山本博文のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
週刊誌連載なのでコラム的、そして連載を1回しか読まないことも想定されており、各章で内容がまとまっていてとても読みやすい。取り上げているのは鬼平や田沼意次、松平定信の居た時代の江戸の武家たちの昇進競争について。ネタ元は松平定信が集めさせた「よしの冊子」が主。
「鬼平」長谷川平蔵のことはテレビ時代劇「鬼平犯科帳」をやっていたことぐらいしか知らず、池波正太郎原作も未読。しかしテレビの刷り込みとは恐ろしいもので、水戸黄門、銭形平次、暴れん坊将軍などのように「良い人」と思い込んでいた。確かにやり手だし江戸の町衆からは慕われていたのだけど、やり方はどうかと思われるところも多い。というか著者の視点がわりと厳 -
Posted by ブクログ
春に一気に咲き誇り、潔く散りゆく桜を見るたびに、読み返したくなるのではないかと思います。
本書を手に取ったきっかけは、本村凌二さんの『教養としての「世界史」の読み方』の中にあった「古代地中海世界に一〇〇〇以上あった都市国家の中で、なぜローマだけが大帝国になり得たのか。十九世紀後半、欧米列強が植民地化を進めるアジアで、なぜ日本だけが植民地支配を免れ独立を保つことができたのか。」という問いです。その問いに対する一つの仮説として「ローマでは「父祖の遺風」、日本では「武士道」という、精神の柱とでも言うべきものがあったからではないか」と提示されており、興味を持って手に取りました。
また、新渡戸稲造が