中島敦のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
「山月記」は中学でも高校でも授業で読んだけど、中島敦の他の話はよく知らないなと思って読んでみた。表題作を含む4編を収録。
「読み進めるのが難しい本だな」と、まず感じた。話は全て中国の古典を題材に取っているので、人名、地名、役職名にとにかく馴染みが無く、ほぼ全てに注釈が入っているので本文と巻末の行ったり来たりを繰り返すことになった。
ただ、「山月記」が「芸術(というか人がそれぞれ持つ夢と言えるもの)への苦悩と後悔」を描いていることが分かりやすいように、それぞれの話のテーマや登場人物たちの心情はとても分かりやすく、ときにはとてもドラマチックに描写されている。
とにかく今回は内容を追うだけで精一杯 -
購入済み
中島敦の思想
中島敦の思想や哲学を一応小説の形態を取りながら随筆 エッセイ風に書き記した作品である。名高い「李陵」に代表される中国古典モノのような緊張感や高揚感はなく、平々凡々と平坦に書かれているので、読みやすくはあるが、それだけ という印象を与えてしまう。
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Posted by ブクログ
乙女の本棚シリーズ、私に取っての2冊目。
近代文学苦手な私でも国語の教科書で読んでからずっと印象に残っている山月記。
文体は難しく見えるが物語としては非常にシンプル、でも奥深い。
虎になってしまったのは心が人ざらなるものになってしまったのだろう。いやでもそれならここまでは自省し気がついたのなら人に戻ってもよかろうに、とか、妻子より自分の生きた証を優先することが本当にダメなことか?など本当色々考えさせられるのです。この作品は教科書という場に本当相応しい作品。
大人になった今でもやっぱり印象は変わらなかった。
それだけに、あと、最初に読んだ秘密の物語とイラストのコラボマッチ具合がよかった故に -
購入済み
難しい
読んで見ようと思いつつなかなか手が出なかった本。
旧仮名、読み方さえわからない漢字、意味が分からない言葉。でも、オドロおどろしさは伝わってきました。 -
Posted by ブクログ
「斗南先生」は漢学者の叔父を学生の主人公の目で描いたもの。「過去帳」は作家になる以前の自虐的、自省的な作品。チョッとグダグダした自分語りもあるが、あまり読み辛さはない。作者は自分に対する懐疑を強く持っていたことを再認識した。
「古譚」は、山月記を含む4短編。大学1年の頃に読んでいるので、30数年振りの再読。最初の作家(?)の悲劇は作家であることに対する疑問かなと若い時は思ったが、どうだろう。
「南島譚」「環礁」は南洋で見聞きしたことを収録したもの。作家にとって南洋とは、何だったんだろう。作家自身も西洋文明の目から、東洋文明の目から、日本人の眼鏡で、実は何も見ていないのでは、と自問している。