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三十三年余の短い一生に、珠玉の光を放つ典雅な作品を残した中島敦(一九〇九―四二)。近代精神の屈折が、祖父伝来の儒家に育ったその漢学の血脈のうちに昇華された表題作をはじめ、『西遊記』に材を取って自我の問題を掘り下げた「悟浄出世」「悟浄歎異」、南洋への夢を紡いだ「環礁」など彼の真面目を伝える作十一篇。(解説 氷上英廣)
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Posted by ブクログ
岩波文庫 緑145-1 山月記・李陵 他九篇 著:中島 敦 出版社:岩波書店 文庫で1冊、中島敦がほしいとおもって購入する 逸品、名人伝と、文字禍がよい。 孔子、春秋戦国や、西遊記など中国に取材したもの、パラオ南洋庁時代に収集しただろう奇譚、そして、ペルシア、エジプトを舞台とする短編など、東洋...続きを読む、オセアニアを背景としたものが中心である。 国文学を修めたが、英語も堪能であったとある 芥川龍之介の再来を称えられた鬼才は、1942年33歳で喘息により他界する。 中島が長命であったら、戦後の文壇の様相はこれまでのものとは全く別なものになっていただろう。 あゝ、惜しいかな。 目次 李陵 弟子 名人伝 山月記 文字禍 悟浄出世 悟浄歎異 環礁 寂しい島 夾竹桃の家の女 ナポレオン 真昼 マリヤン 風物抄 牛人 狼疾記 斗南先生 解説 註 初出一覧 ISBN:9784003114513 判型:文庫 ページ数:384ページ 定価:1010円(本体) 1994年07月18日 第1刷発行 2007年05月23日 第21刷発行
西遊記メインキャラクターのひとりに「沙悟浄」という河童の妖怪がいる。 彼は作中の主人公ではないが、メンバーの中ではインテリで、妖怪であるにも関わらず冷静で思慮深い。 この短編には私が思うに、同書に収められている「山月記」に近い悲壮感がある。 振り切ったインテリにはなれず、主人公になりきれないと...続きを読む感じる現代人が沙悟浄に抱くのは「劣等感への共感」である。 「悟浄歎異」では沙悟浄目線で、主人公「孫悟空」への嫉妬や、驚くことに同僚とも言える「猪八戒」にも一種の尊敬の念を抱いていることが記述されている。
表題作「山月記」は言わずとしれた名作だが、「文字禍」「狼疾記」「環礁(ミクロネシヤ巡島記抄)」が特に好き。 「李陵」は読むのが大変で、まだあまり良さが分からない。 心の揺れ、自問自答、自意識、存在の不確かさ あたりがテーマになると思う。 とにかく文章が綺麗で、漢文的で硬いが意外と読みやすい。 思う...続きを読むに、ある種の人にとっては時代を超えた普遍性がある内容なので、波長が合えばするすると入ってくる。 狼疾記に書かれてる苦しみとか、本当にわかる、わかる、と思う。 中島敦は身体が弱いし当時の医療の質は推して知るところなので私なんかよりよほど苦しいんだけど。 狼疾記や環礁を読んでから山月記を振り返ると、より深く中身を掴めると思う。 妻子を日本に残しての南洋庁での官吏としての経験とか、女学校の講師をしながら小説家を志向して原稿を書き溜めていたこととか。 他の作品よりも一層実感のこもったものだったのかな?と伺えるので、やはり「山月記」は作者の代表作で、名作なんだなと思う。 もっと永く生きててくれればと思わずにはいられないが、病気であることと文学性が深く結びついてるのも難しい…
『国宝』を読んで、名人伝じゃん…と思い再読。やっぱりいいね。大学時代にがっつりやってたので、当時の自分はどう解釈してたんだろうと論文を読み返したくなった。
お馴染みの「山月記」である.数年前に国語教育批判が流行した時に槍玉に上がった山月記である.これを学校で教えることの一体何が悪いのか?これを理解しない輩の声が大きいことが物事を歪めているのではないだろうか? 前半の漢文調の「李陵」「弟子」「山月記」が素晴らしい.リズムが良いのだな.
又吉さんのYouTubeで紹介されていた本 人生は何事もなさぬにはあまりにも長いが、 何事かをなすにはあまりにも短い。 という言葉で有名だが、今の私には李徴が虎になり、人間の部分をしだいに失いかけてはじめて気づく、自身がかつて持っていた過剰な自己意識、根拠のないプライド、虚栄心を悔やむ部分が、我...続きを読むが身に照らしこの歳になって胸が痛む。 かつての私は李徴そのものではなかったか。虎になりかけていないか。 短いが、全てに無駄がなく、そして誰もが持っている人間の目を背けたくなる本性が表現されているからこそ、人生の座標軸を確かめるために、繰り返し読まねばならない名著だと思う。
☆西遊記を題材にした 「悟浄出世」「悟浄嘆異 」を もっと読んで見たかったです。 悟浄の人間くささが好きです。
教科書に載っていた「山月記」を、何度も読み返したことが、今も思い出される。以来、著者の作品、文章を折にふれて読み返してきた。 その漢文調の文章にミーハー心で接していただけかもしれないが、しかし、登場人物の心理描写どれにも、身につまされる思いを感じたことは間違いない。 収載されている作品では「悟浄...続きを読む歎異」をお薦めしたい。また、著者をよく知る友人氷上氏の解説も、著者の育った環境から近代日本の一風景をとても興味深く知ることができた。
高校生の教科書でお馴染みの山月記を始め、著者の代表作が並ぶ。特におすすめなのは、「悟浄歎異」。西遊記の沙悟浄の目線から、法師や悟空の人物像を客観的に観察している奇作。
思いっきり泣くと、ストレス解消や健康にいいそうです。 それも、玉ねぎで涙を出すなどではだめで、感動して心から涙するのがいいそうです。 「山月記」はわずか十数ページの作品ですが、すごく泣けました。 最初の2ページでもう泣けて、最後の3ページくらいはもう止まりません。 あまりの素晴らしさに(そして作...続きを読む品も短いので)知人に全編朗読して聞かせてみました。 読みながら何度も涙をこらえたことは言うまでもありません。 読み終えた後の知人の感想は 「泣き所、あった?」 でした。 感動のポイントは人それぞれです。 なお、その知人は今はだんなさんになりました。
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