中島敦のレビュー一覧
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中島敦の本を開くと紙面が黒々としている。つまり、漢字が多いのだ。中国の古典に題材をとった小説が多く(この本に収められてあるのは、そういうのばかり)、難しい漢字、知らない言葉が多く、実は四割くらい意味が分からなかった。内容も哲学的で一字一句理解しようとすると疲れる。が、全体的に面白かった。
面白かった理由のその一は、読んでいて賢くなった気がするからだ。北風のことをいう「朔風」という言葉など漢文から来ている格好いい言葉遣い、漢字使い、漢文の知識がありとあらゆる所に散りばめられており、意味は半分くらいしか分からなくとも「これも日本文学の源流の一つなんだ。この短い熟語の中にぎゅっと意味が凝縮された -
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『文字禍』
「君やわしらが、文字を使って書きものをしとるなどと思ったら大間違い。わしらこそ彼ら文字の精霊にこき使われる下僕じゃ」 文字には、確かに魔力がある。「文字にならないもの、文字にできないものは存在しない」と人に思わせてしまうのだ。逆に言えば、この世のものは文字によって名付けられて初めて、人に「それがある」と認識されるのだ。主人公に言わせれば、PC、スマートフォンは文字の精霊の悪知恵の精髄だろう。画面に表示される文字にあることのみが世界の全てだ、と人を盲目にしてしまう。日本にも言霊信仰があったが、日本人は主人公とは逆に、文字の精霊を尊んでいた。この違いはどこから生じたのだろう。 -
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ネタバレ「山月記」が好きなんだが、ほかの中島敦の作品も読みたくて手にとる。
表紙の色が大変綺麗。
南島エッセイ的なのと中国ものと。
内地、というのが日本のことだというのを理解するのにワンテンポ必要とした。
ある巡査の~は関東大震災での風評による朝鮮人虐殺の件が当事者の悲しみと怒りともに描かれている部分があり、しかもそれが言論統制により封じられていくという
結構日本に批判的だと思うのだがまだ昭和一桁代は発表が可能だったのだなあ。
悟浄さんのはとてもおもしろく読んだ。
万城目さんので悟浄出立ってのがあったと思うんだが、
そして大変おもしろかった覚えがあるんだが、
こっからか?
孔子のもおもしろかった。
各 -
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もう何度読んでいるかは分からないが、折に触れて中島敦を読みたくなる時がある。
「隴西の李徴は……」から始まるあのリズム美に触れたくなるのだ。もはや中毒である。
そういう意味で、中島敦はすごい作家だなあと思う。33歳という若さで亡くなったが、この人が作品を生み出し続けていたなら……と想像してみると面白い。
私が角川版を購入したのは、森村玲さんのカバーが中島敦観とマッチしていたから。
最近、どの出版社にも言えるのだが読者獲得のために、不必要なほどマンガテイストのものに変えないでほしい。。。
さて。
「山月記」は言わずもがな、私は「名人伝」も大好き。
紀昌が世話になった師匠を倒さんとするも失 -
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読み始めると案の定、「漢文訓読体」というのでしょうか、
その古い文体に悪戦苦闘しました。
しかし、知らぬ間になんだかどんどん夢中になっていきます。
単純に物語が面白い。どの話も。
特に良かったのは、西遊記の河童の沙悟浄を主人公とした二作。
悩める沙悟浄が妖怪の賢者たちを訪ね歩き、教えを乞う。
そののちの三蔵法師一行との旅を彼の視点から綴った悟浄歎異。
まさか沙悟浄をこんな風に描くとは。
読み切るのはとても苦労しましたが、非常にユーモラスで、
とても楽しめた一冊です。
<収録>
1.李陵
2.弟子
3.名人伝
4.山月記
5.悟浄出世
6.悟浄歎異