支倉凍砂のレビュー一覧
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これは、好きだなあ。とても好き。
シリーズ5巻目。
コルとミューリの物語はシリーズ最初はとても苦しいお話が多かったのだけど、ここに来てぐっと胸に響く、読み終わって心地よい余韻の残るお話になってきて、とても良かった。
相変わらずコルは世事に疎く正しいことに拘るけれど、その愚直さ故に得られるものもあるのだ。
ロレンスとはまったく異なるやり方で、それでも最後まで全てを正しく解決しようとする姿勢はとてもコルらしい。
うん、いいね。
でもミューリにとってはコルは相変わらず危なっかしくてほっとけない母性愛を刺激される感じなのだろうなあ^^
それにしても二人だけのエンブレムの件は胸が熱くなった。
薄明 -
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ホロたちが再び旅に出ての2巻目。
3つに短編が入っているのだけど、もうね、ほんとよかった。
幸せで想いが溢れて泣きそうになった。
1話目では、ここでまさかのクースラとフェネシスの消息を聞こうとは思わなかった。
実はあっちが出たとき、同じ世界観の後の話かなと思ってたんだけど、むしろあっちの方が時代が先だったとは!
とは言え、どちらにしても繋がっているのは嬉しい。
いつかフェネシスと出会うこともあるんだろうか。
クースラとの子供がいたりして(^ ^)。
そして2話目は、ほんと、泣きそうになった。
ホロがロレンスの商人としての成功を妨げたと思って涙する場面は本巻のハイライトだな。
それに対するロ -
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行商人ロレンスが出逢った少女は狼の耳と尻尾を持っていた。彼女は自らを豊作の神ホロと名乗るのだった。
21世紀のラノベを読んでいこうと、今更ながらにアレコレと手を出しています。
中世ヨーロッパを模した世界を舞台にしたファンタジー。さて主人公は? 伝説の勇者の血を継ぐものでもなく、戦士でもなく、魔法使いでもない。商人が主人公と知り驚きとともに興味も膨れ上がりました。商人が主人公で如何にして冒険活劇を盛り上げるのか。商人であるという設定は活かされるのか。
読み進めていくと商人だからこそのストーリー展開に、商人だからこその思考と選択、そして商人だからこその危機と回避がありました。まさに商人冒険譚だっ -
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ウィンフィール王国の港湾都市ラウズボーンで、王国公認の徴税人と教会の対立を知る。「薄明の枢機卿」コルとミューリは、徴税人、教会、商人らの争いに、ハイランド、エーブらと介入する。
徴税人の副組合長で鷲のシャロンは大司教を父にもち、捨てられたことで教会に恨みを持っていた。エーブは王国と教会の対立の中で商売を一手に引き受け利を得ようとしていた。
王の軍勢がラウズボーンに向かいつつあり、徴税人たちは武器をもって教会に押しかける。
大聖堂から空を飛ぶ鳥にひかれて紋章旗が飛び出し、野良犬や豚や鶏が集まって祝福するという演出の中、大司教ヤギネからクラークは修道院をひらくための特許状を下される。 -
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いやあ、すごく良かった!
シリーズ4作目にしてもっとも胸に来る面白さだった。
コルとミューリの旅の4話目。
本作ではあのエーブが登場する。
前シリーズで何十人と登場した人物たちの中で、主人公たち以外で最も強烈な印象を残した人物。
ロレンスと命を懸けたやり取りをしたある意味ライバルだ。
帯の「神をも畏れぬ守銭奴」はまさに彼女のことを的確に言い表している。
そして、そんなエーブとコルとのやり取りは、毎回ヒリヒリするような緊張感と一瞬先は奈落かもしれない恐れに満ちていて、毎回息が詰まった。
いやこのやり取りこそ、前シリーズ含めこのシリーズの醍醐味だよ。
けれどロレンスさえ手玉に取ったエーブにコル -
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・狼と湯煙の向こう
ロレンスとホロが娘たちの様子を見に旅に出ることになり、宿を任されることになったセリムは責任感に押し潰されそうで毎日憂鬱だった。ロレンスは村の人から硫黄を大量に預かり、ホロは昔の仲間の情報を集め、どうも長旅っぽいのも気が重い原因だった。しかし、それらの理由がお互いのためを思ってのことであり帰る場所はここであることを知り、気が楽になる。
・狼と秋色の笑顔
川沿いの関所から船ではなく陸の道を行き、道に迷って森の中へ。意図をつけた蜂を見つけ上等な蜂蜜がとれそうな蜂の巣を見つける。徐々に旅のころの勘を取り戻していくロレンス。
・狼と森の色
途中の旅籠で紙とインクを補充しようと立ち寄る -
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いやあ楽しいなあ。
なんという幸せ、なんという喜び。
全編に幸せが満ちていて最高に楽しい。
ホロとロレンスが再び旅に出かける短編集。
湯屋の話も良かったけど、今巻を読むとやっぱり狼と香辛料には旅の話が一番だなと思う。
そしてすでに幸せを掴んだ二人のその後の話は、まさしく笑いと幸せが溢れる湯屋のような、そんな物語。
旅の途中のちょっとした困難も、さらなる幸せへのアクセントなのだ。
ずっと彼らの旅路を見続けてきた者として、この幸せがとても嬉しい。
特に、第一話の互いを想い遣って旅を続ける理由をお互いに用意する姿には、なんだか幸せで泣きそうになった。
そして第四話でホロの姿を絵画に残す機会を得た -
Posted by ブクログ
原作ラノベの1巻刊行から12年、コミカライズ自体の1巻刊行から10年かけての大団円。
この巻の読みどころは、得がたく失うことができないもの…伴侶を得たロレンスが、野心や理想や冒険に背を向け、手にしたものを守ろうとする葛藤と、ロレンスを失いたくないホロの、彼を危険から遠ざけようとしつつ結局は厄介ごとに首を突っ込みたがる彼を応援してしまう葛藤―安定した職について家庭を守って欲しいのにリスクを取って起業しようとする夫と、最終的にそれを応援してしまう妻、というなんだかよくありそうな構図です。
象徴的にその構図が描かれるのはホロの演説シーン。わざわざ厄介ごとに首を突っ込んだロレンスの背中を苦笑いして -
Posted by ブクログ
なんだと!?
ホロとロレンスがまた旅にでるだと!
と最終話で歓喜してしまった。
とは言え、本編はニョッヒラの温泉町でのロレンスとホロの平穏であいかわらず仲睦まじい穏やかな日々の物語。
もうね、なんというか二人の姿が愛おしくて仕方ない。
不安がるホロはロレンス同様抱きしめたくなるし、上機嫌に酔っ払ったホロには苦笑するしかない(笑)
それに行商時代のようなロレンスのちょっとした機転も観ることが出来たし、いやあ、安定の面白さだね。
で、このままこんな日常話がこれからも続くのだろうなあと思っていたら、そう来たか。
これはまた二人の冒険が観られるのかな。
懐かしい顔にも会えるかもしれない。
うん、と -
購入済み
いいですね!この本に出逢って続巻が出るのがまちどうしくなったことを思い出しました。
まだ続くのですね。
ホロが何度読んでも色あせない物語、異なる動物の出会い、皆、必至に生きていく様、今後も期待します。 -
Posted by ブクログ
『狼と香辛料』という壮大な絵巻を描き切ったからこそ、この『羊皮紙』でホロとロレンスが歩いてきた軌跡をなぞるようなこの物語は胸にくるものがある。さらにこの3巻では『香辛料』では描かれなかったもう1つの世界が存在することが明かされる。辛い世界からは目を逸らす老獪さを持っているホロとは違い、ミューリはどんな世界だってこの目に納めてやろうというお転婆ぶり。僕はこの物語を、中世ヨーロッパの動向をなぞりつつ宗教改革の中でコル坊とミューリの奮闘を描いていくものだとばかり思っていたため、今回描かれた新たな可能性にはワクワクしないわけない。でもね、もし新大陸編を書くならこの物語が完全にファンタジーになってしまい