新説 狼と香辛料 狼と羊皮紙VII

新説 狼と香辛料 狼と羊皮紙VII

ラノベ
803円 (税込)

4pt

死者の乗る船が渡来する港町・ラポネルでの騒動を後にして、コルとミューリは再びラウズボーンへの帰路につく。
教会の不正を糺し、王国との争いを収める決意を新たにするコル。賢狼の娘ミューリはというと、理想の騎士冒険譚を執筆するのに大忙しな様子で。
そして、ラウズボーンへと戻った二人を待っていたのは、ハイランドと教皇庁の書庫管理を務めるカナンだった。カナンは“薄明の枢機卿”コルによる聖典俗語翻訳をさらに世に広めるため、教会が禁じた印刷術の復活を持ち掛ける。
さっそく職人を探すこととなったコルとミューリ。だが、教会から追われる身の職人は協力する代わりに、『心を震わせる物語』を要求してきて――!?

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狼と羊皮紙 の一覧

1~13巻配信中 1巻へ 最新刊へ
1~13件目 / 13件
  • 新説 狼と香辛料 狼と羊皮紙
    737円 (税込)
    聖職者になる夢を志す青年コルは、恩人のロレンスが営む湯屋『狼と香辛料亭』を旅立つ。ウィンフィール王国の王子に誘われ、教会の不正を正す手伝いをするのだ。そんなコルの荷物には、狼の耳と尻尾を有した美しい娘ミューリが潜んでおり――? かつて賢狼ホロと行商人ロレンスの旅路に付き添った放浪少年コルは青年となり、二人の娘ミューリと兄妹のように暮らしていた。だがお転婆なミューリはコルの旅立ちに反対し、こっそり荷物に紛れ込み家出を企てたのだ。『狼』と『羊皮紙』。いつの日にか世界を変える、二人の旅が幕を開ける!
  • 新説 狼と香辛料 狼と羊皮紙II
    759円 (税込)
    港町アティフでの聖書騒動を乗り越えた青年コルと、賢狼の娘・ミューリ。恋心を告げて開き直ったミューリから、コルは猛烈に求愛される日々を送っていた。そんな中、ハイランド王子から次なる任務についての相談が。今後の教会勢力との戦いでは、ウィンフィール王国と大陸との海峡制圧が重要になってくる。そのため、アティフの北にある群島に住む海賊たちを、仲間にすべきかどうか調べて欲しいというのだ。海賊の海への冒険に胸を躍らせるミューリであったが、コルは不安の色を隠せない。なぜなら海賊たちには、異端信仰の嫌疑がかけられていたのだ。彼らが信じるのは、人々が危機に陥ると助けてくれるという“黒聖母”。不思議な伝説が残る島で、二人は無事任務を遂行することができるのか――。
  • 新説 狼と香辛料 狼と羊皮紙III
    737円 (税込)
    聖職者志望の青年コルの旅の連れは、「お嫁さんにしてほしい」と迫ってくる賢狼の娘ミューリ。海賊の島から出た二人は、嵐に巻き込まれウィンフィール王国の港町デザレフにたどり着く。教会が機能していないその町で、コルは「薄明の枢機卿」と呼ばれ、まるで救世主のような扱いを受けることに。そしてコルはミューリの求愛に向きあうべく、自らを「兄様」と呼ぶことを禁止し、関係を変化させようとするのだった。そんなコルたちの前に、イレニアと名乗る商人の娘が現れる。彼女はなんと羊の化身であり、“ある大きな計画”に協力してほしいと持ちかけてきて――?
  • 新説 狼と香辛料 狼と羊皮紙IV
    781円 (税込)
    ウィンフィール王国第二位の港湾都市ラウズボーン。ニョッヒラを出て初めての大都市に心躍らせる賢狼の娘ミューリと、教会変革の使命を胸に燃やすコルだったが、二人を待ち受けていたのは、武装した徴税人たちだった。  ハイランドの機転で窮地を脱した二人。どうやら「薄明の枢機卿」と讃えられるコルの活躍が、皮肉にも王国と教会の対立に拍車をかけていることを知る。  このままでは、戦争を避けられない。打つ手無しの中、コルに助け船を出したのは、ロレンスのかつての好敵手、女商人エーブだった。  神をも畏れぬ守銭奴は、果たして敵か味方か。コルは教会、王国、商人の三つ巴の争いに身を投じる――!
  • 新説 狼と香辛料 狼と羊皮紙V
    737円 (税込)
    神をも畏れぬ女商人エーブの謀略を見事に退け、王国と教会による戦争の危機を回避したコルとミューリ。  騒動も落ち着く頃、コルは自らを慕ってくれるミューリとの関係をはっきりさせなければとあれこれ知恵をひねり、ある方法を思いつく。  そして調べもののため、かつて訪れたブロンデル修道院を目指す道中、コルとミューリは行き倒れの少年ローズと出くわすことに。彼はミューリの尻尾が飛び出るほど高名な聖クルザ騎士団の見習い騎士で、世界最強の騎士団が、悪名高い“薄明の枢機卿”のせいで壊滅状態だと訴えてきて――!?  一時の休暇のはずが、またしても大事件勃発のシリーズ第5弾!
  • 新説 狼と香辛料 狼と羊皮紙VI
    759円 (税込)
     破滅へと向かう聖クルザ騎士団の窮地を救ったコルとミューリ。彼らの騎士としての在り方に絆の答えを見つけたコルたちは、二人だけの騎士団を結成する。  憧れの騎士という肩書きに夢中になるミューリだが、立場上コルに素直に甘えられなくなり、頭を悩ませることに。そこにハイランドから、麦の大生産地・ラポネルの調査依頼が舞い込む。  賢狼の娘ミューリは麦の産地と聞いて意気込む。しかしその地の元領主ノードストンには、悪魔と取引しているという不穏な噂があった。そして、王国と教会の争いを解決する可能性を秘めた新大陸発見への手助けを“薄明の枢機卿”コルに持ち掛けてきて――!?
  • 新説 狼と香辛料 狼と羊皮紙VII
    803円 (税込)
     死者の乗る船が渡来する港町・ラポネルでの騒動を後にして、コルとミューリは再びラウズボーンへの帰路につく。  教会の不正を糺し、王国との争いを収める決意を新たにするコル。賢狼の娘ミューリはというと、理想の騎士冒険譚を執筆するのに大忙しな様子で。  そして、ラウズボーンへと戻った二人を待っていたのは、ハイランドと教皇庁の書庫管理を務めるカナンだった。カナンは“薄明の枢機卿”コルによる聖典俗語翻訳をさらに世に広めるため、教会が禁じた印刷術の復活を持ち掛ける。  さっそく職人を探すこととなったコルとミューリ。だが、教会から追われる身の職人は協力する代わりに、『心を震わせる物語』を要求してきて――!?
  • 新説 狼と香辛料 狼と羊皮紙VIII
    748円 (税込)
     いがみ合う王子たちを馬上槍試合をもって仲裁したコル。ウィンフィール王国内での争いが終息したのも束の間、コルたちの前に使者が現れる。使者の目的は八十年ぶりに開催される公会議に、“薄明の枢機卿”の出席を請うものだった。  公会議開催の真偽確認をカナンに任せ、コルとミューリは聖典印刷の計画を進めるべく、資材の確保と新大陸の情報を求めて大学都市へ向かう。  そこはかつてコルが放浪学生として過ごした街。だが、その街を二分する大騒ぎが勃発し、その中心には”賢者の狼”と名乗る人物までいて――!?
  • 新説 狼と香辛料 狼と羊皮紙IX
    726円 (税込)
     狼の化身ルティアが抱えていた心の呪縛を解き、教科書を巡るアケントでの争いに終止符を打たせたコル。目的であった聖典印刷の目処も立ち、いざ公会議に向け、コルたちは準備を始めるのだった。  全世界の聖職者が集う公会議、来るべき論戦を優位に進めるべく、一人でも多くの味方集めが重要となる。だが、その出鼻をくじくように“薄明の枢機卿”の名を騙る偽者が現れたとの報せが届く。  聖堂都市エシュタットの圧政に立ち向かう“薄明の枢機卿”の名の許に建てられた希望の街オルブルク。かねてからの謙遜が仇となり、自分が本人であると証明できないコルは決断を迫られる――。
  • 新説 狼と香辛料 狼と羊皮紙X
    770円 (税込)
     エシュタットを騒がせた“薄明の枢機卿”を騙る偽者を成敗し、身に余るふたつ名を背負う覚悟を決めたコル。傍らに並び立つ、人呼んで太陽の聖女・ミューリもどこか誇らしげな様子。  公会議に向けた準備も大詰めのところ、二人の下にエーブの部下で羊の化身・イレニアが投獄されたとの報せが届く。  しかも投獄先は山岳都市ウーバン、七人の選帝侯のうちの一人、傭兵王を名乗るデュラン選帝侯が治める要害の地。  姉と慕う彼女の窮地を救わんと鼻息荒いミューリは、早速イレニアを助けに行こうと計画を練るが、どうやらイレニアは選帝侯お抱えの天文学者を誘拐した罪に問われていて――。
  • 新説 狼と香辛料 狼と羊皮紙XI
    770円 (税込)
     蝕の予言を巡り争ったルウィック同盟を説き伏せ、見事に天文学者アマレットの奪還を成し遂げたコルとミューリ。  しかしそれは、デュラン選帝侯の威信をかけた計画が白紙に戻ることを意味していた。苦難の中、アマレットがもたらした一縷の希望――かつて古代帝国軍の北への行軍を阻んだとされる月を狩る熊が月を落とした地の伝承だった。  もし教皇庁まで通ずる新道の開削が為せば、侯の権威と命脈を保ち、教皇庁の喉元に刃を突きつけることとなる。  ゴブレアとバーリンドの選帝侯も加わり、南北に分断する要衝の調査に乗り出したコルとミューリ。だが、二人の前に月を狩る熊の伝承者が立ちふさがる――!
  • 新説 狼と香辛料 狼と羊皮紙XII 羊たちの宴<上>
    792円 (税込)
    コルを殉教者に仕立て上げようとした異端審問官ローシェと選帝侯たちの非道な計画は、空から駆け付けたディアナの協力により砕かれた。  無傷の生還という偉業は、帝国内に薄明の枢機卿の名声をますます轟かせ、コルを一目見ようとウーバンは謁見を願う者たちで溢れかえることに。  そして、多忙な兄を支えるミューリの下にも真面目で頑固なコルを説得してほしいと陳情が集まり……。  そんな中、薄明の枢機卿の暗殺計画が再び持ち上がって!?  上下巻でお贈りする、賢狼の娘と若き羊皮紙が世界を変える運命の前夜祭!
  • 新説 狼と香辛料 狼と羊皮紙XIII 羊たちの宴<下>
    924円 (税込)
     教会の改革を誓ったコルの決意は、ともに歩んできたミューリやハイランド、そして旅の途中で出会った仲間たちの支えによって揺るぎない意志へと変わった。  しかし、薄明の枢機卿に寄せられる民衆の期待が高まる一方で、教皇庁に潜入していたルティアとカナンは静かに蠢く異変に気付く。それは改革を快く思わぬ旧勢力による、禁断の聖遺物≪神の錫杖≫を用いた策謀だった。 「では、行きましょうか、羊たちの宴へ」  それぞれの思惑が渦巻く公会議、新たな時代を告げる舞台の幕が上がる――。  聖職者コルと賢狼の娘ミューリ、世界を変える冒険譚、堂々完結!

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    Posted by ブクログ

    コルとミューリは港町ラポネルの幽霊船騒動からラウズボーンへ。
    ハイランドのもとで教皇庁の書庫管理を務めるカナンと会い、教会が禁じた印刷術をもつ職人を探し、聖典俗語訳版を印刷する計画をもちかけられる。
    シャロンとクラークは新しい修道院建設で忙しく働き、ハイランドは聖典を書き写すのに金策に苦労し、カナンはほとんどあてがない職人を探すために王国にわたってきていた。
    酒場で歌われる詩などの書籍を扱うところで、印刷っぽい本を見つけたミューリ、神の特徴から、サレントンの街に向かう。
    自分の才能のなさに絶望しかけてる職人のジャンと出会い、印刷するに足る話をすることに。そのさなか、ハイランドと対立する第二王子のクリーベントの手下にコルは誘拐され。
    八方丸くおさめるために、馬上槍試合をミューリに捧げる形で開催することに。

    0
    2022年01月14日

    Posted by ブクログ

    ミューリとコルのシリーズ第7巻。

    ここのところずっと刊行間隔が長期化し過ぎ、と書いてきましたが、「羊皮紙」6巻から9ヶ月、「SpringLogVI」から3ヶ月後とようやく正常化した間隔での刊行となり、一安心です。

    もう一点これまで通りに戻ったと感じられたところがあります。6巻ではミューリが元気にモフモフしている場面が控えめでちょっと寂しかったのですが、7巻ではパワーが戻ってきました。兄様を甘噛みする場面もたっぷり。6巻後書きで作者自ら反省の弁を述べていましたので、意図的なものに違いありません。

    さて、手に取ってその厚さが心地よかった(かなり厚めです)この7巻、一読してこれまでになく明るい…というか素軽く、軽快な感じがして、素直に面白いと感じられました。

    どの辺が、と思い起こせば、まずミューリが創作にハマってしまっていること。お母さんが日記にハマっていることを思えば、親がインスタかブログ、娘が「なろう」系にハマっている一家(そう言えばコルはプロのライターですよね)が連想されます。母は夫亡き後の思い出に、娘はせっかく叙任された騎士なのに剣を振るって敵を倒すことができないことの代償として、それぞれペンを執っているわけですが、まあ娘の執筆意欲の源泉は母のそれほど深刻ではありません(作者は結構深刻ぶっていますが、そもそもコルに危機が迫ればミューリは躊躇せずに剣を(というか、牙を)振るうでしょう)。
    一生懸命書きつけた紙束が、黒歴史として10年後にニョッヒラの机の引き出しから発掘される展開があったりしたらこれ以上楽しいことはありませんw。

    続いて、活版印刷を体得した職人の世を拗ねるその理由が軽いこと。結構陰惨で既得権益との凄惨な争いに結びつきそうな話であるはずなのに、そのあたりはさらっと流されて、いざ流されてみるとそれでよかったんだろうと思えるのですから、このプロットは作者が上手です。
    ちなみに先日「本好きの下剋上〜司書になるためには手段を選んでいられません〜」を斜め読みしたばかりなので、紙もインクもペンも金さえ出せば買えるコルたちがとても恵まれているように思えてしまえます…。1巻で触れられていた筆写職人の実情や、ル・ロワの言動なんかを考えると、それほど軽い話ではないはずなのにね。

    そして、クリーベント第二王子の登場で、終盤からオチにかけての展開が「壮大な兄弟ケンカの仲裁」を「馬上槍試合」でストレス発散させて成し遂げた、展開となったこと。
    そもそもクリーベントがコルにちょっかいを出した理由も「ノリ」のようですし、当のクリーベント王子と一緒になって考えた言い訳が「馬上槍試合」です。正直、馬鹿馬鹿しいと言ってもよさそうな展開ですが、第二王子のクリーベントはこういうオチになったとしても不思議でない描かれ方をこれまでしていたのがよく効いていて、やや軽薄なプロットがはまっています。
    できれば、外伝で馬上槍試合の様子なんかも読んでみたいなあ。

    そして、この巻のプロット、ミューリとコルの関係性、そして世界の成り立ちの3要素のうち、今回は世界の成り立ちに新要素が出てこなかったことも大きいと思います。新大陸があると言っては考え込み、地球は丸いと聞いて熱を出すコルがいるので、世界の成り立ちに新事実が出てくるたびに刊行は遅れ、トーンは深刻になります。今回は活版印刷が扱われているものの、世界の成り立ちというほど深刻な要素ではなく、その分の余力をすべてミューリの魅力に突っ込んだ感じになっています。プロットが早めに固まって余裕があったのでしょうか、本当にミューリ関係はこれを書けば読者が喜ぶだろう、というところがきちんと押さえられています。

    ということで、久々にライトノベルを満喫した感がある7巻でした。
    新大陸を目指す船を手に入れ、教会と戦うための武器もk確保し、教会との対立の構図を書き換えかねなかった第二王子すら篭絡したのに加え教会内に有力な協力者もできました。
    そろそろ物語が大きく動く、というか大きく動かざるを得ない予感がします。作者があとがきに「果たして自分の力量でこの大きな風呂敷をまとめられるのだろうか」と書いていますので、どこまで話が広がるのか、歴史を下敷きにして新大陸に移住して終わるのにとどまらず、世界観を共有しているらしい「マグダラで眠れ」のキャラクターまで登場する大団円を見据えているのかわかりませんが、途中でシリーズが放置されることも打ち切られることもなさそうですので、お話の続きを楽しみに、そして「マグダラで眠れ」を読まなければならなくなる可能性に戦慄しながら待つことにします。
    「次の巻は九か月以内、できれば半年以内……」だそうです。「Spring Log」のほうの続きも考えると、3ヶ月毎ぐらいのペースでシリーズが読めるのでしょうか…。だったらいいなあ。

    0
    2021年12月28日

    Posted by ブクログ

    おもしろかった。以前は、香辛料に比べて、羊皮紙は、、なんて思うてましたが、そんなことはないです。面白い。コルとミューリの旅もどんどんと大ごとになってきて、なんとなく大団円的絵面が見えてきたような気がする。祈ハッピエンド。特にハイランドとクリーベントのところが盛り上がった。新約聖典も形になってきたし。今回は新しい人外は出てこなかったが、魅力的な人間キャラが出てきたし、既存キャラもええ感じで活躍していて良い。続きが楽しみ。

    0
    2022年03月02日

    Posted by ブクログ

    前巻に比べると落ち着いた話で結構淡々としていた。今回においてはミューリが少し大人に見え、コルがミューリの存在を意識しているように思え、良い意味で逆転していていいなと思いました。話の落とし所はまずまずだったけど、全体のストーリーがやや不穏な雰囲気のまま進んでいきそうで先がどんどん気になります。

    0
    2021年12月27日

    購入済み

    夢を追う事と現実と折り合いをつけることとの葛藤がうまく物語の中に組み込まれていると思う。
    プロットの複雑さとデティールの描写が諸刃の剣となっている感がなきにしもあらず。

    0
    2021年12月16日

    Posted by ブクログ

    活版印刷の技術を会得している職人を見つけて、聖典の俗語翻訳版を大量に生産しようと計画。前半は、職人の捜索、終盤でハイランドが兄と和解。

    0
    2023年07月24日

    Posted by ブクログ

    今回の話は、教会対印刷、という構図が明確だったので、分量は多いけれどもストーリーが枠組みがなんとなく読めてるところがあってとても読みやすい。そんな中で、コルらしさ、ミューリらしさといったところがよく出て読み応えがあった。例え岸に憧れるミューリの言動が、伏線になっているとか、コルの、昔の身1つで放り出さいたときのエピソードとか。
    まぁこういうのは昔からやってた、と言うよりかは昔に書いたものを引っ張り出して伏線にしている、のかもしれないけれども。

    また次が楽しみ。

    0
    2022年06月29日

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    元々は『狼と香辛料』のスピンオフとして企画された『狼と羊皮紙』もどうやら、この辺りで折り返しに入ったらしい。このVII巻では前巻で少しずつ明確に見え始めた「コルが世界をどのように変えていくのか」という本作のメインテーマの一つをより深める巻になっている。

    前の巻ではコルとミューリは異端の疑いを晴らすために赴いた場所で、本作を動かす要素の一つである「西の果ての新大陸」についてより深い知識を得ることになった。そしてその過程において、コルは教会の教理の根幹をなしていると思われる一つに対して疑いを持つようになる。すなわちそれは、「この世界は本当は月のように丸いのではないか?」といった、現実世界でも中世において大きな議論となった問題だ。

    本作におけるコルは、この「もしかすると大地は丸いのではないか」という考えを、どうしても頭から離すことができない。21世紀に生きる読者である我々からすれば、地球が丸いというのは当たり前の知識である。しかし、この世界ではかつて歴史上でそうであったように、地球は平でなければならず、その考えを権威づけているのは、教会そのものであるらしい。歴史上ではガリレオが異端審問にかけられて「それでも地球は動いている」といった逸話がよく知られているが、同じような関係がこの小説世界でも成立しているようだ。

    そもそもコルの旅立ちの理由は「正しい神の教えを伝えることができていない教会組織をたてなおす」ことが目的だった。言い換えてみると、コルは教会という組織の在り方については批判的であったわけだが、教理そのものに対して批判をしていたわけではない。
    ところが大地が丸いかもしれないという疑問は、その考え方の枠組みに対する疑問を揺るがしてしまう。
    神学に対してかなり柔軟な解釈をしているコルであっても、神の教えとして語られている世界と現実世界が異なっているとなった時に、どのような反応をするのかというのはまだちょっと予想がつかない。なんとなく地球が世界が丸かろうと平らであろうと、神の意思は変わらないと言いそうな気もするけど。


    さらにこの巻では、現実の歴史と同じように、宗教改革を導く一つの要素として活版印刷の可能性も示される。すでに現実の歴史を通り過ぎてきた自分たちは、印刷技術によって聖書や宗教文書が広まり、宗教改革を後押しすることになったことを知っている。
    この世界でも同じように、印刷技術が知識の独占を崩し、教会の権威を揺さぶることになるということをコルやル・ロワたちはすでに気がついているし、教会側も間違いなく気づいているだろう。どのような組織においても情報の秘匿性は常に権力の源泉となるからだ。正し本作ではライトノベルということもあり、結構あっさり技術者が見つかってしまったりもする。


    全体として、本作はこういった物語を大きく変えていく要素を提示するという位置付けになっているようで、あまり大きな冒険は起こらない。一応コルがクリーベント王子に誘拐されるという事件は起きるのだが、読んでいる感覚としては、国家を揺るがす大事件というより、王家の内輪の問題をどう収めるかという話に近く、アニメ作品だったら第一話あたりにきそうな話だな・・という感じがする。むしろ読者としては(そして劇中のコルが心配しているように)、「これは後でミューリが怒り狂うだろうな」というところに意識が向いてしまう。そのあたりはぼやかして書いているのだが、実際には間違いなく狼になったんだろうな・・とか想像してしまう。


    おそらくそういった「物語を展開させる要素」の一つとして先に処理をしておかないといけなかったのであろう、ハイランドとクリーベントの関係もこれまでの因縁はなかったのようにきれいにまとまる。王宮を舞台にした骨肉の争いや、こじれた姉弟の感情のぶつかり合いを期待していると、少し物足りないかもしれない。考えてみると、このシリーズで最も緊迫感が高かったのは、エイブがロレンスを殺そうとした時だった。あの時は実際にロレンスは怪我をしているし、一歩間違えたら死んでいた。

    ミューリとコルの組み合わせでは、なかなかああいった緊迫感を生むようなシーンは出てこないかもしれないが、これだけ大きな戦いになるのであれば、一回ぐらいはアクションシーンがあってもいいのではないだろうか。とはいえ、本来は神学の話なので、むしろ公開問答とかで話が終わってしまう可能性もある。

    0
    2026年06月07日

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    いやあ、なんというか、物語がすごく広がってきたなあという印象。
    もとより、教会と王国の対立、聖典の俗語翻訳、新大陸と、中世ヨーロッパで実際に起こった出来事が散りばめられてきたわけだけど、今回は活版印刷が重要なモチーフ。
    しかも、禁断の技術として。
    こういう、さもありなんという設定がいつもながらすごいなあと思う。
    現代人の感覚では見落としがちなことも当時ではほんとにすごいことだったんだよね。

    それにしても今回はミューリの出番はほとんどなくて、コルが自分でなんとかしていく展開で、いやあ、彼もホントに成長したんだと感心した。
    それでも、ラスト、彼がミューリのことを自分にとってどんな存在だと思っているか、ハッキリ分かるくだりは胸熱だよね。
    いつか、コルたちに相応しい戦場が訪れるかもしれない。
    その時、きっと彼と彼女は共に真っ直ぐその戦場を駆けていくのだろう。
    それが教会との宗教的な戦いなのか、新大陸なのかは分からないけれど。
    ふたりの冒険をこれからも追っていきたい。

    途中、ミューリが夢物語の自分たちの騎士物語を書いているけれど、一度読んで見たいものだ。
    そして、彼らの旅はすでに十分、伝記作家が後世に伝える冒険譚だと思うな。

    0
    2022年01月07日

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