支倉凍砂のレビュー一覧
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購入済み
迷信的な信仰に支配された封建社会から徐々に科学の光が見え始めて来た時代特有のトピックを使って上手く物語を仕立てている。
さすがに担当だけあってK氏の分析は実に適切だと思われる。 -
Posted by ブクログ
ミューリとコルの旅も5冊目となりました。
前ヒロイン、と呼んでしまうと怒られそうなほど現役のホロとロレンスも旅立って、青臭いのとおっさん臭いのの2組の旅をほぼ同時に読み進められるというとても贅沢な状況です。最近やや刊行ペースが落ちてきて待ちきれない…と感じていたら、「狼と羊皮紙」のコミカライズ版が新たに刊行されるというサプライズまでありました。
ここまで重たい話が多かったように思えますが、今回はやや明るい話。「香辛料」のほうの22巻の最後の短編が、この巻の直前くらいの時期にミューリ達がラウズボーンで巻き込まれたスラップスティックだったので、そんな雰囲気を引っ張ってきたということもあるのかもしれません。この巻でもミューリそっくりの毛並みの子犬も出てきましたし(名前つけてやってくださいよ…)。
この巻で改めて取り上げられたのはミューリとコルとの「続柄」。もちろん夫婦や婚約者でもなければ、兄妹でもない。
2人がたどり着いた結論は…普通だと男女逆みたいな気がします。ミューリがコルの騎士、なんですね。
信仰とそれを護る者なので、理屈としてはあっているんだけど、ミューリは自分が騎士でいいのかなあ…。あと、図柄はやっぱりそっぽを向いた狼になるんでしょうかw。
作者が後書きで自慢をしていましたが、ミューリが可愛いのは相変わらずです。
ここに至ってその可愛さも年齢相応になってきました(中学生くらいのイメージかな?)。今回は見習い騎士のローズ君を手玉に取るさまがまさに中学生女子的な感じです。「からかい上手の高木さん」的なイメージでしょうかね。(ローズが)「私に惚れてるから」って言い切るあたり、こういった面では最早コルの手には負えないだろうことは誰が見ても明らかです。嫌味を感じさせないのはその底抜けの食欲から見て取れる育ち盛り感のおかげかな。
シリーズ全体の行く末を決めそうな「月を狩る熊」にまつわる設定は、よくぴったり嵌まるものを考えたものだと感心しました。「香辛料」のほうの「今読んでるのは実はホロの日記」(かも)といい、月を狩る熊の目的や現状も、後付け設定に間違いはないと思いますがうまいこと考えたものだと思います。
宗教改革~ピルグリムファーザーズ=月を狩る熊対応でコルとミューリの目的がそれなりに一致したわけですし。
でも、あんまり風呂敷を広げちゃううと、現在の年間1冊ペースではラストまで読めないような気が…。
ちゃんとミューリが最後まで笑っていられると(そしてミューリの娘に付ける名前は何になるのか読めると)いいなと思います。 -
Posted by ブクログ
ちょうど『9年半ぶりの新刊「涼宮ハルヒの直観」発売決定』というニュースが流れています。
ハルヒをDisるわけではありませんが、主人公とヒロインが延々とラブコメ的展開を繰り返しているうちに新作の発表間隔が間遠になり、いつの間にやらシリーズがフェイドアウト、という作品もみられる中、主人公とヒロインがきちんと結ばれたのち、ヒロインの娘が新たな主人公とともに新シリーズで活躍を始める、さらに母になったヒロインは娘の後を追い始める…という目新しい展開を見せている「狼と香辛料」、ホロのほうのお話の5冊目です。
ホロとロレンスがミューリを追って旅立って、外伝の寄せ集めみたいだった「香辛料」のほうもかつての輝きを取り戻しつつあります。やっぱり旅にあってこその「狼と香辛料」。今回はロレンスが行商人の腕を存分に振るってホロにいいところを見せるお話もあるのでなおさら。
2組の主人公それぞれ別に旅をさせるのは大変なのか、最近刊行ペースがちょっと落ち気味なのが気がかりでしたが、「羊皮紙」のコミカライズも始まっており、当分はこの世界のお話を聞かせてもらえそうです。
以下、各話毎に一言。
「狼とどんぐりのパン」
次の「狼と尻尾の輪舞」と合わせて1冊にしてもいいようなお話です。
再会を果たしたエルサからロレンスとホロが売却を依頼された山には、リスの化身「ターニャ」が木を植えながらある人間の帰りを待っていたのでした…。
ということで、珍しく巨乳(とは書かれていませんが「たわわ」だそうな)であることが明らかにされているリスの化身、ターニャが登場しました。
人と人ならざる者との恋、永遠に近い時間を生きる人ならざる者が人に恋をすると何が起こるのか。それぞれの立場からターニャの気持ちに寄り添おうとするロレンスとホロの気持ちが切ないお話です。
ちなみに、彼女が待っているのは、同じ作者の別シリーズのラノベ「マグダラで眠れ」のキャラクターだそうなので、「狼と香辛料」しか読んでいない読者には多少感情移入しにくいように思えます。これ、「マグダラで眠れ」も読めってことでしょうか…。
ついでに言えば、鉄を製錬する際に使う「炭」は燃料である一方で還元剤でもあるので、収束した太陽光で温度を上げて鉄鉱石が溶ければよいというものでもないように思いますが…「錬金術」だからその辺はそれでもいいということなのかしら。
「狼と尻尾の輪舞」
山の売却代金の小切手をもってロレンスとホロが向かったサロニアの街は市が開かれ好況を謳歌しているはずですが、通貨の不足から大混乱をきたしていました。
エルサも同行していますし、「狼とどんぐりのパン」で入手した巨額の小切手がキーになっていますから、上にも書いたとおり一冊分の長編にもできそうです。「香辛料」側でも読み応えのある長編をまたお願いします。
このお話の山場はロレンスが大見得を切るところ。
半分はホロの気持ちを引き立てようと、残りの半分はたぶん本気で「商いの魔法を見せてやろう。せいぜい、俺のことを見直すんだな」と言い放つロレンス、これ以上ないほどの見せ場です。もちろん、これほど無理目な演技が似合わないキャラクターもいないでしょうし、ロレンス自身もわかってやっているんでしょうけれど。
またもや蛇足ですが、通貨不足とキャッシュフローの悪化がごっちゃになってるような気がします。
この地域では、通貨、特に少額貨幣が不足して支払いに苦慮する状態であることが示唆されていますが、これが個別の企業のキャッシュフローの悪化で説明されています。売掛と買掛を相殺するような方法でキャッシュフローの悪化が解決したように書いてありますが、通貨不足が解消しない限りまた同じことが起こるんじゃないかな…?
「狼たちの結婚式」
ミューリ側の外伝。
ウインフィール王国のラウズボーンで騒動を解決した後の平和な日々を描きます。
ひょんなことから結婚式の手伝いをすることになったミューリとコル。しかし、幸せであるべき新婦から、自分の家はこの結婚に不満を抱いており、新郎の暗殺を企んでいる、新郎を守りたい、との相談を受けたのでした…。
ということで、かなり無理のある展開をはさんでミューリとコルが結婚式の手伝いをすることになるお話。新婦アルテは父が、アルテの父や新郎のメルクリオはアルテが、この結婚を気に入っていないと思い込み、それぞれの思惑でそれぞれのたくらみを進めていたのでした。
このお話のヒロインは、ミューリより新婦のアルテ。大きくたくましい身体をもち、武張った家に育った彼女でしたが、自分よりはるかに弱弱しいながら、即興でなんとも肩の力が抜けた詩を捧げてくれたメルクリオに本当に惚れてしまっています。
「結婚」に憧れているミューリの目を通せば格別、そうでなくともその健気さ、可愛さが光り、それを言葉に起こすことができる作者の能力をうらやましく思ったりしました。
で、1年に2回出番が来ると思われるミューリそっくりの毛並みを持つ子犬、今後の旅に連れて行くのでしょうか。名前はどうしたんでしょう。結構気になっています。 -
購入済み
設定がよい
美少女デイトレーダーという意表を突く設定がよい。
設定がに意表を突かれるが、その後の展開にそれほど変わったところはない。
永遠テーマである 人の幸せと お金の関係について考えさせられる本である。 -
購入済み
経済本
異世界ファンタジーが最近は流行っているがこの作品は経済本だと思う。おそらく作者には経済の心得があるのだろう。読み手としても楽しく経済のことを理解しつつ読むことができた。
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Posted by ブクログ
前の巻から1年半も間隔が開いて、もしかして打ち切り?なんてちょっと心配になったシリーズ第4巻。作者が「狼と香辛料VR」を作っていたからだそうなので一安心です。作者のシリーズに対する熱意や思い入れは大事です。
ていうか、帯に「コミカライズ始動」ってありますがマジですか。打ち切りどころではないじゃありませんか。もしかして再度アニメ化されたりして(さすがにないか)。楽しみにしておきます。
待たされた分、貪るようにラストまで読み進みました。
この巻で化けたのはコルです。
ダメンズだったコル坊は成長しました。世界の3/4が見えていないことを正直に認め、恥ずかしい二つ名が一人歩きしていることすら利用しながらも、自分の正義は曲げないコルなりの強さをミューリにも、そしてエーブ・ボランおばさまにも見せ付けています。
ボランおばさまに翻弄されつつ、その切り札を見破る鋭さは義父(候補)のロレンスに肩を並べることができたかもしれません。
一方ミューリは、今回は荒事担当でした。
照れてしまって「兄様」呼びを変えられないまま(母の「のう、ぬしよ」呼びはは偉大です。「ねえ、あなた」はミューリには20年早そうですし)、コルには見えない世界の残り3/4を見通し、兄さまの剣となり盾となって活躍します。
…ただ、ミューリの可愛いところが今回少ないのです。ハイランドやらエーブ・ボランに焼き餅焼いているか、狼になっているかのどちらかです。1巻の頃の「銀色のモフモフが飛び跳ねている」ようなところをもっと増やして欲しいかな。
そして今回のゲスト(ゲストなのかな?もしかしたら今後物語に深くかかわってきそうな感じもありますが…)、エーブ・ボラン。
上のほうでおばさま呼ばわりをしてしまいましたが、もともと持っていた危うさはそのままに、金の力で妖艶さを加えて魅力に磨きをかけています。今回は、王を脅しつつ商人を取りまとめて全員で教会を裏切り、さらに取りまとめているはずの商人を裏切って切り捨てる算段までした上に裏切っているはずの教会の司教を脱出させる準備までしているという底知れなさは相変わらずです。
今回あっさり青二才のコルに出し抜かれたのは、もしかしたら過去の思い出とコルが手元に欲しい思いが邪魔をしたのか、それとも意図的に手抜きをしたのかもしれません。金以外に信用できるものとしてコルを欲し、人ならざるものたちの真実を知る彼女は、今後もしコルたちが新大陸を目指す展開になるのであれば金主になるのかもしれません。
さて、宗教改革の炎が上がり、コルの後ろ盾になっているハイランドの本拠地であるウインフィール王国。コルとミューリはいよいよその国の第二の都市に上陸しました。
この後、王都で王に謁見することになれば、宗教改革に関する話はクライマックスを迎えることになるのでしょうけれど、第二の都市から王都までは(距離的には)目と鼻の先です。
旅という視点からは、もう目的地に着いちゃった、あんまり旅してないなあ、呆気ないなあという感じがあります。
今のところ「香辛料」シリーズと並行して4冊ずつ刊行されていますが、仮に同じ労力を「羊皮紙」だけを出すことに使っていれば今の2倍の8巻が出ている(乱暴な仮定ですが)勘定です。これは物語中盤としてふさわしい冊数のはずです。「香辛料」の8巻ではまさにそのボランと裏のかきあいと大立ち回りをやって盛り上がっていた頃。「羊皮紙」は半分のボリュームで同じところまで来ちゃったのかなと物足りなく思います。もう少し、いえ、もっともっと、旅を続けて欲しい。
そして、気になるのが今後の展開です。
新大陸と月を狩る熊の話が繰り返し出てきて、本当にミューリとコルの二人、もしかしたらホロとロレンスを含めた4人で新大陸に渡る展開があるかもと期待してしまっています。前にも書きましたが、プロテスタントの神父は結婚できるようなので、ミューリの懸念も解消します。
そんな中、意外だったのは「月を狩る熊」の足跡が海底にあるという話。大きさやその強さなど、もしかしたら「熊」は何かの例えや象徴(未来の科学技術とか、環境の大変化とか)かもしれないと思っていたのですが、海底に足跡があるのであればやはり人ならざるものなんでしょうか。なぜ他の人ならざるものを滅ぼしたのか、新大陸に渡って何をしているのか、そしてそんなところまでこの物語が語り継がれるのか。
ぜひ、次の巻は半年くらいのインターバルで出してください。お願いします。