中島敦のレビュー一覧
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中島敦の『文字禍』と素敵なイラストがコラボする、乙女の本棚シリーズ43巻です。
アッシリアのナブ・アヘ・エリバ博士は、アッシュールバニパル王から“文字の精霊”が引き起こす災いについて研究するよう命じられます。
研究の成果として文字の精霊が存在することを発見しますが、精霊の厄介さを知った彼は王に文字を使わないことを進言し軟禁状態となります。
この成り行きも文字の精霊の暗躍によるものとされましたが、博士には更なる災厄が待っているのでした…。
このような不可思議な物語を不可思議なイラストで彩った本書は、その世界観を増幅させている良書です。
特に文字の精霊は楔形文字を擬人化したような存在でとても素敵で -
Posted by ブクログ
昔教科書で読んだ山月記を久しぶりに読みたいなと思ってた時にタイミングよくプレミアムカバーで購入。山月記はもちろんのこと李陵が素晴らしく良かった。三人の人物の生き様が描かれるが三人それぞれに「自分が思い描いていた人生からは意図せず外れた状況」の中での葛藤や生き方の違いが描かれる。三者三様に身につまされる。太平洋戦争中に書かれた作品であることや、夭折してしまった著者の遺作であることも含めて色々と考えさせる力を持った作品。夭折の作家にはもれなく思うことだけど長生きして戦後の社会を生きていたらどんな作品を描いていたんだろうなと残念でなりません。
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山月記
「臆病な自尊心」「尊大な羞恥心」
「しかし、袁傪は感嘆しながらも漠然と次のように感じていた。なるほど、作者の素質が第一流に属するものであることは疑いない。しかし、このままでは、第一流の作品となるのには、何処か(非常に微妙な点に於いて)欠けるところがあるのではないか、と。」
「己の珠に非ざることを惧れるが故に、敢えて刻苦して磨こうともせず、又、己の珠なるべきを半ば信ずるが故に、碌々として瓦に伍することも出来なかった。」
「人生は何事をも為さぬには余りに長いが、何事かを為すには余りに短いなどと口先ばかりの警句を弄しながら、事実は、才能の不足を暴露するかも知れないとの卑怯な危惧と、刻 -
購入済み
半自伝的作品
少年時代の一時期を朝鮮の京城(ソウル)で過ごした作者中島敦の半自伝的作品である。作品に明確な主義主張や意図があるわけではなく、少年時代に感じたこと考えたこと行動したことを飾りなく書いているので、かえって感銘を受ける。そして場面を東京に移しての終幕が非常に印象的である。
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購入済み
国語の教科書の常連だが
この作品は、国語の教科書の題材として最も取り上げられている物だそうだ。なぜこの物語が常連となったのか、そちらの方から考えてみるのも面白い と考えてしまった。だいそれたのぞみを持たず 分相応に暮らしなさい ということなのかな。
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購入済み
愛すべき稚気
数多い孔子の弟子の中でも群を抜いて目立ち独特の地位を占めていた「子路」の話である。そしてこの弟子 子路を描くことを通じて孔子自身の姿をくっきりと描き出している。作者 中島敦がこの作品を書いたのは80年も前であるが、キビキビとした切れ味の良い語り口は今読んでみても非常に心地よい。作者の力量を感じることができる。
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購入済み
師匠との殺し合い
この作品の感想に多い「最後の境地は?」というテーマにはさほど興味を惹かれなかった。名人の境地の極まったもの と感じることも 老耄に至ってしまった と考えることもできる。それよりも、師匠に対して矢を射かけ師匠も反撃する の節にずいぶんと感銘を受けてしまった。
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購入済み
先が気になるね
李陵という前漢の武人を題にした小説、であり
李陵のみならず武帝、蘇武、司馬遷らの人生の顛末についても描かれている
李陵は敗れ降る事になる、武帝は病没する、司馬遷は腐刑(宮刑)に処される、
誰もが苦境に陥る事になる
しかし中原(この場合は「ちゅうげん」であり「なかはら」にあらず)から
辺境へと戦いに赴く、若き日の李陵と
その意気を評価した武帝らが活写されており
胸躍る部分もある
武帝を、秦始帝や隋煬帝と並べているが
隋はずっと後の時代だ
ここだけでも小説だと分かるね
史書じゃないよ