中島敦のレビュー一覧
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昔教科書で読んだ山月記を久しぶりに読みたいなと思ってた時にタイミングよくプレミアムカバーで購入。山月記はもちろんのこと李陵が素晴らしく良かった。三人の人物の生き様が描かれるが三人それぞれに「自分が思い描いていた人生からは意図せず外れた状況」の中での葛藤や生き方の違いが描かれる。三者三様に身につまされる。太平洋戦争中に書かれた作品であることや、夭折してしまった著者の遺作であることも含めて色々と考えさせる力を持った作品。夭折の作家にはもれなく思うことだけど長生きして戦後の社会を生きていたらどんな作品を描いていたんだろうなと残念でなりません。
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山月記
「臆病な自尊心」「尊大な羞恥心」
「しかし、袁傪は感嘆しながらも漠然と次のように感じていた。なるほど、作者の素質が第一流に属するものであることは疑いない。しかし、このままでは、第一流の作品となるのには、何処か(非常に微妙な点に於いて)欠けるところがあるのではないか、と。」
「己の珠に非ざることを惧れるが故に、敢えて刻苦して磨こうともせず、又、己の珠なるべきを半ば信ずるが故に、碌々として瓦に伍することも出来なかった。」
「人生は何事をも為さぬには余りに長いが、何事かを為すには余りに短いなどと口先ばかりの警句を弄しながら、事実は、才能の不足を暴露するかも知れないとの卑怯な危惧と、刻 -
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半自伝的作品
少年時代の一時期を朝鮮の京城(ソウル)で過ごした作者中島敦の半自伝的作品である。作品に明確な主義主張や意図があるわけではなく、少年時代に感じたこと考えたこと行動したことを飾りなく書いているので、かえって感銘を受ける。そして場面を東京に移しての終幕が非常に印象的である。
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国語の教科書の常連だが
この作品は、国語の教科書の題材として最も取り上げられている物だそうだ。なぜこの物語が常連となったのか、そちらの方から考えてみるのも面白い と考えてしまった。だいそれたのぞみを持たず 分相応に暮らしなさい ということなのかな。
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愛すべき稚気
数多い孔子の弟子の中でも群を抜いて目立ち独特の地位を占めていた「子路」の話である。そしてこの弟子 子路を描くことを通じて孔子自身の姿をくっきりと描き出している。作者 中島敦がこの作品を書いたのは80年も前であるが、キビキビとした切れ味の良い語り口は今読んでみても非常に心地よい。作者の力量を感じることができる。
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師匠との殺し合い
この作品の感想に多い「最後の境地は?」というテーマにはさほど興味を惹かれなかった。名人の境地の極まったもの と感じることも 老耄に至ってしまった と考えることもできる。それよりも、師匠に対して矢を射かけ師匠も反撃する の節にずいぶんと感銘を受けてしまった。
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先が気になるね
李陵という前漢の武人を題にした小説、であり
李陵のみならず武帝、蘇武、司馬遷らの人生の顛末についても描かれている
李陵は敗れ降る事になる、武帝は病没する、司馬遷は腐刑(宮刑)に処される、
誰もが苦境に陥る事になる
しかし中原(この場合は「ちゅうげん」であり「なかはら」にあらず)から
辺境へと戦いに赴く、若き日の李陵と
その意気を評価した武帝らが活写されており
胸躍る部分もある
武帝を、秦始帝や隋煬帝と並べているが
隋はずっと後の時代だ
ここだけでも小説だと分かるね
史書じゃないよ -
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ネタバレ「山月記」
虎だね。
「名人伝」
主人公の紀昌が天下一の弓の名人を目指す話。往年の少年漫画のような展開が多く、思わずニヤリとしてしまう。特に、紀昌が山奥の老名人のもとへ赴く件が面白い。
長年の研鑽により師匠と同等の腕になった紀昌は、師匠から山奥に住む老名人の話を聞く。「老師の技に比べれば、我々の射の如きは殆ど児戯に類する。」自分の技量に自信を持つ紀昌は、これを聞いてすぐに老師の住む山へ赴く。やはり、真の名人は山奥に住む老人でなければならない。老師に出会った紀昌は、自分の弓の技量を見せつけるため、挨拶も早々に、空高く飛んでいる鳥を打ち落とす。これを見た老師の発言が秀逸。「一通りできるようじゃな、 -
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ネタバレ『山月記』についての記述。
高校の授業で初めて接した作品です。
冒頭で主人公の李徴に親近感を抱いたので、発狂して虎になる展開はショックでした。
何となく自分の事が書かれている様な気持ちになるのです。
以来、何十年も経ちますが、何故か『山月記』は私の心にずっと存在しています。
現在では、YouTubeで多くの方が朗読されているので、時おり聴いて李徴に憐れみを覚えるのです。
決して読んで楽しくなる作品ではないのに、つい紐解いてしまう不思議な魅力が『山月記』には有りますね。
強いて言えば、李徴の不幸を芸術の域にまで昇華させてしまう、中島敦の才能に触れたくなるのでしょう。
本文から抜粋。
「己 -
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ぐわわわ〜〜〜ん
いやぁ分かる
たぶん分かる(たぶんかよ!)
はい『山月記』でございますよ!
うん、これね中学生の頃読んだ記憶がうっすらとあるんですよね
で、「わがんね」ってぽいした記憶がうっすらとあるんですよ
中学生の頃、いっとき「文学青年」に憧れたという黒歴史がありまして、いわゆる「純文学」の触りを一通りさらった時期がありまして、その時この「山月記」も手にしてるんですよね
まぁ、分からんかった
「純文学」分からんかった
そんときはまぁ中学生だからまだ少年だなと、カテゴリー的に少年だったなと思って「文学青年」はあきらめたんですが
今分かるよ
主人公李徴の悲哀が分かるよ、慟哭が分かる