陳舜臣のレビュー一覧
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ネタバレ「同文同種」
使われる言葉と人種が同じ、という意味だそうです。
ちょっと古い本なので時代の違いなのかもしれませんが、日本人と中国人、人種が同じと思うことが日本人の共通認識なんでしょうか?
中国人と一口に言っても、漢民族、満州族、蒙古民族、女真族等々。
それに対して日本人=大和民族と思われていますが、アイヌの人たちもいるわけです。
日本人と中国人の人種が同じとは全然考えられないのですが。
ましてや、同じ漢字を使っているから分かり合えるというのも勘違いで、同じ漢字でも意味が違うことは多々ありますし、今の中国の簡体字と日本の漢字はもう別ものでしょう。
それを踏まえたうえで、日本と中国の違いというのが目新しくて面白い。
例えば、日本人は実を取り、中国人は名を取るんですって。
私は逆のイメージだったのですが、確かに日本人は禊さえ済めば復活はありですが、中国人は歴史に名を残すことを第一に考えるので、敗残者として名を残すくらいならダメもとで一発逆転を狙う。
なるほど。
けれども、「それはどうかなあ」な説も結構あって、それは負けず嫌いな日本人の私の主観かなあと思ったら、解説でもそのようなことが書かれていたので、日本人の皆さんにこの本を読んでもらって感想を聞きたいと思う。
例えば中国人はバランスを尊び、日本人はアンバランスを好む。
確かに文化的には日本人はアンバランスを好むのかもしれないけれど、現実的には非常にバランスを考えて行動すると思うのだけど。
逆に中国詩の対句はさておき、中国人の個人主義には引いてしまう日本人のわたくし。
権威に弱い日本人はある意味権威主義なのかもしれないけれど、中華思想を押し付けてくる中国人の権威主義もなかなかのものだと思います。
決定的な違いは文化というものの捉え方。
日本人は文化と政治を切り離して考えるけれど、中国人は文化はあくまでも政治を補佐するためのものでしかないと考える。
だから文化人を政治的理由で処断することを許せない日本人と、文化人=政治家である中国人。
ああ、やっぱりいろいろと別物だわ。
だからお互いにわかりあう努力をすればいいと思うのだけど。 -
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古代中国、特に春秋戦国時代の話を知りたかったので購入。
時代は殷から秦の統一、楚漢戦争の序盤まで。
代表的なエピソードを拾って小説にしてあるので、どれも興味深く読めた。
だが数多ある英雄譚を全て拾うわけにもいかず、後の時代に引用されているような人物が意外と居なかったりする。もっと多くの人物を知りたいとか古代中国を詳しく知りたいと思うなら、別の本で補完するのは必須かと思う。
この本はあくまで小説なので、元の記録から肉付けや脚色をして物語として読みやすくしてある。
それは良い点なのだが、本書を古代中国の入り口にしたのでどこまで史書に書かれていたものなのか、十八史略の時点で追加されたものなのかこの小説で追加されたのかの判断が難しい。既に知っていたエピソードで比較すると、かなり大きく脚色されている気もする。
解説もしっかりされているので、当時の文化や情勢を頭に入れながら読んでいくことが出来る。
これまで興味はあれどよく分かっていなかった春秋戦国時代に、分かりやすく導いてくれた本だと思う。 -
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ネタバレ★★★2017年7月レビュー★★★
長い長い物語が終わった。連維材、林則徐、王挙止・・・多くの魅力的な人物によって彩られた物語、史伝だった。もっとも心の残ったのは深刻な政府、官僚組織の腐敗だ。皇帝への報告は虚偽に満ちたものであり、だれもが責任回避しか頭にない。
本当に責任感をもった、誠実な人間は左遷されるという恐ろしい事態。「過去の中国のこと」と切り捨ててはいけないと思う。現在の会社などの身近な組織でも起こりうることだと感じた。
次に、英軍による残虐行為。1840年時点においても、兵隊による残虐行為が横行していたのか。坂本龍馬が感銘を受けたという「万国公法」たるものは機能していなかったのか。そもそも阿片戦争自体が大義のない戦争であるが。
最終巻では、多くの人物が戦火に倒れた。
カン・ギタンの最期は非常に残念だ。あんなに活発だった若者が、わけも分からず死んでしまったのは悔しい気がする。 -
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ネタバレ★★★2017年7月レビュー★★★
組織が古びてくる、というのは恐ろしい事だ。優秀な人間が排除され、無能な人間が跋扈する。清国の末期もまさにその状態だったようだ。第3巻では、林則徐が左遷され、英国に対して媚びるだけ媚びて、何としても戦争を回避しようとするだけの琦善(チシャン)が赴任。
戦争は回避するに越したことはないのだが、相手の言い分を聞くだけでは、結局傷口を広げてしまうことになる。準備不足で戦争に挑むことになり、優秀な指揮官を失ってしまう。
英国側も、林則徐を好敵手として尊敬していたようだ。
下関戦争の際の高杉晋作を思わせる話だ。 -
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ネタバレ一気読みした。スケールの大きさ、時代の激しさに翻弄されながら。「阿片戦争」という歴史の大きな出来事に突き進んでいく。その中心は林則徐。
「阿片を厳禁し、中国人の意気を取り戻す。結果、英国と戦争になろうとも、敗北必至であっても見事に戦うのだ」という信念で行動する林則徐。道光帝(やる気の起伏が激しい皇帝)の信任を得て、広東で阿片の廃棄を強行。
一方で大きな変化を望まないム・チャンアらの勢力と対立する。
「戦えば負ける」とわかっていながらも、大きな敵に挑まなければならない時があるのだろう。命よりも大事なものが。コンスタンティノープル陥落時のコンスタンティヌス11世も、命を長らえようと思えば、そうできた。北越戦争における河井継之助も、官軍に恭順していれば何事もなく明治を迎えることができた。もちろん、罪なき多くの庶民が犠牲になったのは事実だが。
100年後の将来を見据えて、正しいこと、自分のやるべきことを貫く信念。林則徐にはそれがあると思った。
カン・ギタン。この物語で僕の好きな人物の一人。たたき上げの人間で、危ない現場を渡りながら儲け話、面白い仕事と探してる。でも根は単純で優しい若者。
この後、どうなってゆくのか・・・・ -
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ネタバレアヘン戦争。産業革命によって強力な生産力を持ったイギリスは、自国製品の売り先を探していた、その矛先は清国に向けられた。アヘン戦争はイギリスが仕掛けた非道な戦争といわれている。しかし、その前夜に何があり何が戦争へと導いたのか、詳しくは知らない。そこでこの作品を手に取った。
清国の新興商人・連維材は開国を望み、「何かを変えねばならない」という得体のしれない破壊欲をもった男。一種のギルドである公行と衝突しながら、茶の輸出で大きな利益をあげてゆく。
清国政府(道光帝)はアヘン厳禁・弛禁の論争で揺れる。林則徐は改革派であり、この人物もまた、破壊欲をもった男といえるかもしれない。
中華思想を固持したい清国の思惑。官僚の腐敗。新興商人の台頭。イギリスをはじめ列強の進出、アヘンの横行。なんという時代だろう、当時の人間にとっても何かが胎動している。その正体はわからない。そんな時代だったのではなかろうか。 -
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戦国時代の屈原から、近代の魯迅までの詩人たちの簡単な評伝と、代表作を組み合わせた読み物。
幻想の詩人、李賀の、色彩感に満ちた詩。
中国の詩の歴史の中でも異色の存在を、この本を通して初めて知った。
名前くらいしか知らなかった杜牧が、放蕩の時代があったもののエリートコースにいた彼が、眼病を病む弟のために官途を擲ち、その死後は遺族の面倒を見続けたこと。
こんなことを知ると、「南朝四百八十寺 多少楼台煙雨中」という詩さえ、ちょっと見る目が変わってくる。
この間、欧陽脩の文章に、梅聖兪(尭臣)のことが書かれていた。
官職に恵まれず、なぜか日本ではほとんど知られることがなかったこの詩人が、新婚の妻のこと、飼い猫や鶏、蚊や蚯蚓まで、身近なものを平易に読む、北宋初期の詩壇では異色の詩人であったそうだ。
この人の詩も読んでみたい。
この間まで、お習字の稽古で王庭堅の尺牘を書いた。
蘇軾の門下に育った彼は、官僚としては不遇だったらしく、老荘に心を寄せていたとのこと。
そんなことも、知らなかったのだ。
触れる機会はあったというのに。
知ることで、少しずつ、世界がひらけていく。
そんな一冊だった。 -
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以前読んだ三国志モノとは所々違う描写があって新たな発見を多く見つけることが出来た。やはり史実を基にしていると言いつつも記録が少なかったり、書によって記述が違っていたりするとそれぞれの作家によって描写は変わってくる点は三国志モノの魅力か。
この物語では孔明のそれまでのイメージを払拭したかったのか、神がかり的な奇策を用いる稀代の軍師としてではなく、あくまで大陸の平和を望む一介の軍師として描かれている。そのせいか、孔明の策にあっと驚くような戦術は出てこない。 以前読んだ三国志モノにあった「十万の兵の代わりをする迷路」、「天気を思いのまま操るように見せかける」、「谷間に誘い込み火攻めにする」といった戦術は一切出てこなかったので、自分の記憶違いかと思ってしまった程だった。どちらかというとここで描かれる孔明は私たち読者に近い存在に思える。しかし、当時の常識や学力などを鑑みるとこれでも充分に凄い存在なのかもしれない。
本作を読んで改めて好きになった武将を挙げてみると周瑜・陸遜・虞翻・趙雲・司馬仲達辺りかな? -
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最初は予備知識の無さゆえに取っ付き難い印象があったたのだが読み進めるうちに三国志の魅力に嵌っていくようだった。
内容はタイトル通り孔明の活躍を中心に据えて三国志を描いている。故に孔明が一切関わってこない三顧の礼以前の話に付いては軽く触れる程度。だからこそ序盤は物語の全体像が掴めなくて何度も辞書を引いてしまった。
本作で誉めたくなる点としては完全なる英雄が一人も居ない点か。どうにもヒーロー思想の強すぎる歴史小説は苦手なのだが、本作にはそれが良い意味で居ない気がする。例え、世評で英雄とされる武将が居たとしても作中ではとても人間臭い言動だったりするのだ。それが読んでいてとても心地良い。
それにしてもやはりというべきか三国志は登場する武将が多すぎる(笑)。他の作品とは比べ物にならないほどに多い。 -
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ネタバレ「三国志」とついているので、古代インドの英雄の攻防か?と思って読んで見れば、比較的歴史の新しいムガル帝国の事を書いた本。ムガル帝国といえば、アクバル大帝やタージマハルを作ったシャー・ジャハーンが有名ですが、シャー・ジャハーンの帝国最盛期後、イギリスの植民地化されるまでが結構短期間なのが不思議だったのですが、本著はその疑問を埋めてくれます。
「三国」の三者はシャー・ジャハーンの次の皇帝アウラングゼーブ、マラーター族、東インド会社。イスラム至上のアウラングゼーブが帝国内にマラーター族のような敵をつくり、不要な内戦を引き起こし国力を弱めた事と東インド会社の台頭が、急速にムガル帝国の衰退を招きます。…というところで何故か本著は終わってしまいます。続編書くべきだがやめたらしい。何とも中途半端。これだから陳瞬臣は嫌いだ。 -
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諸葛孔明は有名ですよね。
ズぅ~~~っと気になっていた人物。
赤壁の戦い(レッドクリフ)でもキーパーソンの一人。
君主に仕える参謀として一級の人物。
策略を用いる天才。
泣いて馬謖を切る。
死せる孔明生ける中達を走らす。
ぼくの持っている彼の知識はこの程度。
・・・・・・
読み終わって、えっ?この程度?
という感想。
レッドクリフの記述も、えっ?っと思うくらい短い。
単に枝葉が湿気ないように雨から守ったという程度。
彼が晩年指揮したという戦いも、スカッとした勝ちは皆無。
逆に、負け戦ばかり。
実際の彼も、三国志の中で蜀漢を安定させようとした夢半ばで亡くなっている。
彼の実績は?
陳舜臣の小説はいつもこうだ。
以前読んだ【耶律楚材】もそうだった。
どんなスゴイ人物で、どんなスゴイ実績を残したのか?
彼はそういう描き方をしない。
逆に避けているとすべきだろう。
・・・・・・
耶律楚材も諸葛孔明も君主に仕える秀才。
二人には共通するものがある。
陳舜臣の小説は、小説の部分を極力押さえる。
架空の人物、架空の会話。
どれも控えめだ。
得意じゃないのか?・・・とさえ感じる。
だが意図的だと思う。
素材も孔明も押しも押されぬ天才的な参謀。
逆にそのスゴさを描かないほうが、本当のスゴさが伝わる。
そんな彼の意図を感じる。
・・・・・・
さて、彼ほどの人物が何故、先頭に立ってリーダーを目指さなかったのか?
かなり若いときから、自分は参謀として君主に仕えるという道を選択する。
彼ほど才能がないのに、お山の対象になろうと目論む人間は沢山いるのに。
それは、秀才と天才の違いだろう。
真のリーダーとなるためには「閃きのある」天才で無ければならない。
逆に秀才は「理詰め」であることが武器だ。
「理詰め」になるほど「閃き」を恐れる。
孔明は、それを知っていたのだ。
・・・・・・
やはりスゴイ男だった。 -
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何の心境の変化があったのか、
戦争ものの本を読んだ感想が違ってきます。
戦争はやはり無くならないのだろうかという気持ちはぬぐえない。
ちょっと悲しい気持ちになりますね。
戦争を起こすのも、戦争が無くなるのも宗教の意味合いは大きいのかなと思います。
いったい、戦争は何を求めているのでしょうか。
だれもが専守防衛となれば戦争は起こらないとおもうのですが、
裏切りものが誰かでる。
攻撃してくるのだと気づけば前もって叩くとなるわけですわな。
疑心暗鬼の世界ともいえる。
誰もが利己的です。
私だって自分勝手ですが、
戦争を起こさない方が利益が多いと思うのです。
戦争を起こす人は戦争が起きたほうが利益が多いと思っているのでしょうね。
道徳的に、戦争はいけないのだ、人を殺す事なんてもってのほか
だと
おもうのですが、
その面だけでなく、
戦争を起こさないほうが、得ですよ
なんて言い方もありなんじゃないかな。
なんでも損得ってのもねー、ですが。