中島敦のレビュー一覧
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思いっきり泣くと、ストレス解消や健康にいいそうです。
それも、玉ねぎで涙を出すなどではだめで、感動して心から涙するのがいいそうです。
「山月記」はわずか十数ページの作品ですが、すごく泣けました。
最初の2ページでもう泣けて、最後の3ページくらいはもう止まりません。
あまりの素晴らしさに(そして作品も短いので)知人に全編朗読して聞かせてみました。
読みながら何度も涙をこらえたことは言うまでもありません。
読み終えた後の知人の感想は
「泣き所、あった?」
でした。
感動のポイントは人それぞれです。
なお、その知人は今はだんなさんになりました。 -
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宮沢賢治と中島敦。
『東北・南洋・中国・韓国など周縁から文学の中心に迫った
純粋かつ豊饒なる作品世界』
という帯の解説。
中島敦は初めて読みました。
南洋の世界の『環礁』や日本占領時代の朝鮮の
『巡査の居る風景』。中国の故事を基にした、
『李陵・司馬遷』『弟子』『悟浄出世』『悟浄歎異』
独特の世界観は引き込まれる感覚や、心象の描きかた、
その土地の風俗や風景やにおいが濃密に描かれていて
面白いと思います。
宮沢賢治の童話と詩。特に詩の『春と修羅』と『疾中』は
声に出して読むと、ぞくぞくとする内容です。
また、『ひかりの素足』と『ポラーノの広場』は
不思議な感覚の童話です。これも引き込まれる感じ -
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美しい文体の作家は?と聞けば意見は分かれると思いますが、格好良い文体の作家は?と聞けば中島敦はかなりの高確率回答を得るのではないでしょうか。
〝漢の武帝の天漢二年秋九月、騎都尉・李陵は歩兵五千を率い、辺塞遮虜を発して北へ向かった。(中略)朔風は絨衣を吹いて寒く、如何にも万里孤軍来るの感が深い。漠北・浚稽山の麓に至って軍はようやく止営した。既に敵匈奴の勢力圏に深く進み行っているのである。秋とはいっても北地のこととて、苜蓿(うまごやし)も枯れ、楡や川柳の葉ももはや落ちつくしている。木の葉どころか、木そのものさえ(宿営地の近傍を除いては)、容易に見つからないほどのただ沙(すな)と岩と磧と、水の無い -
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ちょっと、変わった作風です。
全部じゃないですが、「中国の故事、古典の逸話にのっとって、独自の解釈と視点で人間ドラマを描く」ということですね。
つまりは、芥川龍之介さんもこういうの、やっていますね。漢籍に限りませんが、「蜘蛛の糸」「西方の人」とか。そういう感じ。
お友達に勧められた本です。中島敦さん。何十年も前から本屋さんで名前は見ていたけど、読んだことありませんでした。
1909-1942。33歳で病死しちゃったんですね。1942というと、十五年戦争、日中&太平洋戦争の真っ最中。まだ、日本劣勢があらわにならない頃ですね。
貧しくは無く漢学教養豊かに育ち、当時の東大の文学部だそうなんで、超エ -
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「李陵」
李陵と司馬遷、二人の不遇な男の物語。
祖国への忠心を頑に守るのか、柔軟に新たな恩義を大切にするのか、どちらの生き方が正しいのかは誰にも判断できないが、迷いのある者が苦しむことは確か。
「悟淨出世」
西遊記でおなじみの沙悟淨が、三蔵法師一行に出会うまでの話。自分とは何なのか、何のための人生なのか。答えのない問いにとらわれて苦しむ悟淨の姿には、誰しもが人生に対して感じる言いようの無いもどかしさが表れている。
案ずるより生むが易しという、簡単な言葉で殻を破れるのもまた、悩みというものの本質か。
「牛人」
魯の名大夫、叔孫豹のエピソード。突如叔孫豹の前に現れた生き別れの倅・牛が、叔孫を死の恐 -
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改めて読んでみたくなって、中島敦を手にとった。
本書を編纂するにあたり、解説を書いた氷上英廣氏は李陵に代表される中国物、悟浄出世に代表されるユーモアと哲学を交えた短編、環礁に代表される南洋物とおおまかに3種類に分けている。それぞれに趣の異なる作風だが、私自身としては、やはり中島敦の代表作「李陵」が良かったと言わざるを得ない。わずか50ページと非常に短い小説だが、凝縮された内容に、長編を読んだほどの満足感がある。
今回あらためて中島敦を読んでみて思ったことがある。
中島が主人公に据える人物は、皆おしなべて「優秀だが十分にその道を極めきれず、そばにいる極めた人物にさまざまな思いを抱く」という特