支倉凍砂のレビュー一覧
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ネタバレいやあ、なかなか感動的だった。
特にラストのコルとルティアの対決に心高ぶった。
王国でのお話がしばらく続いてたわけだけど、今回はついに舞台は大きく動いて大陸側の大学都市。
香辛料でも行かなかったさらに南の地だった。
そこでミューリが初めて出会う仲間の狼の化身。
その時の互いの驚きようが可笑しかった。
そして賢者の狼と名乗るルティアがその由来話として北の地にいる伝説の狼の話を語るところでなんとも胸が一杯になった。
シリーズを長く読んできた者として、ここはニヤッとするところなのだろうけど、自分はそれ以上にうるっと来てしまった。
逆にミューリ達がその狼のことをルティアに明かさなかったことは少し意外に思った。
今巻では珍しく怒られてべそをかくミューリが見れてそれはそれでかわいい(バカ)
そしてラストのルティアとコルとの対決は、さすが子供の頃から狼と暮らしているコルがこう言う場面では珍しく一枚上手だったなあ。
それにしても北の地のことを最後までルティアに話さなかったのはあくまでこのお話は狼と羊皮紙で香辛料ではないと言う事なのかな
この先、教会の公会議へ向けてまた大きな問題が待ち受けていそうで、次巻も待ち遠しい -
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コルとミューリは港町ラポネルの幽霊船騒動からラウズボーンへ。
ハイランドのもとで教皇庁の書庫管理を務めるカナンと会い、教会が禁じた印刷術をもつ職人を探し、聖典俗語訳版を印刷する計画をもちかけられる。
シャロンとクラークは新しい修道院建設で忙しく働き、ハイランドは聖典を書き写すのに金策に苦労し、カナンはほとんどあてがない職人を探すために王国にわたってきていた。
酒場で歌われる詩などの書籍を扱うところで、印刷っぽい本を見つけたミューリ、神の特徴から、サレントンの街に向かう。
自分の才能のなさに絶望しかけてる職人のジャンと出会い、印刷するに足る話をすることに。そのさなか、ハイランドと対立する第二王子のクリーベントの手下にコルは誘拐され。
八方丸くおさめるために、馬上槍試合をミューリに捧げる形で開催することに。 -
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ミューリとコルのシリーズ第7巻。
ここのところずっと刊行間隔が長期化し過ぎ、と書いてきましたが、「羊皮紙」6巻から9ヶ月、「SpringLogVI」から3ヶ月後とようやく正常化した間隔での刊行となり、一安心です。
もう一点これまで通りに戻ったと感じられたところがあります。6巻ではミューリが元気にモフモフしている場面が控えめでちょっと寂しかったのですが、7巻ではパワーが戻ってきました。兄様を甘噛みする場面もたっぷり。6巻後書きで作者自ら反省の弁を述べていましたので、意図的なものに違いありません。
さて、手に取ってその厚さが心地よかった(かなり厚めです)この7巻、一読してこれまでになく明るい…というか素軽く、軽快な感じがして、素直に面白いと感じられました。
どの辺が、と思い起こせば、まずミューリが創作にハマってしまっていること。お母さんが日記にハマっていることを思えば、親がインスタかブログ、娘が「なろう」系にハマっている一家(そう言えばコルはプロのライターですよね)が連想されます。母は夫亡き後の思い出に、娘はせっかく叙任された騎士なのに剣を振るって敵を倒すことができないことの代償として、それぞれペンを執っているわけですが、まあ娘の執筆意欲の源泉は母のそれほど深刻ではありません(作者は結構深刻ぶっていますが、そもそもコルに危機が迫ればミューリは躊躇せずに剣を(というか、牙を)振るうでしょう)。
一生懸命書きつけた紙束が、黒歴史として10年後にニョッヒラの机の引き出しから発掘される展開があったりしたらこれ以上楽しいことはありませんw。
続いて、活版印刷を体得した職人の世を拗ねるその理由が軽いこと。結構陰惨で既得権益との凄惨な争いに結びつきそうな話であるはずなのに、そのあたりはさらっと流されて、いざ流されてみるとそれでよかったんだろうと思えるのですから、このプロットは作者が上手です。
ちなみに先日「本好きの下剋上〜司書になるためには手段を選んでいられません〜」を斜め読みしたばかりなので、紙もインクもペンも金さえ出せば買えるコルたちがとても恵まれているように思えてしまえます…。1巻で触れられていた筆写職人の実情や、ル・ロワの言動なんかを考えると、それほど軽い話ではないはずなのにね。
そして、クリーベント第二王子の登場で、終盤からオチにかけての展開が「壮大な兄弟ケンカの仲裁」を「馬上槍試合」でストレス発散させて成し遂げた、展開となったこと。
そもそもクリーベントがコルにちょっかいを出した理由も「ノリ」のようですし、当のクリーベント王子と一緒になって考えた言い訳が「馬上槍試合」です。正直、馬鹿馬鹿しいと言ってもよさそうな展開ですが、第二王子のクリーベントはこういうオチになったとしても不思議でない描かれ方をこれまでしていたのがよく効いていて、やや軽薄なプロットがはまっています。
できれば、外伝で馬上槍試合の様子なんかも読んでみたいなあ。
そして、この巻のプロット、ミューリとコルの関係性、そして世界の成り立ちの3要素のうち、今回は世界の成り立ちに新要素が出てこなかったことも大きいと思います。新大陸があると言っては考え込み、地球は丸いと聞いて熱を出すコルがいるので、世界の成り立ちに新事実が出てくるたびに刊行は遅れ、トーンは深刻になります。今回は活版印刷が扱われているものの、世界の成り立ちというほど深刻な要素ではなく、その分の余力をすべてミューリの魅力に突っ込んだ感じになっています。プロットが早めに固まって余裕があったのでしょうか、本当にミューリ関係はこれを書けば読者が喜ぶだろう、というところがきちんと押さえられています。
ということで、久々にライトノベルを満喫した感がある7巻でした。
新大陸を目指す船を手に入れ、教会と戦うための武器もk確保し、教会との対立の構図を書き換えかねなかった第二王子すら篭絡したのに加え教会内に有力な協力者もできました。
そろそろ物語が大きく動く、というか大きく動かざるを得ない予感がします。作者があとがきに「果たして自分の力量でこの大きな風呂敷をまとめられるのだろうか」と書いていますので、どこまで話が広がるのか、歴史を下敷きにして新大陸に移住して終わるのにとどまらず、世界観を共有しているらしい「マグダラで眠れ」のキャラクターまで登場する大団円を見据えているのかわかりませんが、途中でシリーズが放置されることも打ち切られることもなさそうですので、お話の続きを楽しみに、そして「マグダラで眠れ」を読まなければならなくなる可能性に戦慄しながら待つことにします。
「次の巻は九か月以内、できれば半年以内……」だそうです。「Spring Log」のほうの続きも考えると、3ヶ月毎ぐらいのペースでシリーズが読めるのでしょうか…。だったらいいなあ。 -
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ミューリとコルのシリーズ第6巻。
2020年5月の5巻発行以来、2021年3月のこの巻まで10ヶ月間が空いています(その間にコミカライズ版が1冊出てはいますが)。ここ数年は刊行間隔の長期化が目立ち、今回もだいぶやきもきさせられました。後書きには提案したプロットが没になったことなどが書かれていましたが、「狼と香辛料VR2」に手を出していたのも関係ありそうです。
刊行間隔については、もともとミューリとコルの「羊皮紙」、ホロとロレンスの「香辛料」が交互に発行される関係上、ただでさえ通常のラノベよりストーリーの進行が間延びしがちなので、特に気になるところです。小出しでもいいからそこそこの間隔でなにがしかの本が出てくれるとありがたく思います。
ついでに言えば、コミカライズ版も2巻以来1年経過しましたが、続刊の音沙汰がありません…。こちらはこちらで、今年に入ってからずっと休載が続いているようで、やっぱり大変やきもきしています。
閑話休題。
コルとミューリの旅はウィンフィール王国の首都を目前に、「金髪」ハイランドの拠点である王国第二の都市たる港町ラウズボーンで足踏み状態です。
ニョッヒラを出発した当時のコルの目的は聖典の俗語翻訳を足掛かりに「教会の不正を正す」ことだったはずです。しかしここに至るまでの経験が、事態がそんな単純なものではないとコルに気付かせてくれました。
そもそもコルのパトロンたるハイランドは王家の中では極めて微妙な立場であって、コルが一方的に教会を糾弾することはハイランドの不安定な立場を一層危うくしかねないのに加え、王都へ乗り込んで国王の面前で教会を糾弾すれば多くの民を巻き込んだ全面戦争を招きかねないこと…ただ自分の正義を押し通した結果を想像し、先に進むことに逡巡しているようです。
そんな中、ここに来て王国と教会の争いの解決策として「新大陸」の重みが増してきました。いずれの勢力にも属さない空白地への進出こそが争いの原因たる「十分の一税」を巡るのっぴきならない対立の唯一の解決策であることにコルが思い至ったのです。それは、冒険譚として、世界のどこにもなかった自分たち「人ならざる者」の居場所としてのミューリの「新大陸に対する憧れ」をともすれば凌駕するほどの真剣みを帯びてきています。
そんな状況で、とうとう「新大陸」を実際に目指している人物が登場しました。
新大陸に向けて旅立った想い人の後を追うべく準備している麦の大産地の前領主、ノードストンです。
なお、彼の想い人は「香辛料」の22巻(Spring Log5巻)で言及された(のと同一人物だと思われる)猫の「錬金術師」だと思われます。
これまで自分は、この話の背景となっているイギリスの宗教改革からおそらく「ピルグリム・ファーザーズ」の渡米までの実際の歴史は、聖職者であることを理由に「結婚」に踏み切れないコルとミューリの仲のスパイス的な、「聖典自体にダメって書いてないんだから兄様もみんなにそう教えなきゃ、そのためにもミューリをお嫁さんにして」程度の扱いだと思っていたのですが、どうやらその程度の扱いでお茶を濁すことはなさそうです。ずいぶん具体性と現実味を帯びてきました。
さらに、「ファンタジーだからそういうふわっとした伝説ってあるよね」、で片付けられなくなった要素がもう一点。「月を狩る熊」についてです。
地に満ちていた「人ならざる者」たちを滅ぼしたという「月を狩る熊」は、「人ならざる者」の中でもとりわけ巨大な一族だったのではないか、「人ならざる者」の中でも真の姿が熊である者は今では全く見かけることがない、と、ミューリやコルたちはこれまでそう考えてきました。神話の時代だからそんな存在だっていたのかもしれない、と。
ところが、この巻からやや不自然な感じで「熊」に関する記述が増加します。例えば、かなり唐突な感じで「熊のような人物」の例えが紹介されています。ノードストンが「熊のような」と形容されている他、「風の強い曇天の夜の中、その屋敷は不気味さを増しているというよりも、冷たい風に身をうずくまらせている、傷ついた熊のように見えた。(P358)」「それはまるで冬の終わりを待つ、一頭の熊のようなのだった。(P374)」などです。
いよいよ「月を狩る熊」の正体に迫るときが近づいているのだろうと思います。
そして、ホロ達「人ならざる者」を滅ぼしたのは、熊の化身ではなく、「熊のような」人間の集団か、巨大で「熊のような」機械を操る技術者集団だったのではないか…、オータムが見たという巨大な足跡は、ミューリ達に無茶をさせないための、もしくは読者のミスリーディングを誘うための韜晦だったのではないか…、そんなことを思わざるを得ません。
重みを増したと言えば、作者の別シリーズのヒロインと同一人物と思しき「猫の錬金術師」の存在も同様です。ミューリ達よりも先に新大陸を目指して旅だったとか。今後、ミューリとコルが新大陸を目指すとすれば、一足先にその地を踏んだに違いない「猫」の錬金術師の存在を避けて通ることはできないでしょう。あまり手を広げたくないのでスルーしてきたのですが、これは「マグダラで眠れ」シリーズを読まないといけないのでしょうか…。うーん。
この巻では、新大陸の「存在」が現実味を帯びただけではありません。ミューリとコルは、大西洋を横断できるほどの船と、熟達の乗組員を手に入れて、新大陸へ「渡航」するための足掛かりを得ました(オーナーに恩を売ったのですから、手に入れたのと同じことですね)。金はエーブとデバウ商会が競うようにいくらでも出すでしょう。
さらに、コルは地球が丸いことに気が付いてしまいました。
こうなると、ミューリとコルの旅は王国の首都までどころではなく、本当にニューイングランドのプリマスまでたどり着いてしまうのではありますまいか。もしかして、二人の後を追って再び旅に出たホロとロレンスも同じ船に…。
剣も魔法も登場しない経済ファンタジーだったはずのこのシリーズが突然「歴史改編SF」という別の顔を見せた瞬間です。「SPRING LOG」でこのシリーズがすべてホロの日記だった可能性を提示したのに続くコペルニクス的転回です(地球が丸いことに気が付いただけにw)。
さて、舞台のほうがどんどん変貌を遂げていますが、その上に立っているミューリとコルの関係にも変化が見られます。
二人だけの騎士団で、二人だけしか使えない紋章を手にし、夫婦でも恋人でも兄弟でもない宙ぶらりんな関係をきちんと昇華させることができました。
でも、ミューリが「騎士らしく」振舞うことに目覚めて、以前ほどコルにまとわりついて困らせることがなくなって、読者としてはちょっとがっかり。やっぱりイチャイチャまではいかないとしても、お嫁さんにしてほしい美少女にまとわりつかれる状態ってラノベっぽくていいじゃないですか。
今回はもともとハイランドのお遣いから始まった話で、緊迫感も控えめです。荒事もせいぜいミューリがコルを背に乗せて疾走するのと、暴れるふりをするのと、ジゼルさんがちょっと頑張るくらい。狼姿のミューリの描写も、麦を使っているはずの変身シーンもあっさりしたもので、こちらも残念です。
この辺は、どこまで行ってもホロとロレンスのラブコメが中心にあった「香辛料」のほうが…というか、ホロの手練手管に一日の長があるようです。
世界が広がって、他のシリーズの世界観ともリンクして、その上でミューリとコルの関係を、「人ならざる者」の居場所まで含めて落ち着かせようとするあまり、二人の関係がちょっと窮屈になっているように思います。10ヶ月ぶりに読むんだから、もっともっとミューリを可愛くモフモフ飛び跳ねてくれよー、というのが正直な感想です。
だいたい、挿絵自体おっさんおばさんばっかりで、ミューリの挿絵がほとんど出てきません(6枚中ミューリは1枚半だけ)。それだけ見せ場がなかったってことです。
逆に今回いちばんいい役目だったのはノードストンですね。滅茶苦茶立っているキャラでした。西を目指す場合の船担当として、今後もずっと登場するんでしょうね、きっと。
直前の「香辛料」のほうの22巻(Spring Log5巻)にはミューリとコルのエピソードも入っていたので、「香辛料」の23巻でミューリの可愛さ成分を補充できることを期待しておきます。
と、長々と書きましたが、「あとがき」に作者がさらっと同じようなことを書いていました。
「心残りは、もっとミューリとコルのやり取りを入れたかったなあとか。」
そうですそうです。ミューリ成分を、もっと!
「『狼と香辛料』では問題が大きくなりそうなので避けていたことに、『狼と羊皮紙』では立ち向かえて行けたらなと思っています。」
ということで、新大陸関係や「月を狩る熊」、猫の錬金術師などの伏線をすべて回収してくれるつもりであるのは間違いなさそうです。
「たぶん毎回話をまとめるのに非常に苦労するのは、お話の柱にそういった世界の問題と、コルとミューリの関係と、さらに毎巻ごとの三種類を盛り込まねばならないから、というのが担当K氏の分析でした。」
今回、「そういった世界の問題」のウエイトが大きすぎて「コルとミューリの関係」がちょっと物足りませんでした。
「もう少し刊行速度を上げられたらなと思っている次第です。」だそうですので期待して待っています。
まずは手元にある「香辛料」の23巻(SPRING LOGの6巻)からですね。 -
Posted by ブクログ
ホロとロレンスの熟年旅の続き。
いやあ、相変わらず楽しいなあ。
今回はエルサの語りのお話があって、端から見ると如何にロレンスがホロのことを甘やかして世話を焼いているか、それにホロがなんやかや文句を言いながら、どれほど喜んでいるか、本当よくわかる。
幸せだよなあ。
実に幸せな物語だ。
たとえいつか二人の間に逃れようのない時の別れが来るとしても、この幸せは永遠だと信じられる。
そんなお話。
うん、良かった。
それにしてもホロは呑んだくれてばかりだなあ笑。
いやでも、奥さん(ホロ)が機嫌が良ければ全て事もなしだからね^^
こんなお話がいつまでも続いてくれる事を心から願いたい。 -
購入済み
短編の中に起承転結がしっかりと構成され、伏線の埋設と回収がきっちりと為され、しかもそれが技巧的に感じさせることなく物語の情感を引き立てる。至芸と言うべきかな。
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購入済み
マジで最高
アニメ版を見てからの購入です。
なんでもない隣にいる人がなんでもない日常が誰かのために何かできることが幸せになります。