支倉凍砂のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレいやあ、なんというか、物語がすごく広がってきたなあという印象。
もとより、教会と王国の対立、聖典の俗語翻訳、新大陸と、中世ヨーロッパで実際に起こった出来事が散りばめられてきたわけだけど、今回は活版印刷が重要なモチーフ。
しかも、禁断の技術として。
こういう、さもありなんという設定がいつもながらすごいなあと思う。
現代人の感覚では見落としがちなことも当時ではほんとにすごいことだったんだよね。
それにしても今回はミューリの出番はほとんどなくて、コルが自分でなんとかしていく展開で、いやあ、彼もホントに成長したんだと感心した。
それでも、ラスト、彼がミューリのことを自分にとってどんな存在だと思っているか、ハッキリ分かるくだりは胸熱だよね。
いつか、コルたちに相応しい戦場が訪れるかもしれない。
その時、きっと彼と彼女は共に真っ直ぐその戦場を駆けていくのだろう。
それが教会との宗教的な戦いなのか、新大陸なのかは分からないけれど。
ふたりの冒険をこれからも追っていきたい。
途中、ミューリが夢物語の自分たちの騎士物語を書いているけれど、一度読んで見たいものだ。
そして、彼らの旅はすでに十分、伝記作家が後世に伝える冒険譚だと思うな。 -
Posted by ブクログ
月面都市で生まれ育った家出少年の「ハル」こと川浦ヨシハルは、ネット・カフェで生活し、株取引で大きな利益をあげていました。彼が、ネット・カフェの店員のエマニエル・セローに紹介された教会を訪れ、シスターのリサと、数学の天才的な能力をもつハガナという少女と生活することになります。
ぶっきらぼうなハルと無口なハガナはたがいに折りあいが悪くて、リサが仲介を試みるも、二人のあいだには早くも険悪な雰囲気が立ち込めます。そんななか、ハルはリサが大きな借金を背負っており、その返済ができなければたいせつな本を売りわたさなければならないかもしれないという話を聞くことになります。そこで彼は、ハガナと協力してとある投資コンテストに参加し、優勝賞金を獲得することをめざします。
二人の協力が実現したことで、コンテストで順調に利益を伸ばし、彼は投資家のバートン・クラドヴィーゼンとの面会を果たします。その一方で、ハガナの才能によって利益をあげていることに焦りをおぼえはじめます。
著者のデビュー作である『狼と香辛料』とおなじく経済をテーマにしたライトノベル作品です。ただし『狼と香辛料』が中世ファンタジーの舞台設定のもとでの物語であるのに対して、本作は近未来が舞台となっています。心理的な駆け引きは、『狼と香辛料』にくらべるとかなりシンプルな印象ですが、ライトノベルのラブコメ作品としてはじゅうぶんにたのしめました。 -
Posted by ブクログ
フランに北の地図をえがいてもらうことになったロレンスたちは、レノスの町へもどります。ロレンスはふたたび「獣と魚の尻尾亭」の看板娘のもとを訪れ、ホロに劣らず手ごわい彼女に翻弄され、ホロの心にもさざ波が立ちはじめます。さらにそこへ、テレオ村のエルサが、教会の司教になる人物を求めて、書籍商ル・ロワとともにやってきます。彼女はコルに教えを説き、ここでもホロはおもしろくない気持ちをあじわわされます。
そんななか、ロレンスはルロワから、禁書にまつわる大きな商談をもちかけられます。彼の話に心を動かされるロレンスですが、その依頼を引き受けるためには、ホロと別れて彼女を一人でヨイツへ行かせなければならず、ロレンスの心は揺れ動きます。
クライマックスに向かって駆け抜ける手前の助走といった位置づけなのですが、ロレンスとホロの関係性は、ここでひとまずの到達点にたどり着いたといえるように思います。これまでに物語にかかわってきたキャラクターたちの再登場も、読者にはうれしい展開です。 -
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狼の骨のうわさを追ってウィンフィール王国を訪れたロレンスたちは、ルウィック同盟のラグ・ピアスキーを頼って、この国に滞在することになります。この国では、経済危機に陥っているブロンデル大修道会があり、そこにつけいろうとするルウィック同盟との駆け引きがおこなわれていました。そんななかで知りあった老練な羊飼いのハスキンズから、彼の意外な正体を知らされたロレンスたちは、彼の願いを託されることになります。
ホロのような「神」と呼ばれた存在が、人間のなかに交わって生きることの困難と、そのために引き受けなければならない運命がストーリーのなかで明らかにされており、作品世界の奥行きが感じられたように思います。 -
購入済み
夢を追う事と現実と折り合いをつけることとの葛藤がうまく物語の中に組み込まれていると思う。
プロットの複雑さとデティールの描写が諸刃の剣となっている感がなきにしもあらず。 -
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「狼と羊皮紙」シリーズのコミカライズ第2巻。
月刊誌連載でコミックス1巻当たり12話が収録されているので、ちょうど毎年1冊が同じぐらいの時期に刊行されると思っていたのですが、そろそろかなと思っていた3巻の発売日の告知がなかなかありません。
不審に思って調べてみると、この2巻発売後すぐ休載に入り、今月号からようやく連載が再開になったみたいです。休載の理由は探してもわかりませんでした。
最近間延びしがちだった原作ラノベの刊行間隔の狭間を埋める貴重な存在だと思っていたら、コミック自身の刊行間隔が間延びしすぎてやきもきさせられる展開で、まったくシャレになりません…。
閑話休題。
2巻は港町アティフで「金髪」ハイランドと再会したコルが、張り切って聖典の俗語翻訳を再開したところから始まります。
コミカライズを読む楽しみの一つは答え合わせ。口絵や挿絵から読者が頭の中で作り上げた主人公やヒロインがプロの絵師さんの手で動かされたときにどうなるかを見てみたい。
そういう視点で見ると、この巻はミューリよりコルの感情が大きく動く場面が多く、特にミューリに自分の信仰を説明して無事納得させた場面なんかはちょっとほっこり。
逆にミューリは、単純で「いい人」過ぎるコルにイライラやきもきしている表情が多く、1巻ほど元気よくモフモフしている感じがあまりありません。ついでに言えばキャラクターの「おっさん」率が非常に高く、ヒロインやサブヒロインの表情やしぐさの「答え合わせ」があんまりできないコミカライズで(原作のせいではあるのですが)ちょっと残念でした。
街が教会の「十分の一税」に反対する機運で盛り上がりますが、その中に教会を憎む声が混じっていることに気づき、危惧を覚えるコル。
そんな中、とうとう司教とハイランドの俗語翻訳を挟んだ問答が始まりました。
問答の虚々実々の駆け引き感はよく再現されているように思います。前にも書きましたが、おっさんの描き方が上手です。次巻のしょぼくれたおっさんが牙を剝く展開まで臨場感を持って再現してくれるといいな。
ラノベで言うと1巻途中まで、おそらく次の巻でラノベ1巻が終わるはず。
次巻はミューリの出番はもっと多く、見せ場もあるので「答え合わせ」は楽しくなるはずです。もっとも、コミックスの発行はおそらく1年近く先になるはずですが…。