三角和代のレビュー一覧
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エーランド島四部作「春」を読む。
「春」は「過去に残したもの」
石切場の小屋を相続したペール。彼が「過去から確執のあった父親の周りで起こる事件」を追うのが、今回の主要線。その他に「現在抱えるペールの家族の問題」「新たな隣人ヴェンデルの過去」「イェスロフの妻の残した日記」の四つの物語が程よい章分けで淡々と語られる。
「春」になり、荒涼とした石灰台地にも草木や花が色めき、鳥は朗らかに囀る。
人々は外に出て楽しみ、冬は次第に影を潜めていく。
ただ……春霞に覆われて焦点の定まらないアンニュイな状態は、どことなく不安を募らせる。
新緑の中の不思議な場所とエルフの気配
誰もいなくなった白い石切場と -
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ネタバレエーランド島四部作完結編(うっかり三作目を飛ばしてしまった。。)。
老齢探偵イェルロフの遠い昔、少年時代の恐怖体験に始まり、現代の少年の幽霊船との遭遇、意味深な男のきなくさい帰郷。
序盤は物語がどこへ向かっているのかわからず、遅々とした展開。
次第に動き出す物語にいつしか引き込まれている自分に気づく。スウェーデンとロシアの関係性、大戦中の悲劇を重低音として現代で繰り広げられる復讐劇。
帰郷した男アーロンの人生を時間をかけて振り返り、人物像を積み上げていく過程が肝と感じた。
ちょっと地味だけど、どこか没入させられる静かな典型的な北欧ミステリ。
嫌いじゃないです。 -
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「超絶技巧で度肝を抜く。」
と言うコピーを帯に飾れるのは
ジャック・カーリィ先生だけ!
というわけで刑事カーソン・ライダー
シリーズの七作目(未訳含めず)
2019年12月現在最後の日本語訳なのが寂しい。
毎回タイトルと本のデザインから、なかなか重たく手に取りづらい印象の本シリーズですが、カーソン視点で語られるのでユーモラスにスラスラ読めます。(グロさはありますが)
今回は無差別連続殺人を繰り返す男が相手、精神的に安定してないが「ロカールの法則(犯行時、犯人と犯行現場は必ず何かしらの小さな物質を交換する)」を意識して行動するあたりからなかなか手強い。
動機も読めない脈絡の無い殺人に
カー -
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カーソン・ライダーシリーズ6作目
今回は相棒のハリーと離れ
休暇中に自然の多い土地で
怪事件に巻き込まれる。
逃走中の兄も登場します。
毎度のことながらこの兄がまた、トリッキーなのよね…「そうきたか!」みたいな手を使ってくる。
ヒロインも毎回変わって…メインのヒロインもいるんですけど…兄が指摘するみたいに「おいカーソン」って具合にコロコロ変わってる。
カーソンは。女性のちょっとした部分にかなりの観察力を発揮するんですが、女性だけではなく異常犯罪者達に対しても鋭く、ただ「ヤバイやつ」で済まさず何が起きてるかを読み解き、共感、解決策を見つけるあたりはさすが専門家
髑髏の檻というタイトルの意味 -
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ネタバレ今回はいつもと様変わりして、複数の一人称が用いられる。
主人公のカーソンと犯人であるグレゴリー、この二人の視点から事件が描かれて行く。
サイコ殺人ながら犯人は分かっているので、いかにして捜査陣が犯人に迫るのか、そして何故犯行を行うのか動機探しが話しの主眼となる。
とはいえ、ジャック・カーリィの作品だからここにトリックがあって、最後には話の構図が一変するように出来ていて、いたるところに伏線が張られている。
このシリーズはいずれ2度読みを楽しめるな。
完結ながら示唆に富む文章は相変わらず見事の一言で、このページ数ながら読みごたえがあるし、陰影に富む人物描写も魅力的で幾多のキャラが浮き彫りにさ -
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ネタバレライダー刑事第六弾。
いつかは再登場すると思っていた兄ジェレミー。
今回は、いつもの相棒ハリーの代わりに、ジェレミーが相棒になったといっても過言ではない。
休暇を取ったライダー刑事が事件に巻き込まれる。
GPSを使った宝探しゲームの「お宝」が死体だった。
ゲームのおかしな記号の秘密には、ヒントが出てすぐに気が付いたので、
真犯人の動機もそこらあたりあるのだろうと、見当がついた。
しかしジェレミーが家に執着して、そこにライダー刑事が付け込むとは意外。
危地に飛び込んだライダー刑事を助けるために、ジェレミーがFBIに飛び込んだのも意外。
単に、FBIの身元調査のやり方を探るためだったのかもし -
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ネタバレほう。
どんでん返しと言うか、何と言うか。って言うか、多くの推理小説では、最終的には弁護側が勝利して、真犯人は別に居たと言う事になるんだけど・・・。まぁ、これも『本当は』そうなのかもしれないけど、収監されたのは最初に犯人と目された人物。話が後ろになるにしたがって、不利な証拠が積みあがるので、「どうやって挽回するの?」と思ったら、最後には積んでしまっていたのでした。
でも、最後の数ページ。ほんとの本当の犯人が、ほのめかされるんですよねぇ。そうかと。
それと、償おうとして頑張ったけど、結局は物語上はダメだったわけで、邦題は如何なものかと思うね。 -
Posted by ブクログ
下巻は、エイリアン船をめぐって同盟と連合(正確にはゲート連合とレドモンドなんだけど、面倒だから「連合」とだけ書いておきます)が武力行使を含む政治的な駆け引きを繰り広げ、主人公イアンの持つ特殊能力がますます存在感を見せちゃって宇宙一のラインズマンになっちゃう、っていうお話。
物語の展開上、連合中心にエピソードが進行していくから、自分的にお気に入りのレディ・リャン&ガレノス准将の出番が減っちゃって上巻よりパワーダウンした感はある。
でも、連合側もクセ者が揃っていて、お気に入りのキャラが見つかれば、上巻よりハデな場面が多い分楽しめるかもしれない。
ちょっと残念だったのは、主人公の強力なライバルなのか -