あらすじ
後漢衰微後の群雄争覇の乱世に一人の青年が時を待っていた……。透徹した史眼、雄渾の筆致が捉えた孔明の新しい魅力と「三国志」の壮大な世界。史料の徹底的な吟味によってよみがえる孔明の「志」! 後漢の光和四年(一八一)、琅邪の諸葛家に次男が誕生した。名は亮。四歳のとき、黄巾の乱が起こった。宦官と士大夫が抗争を繰り返した後漢王朝は衰微し、中国は未曾有の動乱期に入ったのである。父を亡くした孔明は叔父にひきとられ、襄陽で青年期を迎えた。覇を競いあった群雄の多くは滅び、袁紹を破った曹操が北方の大勢力となった。万民の幸福を希求し、天下の形成を冷静に分析する「臥竜」孔明の草廬を、荊州の劉表に身を寄せる劉備が訪れる……。透徹した史眼、雄渾の筆致がとらえた諸葛孔明の新しい魅力と壮大な「三国志」の世界。
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Posted by ブクログ
三国志は読んだのだが、冊数多く、再び読むには体力が要るので中々腰を上げにくい。それが為に、物語の大筋や主要な登場人物は覚えていても、細かな部分は月日と共に抜け落ちていく。どんなに興奮して読んでも、それは残念ながら自然の摂理で仕方のない事だ。だからこそ、こうしたスピンオフのような著作が有難い。しかも諸葛孔明、陳舜臣。固い感じだが、口語体のタッチで読み易い。劉備と出会う前の諸葛家のストーリーが読める点では、三国志よりも詳しい。上巻は赤壁の戦いの途中まで。続きが楽しみだ。
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最近三国志にハマってきたので読んでみました。
諸葛孔明の生まれたときから書き起こしていて、とても読みやすかったです。
また、孔明の頭の良さ、聡明さが描かれている前半は読んでいて感動しましたし、後半で出てくる、曹丕の判断の鋭さを知って畏怖の念を持つ曹操などが面白かった(という表現はあわないかもしれませんが)です。
Posted by ブクログ
これだけの小説を執筆するにあたって、作者はどれだけの資料を蒐集したのだろうかと思わせるほどに、事細かに主人公とその時代の人々のことが描写されている。
上巻は赤壁の戦いまで。三国志によく知られている赤壁の戦いの詳細は語らず、そこに至るまでの孔明と呉の賢臣たちとのやり取りを中心に描かれていることも新鮮である。
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最初は予備知識の無さゆえに取っ付き難い印象があったたのだが読み進めるうちに三国志の魅力に嵌っていくようだった。
内容はタイトル通り孔明の活躍を中心に据えて三国志を描いている。故に孔明が一切関わってこない三顧の礼以前の話に付いては軽く触れる程度。だからこそ序盤は物語の全体像が掴めなくて何度も辞書を引いてしまった。
本作で誉めたくなる点としては完全なる英雄が一人も居ない点か。どうにもヒーロー思想の強すぎる歴史小説は苦手なのだが、本作にはそれが良い意味で居ない気がする。例え、世評で英雄とされる武将が居たとしても作中ではとても人間臭い言動だったりするのだ。それが読んでいてとても心地良い。
それにしてもやはりというべきか三国志は登場する武将が多すぎる(笑)。他の作品とは比べ物にならないほどに多い。
Posted by ブクログ
諸葛孔明は有名ですよね。
ズぅ~~~っと気になっていた人物。
赤壁の戦い(レッドクリフ)でもキーパーソンの一人。
君主に仕える参謀として一級の人物。
策略を用いる天才。
泣いて馬謖を切る。
死せる孔明生ける中達を走らす。
ぼくの持っている彼の知識はこの程度。
・・・・・・
読み終わって、えっ?この程度?
という感想。
レッドクリフの記述も、えっ?っと思うくらい短い。
単に枝葉が湿気ないように雨から守ったという程度。
彼が晩年指揮したという戦いも、スカッとした勝ちは皆無。
逆に、負け戦ばかり。
実際の彼も、三国志の中で蜀漢を安定させようとした夢半ばで亡くなっている。
彼の実績は?
陳舜臣の小説はいつもこうだ。
以前読んだ【耶律楚材】もそうだった。
どんなスゴイ人物で、どんなスゴイ実績を残したのか?
彼はそういう描き方をしない。
逆に避けているとすべきだろう。
・・・・・・
耶律楚材も諸葛孔明も君主に仕える秀才。
二人には共通するものがある。
陳舜臣の小説は、小説の部分を極力押さえる。
架空の人物、架空の会話。
どれも控えめだ。
得意じゃないのか?・・・とさえ感じる。
だが意図的だと思う。
素材も孔明も押しも押されぬ天才的な参謀。
逆にそのスゴさを描かないほうが、本当のスゴさが伝わる。
そんな彼の意図を感じる。
・・・・・・
さて、彼ほどの人物が何故、先頭に立ってリーダーを目指さなかったのか?
かなり若いときから、自分は参謀として君主に仕えるという道を選択する。
彼ほど才能がないのに、お山の対象になろうと目論む人間は沢山いるのに。
それは、秀才と天才の違いだろう。
真のリーダーとなるためには「閃きのある」天才で無ければならない。
逆に秀才は「理詰め」であることが武器だ。
「理詰め」になるほど「閃き」を恐れる。
孔明は、それを知っていたのだ。
・・・・・・
やはりスゴイ男だった。
Posted by ブクログ
読みやすい。古いはずなんだけどね。
三国志、ではなく諸葛孔明なので序盤の若い頃の話がいいです。
曹操が滅ぼした光景をみて心を決めたりするのがいい。孔明って感じです。
Posted by ブクログ
存外面白かった。
風雲急を告げ、劉備の臣下となってからが特に興味深い。
陳舜臣の諸葛亮像と劉備像が、私の想像と異なり、二人のやり取りがつい気になってしまうのだ。
Posted by ブクログ
再読。昔から孔明に興味があったが、今回は今までとは異なる視点でよみたいと思った。冷徹なまでに現実を直視する頭脳と、幼い頃の曹操による虐殺を忘れない心が、いいコントラストを生んでいる。昔は劉備が好きだったけど、今は曹操の生き方に憧れる。
Posted by ブクログ
非常に読みやすい!
人間孔明の成長が分かる小説です。
横山光輝作だと年齢不詳の
イメージだけどこれだとイベント
発生時の孔明の年齢とかが
イメージしやすい。
Posted by ブクログ
孔明少年のトラウマ(曹操の徐州虐殺)が彼の人生の基軸になっていることが鮮やかに描かれていて良い。それ(なぜ曹操と徹底的に対決したか)は正史やゲームからは読み取りにくい部分であり、歴史の把握のためとしてではなく一人の男の生き様を観るため理解する必要があろう。
Posted by ブクログ
諸葛孔明の少年期から五丈原で死に至るまでを描いた伝記。作者が様々な資料を参考にし、当時の様子を慎重に読みとった。作者は、長い時をかけて歴史を知ることで、当時の孔明の心理状態を想像した。小説「三国志」を読んで、ストーリーを把握してあると読みやすい。
Posted by ブクログ
既読本だったことに表紙を見るまで気付かなかった。
しかし、よいのです。
中学時代、三国志に出会った当時に
ダントツで好きだった孔明さんの話は
今でも何回読んでも面白いのです。
杞憂、四面楚歌、脾肉の嘆、白眉、三顧の礼、存亡危急、etc...。
現代日本で日常的に使われている言い回しが
実は、中国の歴史に由来していることを知る度に
今の私と彼らが言葉を通じてつながっていることを感じ
ワクワクさせられてしまうのだ。
それこそ正に漢字の力。ペンは剣よりも強し。
漢文の魅力のひとつもそこにあるんだろうな。
Posted by ブクログ
孔明さんの生い立ちから亡くなるまでの物語です。
できるだけ史実に即した等身大の孔明さんを描こうとした感じで、赤壁の戦いでもほとんど活躍せず「十万本の矢」も「東南風」もなし、という地味〜な展開ですが、それだけに「本当はこうだったのかもしれないなー」と思わせるところがあります。
徐庶との友情がいい感じです。
それに奥さんとの会話がなんかほのぼのとしてるし……(笑)
Posted by ブクログ
20151031 吉川三国志の興奮は無いがその分現実的なきがする。赤壁の戦いはクライマックスだったと思うがあっさりと始まってしまい少しかわされたような気分になった。