三角和代のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
スウェーデンの新鋭のデビュー作。
哀切という言葉が似合う傑作です。
20数年前、霧深いエーランド島の平原で、イェンスという5歳の男の子が行方不明になった。
母のユリアは立ち直れないまま。
少年の祖父イェルロフは元船長だが80歳を過ぎ、老人ホームに入っている。
その父からユリアに電話があり、イェンスが当時履いていたらしいサンダルが送りつけられてきたという。
今頃、誰が何のために‥?
あれ以来、ユリアは父と疎遠になり、父さんと呼ぶこともなくなっていた。
だが父が気になっている手がかりを追って、二人は島で聞き込みを始める。
疑いをかけられた一人のニルス・カントは、事件当時既に死んでいるはずだった‥!?
エーランド島はスウェーデン南東のバルト海に浮かぶ島で、夏はリゾート地だが、通年暮らしている村人は少ない。
その地で、資産家のカント家の息子ニルスは甘やかされ、時折深刻な事件を起こしていた。
ニルスの人生が所々にはさまれ、鮮烈な印象です。荘重な悲劇を読むよう。
短絡的で凶暴ともいえる逃亡者なのに、母とは思いあうのも切ない。
老いた父イェルロフが不自由な身体で事態に立ち向かうのも読み応えがあり、ユリアの再生と父娘の心の通い合いに胸打たれます。
予想外の結末で、感心しました。
題材からベリンダ・バウアーの「ブラックランズ」や、アイスランドの作家アーナルデュル・インドリダソンの「湿地」を連想させる雰囲気ですが、この作品が一番いいんじゃないかなあ。
作者は1963年生まれのジャーナリスト。
この作品からスタートした四部作は幼い頃から毎夏すごしていたエーランド島が舞台。
2007年、この作品でデビュー。
スウェーデン推理作家アカデミーの最優秀新人賞を受賞しただけでなく、イギリスのCWA賞の最優秀新人賞も外国作家で初の受賞。
次の作品では北欧四5ヵ国が対象の「ガラスの鍵賞」も受賞、CWAのインターナショナルダガー賞も受賞しています。 -
Posted by ブクログ
この作品の魅力は、何よりパティという主人公。
人の性格をよく見て立ち回る世渡り上手で、面倒ごとからは上手に逃げようとする一方、フェアでないことだけは決してしない。
失敗すれば損得抜きで償おうとし、聞くべき助言は素直に受け入れてすぐ行動に移せる。
その誠実さと機転、ユーモアが本当に魅力的で、現代でもお手本にしたいと思える人物だった。
『若草物語』や『赤毛のアン』のように、物語以上に主人公の人柄に惹かれる作品。
新訳のおかげか古典らしい堅苦しさも感じず、今読んでもまったく古びていない。
卒業間近、主教様から「性格を変えるには今から種を蒔かなければならない」と諭される場面は、40歳を前にした私にも自分事として響いた。
パティに出会えただけでも、この本を読んだ価値があった。
多くの女性に読んでほしい一冊。 -
Posted by ブクログ
大好物の本でした♡
元気でイキイキしていて、たいへんよろしい。
ちょっとくらい元気が余って、いたずらとかしてしまっても、まあ良いでしょう。
失敗は学生時代にしておくものです。
作者が楽しんで書いているのがよくわかる作品だと思います。
だから、読む側もとても楽しかったです。
行き過ぎたり失敗したりしながら、いろんな人に出会い社会の側面を見て、少女たちは成長していくのでしょう。
(自己実現のしかたは、今とはずいぶん違いますけどね♡)
がんばれ! 女の子♡
〔作品紹介・あらすじ〕
アメリカの女子寄宿学校、聖アーシュラ学園で暮らすパティは好奇心旺盛で正義感の強い女の子。ある日、同級生と学外の英国人との恋の噂が学園中を騒がせる。毎週届くスミレの花束。でも、その恋人って実在するの——? 疑問を持ったパティは、親友のコニーとプリシラと共にあるいたずらを仕掛ける。果たして恋人の正体とは?『あしながおじさん』のウェブスターがおくる永遠の少女小説。 -
Posted by ブクログ
カリブ海の島で子供がいなくなった。20年後に靴が入った小さな郵便が届く。
新人賞受賞のスウェーデンの作家。読み始めは文体に馴染めないで中々進まなかった。
カリブ海側のエーランド島で起きた子供の誘拐事件。
祖母は昼寝をしている間に、一人で散歩に出た孫のことを悔やんで死んだ。
母親や祖父母は、事件から立ち直れていなくて、夫婦は離婚、 事件から20年、80歳になった祖父のイェルロフは、動きもままならない状態で、介護施設にいる。
祖父は、孫息子がいなくなったことを考え続けている。
そこに、小さな靴が郵便で届く。
母のユリヤはそれがいなくなった息子の靴だという。
島は昔の海運業も寂れ、住む人もまばらになっている。夏の間は避暑に来る人で一時別荘地帯はにぎわうが、それも短い夏が過ぎると人影も見えなくなる。
島の北部に広大な土地を持っているカント家にはニルス・カントという問題児がいて、島では鼻つまみ者だった。
暴行罪で捕まったとき、警官を護送中に射殺して、海外に逃げてしまっていた。
イェルロフの推理と、昔馴染みの島の人たちの係わり合いは、孫の靴が届いた時から動き出す。
彼は歴史の中で生きてきたが、まだ体は動く。
ニルス・カントの逃亡生活や島に残った人たちの暮らし方も、丁寧に記述され、二重三重のストーリーになって厚みがある。
戦後、変ってしまった島の中で細々と生きる人たちを不自由な体で尋ねて歩くイェルロフは、ついに命がけで真相にたどり着く。
半ば過ぎから急にテンポが良くなり、
書きたいけれど 書けない、思いがけない展開が、非常に面白かった。
お -
Posted by ブクログ
がっつりSFでびっくりした。これはすごい。
触れる人を殺す霧から逃れ、小さな島で暮らす百人余りの村人と、彼らを導く三人の科学者。平和な暮らしの中で、突然起こった殺人事件。四十六時間以内に犯人を見つけて処刑しないと、島は霧に侵されてしまう。
語り手が村人の頭の中にいるAI「エービイ」なのが面白い。殺人が起こった夜の記憶がエービイによって消されているので、最初はとても混乱した。
だが、物語中盤から徐々に色々見えてきて、まずSFの設定のタネが明かされ、一気に引き込まれた。
最後は壮大な映画を見終わった気分。新しい世界に踏み出す彼らに、エールを送りたい。