたいです。

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    2024年02月28日
  • 「御宿かわせみ」ミステリ傑作選

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    「平岩弓枝」の短篇時代小説集『「御宿かわせみ」ミステリ傑作選』を読みました。
    ここのところ時代小説が続いていますね。

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    「平岩弓枝」の「御宿かわせみ」は江戸人情だけじゃない、ミステリも侮れない!

    物理トリックに心理トリック、フーダニットにホワイダニット……「御宿かわせみ」には、びっくりするほど秀逸なミステリ作品が多い、と書評家「大矢博子」が、トリックを切り口に七作品を厳選。

    かわせみシリーズの傑作『矢大臣殺し』は、「アガサ・クリスティ」へのオマージュか?
    巻末の著者インタビューに、創作のタネあかし、あり。
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    2024年01月04日