三角和代のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
帯に惹かれて購入。この頃はネビュラ・ヒューゴダブル受賞って結構珍しくなくなったのかなぁ。
とりあえず色々取り揃えてますよ、という短編集。面白かったです。
「26モンキーズ、そして時の裂け目」
なんかやられた、って感じの最後。うん、いいねぇ。最後のお客さんが良い。カラッポになった後のバスタブが揺れる場面とか視覚的に訴えてくる感じがやけにリアル。それにしても猿が26匹。確かに獣臭そう。
「スパー」
エロくないエロ(笑)でも極限状態で人間何もする事が無いと何をしてるんだろう?とかちょっと考えてしまう。思考の海に潜るってのも生理的欲求なんだろうか、とか考えてしまった。
「水の名前」
ふんわり不思議。誰とでもどこでもつながれる携帯機器の発達のおかげで生まれたちょっとしたおとぎ話、みたいな。なんか都市伝説みたいな不思議なお話。
「噛みつき猫」
ウチの姉もものすごい噛みつき猫飼ってるけどそうか、アレは怪獣だったのか。この子のネコと違って姉の猫は腕に穴があくレベル。猫の牙の毒(というか口内雑菌)は侮れないらしい。
「シュレディンガーの娼館(キャットハウス)」
ハイセンスなギャグ、という感じ。色々なハザマで居るんだか居ないんだかという空間で出会う。きっと物凄い魅力的なモノが存在してるのかな。
「陳亭、死者の国」
中国昔話とか訓話にありそう。それにしても金もない死にかけの老人に何で若い女性が連れ添っていたんだろうか、という素朴な疑問が残る。
「蜜蜂の川の流れる先で」
死にかけの相棒と共にミツバチの川をたどる。ファンタジー色の強い作品。痛みや病気の無い国に老いた動物は連れて行ってあげたいな、と切実に思う。
「ストーリー・キット」
作家さんって作品をこういう風に作るのかなぁ。
「ポニー」
少女は可愛くて綺麗で甘ったるい感じがするけれども結構エグイ(笑)本当にきれいでカワイイものを可愛いまま愛しているのは実は男性の方かもしれないなんて思わせる作品。
「霧に橋を架ける」
表題作。いいなぁ、これ。
職人が自分の仕事に誇りを持って打ち込めるって素晴らしい。その為に事故があり、環境が変わり、人は変わる。良いことばかりではないけれども(勿論)でも作ることに誇りを持てる何かを創造するって素敵だなぁ。橋がかかりあれほど強大だと思った恐れる何かが小さく見える所に悲しみを覚えるところが特に好き。イメージ的に何故か黄昏色のお話。
「《変化》後のノース・パークで犬たちが進化させるトリックスターの物語」
う~ん。動物の安易な擬人化には私もソレは違うんじゃない、と思う方だけどこんな感じになるかなぁ?と首を傾げてしまう。人間は人間の子どもが自分よりも賢くなったからといって家から追い出したりはしないじゃない?(煙たがるかもしれないけど)後、猫ってもう少しズボラでいい加減だから多分もう少し民家の周囲をグルグルしてエサとかもらってるような気がする。
言語を操れる知性と今現状でのサバイバルは違うと思うので今現在でも大分頭の良いペット達がさらに賢く立ち回る事になる気がするんだけどどうかなぁ。
少し前に野生動物が人間の居住区域で繁栄しているという番組を見たばかりなので環境に適応できる種はもう少したくましく、したたかに生き延びていくような気がするし、そうあってほしい。
というわけで全短編物凄い良いなぁって感じでは無いけど面白かったです。他の作品も読んでみたい。後書きにもあったけれども喪失とかなんとなく物がなしいイメージがある作品が多い気がしました。斜陽、というか。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ大好きなシリーズの四作目。静けさの中で物語が淡々と進行していくこの感じがとても好き。舞台が海外に飛び出してスケール大きくなったなあと少し驚いたけど、イェルロフの穏やかで独特の人柄が相変わらずでとても落ち着く。悲しい出来事もあったけど、最後まだ希望を見いだせる雰囲気が漂って終わったのが心に残った。
でも春夏秋冬で、これでシリーズも終わりなのかなあと思うと寂しいです。
こんなふうに年を重ねられたらいいなと思ってしまう。私は女だから少し違った感じになるかもしれないけど、憧れる晩年。
H29年12月6日再読
何度読んでもジーンと来るこのシリーズ。またきっと読み返す私は。イェルロフとヨンのような、長年の友人がいるって素晴らしい。 -
Posted by ブクログ
北欧圏発、上質ミステリ小説。
「ミレニアム」とか北欧圏の作品に注目集まるようになったようですが、
本書はわりとまっとうなミステリ小説です。
でも、なんですかね~。
日本の北国出身者としては、過疎地で暮らす日常の風景や
人のリズムとかが本当によく描かれていて、
イギリスやアメリカの作品よりもずっとしっくり読み込めました。
人物や風景の描写力は半端なくありますし、書き方にも品があります。
結構な量のページ数ですが、一旦読むとじっくりと時間が
かかってもいいな、とゆっくり読める、行間リズムに取り込まれます。
なので、ハイスピード展開などお好みの読者には、
この作品の持つゆったり感がもったり感として嫌悪されるかもしれません。
なにせ、青年期の登場人物がぐいぐい物語をひっぱっていく…という
作品ではなく、人生の冬に差し掛かったおじいちゃんが
謎解きの中心人物であるので、致し方ない作品効用です。
それでも、読み終えると、さすが英国推理作家協会賞受賞作だと感じます。
人に対する通り一遍ではない設定で、犯罪への嫌悪はありながら、
どこか人に対する諦めに似た受容の精神を読み取れます。
悪いやつは心底悪いままなのか?
善い人間はそう見えるだけじゃないのか?
どっちにも振れる人間性をあたたかくみつめている。
スウェーデン・エーランド島四部作の第一作目。
ミステリ作品好きは読んでも損なし。