中島敦のレビュー一覧

  • 文字禍・牛人 アニメカバー版

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    「牛人」の恐ろしい表情の表現の仕方がとてもイメージしやすくて怖い。こういうホラー、どこかで見たことがあるような気がする、というような表現だった。最後の「虎狩」も、些細な話なのにここまで読ませる魅力は何なんだろうか、と不思議に思った。

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    2022年03月27日
  • 李陵・山月記 弟子・名人伝

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    簡潔でかつ通説適切史実に忠実。
    儒教は詩と音楽を重んじることを認識。
    宮城谷、北方両氏の小説とつながった。

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    2022年01月22日
  • 文字禍・牛人 アニメカバー版

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    狐憑き
    現在の詩人、小説家にあたるシャクが物語を思い描けなくなるやいな村人に食べられてしまう話。生活に必要不可欠でない行動は表面上受け入れられていても、心の底では軽蔑されており、つまらなくなれば笑いは怒りに変わり、排斥されてしまう。

    牛人
    恋人に不義理を働いた主人公が、産まれた子供にジリジリジリと追い詰められ、最終的に怒る気力もなく、その悪意への畏怖の中餓死していく話。不義理が産んだ子はこの世の悪意そのものであり、自然への畏怖に匹敵するほど透明な恐ろさをもつ。

    文字禍
    文字の不思議。なんで線の集合体が意味や音を持ち得るのだろう。この問いを深く考えてはいけない。文字の精霊に食い殺されてしまう

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    2022年06月30日
  • 文字禍・牛人 アニメカバー版

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    素晴らしい短編集。
    中島敦の、外国を取材した物語はどれも一級品。
    特に牛人は秀逸。
    何度でも読み直したい作品たち。

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    2022年01月03日
  • 山月記(乙女の本棚)

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    ネタバレ

    教科書にも載ってたな、中島敦の『山月記』。割と好きな作品で、国語の授業でも楽しみだったけど、、、改めて読んでみると、また違った印象で面白かった。
    李徴さん、確かに人としてはなかなかダメな感じの人。そのダメさが転じて虎になっちゃう、という発想になるところが、中島敦のすごいところ。
    イラストも素敵だったけど、文章の内容とは多少ズレてて残念。ま、イラストはイラストで楽しめは良いのかも。小説からインスピレーションをもらって、ってことであれば素晴らしいです。

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    2021年12月02日
  • 文字禍・牛人 アニメカバー版

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     何故いま中島敦?という感じで書店に並んでいたこの角川文庫は初版が昨年、2020(令和2)年11月となっている。「奇妙な作家」円城塔さんが2017年に川端康成文学賞を取った『文字渦』という短編(未読)は、本書の「文字禍」に由来しているということのようで、それで角川書店がこれを発行してみたのであろう。
     中島敦は私が中学生だか高校生だかの頃国語の教科書に載っていて、ちょっと古くさくて硬い文体は非常に簡潔で、物語を端的に刻み上げる感じなのが私の周りの同級生たちの間では好評だった記憶がある。たしか高校の頃に新潮文庫の『李陵・山月記』を購入して読んだが、それきりになっていた。
     この新潮文庫版短編集を

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    2021年09月21日
  • 文字禍・牛人 アニメカバー版

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    堅苦しくて難しそう。って決めつけていたけど、個人的に芥川龍之介より読みやすいかも。世界観が少し不思議なのも好みで、他の作品も読み進めたいと思った。

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    2021年08月04日
  • 文字禍・牛人 アニメカバー版

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    中島敦の短編集。
    ちょっとおもしろいセレクションで、「狐憑(きつねつき)」「木乃伊(ミイラ)」「文字禍(もじか)」「牛人(ぎゅうじん)」「斗南先生(となんせんせい)」「虎狩(とらがり)」の6編を収める。
    中島敦といえば、流麗高雅な漢文調の文章が思い浮かぶが、それも知識人一族の中に育ち、漢文の素養があってのこと。祖父も伯父たちも漢学者、父は漢文教師、生母・継母・伯母も教師。とにかく教養を叩き込まれていなければ、自分の手であれだけの作品を生み出すことなどできないのだろう。敦の強みはその上に、英語も学び、世界への目が開かれていたことだ。遠く、ギリシャ、エジプト、メソポタミアまで。時を超え、それらの地

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    2021年07月12日
  • 山月記(乙女の本棚)

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    「人間は誰でも猛獣使いであり〜」のくだりはハッとさせられた。深く切ない物語。紙の本ならでは味わえる贅沢な一冊。

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    2021年07月04日
  • 李陵・山月記 弟子・名人伝

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     中島敦の本を開くと紙面が黒々としている。つまり、漢字が多いのだ。中国の古典に題材をとった小説が多く(この本に収められてあるのは、そういうのばかり)、難しい漢字、知らない言葉が多く、実は四割くらい意味が分からなかった。内容も哲学的で一字一句理解しようとすると疲れる。が、全体的に面白かった。
     面白かった理由のその一は、読んでいて賢くなった気がするからだ。北風のことをいう「朔風」という言葉など漢文から来ている格好いい言葉遣い、漢字使い、漢文の知識がありとあらゆる所に散りばめられており、意味は半分くらいしか分からなくとも「これも日本文学の源流の一つなんだ。この短い熟語の中にぎゅっと意味が凝縮された

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    2021年03月29日
  • 文字禍・牛人 アニメカバー版

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    中島敦作品を初めて読んだ。
    失礼ながら、見た目で読まず嫌いをしていましたがこの中にあるタイトル全て面白くあっという間に読んでしまいました。

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    2021年03月02日
  • 光と風と夢 わが西遊記

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    自分とは何かという疑問を持ち、高名な碩学たちに答えを求め続けた沙悟浄。五年が過ぎても明確な回答は見出せず、愚かではあっても確固としてあった自己をすら見失う。まず動くことが大切なのでは、との予感を得たのち観世音菩薩が現れ、やがて出会う悟空から学ぶことは多いと告げられる。
    その悟空には思慮や判断が行動の中に溶け込んでいて、文字に拠らない知識があることを思い知らされる。
    また、三蔵法師の身体の弱さの中にある、正しく美しく尊い精神の強さ、猪八戒の楽しみを楽しむ才能をも学ぶべき対象となる。
    悩める沙悟浄の造形が新しく感じられた。

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    2020年12月11日
  • 南洋通信 増補新版

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    日本統治下での南洋での暮らしの様子が興味深い。内地との明らかな差異を感覚的に感じることができて面白かった。

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    2020年11月07日
  • 南洋通信 増補新版

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    中島敦が、戦前の日本統治下のパラオに官吏として勤務していたとは知らなかった。中島敦がパラオに題材をとった小説と、パラオ時代の書簡を収録。日本の統治下の南洋について、知ることはあまりに少ないが、この作品集がそれを少し浮かび上がらせてくれる。

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    2020年09月20日
  • 山月記(乙女の本棚)

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    国語の教科書で多くの人が触れている名作ですが、生憎と学生時代に習う機会に恵まれなかったため、この本で触れるのが初です。
    原文だとなかなかに難解な部分があって、ネットで現代語訳を調べながら読みました。

    「人生は何事をもなさぬにはあまりに長いが、何事かをなすにはあまりに短い」はあまりにも身につまされる言葉だな、と思いますし、李徴の抱えたプライドだとか己の才能を信じることを諦めきれない気持ちだとかは、正直すごくわかってしまう……。
    人は誰しも李徴であるのかもしれないし、思春期にこの作品に触れ、これに含まれるものを理解してしまったなら、人生の見え方が変わってしまうだろうなあ……と思ったりもしました。

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    2020年08月31日
  • 名人伝

    購入済み

    世に名人は多かれど

    卓越とはまさにこのことか。

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    2020年06月08日
  • 李陵・山月記 弟子・名人伝

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    万城目学の悟浄出立にて中島敦の本作からの影響が語られており、読みたいと思った。

    李陵 万城目学の『父司馬遷』と対に読む事をお勧めします。

    弟子 子曰く〜に出てくる子路の話 孔子の清廉さと子路の潔白さを知る事ができた。

    山月記 藤田和日郎の『うしおととら』を思い出した藤田氏も本作からの影響を受けていたのだろうかと ふと思う。

    名人 極めすぎると一周するって事ですかね・・・ 個人的には本作の白眉!

    悟浄出世・悟浄歎異 悟浄考え過ぎ!流石の傍観者なだけある!

    因みに中島敦の写真がロンブー淳に似てると思うのは私だけでしょうか?

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    2019年08月06日
  • 宮沢賢治/中島敦

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    ネタバレ

    「山月記」が好きなんだが、ほかの中島敦の作品も読みたくて手にとる。
    表紙の色が大変綺麗。
    南島エッセイ的なのと中国ものと。
    内地、というのが日本のことだというのを理解するのにワンテンポ必要とした。
    ある巡査の~は関東大震災での風評による朝鮮人虐殺の件が当事者の悲しみと怒りともに描かれている部分があり、しかもそれが言論統制により封じられていくという
    結構日本に批判的だと思うのだがまだ昭和一桁代は発表が可能だったのだなあ。
    悟浄さんのはとてもおもしろく読んだ。
    万城目さんので悟浄出立ってのがあったと思うんだが、
    そして大変おもしろかった覚えがあるんだが、
    こっからか?
    孔子のもおもしろかった。

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    2017年08月17日
  • 李陵・山月記 弟子・名人伝

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    友人が好きだということで再度読む。
    山月記の臆病な自尊心と尊大な羞恥心は非常に印象的な言葉。
    李陵、弟子、悟浄出世も面白い。
    生ある間は死なし、死いたらばすでに我なし。何をかおそれん。
    賢者が他人について知るよりもグ社が自分について知る方が多い。
    悟浄出世の女偊の話が良い。P153

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    2014年01月08日
  • 李陵・山月記 弟子・名人伝

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    北方の「史記」を読んでいる流れから、「李陵」を再読したくなり購入。

    はじめて読んだのは中学で、その後高校で「山月記」が出てきて。
    どちらの頃も、ふーん…という感想でしか持たなかった。
    でも、今回はどの作品も夢中になって読み進めたし、響いた。
    あの頃すでに良書に出会えていたのに、気付けなかったんだなあ。
    遅くなったけれど、気付けて良かった。

    「李陵」「山月記」「弟子」「名人伝」「悟浄出世」「悟浄歎異」収録

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    2013年11月12日