嘘かまことか

平岩弓枝

神様の書かれたシナリオを、大根役者の私が必死になって演じてきた……。
「御宿かわせみ」の作者・平岩弓枝さんによる、もうすぐ九十歳の幸福論！

学校の成績は、国語と歴史をのぞいて最低だった。
駈けっこはいつもびりで、自転車にも乗れない私が、
数々の名誉ある賞をいただく人生を送るとは、
まったく夢にも思わぬことであった。

生まれてきて本当によかった。

• カテゴリ: 小説・文芸
• ジャンル: エッセイ・紀行 / エッセイ
• 出版社: 文藝春秋
• 掲載誌・レーベル: 文春e-book
• ページ数: 224ページ
• 電子版発売日: 2021年03月10日
• コンテンツ形式: EPUB
• サイズ(目安): 1MB

[ブクログ · ★★★★☆]

初出 2019〜20年「オール讀物」の一代記のようなエッセイ18編。

私が時代小説好きになるきっかけとなった『御宿かわせみ』シリーズのことが出てこないのは残念だが、代々木八幡宮の神主の娘として育ち、第三作が直木賞というちょっと考えられないデビューをし、長谷川伸の同門であった小説家と結婚して、夫が神主を継いでくれて、神社での話が多いのが珍しくも面白かった。
朝ドラの「旅路」を見ていた昭和天皇から、登場人物にかつての学友がいて聞きたいことがあると呼ばれたという話にはびっくり。そして代々木練兵場での観兵式で、自分の立ち位置の目印にしていた代々木八幡の松について「健在かね」と問われたのだという。

最近亡くなった橋田壽賀子さんと同じように、テレビドラマのシナリオライターでもあったのだと、改めて気づいた。

それにしても行方不明の東吾さん（「かわせみ」の主人公）がひっこり現れる話を、私は今でも待っているのだが。