山本博文のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
Chivalry 武士道
Valor 勇気
rectitude 義
veracity 信
sincerity 誠
fortitude 忍耐
あまり触れない英単語で、これらが英語話者にしっくり来るんだと発見。
新渡戸稲造って、奥さんは米国人で、この本を英語で書いたのね。それは、シンプルに、すごい、そりゃお札の顔になるわ、とレベル低い感想から始めて恐縮。
サムライの刀が西洋人にはそんなに恐れ野蛮に思われていたのを知らなかった。その誤解を正そうと武士道を書いたと言うきっかけも初めて知った。
そしてその刀を用いた腹切りは、悪いことをしたから死をもって償うという意味はともかく、悲壮になることなく淡々と腹切りをしたということ、それは武士の精神もさることながら、人の命が今より軽く見られていたというのがショック。
武士道が最も重要視しなかった算術。金融経済は卑しいものとされ、商人に任せた。金儲けを考えるのは卑しいと考える日本人の気質はここから来てるかも。
反対に、金銭で測れない職業かある、と言うのはすごい深い考え方だ。教師、武士がそうだったと言う。その職、地位に就くのは高潔な人のみであり、そう言う人は金のために働かず清貧な暮らしを送り徳を積み尊敬される。
西洋からの近代経済が流れ込み、何でも金銭価値で測られるようになり、全く逆の価値観と相容れなくなった。
武士道は哲学だ。 -
Posted by ブクログ
コーヒーの味や風味、種類、歴史などに触れている類書は多いが、フェアトレードについて、とくにくわしい。
取引の実際や収穫後の工程、トレーサビリティなど、コーヒー豆のSDGsがわかる。ここら辺の話はむずかしくなりがちだが、サクサク読める。
カエルマークのレインフォレスト・アライアンス認証コーヒーを見かけた人も多いと思うが、コーヒーといえば環境保護だったり、フェアトレードだったりと、SDGsが普及する前からそれらイメージが強いし、まさに教養として身につけておきたい内容と感じる。
飲み方についても、品評的ではなく、コーヒーは楽しむもの、という考え方は共感できるし、地産地消ではなく知産地消(その地域を知って、消費すること)という考え方も、SDGsやフェアトレードの本質ではないかと、刺激を受けることができた。
「ビジネスエリート」というタイトルで手に取りたくない方もいると思うが、「コーヒーをもっと楽しむ、好きになるための教養」と思って読んでほしい。 -
Posted by ブクログ
2025/07/10
p.29
神道の自然崇拝は、国土を私たちにとって心の奥底からいとおしく思える存在にした。また神道の祖先崇拝は、次々と系譜をたどっていくことで、ついに天皇家を民族全体の起源とした。
おそらく神道は、中世のキリスト教の教会とは違って、信者に対してほとんどなんの信仰上の約束事も規定せず、そのかわりに、まっすぐで単純な行動基準の形式を与えたのである。
2026/01/27
p.77
第7章 信と誠
信すなわち誠がなければ、礼は茶番や見世物になってしまう。伊達政宗は、「礼が過ぎると嘘になる」と言う。「心だに誠の道にかないなば、祈らずとても神や守らん」と言った歌人は、ボローニアスを凌駕している。 -
Posted by ブクログ
現代人が武士と聞くと、まず思い浮かべるのは戦国時代の徳川家康家臣、蜻蛉切で有名な本多忠勝や真田幸村などを思い浮かべるかもしれない。古くは平安時代の源頼朝に仕えた弓の達人の那須与一、そして日本人の心を掴んで離さない楠木正成など、古今東西問わず未だ、誰が最強かといった議論が巻き起こる程に人気がある。武士といえば、自分の得意とする武器を巧みに扱い、戦場に出ては数千の敵を前にしても、恐れを知らずに敵を斃していく、そんな姿を思い浮かべるのではないか。徳川家康が天下を平定したのち、江戸時代は260年以上も続き、次第に世が平和になっていくと、武士が戦場を駆け回り活躍するような機会は減っていく。寧ろ平和な世に物騒な日本刀を振り回されてはかなわない。徐々にその立ち位置を微妙なものにしつつも、失われずに残ったのが、武士としての立ち振る舞い、心構え、生き方にも通ずるであろう、武士の道としての「武士道」である。古くは佐賀藩士の山本常朝の話した内容を纏めた『葉隠』に既に「武士道」という言葉が登場し、その後も幕末の万延元年に山岡鉄舟が「武士道」を記し、そこでは「神道にあらず儒道にあらず仏道にあらず、神儒仏三道融和の道念にして、中古以降専ら武門に於て其著しきを見る。鉄太郎これを名付けて武士道と云ふ」と記されている。勿論、その武士のあるべき姿はずっと古くから、武士と呼ばれる者たちの心の中で連綿と受け継がれてきたものであり、体系的に纏められたりする事なく、武士の生き様として続いてきたものだ。
本書「武士道」は新渡戸稲造が自身の妻や海外の友人たちに、日本人が何から道徳を学ぶのかと尋ねられ、答えに窮した事から執筆されたものである。よって最初は海外向けに全て英語で記されていたが、その後日本人の手により日本語訳されるという逆輸入の形で入ってきた。そこには武士の魂の根底にある「義」をはじめとし、「仁」「礼」「信」などの説明、武士が何故に切腹という責任の取り方を用いるのかなど、武士道とは何か、そこから日本人が何を学び取り、どう生きているかを17章にわたり説明していく。海外の人からは理解し難い武士の切腹や、キリスト教国の「騎士道」との対比が武士の姿を克明に明らかにしていく。その記述は外国人向けということもあり、外国人がよく知る文献や宗教観との比較が多く用いられ、日本に古来から存在する武士が、西洋の文化と同レベル、若しくはそれ以上に優れた形で道徳として成立してきた事を説明している。当たり前ではあるが、決して外国の考え方を真っ向から否定したり、日本の考え方が優れていると大っぴらに言うものではない。その奥ゆかしさも武士道と言えばわかりやすい。
残念ながらその後の日本は軍国主義に振れ、太平洋戦争の特攻隊のように、喜んで死に向かう若者の姿に重ねられていく。なお特攻隊の名前である「敷島隊」「大和隊」「朝日隊」「山桜隊」は万葉集の「敷島の大和心を人問わば朝日ににおう山桜花」の歌からとられている。
本書の中でも取り分け興味深いのは、武士の死に対する考え方である。武士が刀を抜くときは、相手を殺すか、殺せば自身も罪を償うために死するか、さらには殺し損ねても武士としてあるまじきとして死ぬか。兎に角、刀を抜く事はすなわち武士にとって死を意味する。武士は名誉を重んじるから、それを傷つけられる事は死よりも屈辱的となる。だから名誉のためなら死を恐れる事はない。こうした考え方が、正に前述の特攻隊にとっては都合の良い受け止め方をされたのだろう。現実、死に直面した若者たちが、国の為、愛するものの為と次々と命を散らしていく姿は、武士道の中にある散る桜の美しさを思わせる。
日本人なら一度は読んで触れてみたい考え方である。エコノミックアニマルと呼ばれて久しい日本人の姿を、当時の武士たちがどのような目で見ているだろうか。その視点を知り、自分の生き方を正すきっかけになる一冊に違いない。 -
Posted by ブクログ
今年(2024)のGWの大掃除で発掘された本のレビューは大方終わりましたが、その前に娘夫婦が宿泊した時に大慌てでスースケースにしまい込んだ本があり、それらの本のレビュー書きを終了させたく思っています。
記録によれば、まだまだ世の中がコロナ騒動の真っ最中だった、4年前(2020.5)に読み終わった本です。読み終わった時に、自分で評価を星5つをつけています、内容をほとんど覚えていないのですが、レビューを書きながら振り返りたいと思います。
以下は気になったポイントです。
・兵糧米は現在の貨幣価値でいくらだろうか、当時の米1石を8万円とすると、米5キロで2,670円ほどである。現在の値段もだいたいそれくらいである。180人分の兵糧15日分で、108万円。兵一人当たり1日分の兵糧米が400円、1,000人の部隊を一日動かすと40万円である。関ヶ原の戦いのように10万人だと、兵糧米だけで1日4000万円となる(p19)
・天正12年(1584)の相場は、金1枚(44匁=165グラム)が米26石(3.9トン)なので、米1石を8万円とすると、金1枚=26石=208万円となる(p22)金で換算すると、金1枚=99万円となる。金の価格は時代が進むと高騰していく。関ヶ原の頃には、350万円ほどになる(p22、23)注)この本の書かれた時は、1グラム=6000円、現在(2024.8)は、13500円である。
・日常使われている「銭」の価値は、銭1貫=80000x1.2石(米の値段は100文=一斗2升)=96000円、なので、銭1文=96円である(p24)ただし、明から輸入した永楽銭は、天正18年(1590)金1枚を永楽銭18貫とあるので、352万円÷18000(永楽銭18貫)=195.5円となる、日本で製造された銭の2倍の価値である(p24)
・銀は一枚、2枚と数えるほか、高額の場合には貫で表示される。一貫は1000匁(37.5キロ)で、現在価値にすると800万円である(p27)
・10万石の領地を持つ大名は、10万石の米が収穫できる地行を持っているということ、その10万石(80億円)は領地で収穫される米の生産量の総額で、大名収入そのものではない。なぜなら収穫された10万石をそっくり大名が年貢米として徴収したら民は飢え死にするしかないから。一般的に、年貢の実収は、石高の3割だろう、10万石なら3万石=年収24億円である。10万石の領地のうち8割くらいは、給地(家臣に与える領地)となる、それ以外の部分が大名直轄の領地(蔵入地)となる、10万石のうち2万石、年貢は6000石=4億8000万円、そこから直属の足軽部隊の給料を払い、軍勢全体の兵糧米を支給する(p35)
・騎馬武士は身分に応じて3段階に分けられ、最低の300石は従者10名を連れて従軍する。戦闘員は1万人の軍勢で3割ほどであった(p43)
・文禄の役以降、秀吉と三成が推し進めた太閤検地による大名蔵入地の強化により、島津氏は飛躍的に強固な経済基盤を手に入れた。島津義久、義弘が秀吉に、また三成に恩義を感じたとしても無理のないことだろう(p45)
・関ヶ原の戦い当時の家康の領地は、6カ国242万石他、近江などに与えられた在京賄料を合わせて250万石、ここから大名クラスの家臣領地が94万石強、直属家臣知行地2万強、寺社領1万強を差し引いた残りの151万石強が蔵入地である。242万石の軍役は計算上は12万人であるが、家康は3万人の軍勢で江戸を出発した(p131)
・騎馬の武士は総数の2%、軍5000の軍勢であれば、100騎ほどであろう。馬に対する糧食費は、10万石であれば1日213万円である。これを大名の蔵入地(直轄領=2割)から払うことになる(p224)
・関ヶ原の敗者、西軍の領地の合計は、671万3100石である、当時の全国けんち=1850万石の36%強=2685億円強である、まさしく天下分け目の合戦である(p240)
・豊臣家の蔵入地は、222万石、全体の12%を占める。秀吉本拠の大阪城を中心とした摂津・河内・和泉の合計は、73万石で、蔵入地は46万石=185億円、これ以外に全国各地に蔵入地があり、10万石以上設定されている国が7箇所ある。それ以外に、主要な鉱山(合計397億円)も豊臣家に流れ込んでいた(p243)豊臣家の蔵入地を管理する大名を移封すれば、蔵入地は宙に浮き、家康にとっては加増分の原資となった(p246)
・秀頼の手元に残ったのは、73万石となった、秀頼が戦ったわけでもないのに関ヶ原の合戦後に3カ国の大名に転落したのは、全国に分布していた豊臣家蔵入地と金銀山からの運上収入を失ったことによる。合戦前は1286億円であったが、185億円になった。家康は、金銀山からの主運輸が397億円、領地は1205億円を生んだ。合計1890億円という戦前の豊臣家を上回る財力を得た。一門、譜代の領地=220万石を加えれば、573万石が徳川家の実質的な支配下となった。これは日本全体の3割に相当する(p251)
2020年5月28日読破
2024年7月18日作成 -
Posted by ブクログ
すごい!!!
角川の日本の歴史!!!
2015年発行でたちまち重版を重ねてるの、納得!!
他の歴史漫画(集英社、小学館、講談社など)の、明治時代後期と読み比べてみても、角川が一番良いなあと思った。
それはたぶん、山本博文先生の監修だからかな。
好きです。
理系選択で日本史未履修の私は常々、今日の日本の状態や、他国との関係性がどうしてこうあるのかが紐解かれるような、
なるほどなあーと唸るような、
その時々の歴史上の決断の理由が腑に落ちるような、
素敵な教材はないかなーと探してた。予備校の日本史の人気講師の授業とか、すごくオモシロイのかなーとか思ってた。
…夢叶う!!
本シリーズを読めば、山本先生に歴史を教えてもらえる!!ありがとうありがとう!!
とても嬉しいです。(コスパ最強!!)
歴史を学ぶ目的はね、決して決して、試験で点をとること(重要な項目の暗記とか)なんかじゃあないんだ。
事実自体ではなくて、その裏、どうしてそうならざるを得なかったかが納得できて理解できること!!
それが出来たら凄く面白い!!
この漫画は、とっても良く構成されてると思う。
参考書ぽくないし、漫画ならではの読ませる力を上手に生かしてる。良い塩梅に、説明しすぎていない。
あれ?この絵は何!?と思わせて、調べたくなるような仕掛けがある!!
なぞに13巻から読み始めたけど、全巻揃えるぞ!!!
あと、一般のコミックスと違って、学習シリーズだからであろう。不適切な乱暴な言葉が出てこないので、実際は言葉を荒げて捲し立てるであろうシーンで、妙にリアリティの薄いセリフが登場するのが少し可笑しいです。