山本博文のレビュー一覧
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読み直しの2回目です。前回、記録を書き忘れてしまいました。
摂関政治から院政、院政から平家の世の中へと時代は移り変わっていきます。権力を握った者ばかり注目される中、当然、権力を握れなかった人たちも大勢いるわけです。その人たちの感情が、少し書かれているのが良いですね。崇徳上皇などは実に可哀想です。
また、奥州藤原氏もしっかり取り上げられています。都から離れていたため表舞台に出てくることは少ないものの、一時代を築いた大きな存在です。義経ファンの私としては、特別な親近感があります。
本筋とは離れますが、徳子のキャラが美しいです。実際はどうだったのでしょうか。ネットで見る限り、建礼門院の -
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東京大学史料編纂所教授の山本博文(1957-)による、日本の官制を中心とした位階・身分制度の概説。
【構成】
序章 時代をあらわす「格差」と「序列」
第1章 部族的社会から官僚制へ-古代
1 大王家と豪族
2 「律令国家」とは何か
3 摂関政治の官僚たち
第2章 血筋から実力の世へ-中世
1 院政と私的主従関係
2 鎌倉武士たちの官僚制
3 朝廷権威の失墜と室町幕府
第3章 武家の論理と政治の安定-近世
1 織田・豊臣の中央集権
2 江戸幕府の政治組織
3 旗本、御家人の出世
4 幕府制度の近代化
終章 格差解消の時代-近代・現代
本書が扱うのは、各時代の政務・行政を担 -
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政変の陰に相続問題あり!徳川将軍家から御三家、諸大名家まで、骨肉相食む内紛劇の真相を読む。古来より、戦乱や政権崩壊の原因となってきた家督の相続問題。徳川治世下の江戸時代もまたしかり。将軍家や大名家の中では、熾烈な後継者争いが繰り広げられていた。子どもが生まれない、父親が家督を譲らない、正室対側室の争い。「御家断絶」の一大危機を、武士たちはいかに乗り越えたか?(2016年刊)
・はじめに
・序 章 徳川家康はなぜ天下を取れたのか
・第一章 徳川将軍十五代の血脈ー徳川宗家の御家相続
・第二章 将軍家存続のために創られた家ー御三家・御三卿の御家相続
・第三章 幕府に翻弄された「家門」松平家ー徳川 -
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著者の山本博文氏は、日本近世史を専門とする歴史学者。1992年に「江戸お留守居役の日記」で日本エッセイスト・クラブ賞を受賞し、その後も江戸時代の大名や武士を取り上げた作品を多数発表している。
本書は、「歴史学」と「日本通史」という大きなテーマ二つを取り上げている。
前段では、歴史学は何を目指しているのか、歴史学とはどういう学問なのかに加えて、歴史学にはどのような技法があるのか、即ち、歴史を学ぶ上で必要な「考え方」や「見方」が紹介されている。
そして後段では、前段の「歴史学とは何か」を踏まえて、幕末までの日本の通史を、“著者の解釈”に基づいて展開している。それは、日本の幕末までの歴史を、鎌倉幕府 -
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庶民に愛された長谷川平蔵がなぜ町奉行になれなかったのか?松平定信の真意、ライバルたちの暗闘を寛政期の史料から読み解く。(2002年刊、2007年文庫化)
・プロローグ 「よしの冊子」が明かす寛政期の旗本たち
・第一部 「鬼平」長谷川平蔵と好敵手たち
・中休み 「好色将軍」家斉と乳母問題
・第二部 森山孝盛と武士の出世
・エピローグ 平蔵とその好敵手たちの「その後」
・あとがき
2015年新書版を再読。(目次を見ると、一部分修正されているようである。挿絵も削られている。)
本書は週刊現代の連載をまとめたものであり、大変、読みやすい内容となっている。文庫化にあわせてタイトルが修正され、名は体を -
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歴史学の視点から史実と様々な説について、きちんと整理しているのはありがたい。古代から中世、中世から近世の転換期について丁寧に説明しているのも、歴史の流れをつかむのに役立った。
さきたま古墳群から出土した鉄剣に書かれた「ワカタケル大王」は、熊本県の江田船山古墳から出土した鉄剣に書かれた名前も同じと考えられており、五世紀に九州から関東に及ぶ政権があったことが判明している。宋書の倭人伝に書かれている「倭の五王」の武が、日本書紀に大泊瀬幼武(ワカタケル大王)と書かれた雄略大王とされている。
かつての1万円冊に使われた聖徳太子の肖像が持っている笏は、奈良時代の遣唐使によってもたらされたもので、聖徳太 -
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タイトルと内容はちょっとずれてますね。
山川の教科書を大人向けに書き直した(と言いつつ、ほぼそのまま)の例のシリーズが売れていることに焦りを感じて、変な汗をかいてしまってる。
内容としては、歴史研究を仕事としている人たちは、どうやって歴史を紐解いているのか。教科書に淡々と書かれた史実は、何を起源にどうやって事実と認められてきたのか、という歴史研究の裏舞台を語ることが本編。
その題材として、魏志倭人伝を拠り所にした古代、正史を持つ平安時代、私的な記録も多い戦国時代などを扱っている感じ。
一応、歴の流れというか、普遍的な何かを知りたい、という(山川本を意識した想定上の)読者の問には答えようとは -
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歴史学が科学であることを丁寧に示している。
分かっているけれども、過去の歴史を舞台にしたフィクションを私たちは本当だと思ってしまいがちだ。SFは想像力の産物だと分かっているのに、歴史物になるとそこが変わってくるから摩訶不思議な生き物だ、人間は。
また、私は中高時代、歴史が嫌いだった。著者が言うように年号と事実の無味乾燥な暗記科目の思えたからだ。しかし、科学であると気づいた日から腑に落ちるものがあった。そのことが本書の肝だろう。
・古来のものと思われている神道も鎌倉時代に形成された
・近世以前、政治と文化は密接だった
・歴史的思考力とは、現代を見るときに歴史的な視野で考えられること