山本博文のレビュー一覧
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日本史を一望できる入門書。これまでの歴史教科書は細部にこだわるあまり歴史を俯瞰する視点を見失っていたのではないかという反省から、本書では信頼できる日本史の鳥瞰図を提供してくれる。世界システム論やアナール学派についての簡潔な説明もありがたい。ただ、良書ではあるものの、やや中途半端な印象も。
というのも、本書は、史学概論的な前半部(序章〜第2章)と、日本通史を概略した後半部(第3章〜第4章)とに大別できるが、新書版で両方をやろうとするのはやはり無理があるように思える。史学概論に的を絞った好著、小田中直樹『歴史学ってなんだ?』(PHP新書)と比較すると、なんだかもったいないなぁという感じは否めない -
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古本で購入。
東京大学史料編纂所教授による日本史入門書。
史料を巡るあれこれを述べていくわけではあるけど、テーマになっているのは「如何に歴史に親しみ、自分なりの歴史を見る眼を持つか」。
教科書の丸暗記的知識ではなく、歴史の中で生きてきた人々のことを考えるのは楽しいよ、ということを著者は言う。
そのための格好の素材が「古文書」であると。
そうは言っても古文書を読んで理解するにはそれなりの知識が要るわけで。
だから本書は「日本史を勉強して知識を得たけどそれで満足している人」向けと言っていいと思う。
少しでも日本史に興味のある高校生あたりに読んでもらいたいね。
内容については、 -
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以前、エコノミストの伊藤洋一氏がpodcastで紹介されていたので手に取ってみた本です。
材料となった史料は、大石内蔵助が浅野内匠頭の正室瑤泉院に向けて残した「預置候金銀請払帳」、現在は箱根神社に所蔵されています。
その討入プロジェクトの決算書とも言うべき「預置候金銀請払帳」に記された支出項目は113項目、亡き主君に対する仏事費から御家再興工作費、旅費・江戸逗留費・潜伏中の住居費・飲食費そして討ち入りのための武器購入費等々、その使途は様々、その記述は詳細にわたります。
忠臣蔵関係の研究はそれこそ山のようにあるのでしょうが、討入りの生々しい実態を「金銭面」から明らかにするというアプローチ -
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女性優位のスポーツ界において、私が知る限りで男性も活躍したスポーツの1つにフィギィアスケートがありますが、数年前に織田家の血を引くと言われる織田信成氏がいることを知りました。「信」という諱に興味が引かれて、お顔を拝見したら信長の面影が残っていたので驚いたことを覚えています。
その後に、次男信雄の子孫から大名が江戸末期まで続いていることを知り、織田信長亡き後の織田氏について興味を覚えました。この本によれば、滅ばされた豊臣家とは異なり、江戸時代に織田家は、大名4家・旗本10家が存在していたようです。
信長については多くの本を読んできたつもりですが、主に「織田信長」個人の活躍について述べたもので -
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戦国動乱の世、その「血」を握る者のみが支配者であった。
本能寺の変で斃れた信長、あとを襲った秀吉、家康。
全国統一の支配権力は、こうして生まれた。
時代を超えた「革命児」の意志と、末裔たちの盛衰を描く。
天正十年六月二日、織田信長は本能寺の変で斃れ、49年の
生涯を閉じた。見果てぬ夢となった天下統一、この「織田体制」
とは何だったのか?織豊政権の権力構造を解き明かしつつ、信長
一族や末裔が辿った運命を克明に検証する。
さくさく読めてしまいました。山本氏の著書だけあってそつがあり
ませんが、私にとっての山本氏は近世史家(豊臣〜徳川)のイメー
ジが強いので、中世(織田)は違和感がありますが、織田 -
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