三角和代のレビュー一覧
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アメリカの作家「アラフェア・バーク」の長篇ミステリ作品『償いは、今(原題:The Ex)』を読みました。
ここのところ、アメリカの作家の作品が続いています。
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「あなたがパパを助けないとだめ」少女の訴えを聞いて、弁護士の「オリヴィア」は愕然とした。
少女の父親「ジャック」は、彼女の元婚約者だった。
小説家の彼は、三人が死んだ銃撃事件の容疑者として逮捕されていた。
現場にいたことを認め、事件の被害者の一人と深い因縁があった。
ひどい仕打ちをして別れる原因を作った「オリヴィア」は、彼に懇願され、無実を信じて弁護を引き受けるが……予測不能のストーリーで -
Posted by ブクログ
☆3.5くらい
設定の面白さ、ミステリ物語としての緻密な構成は素晴らしい。だがそれを損なわせているのが文章。翻訳か原文か、どちらかがとにかくこちらの理解を曖昧なものにしてくる。するすると読めるとは言い難い。人物も多くて覚えきれず、それも分かりにくさに一役買った。誰?と思いながら読むことが何度も。
ただそれでもサスペンスじみた構成力には脱帽だ。タイムループものは混乱して然るべきとも言えるし、整理しながら読めば傍観者ではなく探偵として没入し、もっと楽しめただろう。
いやそれにしても久しぶりにミステリでここまで主人公に寄って物語を読めた。大抵探偵役には早く推理聞かせてくれないかな、と思っているとこ -
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帯に惹かれて手に取りました。
海賊にさらわれた料理人の運命やいかに!というかこの主人公、本当に料理のことばっかりで頭がいっぱいになっているのが面白い。勿論、囚われの身から抜け出すことにも頭を使っている訳ですが、それよりもパン種を作ったり、素材をいかに調理するかを考えている発想力がすごい。
読んでいて、そうか、キリスト教は肉食を禁じていないから(そういえば子羊とかを生贄に捧げてたよな、旧約聖書では)、教会で修業した調理人は殺生を行うんだなぁと改めて思いました。
お話の本筋はイギリスと中国の阿片貿易に絡んだなかなか骨太なお話で、人間関係の複雑さも絡み、面白かったです。個人的には味噌と醤油を日本の -
Posted by ブクログ
今時流行りのループ系小説と言って良いのかはわからないけれどもループして同じ日を繰り返し、事件を解決するお話。面白いのが、一日が終わると違う宿主として目覚め、その宿主の性格や元々持っている判断力、思考力や人格に左右されるところ。期限は7日間で、傍観している人曰く、相当数繰り返しているらしい辺り、傍観者というか観察者も大変そう…
ミステリーとしては面白いんだけど、この舞台設計を作ったというSF的な仕組みはちょっと読み終わっても「ん?」という感じ。繰り返す度に毎回注意喚起に行くのは大変そうだし、そこも踏まえて過去の自分が行った行為は7日分は更新されるんだろうか?なんかややこしい。そして、この場合モ -
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ラヴクラフトの描いたドリームランドのダークファンタジーな世界観が好きだ。本作はそれと同一舞台ということで手に取った。
「未知なるカダスを夢に求めて」を先に読んでいるとあの場所だ! と思うシーンが多く出てくるため、それらの情景を老齢の女性主人公の視点で共に冒険してより一層楽しめる。
ただこの作品は、作者が謝辞で指摘する通りラヴクラフトが描かなかった女性の物語である。そのためにウルタールに科学系の学問を教える女子カレッジが存在していたり、電池式の懐中電灯が存在していたりと、時代を考えればラヴクラフトのそれよりはるかに先進的な印象だ。ラヴクラフトの描いた古風で不便だが科学や法則に囚われない夢の国を -
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Posted by ブクログ
カーソンと殺人者の視点でストーリーは展開する。五里霧中の捜査を強いられるカーソンと、奇妙な行動を続ける殺人者グレゴリー。このふたつの線はどういう関係にあるのか、どう交差するか、そこが読みどころのひとつ。
「ミッシング・リンク」が本作品のテーマ。意外な真相へと繋がる手掛かりや伏線は、いくつものエピソードの中に巧妙かつ大胆に仕込まれているから、真相を推理することは十分可能。さらに、その先にもうひとつの驚きが仕掛けられている。そこで読者は全体の構図が反転するショックを味わうだろうし、作者の企みを確認するため再読したくなるかもしれない。
いつも以上に攻めてきたなーという印象は強いが、ラストが若干弱