三角和代のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
スウェーデンの作家「ヨハン・テオリン」の長篇ミステリ作品『黄昏に眠る秋(原題:Skumtimmen、英題:Echoes from the Dead (The Oland Quartet))』を読みました。
「ヨナス・ヨナソン」、「ミカエル・ヨート」と「ハンス・ローセンフェルト」の共著に続き、スウェーデン作家の作品です… 北欧ミステリが続いています。
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行方不明の少年を探す母がたどりついた真相とは。
北欧の新鋭による傑作感動ミステリ!
霧深いスウェーデンのエーランド島で、幼い少年が消えた。
母「ユリア」をはじめ、残された家族は自分を責めながら生 -
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Posted by ブクログ
貴族のお抱え料理人ウェッジウッドは主人を海賊団に殺されて捕虜になる。海賊団の女船長マボットはウェッジの料理を気に入り、週に一度自分のために料理を作れと言い出して……。海賊冒険お料理小説!(ミステリ要素はなし)→
常識人ウェッジウッドがとにかく融通が利かない。何度も逃げ出そうとしたり、海賊たちを下に見たりととにかく苦手キャラで正直400ページあたりまでは読むのがしんどかったんだけど、ウェッジがマボットの影響を受けて一皮剥けた後はめちゃくちゃ面白くなった!
クライマックスは最高!ラストは泣く!
小説の形式がウェッジの日記なんでウェッジに感情移入できないとなかなか読み進められないのが難点。
で -
Posted by ブクログ
目の前で雇い主を殺されてしまった料理人。ところが、その殺した当人である海賊船船長に拉致され、週に一度自分のためだけにご馳走をふるまえと無茶ぶりをされる……という斬新かつ怒涛な展開で幕を開ける物語は、その後も使い古された言葉なれど、まさに「波乱万丈」の一言。
賞金首の海賊なだけに、命を狙われて続けている航海だから、敵の来襲は当たり前。なおかつ、船長は別の目的をもってある人物を執拗に追い、そのために自分と船の危険度をあげてもいる。その道行きそのものもとても躍動的で、かなりわくわくさせられます。
そして囚われの料理人ウエッジウッドの孤軍奮闘ぶりがユーモラスにそして驚くひらめきを持って描かれます。 -
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Posted by ブクログ
主人公の造形がとても良い。
経験豊かで知恵があり意志の力を持っていて、けれども決して強くも万能でもない、ちっぽけな一人の人間。社会的には弱者として扱われることも少なくはない、老いた女性。それでも彼女は決して無力な存在ではない。
これは誰でもない自分として世界を踏みしめるひとりと、そこに寄り添う何者かの物語。
夢見る人にも目覚める人にも、どうかその先の道が開かれんことを。
ひとりの教え子の出奔を機に、学園の存続のためという動機で始まった旅は、思わぬ理由で手段が変わり目的が変わり、壮大な冒険へと繋がっていく――という、子供の頃に読んだファンタジー小説のようなシナリオなのだけれど、主人公の属性の決 -
Posted by ブクログ
エーランド島ミステリー四部作の最終話「夏」
シリーズ中最も賑やかなエーランド島で、舞台となるリゾート地もにぎやか。
対照的に描かれるのは、20世紀に出現した「ソビエト連邦」という国の内情。
希望と絶望の果てにひたすら「帰る」ことを夢見てきた一人の男の物語は、シリーズ中最も重い。
あんなに強大だったのに既に歴史地図にしか載らない「過去の国」。
でも、そこで行われた史実は、関わった人の記憶と共に生きている。
人にとって「帰るべき所」とはなんだろう。
終盤で、エーランド島から離れる船を前に娘は「父さん帰ろう」と言う。父にとっては「帰ってきた」場所から再び離れることになるのに……。
ラスト、イ