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そんなことで腹を切るの?――数々の史料に散見される切腹沙汰から見えてきたのは、あまりにも切ない武士の生き様だった。従来のイメージを覆す、431名の切腹絵巻。
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Posted by ブクログ
主命により死を賜る江戸時代の武士たち。制裁的な措置ならばともかく、理不尽な理由であってもプライドをもって命をなげうつ事例が多数あげられています。この時代に生まれついていない幸運を喜びたくなります。
「切腹」という、もはや日本人にさえも徐々に理解が困難になりつつある自死法について、事例を挙げながら、その歴史的、文化的な側面を分析している新書。 私のこれまでの理解は、武士が己にかけられた恥辱、疑念などの汚名を濯ぐために誠(腹のなか)を示すというものでした。 本書では、それだけに止まらない多くの事...続きを読む例が紹介されており、よく考えてみると確かにそう単純なものではないと思い直しました。 例えば、戦国時代には、負け戦において家臣らの助命のために武将が自ら切腹をとるケースが見られるが、江戸時代になると、ささいな失敗の責で末端武士が切腹を命じられて主君が守られるというケースが増えてきます。 上役は絶対であり、下役はひたすら忠節を尽くすという封建制のネガな部分が出ています。 ブラック企業において現場責任者が切られて管理責任者が逃げ延びるような構図を想像してしまい、現代社会に通ずるところもあると感じました。 総じて、命よりも名を惜しむという武家社会独特の死生観がベースになっているのは間違いなさそうですが、現代ではそのような頑なで潔い心持ちの日本人は極々少数であり、反対に思慮浅薄で軽はずみな思想と捉えられる気がします。
切腹の処され方を、一級史料から事例を上げ説いた本。武士の世の「君主絶対論」を根底として上げているが、現代(発行の2003年当時)との結びつけ方はいささか乱暴かな。それでも面白かった。
[ 内容 ] 『会津藩家世実記』『加賀藩史料』などの一級史料に散見される数多の切腹。 そこから見えてきたのは、武士社会の特異なあり方と、現在もなお続く、日本人固有の「責任の取り方」であった。 本書では、史料に埋もれた多くの“ハラキリ逸話”に光を当て、誇り高く潔い、しかしどこか辛くて切ないサムライの生...続きを読むき様を探索する。 [ 目次 ] 第1章 ハラキリ略史(切腹の来し方;殉死と切腹 ほか) 第2章 罪と罰と切腹(喧嘩両成敗による切腹;刑罰としての切腹 ほか) 第3章 なんとも切ない切腹(藩に見捨てられた武士たち;エリート藩士の大誤算 ほか) 第4章 御家騒動と切腹(加賀藩長家の御家騒動;薩摩藩の御家騒動) 第5章 藩主と家臣―切腹に潜む臣の道(武士の命は主君のもの;飼い馴らされた武士ども) [ POP ] [ おすすめ度 ] ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度 ☆☆☆☆☆☆☆ 文章 ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性 ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性 ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度 共感度(空振り三振・一部・参った!) 読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ) [ 関連図書 ] [ 参考となる書評 ]
切腹の概念の時代変遷とか、興味深い切腹のエピソードとか。 どれもあまり「痛い」と感じる記述ではなく、痛いのが嫌いな僕にはぴったりの本だった。 痛いのが嫌いなのにこんな本を手に取るなよ、と突っ込みを入れたそこのあなた!あなたは正しい。
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