陳舜臣のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレアヘン戦争。産業革命によって強力な生産力を持ったイギリスは、自国製品の売り先を探していた、その矛先は清国に向けられた。アヘン戦争はイギリスが仕掛けた非道な戦争といわれている。しかし、その前夜に何があり何が戦争へと導いたのか、詳しくは知らない。そこでこの作品を手に取った。
清国の新興商人・連維材は開国を望み、「何かを変えねばならない」という得体のしれない破壊欲をもった男。一種のギルドである公行と衝突しながら、茶の輸出で大きな利益をあげてゆく。
清国政府(道光帝)はアヘン厳禁・弛禁の論争で揺れる。林則徐は改革派であり、この人物もまた、破壊欲をもった男といえるかもしれない。
中華思想を固持 -
Posted by ブクログ
戦国時代の屈原から、近代の魯迅までの詩人たちの簡単な評伝と、代表作を組み合わせた読み物。
幻想の詩人、李賀の、色彩感に満ちた詩。
中国の詩の歴史の中でも異色の存在を、この本を通して初めて知った。
名前くらいしか知らなかった杜牧が、放蕩の時代があったもののエリートコースにいた彼が、眼病を病む弟のために官途を擲ち、その死後は遺族の面倒を見続けたこと。
こんなことを知ると、「南朝四百八十寺 多少楼台煙雨中」という詩さえ、ちょっと見る目が変わってくる。
この間、欧陽脩の文章に、梅聖兪(尭臣)のことが書かれていた。
官職に恵まれず、なぜか日本ではほとんど知られることがなかったこの詩人が、新婚の妻のこ -
Posted by ブクログ
以前読んだ三国志モノとは所々違う描写があって新たな発見を多く見つけることが出来た。やはり史実を基にしていると言いつつも記録が少なかったり、書によって記述が違っていたりするとそれぞれの作家によって描写は変わってくる点は三国志モノの魅力か。
この物語では孔明のそれまでのイメージを払拭したかったのか、神がかり的な奇策を用いる稀代の軍師としてではなく、あくまで大陸の平和を望む一介の軍師として描かれている。そのせいか、孔明の策にあっと驚くような戦術は出てこない。 以前読んだ三国志モノにあった「十万の兵の代わりをする迷路」、「天気を思いのまま操るように見せかける」、「谷間に誘い込み火攻めにする」とい -
Posted by ブクログ
最初は予備知識の無さゆえに取っ付き難い印象があったたのだが読み進めるうちに三国志の魅力に嵌っていくようだった。
内容はタイトル通り孔明の活躍を中心に据えて三国志を描いている。故に孔明が一切関わってこない三顧の礼以前の話に付いては軽く触れる程度。だからこそ序盤は物語の全体像が掴めなくて何度も辞書を引いてしまった。
本作で誉めたくなる点としては完全なる英雄が一人も居ない点か。どうにもヒーロー思想の強すぎる歴史小説は苦手なのだが、本作にはそれが良い意味で居ない気がする。例え、世評で英雄とされる武将が居たとしても作中ではとても人間臭い言動だったりするのだ。それが読んでいてとても心地良い。
-
Posted by ブクログ
ネタバレ「三国志」とついているので、古代インドの英雄の攻防か?と思って読んで見れば、比較的歴史の新しいムガル帝国の事を書いた本。ムガル帝国といえば、アクバル大帝やタージマハルを作ったシャー・ジャハーンが有名ですが、シャー・ジャハーンの帝国最盛期後、イギリスの植民地化されるまでが結構短期間なのが不思議だったのですが、本著はその疑問を埋めてくれます。
「三国」の三者はシャー・ジャハーンの次の皇帝アウラングゼーブ、マラーター族、東インド会社。イスラム至上のアウラングゼーブが帝国内にマラーター族のような敵をつくり、不要な内戦を引き起こし国力を弱めた事と東インド会社の台頭が、急速にムガル帝国の衰退を招きます。… -
Posted by ブクログ
諸葛孔明は有名ですよね。
ズぅ~~~っと気になっていた人物。
赤壁の戦い(レッドクリフ)でもキーパーソンの一人。
君主に仕える参謀として一級の人物。
策略を用いる天才。
泣いて馬謖を切る。
死せる孔明生ける中達を走らす。
ぼくの持っている彼の知識はこの程度。
・・・・・・
読み終わって、えっ?この程度?
という感想。
レッドクリフの記述も、えっ?っと思うくらい短い。
単に枝葉が湿気ないように雨から守ったという程度。
彼が晩年指揮したという戦いも、スカッとした勝ちは皆無。
逆に、負け戦ばかり。
実際の彼も、三国志の中で蜀漢を安定させようとした夢半ばで亡くなっている。 -
Posted by ブクログ
何の心境の変化があったのか、
戦争ものの本を読んだ感想が違ってきます。
戦争はやはり無くならないのだろうかという気持ちはぬぐえない。
ちょっと悲しい気持ちになりますね。
戦争を起こすのも、戦争が無くなるのも宗教の意味合いは大きいのかなと思います。
いったい、戦争は何を求めているのでしょうか。
だれもが専守防衛となれば戦争は起こらないとおもうのですが、
裏切りものが誰かでる。
攻撃してくるのだと気づけば前もって叩くとなるわけですわな。
疑心暗鬼の世界ともいえる。
誰もが利己的です。
私だって自分勝手ですが、
戦争を起こさない方が利益が多いと思うのです。
戦争を起こす人は戦