三角和代のレビュー一覧
-
-
-
Posted by ブクログ
ネタバレ霧に橋を架ける
「スパー」
「水の名前」
「シュレディンガーの娼館」
「変化後のノース・パークで犬たちが進化させるトリックスターの物語」
「陳亭、死者の国」
「ポニー」
「26モンキーズ、そして時の裂け目」
「蜜蜂の川の流れる先で」
「噛みつき猫」
「ストーリー・キット」
「霧に橋を架ける」
ショートショートから、表題作の中編まで、様々な長さ、味わいの短編集。
いくつかの物語に共通しているキーワードは、犬や猫への愛とコミュニケーションの難しさ。
表題作は危険な霧の川に橋をかける技術者の物語ですが、プロジェクトリーダーの孤独や工学を極めるものの迷いなどがうまく描かれていたと思います。
「 -
-
Posted by ブクログ
突如発生した黒い霧によって世界が滅亡。わずかに残った100名ちょっとの人々は「世界の終わりの島」と名付けられた孤島で暮らしている。島の「長老」として君臨する三人の科学者。
そしてある夜、長老の一人であるニエマが殺害される。そして住民は皆その夜の記憶を抹消されている。
SF色の強い、ある種の特殊設定なミステリでしょうか。あからさまに島に秘密があることを示唆されてってのがいかにもなSFっぽさがあって好き。最後に一気に真相が明らかになるのも気持ちの良いカタルシス。面白かったです。
ちょこちょこと「え?そんな話だったっけ?」みたいなものがないでもなかったんですが、自分が読み逃していたのか・・ -
-
-
-
-
Posted by ブクログ
こんな特殊設定、よく思いついたなと。世界の終わりが迫っているというだけなら、そういう話はほかにもありそうなのだが、読んでいるうちに、疑問に思うことが出てくる。
この島では、百年以上も生きていて老人にもなっていない長老三人がいて、島の住人は長老を崇拝している。住人は決まった消灯時間でどこにいようと必ず眠りに落ちて、朝になると体が汚れていたりケガをしていたりする。まるで記憶がなく、催眠術のようだ。
そして60歳で必ず死を迎え、亡くなると子どもが補充されるようにどこかから連れて来られて、決まった人数に調整されている。もうすべての住人が本当に人間なのかもわからない。
その中で最たるものが、AIがす -
-
Posted by ブクログ
おちゃめなパティというタイトルから、トラブルメーカーの腕白な女の子という印象を当然受けるが、+成績上位であることもあり、特に屁理屈でラテン語ストライキを1人だろうと実行するのは、そのこともあるからこそ教師も若干指摘しずらいのだろうなと。
ロマンスを巡る騒ぎや生徒自身が抱える問題など学校内での物語も騒がしく面白い中、個人的には“タマネギと蘭の花“、それに続く“レモンパイとモンキーレンチ“の話が特に好きだった。
庭師との出会いと、泥棒との出会いと、まさかの紹介状を書いての斡旋。内容もさすがもっともらしくて説得力があり、パティの頭の良さを感じる。行動力の強さもそうだが。
本書紹介のあらすじが、わざ -
-
-
Posted by ブクログ
ネタバレ・あらすじ
スウェーデン エーランド島が舞台
約20年前の少年失踪事件を解決しようとする母親と祖父
事件を調査する内に30年程前に死んだ男が実は生きていた…?
調査パートと死んだ男の過去パートが交互に書かれ真相が判明するタイプのミステリー。
・感想
息子が行方不明になってから立ち直れないままのユリアと、老人ホームに入り手足も満足に動かせないイェルロフが探偵役。
舞台となる場所(霧深い閑村)や季節(秋冬)、登場人物も老人ばかりなので展開も遅め。
終始物静かで寒々しい印象があるけどエピローグでは事件解決とともに囚われていた彼らの苦しみが昇華されて、それが季節が春になり霧が晴れる事で描写されていい -
Posted by ブクログ
ネタバレ・あらすじ
エーランド島シリーズ2作目。
エーランド島東北部、ウナギ岬にある19世紀に建てられた灯台守の屋敷が舞台。
屋敷に越してきたヴェスティン一家に起こった事件とそこで暮らしてきた人々の歴史、幽霊話と追悼と思い出話が本筋。
そこに空き巣三人組とエーランド島に赴任してきた新人女性警官の3組のエピソードが交錯し後半で収束していく。
・感想
ミステリー要素はメインではなく、厳しい環境の中人々の営みを支え続けてきた屋敷とその土地で過去生きていた人々、そして現在生きている人々の苦悩や自然への畏怖が描かれてた。
屋敷に刻まれた悲しみの記憶とそこに生きていた人々に想いを馳せ、そして連綿と続き交差してき -
Posted by ブクログ
海賊に拉致された料理人の運命は?
波乱万丈で泥臭くドラマチックで、どっちへ転ぶかわからない、珍しい雰囲気の作品です。
1819年のイギリス。
貴族に仕える料理人ウェッジウッドは、突如別荘に乗り込んで来た海賊団に雇い主を殺され、ついでに拉致されてしまった。
迫力ある美人の女海賊マボットから、週に一度、マボットのためだけの本格的な料理を作るように命じられる、「命が惜しければ」と。
優雅な暮らしで繊細なテクニックを身につけてきたウェッジウッドだが、海賊船にはろくな材料も器具もない。
既に中年で妻を亡くして気落ちしていた彼は、荒くれ男たちの中に放り込まれて絶望しかけていたが‥
運命を呪いながらも、 -
-
Posted by ブクログ
ネタバレエーランド島4部作の3作目。
高齢者施設で過ごす元船長でシリーズ主人公のイェルロフが、友人の死をきっかけに自身の死期も遠くないことを正面から受け止め、施設を退所し、かつての自分のコテージで余生を過ごす決意をするところに始まる。
コテージの周辺は、いまや春、夏の暖かい季節だけ都会から人が訪れる別荘村の様相となっており、定住する者はほとんどいない。
数少ない定住者の一人がかつての仕事仲間ヨン・ハーグマン。
そこに加わる、新たな都会からの隣人達。
ペールは、イェルロフのかつての友人で石工のエルンストの甥にあたり、石切り場の縁に立つコテージを相続し、この春は別れた妻との間の双子の息子、娘達と余暇を