三角和代のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
スウェーデンの作家「ヨハン・テオリン」の長篇ミステリ作品『黄昏に眠る秋(原題:Skumtimmen、英題:Echoes from the Dead (The Oland Quartet))』を読みました。
「ヨナス・ヨナソン」、「ミカエル・ヨート」と「ハンス・ローセンフェルト」の共著に続き、スウェーデン作家の作品です… 北欧ミステリが続いています。
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行方不明の少年を探す母がたどりついた真相とは。
北欧の新鋭による傑作感動ミステリ!
霧深いスウェーデンのエーランド島で、幼い少年が消えた。
母「ユリア」をはじめ、残された家族は自分を責めながら生きてきたが、二十数年後の秋、すべてが一変する。
少年が事件当時に履いていたはずのサンダルが、祖父の元船長「イェルロフ」のもとに突然送られてきたのだ。
病魔に苦しみながらも、明晰な頭脳を持つ「イェルロフ」は、この手がかりをもとに推理を進める。
一方、急遽帰郷した「ユリア」は、疎遠だった「イェルロフ」とぶつかりながらも、愛しい子の行方をともに追う。
長年の悲しみに正面から向き合おうと決めた父娘を待つ真実とは?
スウェーデン推理作家アカデミー賞最優秀新人賞、英国推理作家協会(CWA)賞最優秀新人賞受賞作。
スウェーデンの民話や幽霊譚をもりこんだ、北欧の新鋭にして実力派による傑作ミステリ。
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2007年(平成19年)に発表された《エーランド島シリーズ》の第1作… 探偵役の「イェルロフ・ダーヴィッドソン」が外出もままならない老人というこもあり、謎が解けるスピードは遅々としていますが、関係者を訪ね歩き、幾度かの危機をくぐり抜けて、20数年前の衝撃的な真相が明らかになる展開が愉しめる佳作でしたね、、、
「イェルロフ」と「ユリア」を中心に真相を探る現在の物語と、「ニルス・カント」の人生を辿る1936年(昭和11年)~1972年(昭和47年)の物語がパラレルに進行して、終盤、ひとつの接点に向かう描き方も良かったですね… むっちゃ好みの作品でした。
1972年(昭和47年)9月、エーランド島北部のステンヴィーク村で、「イェンス・ダーヴィッドソン」という5歳の少年が忽然と姿を消した… この島では珍しい濃霧の中での出来事だった、、、
それ以降、「イェンス」の母「ユリア」は傷心から立ち直れぬまま島をあとにして苦悩に満ちた日々を送るようになった… 「イェンス」の父とは別れ、姉「レナ」の夫婦や島に残った父「イェルロフ」ともしっくりしない関係になっていた、、、
事件から20数年後、高齢者ホームで暮らす「イェルロフ」のもとに、「イェンス」が行方不明になった時に履いていたサンダルを何者かが送ってきた… 「イェルロフ」からその報せを受けた「ユリア」は久しぶりに帰郷する。
長年疎遠になっていたせいで、「イェルロフ」と「ユリア」の会話はぎこちないものに… しかも、かつて船長だった「イェルロフ」は持病のせいで今や思うように動けない身体となっていた、、、
だが彼らはサンダルの件を契機にわだかまりを乗り越え、過去と再び向かい合うことを決意し、「イェンス」の身に何が起こったかを追求しようとする。
このメイン・ストーリーに、時々、挟み込まれるカタチで描かれるのが、島北部の広大な土地を所有する資産家の息子として生まれた「ニルス・カント」の人生… 彼は10歳にして海で溺れた弟を見殺しにし、成長とともに数々の悪事を重ねてきたため、村ではあらゆる犯罪や事故が彼のせいということになっている、、、
既にいないはずの彼の姿が、事件の影から浮かび上がってくるのは何故なのか… 「ニルス」の数奇な運命と「イェンス」との接点は!?
自己中心的で浅はかな性格、そして若い頃の悪行の数々… 「ニルス」は同情の余地のない人物なのですが、ある人物に利用され、「イェンス」の失踪事件に巻き込まれてしまう終盤の展開には一抹の憐れみを感じましたね、、、
もっと悪い奴がいたんですからねぇ… それにしても、真相は衝撃的で、深い余韻のある結末でしたね。
《エーランド島シリーズ》の残り3作品も読んでみたいな。
以下、主な登場人物です。
「ユリア・ダーヴィッドソン」
看護師
「イェンス」
ユリアの息子
「イェルロフ」
元船長。ユリアの父
「レナ」
ユリアの姉
「リカルド」
レナの夫
「エルンスト・アドルフソン」
彫刻師、元石工
「ヨン・ハーグマン」
元船長
「アンデシュ」
ヨンの息子
「ベングト・ニーベリ」
《エーランド・ポステン》記者
「レナルト・ヘンリクソン」
警察官
「アストリッド・リンデル」
元医師
「グンナル・ユンイェル」
ホテル・オーナー
「マルティン・マルム」
マルム貨物の創業者
「エースタ・エングストレム」
元船長
「マルギット」
エースタの妻
「ロベルト・ブロムベリ」
車修理工場のオーナー
「ヴェラ・カント」
ステンヴィークの資産家
「ニルス・カント」
ヴェラの息子
「フリティオフ・アンデション」
ヴェラの使い -
Posted by ブクログ
貴族のお抱え料理人ウェッジウッドは主人を海賊団に殺されて捕虜になる。海賊団の女船長マボットはウェッジの料理を気に入り、週に一度自分のために料理を作れと言い出して……。海賊冒険お料理小説!(ミステリ要素はなし)→
常識人ウェッジウッドがとにかく融通が利かない。何度も逃げ出そうとしたり、海賊たちを下に見たりととにかく苦手キャラで正直400ページあたりまでは読むのがしんどかったんだけど、ウェッジがマボットの影響を受けて一皮剥けた後はめちゃくちゃ面白くなった!
クライマックスは最高!ラストは泣く!
小説の形式がウェッジの日記なんでウェッジに感情移入できないとなかなか読み進められないのが難点。
でも、クライマックスはすごい。ウェッジもがんばる!
そしてエピローグ!!みんな読んで!めちゃくちゃいいエピローグだから!私この終わり方すごい好き!!
ウェッジがあまりにうだうだと偏見まみれの考え方で話すから、途中でちょっと諦めかけたけど(笑)
いやぁ、読んでよかったよー。映画見てるみたいやった。
てか、これは映像化して欲しい。ラストは映像でみたい。絶対カッコいい。 -
Posted by ブクログ
目の前で雇い主を殺されてしまった料理人。ところが、その殺した当人である海賊船船長に拉致され、週に一度自分のためだけにご馳走をふるまえと無茶ぶりをされる……という斬新かつ怒涛な展開で幕を開ける物語は、その後も使い古された言葉なれど、まさに「波乱万丈」の一言。
賞金首の海賊なだけに、命を狙われて続けている航海だから、敵の来襲は当たり前。なおかつ、船長は別の目的をもってある人物を執拗に追い、そのために自分と船の危険度をあげてもいる。その道行きそのものもとても躍動的で、かなりわくわくさせられます。
そして囚われの料理人ウエッジウッドの孤軍奮闘ぶりがユーモラスにそして驚くひらめきを持って描かれます。脱走を諦めずシニカルな彼の個性も生き生きとしてよいのですが、海の上の貧弱な食材と道具から生み出される、船長の舌を満足させる料理の数々もまた魅力的。海賊にはかかわりたくありませんが、この一触即発のディナーには一度お目にかかりたいものです。
海賊船の人間模様もまた種々さまざまで、彼ら彼女らが背負ってきた苦難を知っていくことで、いとおしさが生まれてきます。
それでも、本筋は命の取り合いである海賊の道行きを辿る物語。ウエッジウッドと船長マボットの緊張感を保った関係の変化も物語に深みをより与えつつ、犠牲と打算と裏切りがめくるめくクライマックスを迎えていきます。
ラストシーンは、凪いだ海の波面のように穏やかでした。脳裏に浮かぶその静かな波間の中に、通り過ぎていった冒険の数々と、彼女の強さと弱さに思いを馳せるのでした。
とても好きな物語でした。 -
Posted by ブクログ
主人公の造形がとても良い。
経験豊かで知恵があり意志の力を持っていて、けれども決して強くも万能でもない、ちっぽけな一人の人間。社会的には弱者として扱われることも少なくはない、老いた女性。それでも彼女は決して無力な存在ではない。
これは誰でもない自分として世界を踏みしめるひとりと、そこに寄り添う何者かの物語。
夢見る人にも目覚める人にも、どうかその先の道が開かれんことを。
ひとりの教え子の出奔を機に、学園の存続のためという動機で始まった旅は、思わぬ理由で手段が変わり目的が変わり、壮大な冒険へと繋がっていく――という、子供の頃に読んだファンタジー小説のようなシナリオなのだけれど、主人公の属性の決定的な違いにより大人が読んで楽しめる内容になっている。
異なる世界のお話なのにこういうところは自分たちの生きる社会と変わらないんだなあ……とか、考えながら読んでしまう。もしこのお話を子供の頃に読んでいたら、全く異なる感想を抱いたのだろうな。
クトゥルフ神話、特にドリームランドや神話生物の知識があるとより理解が深まるお話のようだけど、そのあたりの知識がほぼなくても問題なく楽しめた。 -
Posted by ブクログ
エーランド島ミステリー四部作の最終話「夏」
シリーズ中最も賑やかなエーランド島で、舞台となるリゾート地もにぎやか。
対照的に描かれるのは、20世紀に出現した「ソビエト連邦」という国の内情。
希望と絶望の果てにひたすら「帰る」ことを夢見てきた一人の男の物語は、シリーズ中最も重い。
あんなに強大だったのに既に歴史地図にしか載らない「過去の国」。
でも、そこで行われた史実は、関わった人の記憶と共に生きている。
人にとって「帰るべき所」とはなんだろう。
終盤で、エーランド島から離れる船を前に娘は「父さん帰ろう」と言う。父にとっては「帰ってきた」場所から再び離れることになるのに……。
ラスト、イェルロフの乗る舟をエーランド島に「帰す」風とカモメたちが、彼を絶望から救い出す……あのまま終わらずによかったです。
これで春夏秋冬に合わせて全編終了しました。
変わらないこの島の自然や不思議な出来事を背景に登場人物の心の旅を描く、とても印象に残るシリーズでした。