山本博文のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ夏休みの息子の教養強化シリーズ。
角川のこの漫画のシリーズが絵が綺麗で現代風で読みやすい。
これまで武田信玄と上杉謙信についてあまり詳しく知らず、聞き齧った程度でしかなかった。ということで、正直なぜそこまで人気があるのかもわからなかった。
が、この本を読んで、いかに二人が魅力的な武将であるのか、また彼らのドラマがどれだけドラマティックかということが分かった気がした。
特に義の人と言われる上杉謙信の生き様には感銘を受けた。上杉謙信が人気があるのは、日本人の多くが同じように感じているからに違いない。
特に敵に塩を送るエピソードははすごいと思った。ちょっと信じがたいエピソードである。ちょっとお人好しがすぎないか?と心配になってしまう。ただ、どこまでも真っ直ぐな性格だったのだろう。
武田信玄も「人は城、人は石垣、人は堀、情けは味方、仇は敵なり」という名言からして人材や人民を大切にする武将であったことがわかる。また、信玄堤などの治水事業をするなど、戦争に明け暮れるだけでなく国を治める能力も高かったらしい。
この物語のクライマックスはやはり川中島の戦い、なかでも第四次川中島の戦いだろう。拮抗した戦力で睨み合いが続き、我慢比べになるのかと思いきや、山本勘助のキツツキ戦法で戦局が大きく動く。幸か不幸か結果を知らなかったためハラハラ、ドキドキ読むことができた。山本勘助の兵法にすごい!と思ったが、謙信のほうが一枚上手だったらしい。とはいえ結局決着はつかなかったのだが。川中島の戦いに多くのファンがいるのが頷ける。
このシリーズの他のタイトルは全て1人の人物伝になっているのに、このタイトルだけはどうして2人セットなんだろう・・・と最初は不思議だった。でも今ではこの2人は切っても切れない関係というか、セットで知らないと成り立たないなと納得できた。
私も夏休み気分で歴史のことが色々学べ、楽しい時間を過ごせた。息子に感謝。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ息子用に購入して私も読んでみた。
文庫ほどではないが、漫画としては十分な内容だと思う。
現代風の綺麗な絵で、登場人物がほぼ美男美女だった。
主人公がイケメンだとそれだけで読むモチベーションになる。(私には。笑)
ただ、特徴がないとキャラなどが覚えにくいのでその面はデメリットなのかも。
息子もさっくりと読んでくれて気に入ってくれたようで良かった。
文庫でこの内容読もうとすると時間もかかるだろうし、何より心理的ハードルが高い。そう思うと本当に学習漫画はありがたやありがたや。
(今や色んな種類の学習漫画があることにもびっくり&喜んでいる。)
彼の興味が続くかぎり、色々と読ませてあげたいなと思う。 -
Posted by ブクログ
江戸時代中期の政治の大まかな流れをつかむには分かりやすい本だと思います。漫画なので、ある程度の知識があれば、中学生にも読みやすいと感じます。
2020年の3月に逝去された近世史専門の山本博文先生が監修しているとあって、近世の最新の学説が随所に散りばめられていると思います。
特に9代家重、10家治の時に政治を行った田沼意次への描き方は、まさに近年の学説が反映されています。本の中の言葉をそのまま引用します。
「わいろ政治家とよばれた田沼意次だがその政治は米だけにたよらず、商業を盛んにし、国の財源にしようというきわめて革新的でなおかつ時代に合ったものだった」
ここまで言い切っているあたり、最新の学説も反映されていて、小学生・中学生向けの漫画とは言え、読み応え十分の本だと思います。 -
Posted by ブクログ
山本博文氏の『「忠臣蔵」の決算書』を映画化したノベライズ本。
古今東西、忠臣蔵を題材にした作品は多い。その殆どが、忠義に主眼が当てられ、何度見ても読んでもなくという中高年は多いのではなかろうか。
本作は内匠頭刃傷沙汰が起きてから討ち入りまでの期間が描かれる。御家再興にしても、討ち入りにしても先立つものは金。本物の戦から100年近く遠ざかっていた番方と、財政諸々を取り仕切っていた役方。予算を取り巻く、各人の振る舞いが面白い。
討ち入りの名場面はないが、忠臣蔵、赤穂浪士をパロディ化した本作はあっという間に読み進めてしまいました。
しかしながら、江戸の物価は現代より高いよね。
『元禄御畳奉行』あたりも映画化しないかな。
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Posted by ブクログ
赤穂四十七士が討ち入りを決行したのは、元禄15年12月14日(旧暦)のことである。
ことの発端は、彼らの主君、浅野内匠頭が江戸城松之大廊下で吉良上野介に斬りかかる刃傷事件を起こしたこと。殿中で刀を抜いたのだから、何らかの沙汰が下されるのは当然のこととしても、幕府が命じた処分は、内匠頭は切腹、一方の吉良にはまったくお咎めなしという、いささか平等性を欠くものであった。
喧嘩両成敗ではないのか。浅野家家臣は怒った。どうすべきか、家中でも議論が噴出した。だが、ひとまず、内匠頭の弟を主君としたお家再興を目して、赤穂藩士らは城を明け渡すことにする。
だが、結局のところ、浅野家再興はならなかった。さらには、上野介はお役を返上して隠居すると決まった。もし実子のいる米沢・上杉家に引き取られるようなことになれば、一切手出しはできなくなる。浪士たちは決意した。
吉良を討つ。
決行は茶会の開かれる12月14日と決まった。
浪士たちは黒小袖に身を包み、揃って吉良邸へと向かう。
見事、吉良を討ち、本懐遂げた赤穂浪士は、亡君の墓にその首を供えた。
その後、幕府の命により、志士らは切腹、亡骸は内匠頭と同じ泉岳寺に葬られた。
この、いわゆる「赤穂事件」は、江戸の人々の心をとらえた。『仮名手本忠臣蔵』に代表されるような芝居や浄瑠璃が作られ、多くの人が熱中した。江戸の人々だけではない、現代にいたるまで忠臣蔵ものは少しずつ形を変え、多くの創作物として世に送り出されている。
これもそんな忠臣蔵物の1つ。
だが少々毛色が違う。
元になっているのは山本博文『「忠臣蔵」の決算書』(新潮選書)。
討ち入りだ何だと言っても、先立つものは金なわけである。
お取り潰しにあたって、藩札(藩独自の通貨)の取り扱いも決めねばならないし、財産の処理もある。藩士たちに退職金にあたるものを支払う。奥方様の「化粧料」はどうする。仏事にかかる費用。お家再興のための政治費用。上方と江戸の往復旅費。江戸で生活する者の生活費。そして討ち入りが決まった暁には武具購入。
とにかく何をするにも金がかかる。
そのあたりのことを、歴史学者である山本が、大石が遺した一級史料(『預置候金銀請払帳』)から探っていくものである。
そしてもうひとひねり。
『「忠臣蔵」の決算書』を元に映画が作成されることになり、「コメディで」という注文が出される。監督を打診されたのが本書の著者、中村義洋。この作品以前にも新感覚時代劇といった趣の映画を撮っている。
しかし忠臣蔵といえば皆がよく知る一大悲劇である。これを喜劇仕立てにするにはどうしたらよいのか。悩む監督の心のうちは本書のあとがきに詳しい。
キーパーソン、大石内蔵助。泰然自若とし、先の先まで見据えている人物として描かれがちだが、実はどうしようか決めかねているうちに周りが突っ走ってしまったのだったら。あっちを収め、こっちをなだめようとしながら、結果的に討ち入りになだれこんでしまったのだとしたら。
そんな「もしも」の内蔵助が動き出す。
本書は映画「決算! 忠臣蔵」のノベライズ版である。映画は未視聴なのだが、映画では描き切れなかった裏話も収められているそうだ。
金銭の話であるので、江戸時代と現代の物価を比較せねばならない。本書では、蕎麦1杯の値段を元に換算される。各人物は初登場時に必ず括弧内に年収が記される。
もう1つ特筆すべき点は、内蔵助はじめ、赤穂浪士の面々が関西弁でしゃべり倒すことだろう。これがまた妙にはまっていて可笑しい。
右往左往しながら討ち入りへと向かっていく浪士たち。
全体としては確かにコメディ仕立てなのだが、要所要所で史実を外していないのもすごい。特に、金銭面に関して、前述の『金銀請払帳』に則った金が動くことになっている。
いわゆる「正統派」の忠臣蔵ではなく、大石の実像としては果たしてどうなのかと思わないでもない。が、金銭出納から見る忠臣蔵という視点はなかなかにおもしろく、これはこれでありなのかもしれない。
なお、原作者にあたる山本博文は本書にも解説を寄せているが、病気のため、映画公開後数ヶ月で逝去。ご存命ならまだまだ歴史の新たな切り口を提示されたのだろうに、残念なことである。