陳舜臣のレビュー一覧
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「諸葛孔明の生涯が人びとに感動を与えるのは、
乱世に真正面から立ち向かった彼の誠実さと、
志を遂げずに死んだ悲劇性によってであろう。」
(著者あとがきより)
正にその通りの展開が
繰り広げられていく下巻でした。
北伐開始のあたりでは、
高校時代に教育実習生が中国語で
出師の表を音読してくれて
鳥肌たつほど感動したのを思い出しながら
読みすすめました。
劉備の死後どんどん孤独になっていく孔明さんが
痛々しくて悲しかったけれど、
万民のためという目的のためだけに徹底して生きる姿に胸がつまる。
奥さんも途中から人質として呉に移ってたんですねえ・・・。
そんなわけで朝から電車内で一人涙浮かべて -
Posted by ブクログ
陳舜臣先生の偉大さを改めて思い知った一冊である。
フィクションとして、陳先生の歴史小説ははっきり言って、直感的におもしろい!とか大興奮!とか生き様に感動!とかいう成分は皆無である。
漢の生き様をこれでももかと書く北方謙三とか、つらいときにはいつもお世話になってます、宮城谷昌光先生の「よく生きるとはこういうことである」ということがはっきり提示されて、がつ〜んと感動さえられるフィクションあふれる物語に比べると、たぶん淡泊すぎて一見するとつまらない。
実は私も、単に本を読むという楽しみだけなら宮城谷先生が一番好きだし、勝手に歴史作家脳内ランキング一位にしてました。
しかし…、陳舜臣はやっぱりす -
Posted by ブクログ
甲午の役(日清戦争)での敗戦からの近・現代史。
朝廷では変法を望む光緒帝(帝派)と、そうはさせじと実権をにぎる西太后(后派)が牽制しあう。
外では康有為と孫文、それぞれのカリスマが革新に向けて奔走する。前者は上書を繰り返しあくまで上から変法を目指す保皇派、対して後者は士大夫以上の者とは繋がらず秘密結社を終結して地方を押さえながら清朝そのものを覆そうと目論む革命派で、対照的な両勢力の台頭は小説を読んでいるみたいにドラマチックである。そのあたり小説家・陳舜臣が書いているだけあって、主観が反映されている部分が気にならなければ歴史教科書としては読みやすさで最高の部類。
義和団事件の発生は中国人のメン