三角和代のレビュー一覧
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エーランド島シリーズ三作目。「黄昏に眠る秋」も「冬の灯台が語るとき」もとても良かったが、これもしみじみ味わい深く、北欧の香気たっぷりのミステリだ。
結構派手な展開をするところもあるのに、全体の印象はとても静かで、モノトーンの世界を見るようだ。登場人物は皆、何かを諦めているような雰囲気を漂わせている。翻訳者あとがきで「無常の感覚がつきまとっている」と評されていて、ああ、本当にそうだなあと思った。
荒涼とした長く厳しい冬の後、ゆっくりと島に訪れる春の気配がとても美しく描かれている。エルフとトロールが人びとの生活の中に息づいていた、今や失われた暮らしへの哀惜の念が底を流れていると感じた。 -
Posted by ブクログ
(No.13-25) スウェーデン・ミステリです。シリーズ3作目。
内容紹介を、表紙裏から転載します。
『エーランド島の石切り場のそばのコテージに暮らしはじめたペール・メルテル。ある日彼のもとに、疎遠にしていた派手で傲慢な父ジェリーから、迎えに来るように求める電話が入る。渋々父の別荘に赴くと、そこに待っていたのは謎の刺し傷を負った父だった。そして直後に別荘は全焼する。なぜこんな事件が起きたのか?娘の病気などの悩みを抱えながらも、ペールは父の暗い過去を探りはじめる・・・。
エルフとトロールの伝説が息づく島で、人々の切ない記憶と過去が交錯する。』
今回の主人公ペールは、シリーズを通して登場する老人イェルロフ・ダーヴィッドソンの隣人となります。イェルロフの友人だったエルンストが亡くなり、親戚のペールがコテージを相続したので。ペールの母がエルンストのいとこで、ペールは子供の頃はよく遊びに来ていました。
エーランド島は、かつては漁で栄えていましたが今は寂れています。けれど暖かい季節だけ過ごすための別荘地として近年人気が高まり、イェルロフの家の近くでも新しく立派なコテージが建設され、都会の人が引っ越してきました。通年を通してここで生活している人達とは、微妙な関係が感じられます。それはそうです、ここを別荘にしている人は、こんなところで冬を過ごすなんてとんでもないと思っているわけで、そう考えていることは住民にも分かるんですから。
ペールは以前の主人公たちと同じく、たくさんの苦労を抱え、でも誠実に生きようとしています。
派手好きであまり自慢できない職業で儲け、ペールのことは気にかけてくれなかった父。それなのに認知症気味になってからは、ペールを頼ってくる。
妻とはうまく行かず離婚し子供は普段妻のもとにいるけれど、休暇の時には引き取って一緒に過ごすのを楽しみにしていました。でも思春期の息子とはあまり話が出来ず、娘は何か重大な病気になってしまいます。
親と子供、両方とも大変な状態で、ペールが潰れてしまわないかと気の毒でなりませんでした。
ちょっと救いなのが、妻は再婚していてその夫は裕福で娘の治療費を惜しまない人だということ。彼が妻の連れ子を可愛がってくれるということは、ペールには引け目になっているけれどその反対よりはずっと良かったと思う。
ペールが父の過去を調べている一方で、やはり過去に縛られもがいている女性が出てきます。新しいコテージの住人ヴェンデラです。夫マックスとの関係は緊張をはらんでいて異常に感じられます。ヴェンデラの過去は、ここエーランド島にありました。
ペールが掘り起こした父の過去。ヴェンデラの過去。そしてイェルロフが・・・。
今回もラストが心地良かったです。
杖を突いて何とか家の中を動ける程度のイェルロフが、どうやって一人で暮らすんだろうと心配しましたが。
在宅ケアサービスの人が一日二回食事を届けてくれます。生存確認も兼ねているのだろうとイェルロフは思っていますが、そうなんでしょうね。
不定期に(週一回くらい)医師が現れ、体調チェック。薬を飲んでいるかどうか確かめたりするということは、薬も出しているのでしょう。
ケアサービスの人や医師に会う事をイェルロフはとても楽しみにしている様子。
掃除や洗濯はどうしてるんだろう?娘のユリアがやってる気配はないし、ストーリーと関係ないけれどそういうことも書いてくれてたらいいのに、とちょっと残念。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ内容はよく知らないけど、なんかタイトルがめっちゃ気になっていた一冊。
でも、ごめん、自分にはそこまで響かなかった。
19世紀初頭を舞台とした海洋冒険小説と料理小説のミックス版。
世界を股にかける貿易会社を営むラムジー卿に仕えていた料理人のウェッジウッド。ラムジー卿と共に訪れたとある海辺近くの邸宅での晩餐会の日、海賊の一派からの襲撃を受け、ラムジー卿は殺められてしまう。
そのテーブルの上に供されていた見事な料理の数々に、一派の女頭″マッド″・マボットに惚れ込まれ、ウェッジウッドは船内の料理人候補として囚われの身に。
ウェッジウッド本人の手記の体をとり、船内での恵まれない食材、機材にも挫けない料理人としての奮闘、マボットの因縁の相手達との追いつ追われつの冒険譚に巻き込まれる中、次第に変わっていく捕虜としての心情と立場を描いていく。
ウェッジウッドがシナモン、マボットがガンパウダー(火薬)という暗喩含み。
阿片貿易の闇を下地に置きながら、様々なエピソードを重ね、進めていくストーリーテリングは起伏に富んでおり、むしろ飽きさせない展開だと感じた。
でも何故でしょう、自分は船の上の話と料理の話がどちらもどうも苦手。
海が嫌いなわけでもないし、美味しい料理はもちろん好きなのに。
左舷とか右舷とか上下何とかとか船上独特の場所を指す言葉を駆使した情景描写がうまくイメージできない。
さも美味しそうな感じを出すことを狙った料理の過程、仕上がりを評する言葉の数々がうまくイメージできない。
映像変換力のなさのせい?
確かにあんまり映像見ないし、現実世界での経験も決して富んでいない。
当たり前だけど、小説内の描写を楽しむには現実世界での経験もそれなりに必要なのだなと、はたと感じる。 -
Posted by ブクログ
「ぼくたちは負け犬なんだもの」p.294。
【トラブル・ドッグ】戦争に嫌気が差して退役した元軍艦。アバターは少女。一人称は「ぼく」。【サリー】トラブル・ドッグ艦長。【再生の家】人や艦を再生し救助隊とする組織。トラブル・ドッグが所属している。【ペラパターン】かつて大虐殺があった惑星。【オナ】有名詩人。本名でも有名人。【アシュトン】集塊派スパイ。外向派スパイのラウラと仲がいい?【ギャラリー】惑星自体が何者かによって彫刻作品にされている星系で係争地帯。オナの乗った定期船が撃墜された。【集塊派】資本主義、保守的、価値観の押し付け、トランプ大統領的思考。【外向派】自由主義、開放的、国民皆保険、資本やインフラの共有。【表紙カバー絵】「NieA_7」の安倍吉俊さんだったので手に取りました。【手法】主要登場人物数人の視点から描く。ひとつひとつの章は短いので読みやすい。
■再生の家についての簡単な単語集
【アシュトン・チャイルド】惑星チチョルに駐在中の集塊派の男。元警官。オナ・スダクの消息を調べろと命を受けた。そのためにトラブル・ドッグに乗せてもらう際の騒動で負傷しパワードスーツで動くしかなくなった。
【アダム】オナ・スダクの若い恋人。ダムで生まれ育った18歳半。
【アダルウルフ】トラブル・ドッグの同型艦。長男格のようだ。
【アネリダ・ディール】集塊派のシミター(三日月刀)艦〈正義の憤怒〉艦長。「ペラパターンの虐殺者」と呼ばれる。逃亡して消息不明。
【アルマン・マルチ】チチョルの移民町のCEO。サリーにここから逃れたい住民たちを艦に乗せて連れ出してくれと交渉しに来た。
【アルヴァ・クレイ】→クレイ
【オナ・スダク】うっかり有名になってしまった詩人。ギャラリー星系で何者かの魚雷攻撃を受けた。どうやら何者かに狙われているようだ。《つまるところ、なぜ自分が殺されるのかという理由は重要度が低い。それは殺しをおこなう者たちのみにとって、大切なこと。》p.151。
【カーニヴォール】トラブル・ドッグはカーニヴォール型の戦艦。プレストンは骨董品と呼んだがまだまだ現役。
【外向派】アウトエド。集塊派と敵対している。自由主義、開放的、国民皆保険や資源とインフラの共有を重視している。メンデレスは「薄汚い外向派」とか呼んで蔑視していた。
【艦】艦のAIの意識構築にクローンの人間細胞を使うようになって性格に望ましくない感情が発現するようになったそうだ。でも、艦の自主的な退役が認められるということは、ある程度人格が尊重されている?
【ギャラリー】惑星自体が何者かによって彫刻作品にされている星系。なぜか係争地帯になっている。どの惑星もそれぞれの種族に呼吸可能な目に見えない人型の空気が与えられる。理由も仕組みも分かっていない。《太陽に近い順に、涙粒、ぎざぎざの稲妻、脳(ブレイン)、反転都市、十二面体、フレア形ゴブレット、壊れた時計として知られ、それぞれがオブジェと呼ばれるようになった。》p.30。ダムはそのうちのブレインに不時着した。
【クレイ】アルヴァ・クレイ。レスキューのスペシャリスト。トラブル・ドッグ乗員。攻撃的な性格。
【再生の家】救援活動を任務とする組織。「生命最優先」がモットー。人や艦を復活させてメンバーとしているようだ。ソフィア・ニキタスが創設した。現在トラブル・ドッグはここの所属。この任務のためには少々乗員数が少なすぎる気がするが…。日本もこういう(国際救助隊的)位置づけの国にでもなればもう少し世界で重視されるかもね。なれる能力はあると思うが。
【サリー・コンスタンツ】トラブル・ドッグ艦長。元外向派の衛生兵。ペラパターンではトラブル・ドッグとは敵同士だった。ホーボーという艦の救出をしていた最中、トラブル・ドッグが軍艦時代から軍医だったジョージ・ウォーカーを失った。
【ジェネラリティ】マルチ・プリシティの中のどうやら地球発祥の人類が分布するエリア。
【集塊派】コングロムレイション。外向派と敵対している。個人の富の重視、保守的、格差社会、どうやら現在のアメリカの後継者とでも言える思考のようだ。
【重力発生装置】トラブル・ドッグに搭載されていて通路や床がちゃんと歩ける。僕らの世界のリアルでは宇宙船での人工重力そのものは遠心力で作れると思うがそうでなしに重力を発生することはできないのではないかと思われる。強いて言えば、滅茶苦茶重い物体を覆うように地球サイズの宇宙船を作れたら可能かもしれないけど。
【人類】トラブル・ドッグ《ぼくにわかるかぎりでは、人類というのは同時にふたつか三つのことしか考えることができない。できて六つだ。》p.44。それに対してぼくは船じゅうを常にチェックしていると。
【ソフィア・ニキタス】サリー・コンスタンツの母方のひいひいお祖母さん。月で生まれ16歳から姿を消す45歳までの間に《一千光年以上を旅し、百以上の異なる世界の砂と土に足跡を残した。その途中で、再生の家の設立者になった。》p.78。サリーは彼女の話をトラブル・ドッグに語り聞かせてもらうのが好きだ。
【大理石無敵艦隊】炉辺者の艦隊。指導者を失い隠れていた。
【ダム】たぶんヒースト・ファン・アムステルダムのこと。オナ・スダクの乗っていた定期客船。ギャラリー星系で何者かの攻撃を受け惑星のひとつに不時着。トラブル・ドッグが救援に向かう。
【チチョル】あまりにも辺鄙な星。アシュトン・チャイルドがいる。
【超光速航行】この作品ではワームホールを利用するようだ。個人的には、僕らの宇宙ではどんな知的生命体がいても超光速航行は永久に不可能で、他の知的生命体に遭遇することも他の恒星系に移住することもできないんではないかと思ってるのだけどどうなんでしょうね? ちなみに地球人外知的生命体自体は存在するだろうと思っているけど彼らによるいわゆるUFOはあり得ないと思ってます。いくらメンタリティが異なったとしても知的生命体ならああいう近寄り方をするとは思えないので。また、地球人が存在する期間が他の知的生命体の存在する期間とバッチリタイミングが合うという状況も想像しにくい。
【月】オナ・スダク《月明かりはそれ自体の特徴をもっている。独自の質感があるの》p.211。
【敵】〈無敵艦隊〉が恐れている存在。戦いを続けていたらそれに惹かれいずれやって来ると思われる。
【ドラフ族】小柄で孤独を好み気難しく政治に関心がなく青い皮膚の雌雄同体の生物で、機械と電子工学について優秀であらゆる艦に搭乗している。顔がいくつもあるようだ。「世界樹」から生まれ世界樹に帰る? 個であり全であるタイプか。たぶん、いちばん「わかってる」存在。
【トラブル・ドッグ】ペラパターンの大虐殺を実行したカーニヴォールの一隻。おそらくそれが原因で戦争に嫌気が差し退役、再生の家に入り、現在は救助艦として贖罪の任務を続けている。一人称は「僕」。艦長のサリー・コンスタンツは「彼女」と言っている。アバターは性別が曖昧に作られている。表紙カバー絵の人物はこのアバターだろう。右上にいるのが艦そのものだろう。AIには瀕死の女性兵士から採取された幹細胞と犬の遺伝子を取り入れている。ボディは機械だが少女であり狼でもある。乗員は軍艦だったときは307名、現在は艦長のサリー・コンスタンツ、レスキューのスペシャリストであるアルヴァ・クレイ、機関士のノッド(ドラフ族)、船医のジョージ・ウォーカーが殉職したので後にプレストン・メンデレス。超光速航行のときはワームホールを利用するようで、通常空間では核融合推進のようだ。
【ノッド】トラブル・ドッグの機関士。ドラフ族。彼の章は詩のような感じ。《すべてのものは修理可能/たぶん人間でさえも》p.449。
【ヒースト・ファン・アムステルダム】→ダム
【フェンリル】トラブル・ドッグの姉妹艦。
【プレストン・メンデレス】ジョージ・ウォーカーの代わりにトラブル・ドッグの衛生兵となった。ほぼ素人。ただの神経質な青年。24歳。第一声が「なんて骨董品なんだ」だったのでいつか艦に仕返しされるだろう。夜驚症。《ぼくはひとりに対応できない》p.227。
【ペラパターン】集塊派による無差別大虐殺が行われた惑星。直接命令を下したのはアネリダ・ディール艦長。知性ある木の森があったと書かれている、一種の聖域になっていたのかもしれない。
【ホーボー】なぜか海に沈没した外向派の偵察艦。その救援時のミス(というかうまくいかなかった出来事)がサリー・コンスタンツを苦しめる。ダム襲撃の数日前、ダムと同様に艦が自らシャットダウンしたような感じがある(要するに、艦の自殺)。
【マルチ・プリシティ】星間連合のような感じ。
【メンデレス】アネリダ・ディール逃亡後の〈正義の憤怒〉艦長。アネリダ・ディールを守っていた勢力の筆頭で今でも彼女を「マム」と呼ぶ。プレストンの父で軟弱な息子を再生の家に放り込み厄介払いした。
【ラウラ・ペトルーシュカ】惑星チョルで外向派のエージェントをしている。アシュトンを「おまえ」と呼ぶ。敵対勢力に所属しているが殺し合ったりはせず、むしろ同士とすら言える。アシュトンとともにトラブル・ドッグに乗るがそのときの騒動で脚に怪我をする。
【レスティピディース】惑星。ドラフ族の出身惑星。
【炉辺者】失われたとされている種族。宇宙中に救いの手を差し伸ばしていたがあるとき不意にいなくなった。ソフィア・ニキタスが〈再生の家〉を設立する発想の素となった。 -
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「灯台」つながりの海外文学3冊目。本書はスウェーデンのエーランド島が舞台で、著者による〈エーランド島4部作〉の第2作。2008年発表で多くの賞に輝くミステリー作品のようです。
原題『Nattfåk』は、スウェーデン語で冬に吹く「夜の猛吹雪(本書では"渦雪"と邦訳)」を指すようです。北欧ミステリーの何たるかも存ぜぬ私ですが、暗鬱とした重い空気が垂れ込めるような北欧の冬の気候と情景描写が、不穏感と寂寥感を助長します。
物語は、都市部から島の古い屋敷に越してきた一家が悲劇に見舞われ、事件なのか事故なのかが不明なままの展開が主軸です。ここに、過去の屋敷の物語やオカルトっぽい北欧伝承なども散りばめられ、現実と幻想が同居する雰囲気が独特です。
加えて、新人女性警官と周辺の話、3人組空き巣などの話が交互に綴られ、さらにこの地で過去に起きた痛ましい事件が手記の形で挟み込まれるという盛り込みようです。だから580ページの文量でしょうが、個人的にはややお腹いっぱいの印象でした。
多数視点で進むミステリーの組み立てや背景、それに混在している怪談色の不思議な現象が、物語を面白くしていると思えるか否かが、意見の分かれるところかもしれません。個人的に、もう少し登場人物の内面の掘り下げがほしいと感じました。 -
Posted by ブクログ
ネタバレエッジの効いたSFミステリ作家スチュワート・タートン。
面白くないわけじゃないんだけど、過去2作品を読んで、技巧的で疲れる読書になる印象を持っていて苦手意識あり。
でもこのミスベスト10入作品なので読んでおかないとと手に取る。
毎回違う趣向の作品を書くと意気込んでいる著者。
今回は、未来ディストピアSF。
黒い霧に包まれ人類は終わりを迎え、霧からのバリア機構を持つこの島とそこに住む122人が世界最後のコミュニティ。
長老と呼ばれる科学者3人は100歳を裕に超えるが、かたや普通の村人達はどんなに元気でも60歳の誕生日を迎えると命が尽きる。
村人達は奉仕の心を何よりも重んじ、争いや犯罪などは皆無。決して楽ではない生活だが、穏やかに互いを支え合いながら日々を送っている。
そんな地で起きた長老のひとりニエマの殺人。
ニエマが死んだことによりバリア機構が機能しなくなるが、犯人を突き止められれば再稼働するという。
村でひとり探偵気質を持ち、普段は皆から調和を見出す者として疎まれがちなエモリーが犯人探しを買って出る。
ニエマが作り出したとされている住人全員の思考にアクセスできるエービイと呼ばれる意識の存在が何よりも独特。
3人称語りで登場人物達の動向を語っているかと思うと突然「私」が彼らに話しかける。
時間も場所も関係なく全てを把握し、必要あらば意識へ介入する、それはまるで神かのようなポジション。
そして彼らもエービイの存在を頼りに、今は何時だとか誰それは今どうしているのかだとか聞き、その存在を完全に受け入れている。
最初はこれまでの作品で一番読みやすいかもと思った。
実際、今回のSF設定は何が起きるのか、どう事件と相まって味が出てくるのかが楽しみでわくわくしてさくさく進んでいった。
が、途中で中弛み。
何が起きているのか、この地の秘密的なことが仄めかされながら、もったりぶりだけで全然明らかにならない展開にストレスばかりが募ってしまった。
特に肝のエービイの存在が。。
一見皆に率直に誠実に接しているようで何か思惑を抱えていて怪しさ満点。
そもそも全員の挙動が見えているなら殺人犯なんてわかっているでしょ思うけど、そこは教えられない設定という。
からの終盤一気に展開される真相のロジック。
複雑過ぎてついて行けない。。
ネタバレ解説してもらいながら照らし合わせて読めば面白いかなぁとは思ったけど、もうなんか頭が飽和しちゃって逆にふーんで終わってしまった。
明かすところ伏せるところのバランスがなぁと思う一冊だった。
根底にある、人として目指すべき生き方への示唆には共感を感ずるところがあっただけに残念。
このミス2026年度版海外編第9位。 -
Posted by ブクログ
ネタバレパティの大学生活
高校生よりは大人なっていて
人生の節目
数学の教師の話と
最後の話が印象的
あなたもすぐに三十歳になってしまいます。そして、四十歳、五十歳と。
その歳の女性がごまかしと言い逃れを常としていたら、魅力的だと思いますかな?
性格はすぐに変えられないと、思い出さなければなりませんよ、お嬢さん。性格というものはゆっくりと成長する植物であり、種は早くまかなければならんのです。
わたしはだんだん歳をとっている
わたしは三十歳に、四十歳に、五十歳になる。
そうなったとき、ごまかしと言い逃れを常としていたら、誰かひとりでも私を愛してくれるとおもう?