陳舜臣のレビュー一覧

  • 新装版 阿片戦争 (一)

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    ネタバレ

    アヘン戦争。産業革命によって強力な生産力を持ったイギリスは、自国製品の売り先を探していた、その矛先は清国に向けられた。アヘン戦争はイギリスが仕掛けた非道な戦争といわれている。しかし、その前夜に何があり何が戦争へと導いたのか、詳しくは知らない。そこでこの作品を手に取った。


    清国の新興商人・連維材は開国を望み、「何かを変えねばならない」という得体のしれない破壊欲をもった男。一種のギルドである公行と衝突しながら、茶の輸出で大きな利益をあげてゆく。

    清国政府(道光帝)はアヘン厳禁・弛禁の論争で揺れる。林則徐は改革派であり、この人物もまた、破壊欲をもった男といえるかもしれない。


    中華思想を固持

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    2017年06月17日
  • レジェンド歴史時代小説 琉球の風 下

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    中国の明からの援軍はなく、薩摩藩の圧倒的な兵力の前に琉球軍は降伏し日本・大和の属国に。しかし、琉球の民衆たちは国の再興に動き出す。沖縄の激動を描くレジェンド歴史時代小説!

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    2017年04月10日
  • 中国詩人伝

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    戦国時代の屈原から、近代の魯迅までの詩人たちの簡単な評伝と、代表作を組み合わせた読み物。
    幻想の詩人、李賀の、色彩感に満ちた詩。
    中国の詩の歴史の中でも異色の存在を、この本を通して初めて知った。

    名前くらいしか知らなかった杜牧が、放蕩の時代があったもののエリートコースにいた彼が、眼病を病む弟のために官途を擲ち、その死後は遺族の面倒を見続けたこと。
    こんなことを知ると、「南朝四百八十寺 多少楼台煙雨中」という詩さえ、ちょっと見る目が変わってくる。

    この間、欧陽脩の文章に、梅聖兪(尭臣)のことが書かれていた。
    官職に恵まれず、なぜか日本ではほとんど知られることがなかったこの詩人が、新婚の妻のこ

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    2017年03月29日
  • レジェンド歴史時代小説 琉球の風 下

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    歴史的には定まっている事をベースに描いている話なので、物語をどう膨らませるのかという所が難しい題材です。しかし、なかなか上手く話は膨らんています。

    それと、なるほどねぇ。ここで鄭成功が出てきますかと!

    また、最近、空手が沖縄発祥であるということを知ったのですが、震天風や奇羅波丸が繰り出していた『拳法』って、空手ですよね。

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    2016年12月16日
  • 諸葛孔明(下)

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     以前読んだ三国志モノとは所々違う描写があって新たな発見を多く見つけることが出来た。やはり史実を基にしていると言いつつも記録が少なかったり、書によって記述が違っていたりするとそれぞれの作家によって描写は変わってくる点は三国志モノの魅力か。

     この物語では孔明のそれまでのイメージを払拭したかったのか、神がかり的な奇策を用いる稀代の軍師としてではなく、あくまで大陸の平和を望む一介の軍師として描かれている。そのせいか、孔明の策にあっと驚くような戦術は出てこない。 以前読んだ三国志モノにあった「十万の兵の代わりをする迷路」、「天気を思いのまま操るように見せかける」、「谷間に誘い込み火攻めにする」とい

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    2016年08月12日
  • 諸葛孔明(上)

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     最初は予備知識の無さゆえに取っ付き難い印象があったたのだが読み進めるうちに三国志の魅力に嵌っていくようだった。

     内容はタイトル通り孔明の活躍を中心に据えて三国志を描いている。故に孔明が一切関わってこない三顧の礼以前の話に付いては軽く触れる程度。だからこそ序盤は物語の全体像が掴めなくて何度も辞書を引いてしまった。

     本作で誉めたくなる点としては完全なる英雄が一人も居ない点か。どうにもヒーロー思想の強すぎる歴史小説は苦手なのだが、本作にはそれが良い意味で居ない気がする。例え、世評で英雄とされる武将が居たとしても作中ではとても人間臭い言動だったりするのだ。それが読んでいてとても心地良い。
     

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    2016年08月12日
  • 小説十八史略 傑作短篇集

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    陳舜臣氏の著書は、いつか読んでみようと思いつつ今日になってしまいました。
    「十八史略」の小説版で、しかもこの本は短篇集。
    とても読みやすかった。
    陳舜臣氏の「小説十八史略」を全巻読んでみます。
    きっと期待に違わないことでしょう。
    一気に陳舜臣氏のファンになってしまいました。

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    2015年04月30日
  • インド三国志

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    「三国志」とついているので、古代インドの英雄の攻防か?と思って読んで見れば、比較的歴史の新しいムガル帝国の事を書いた本。ムガル帝国といえば、アクバル大帝やタージマハルを作ったシャー・ジャハーンが有名ですが、シャー・ジャハーンの帝国最盛期後、イギリスの植民地化されるまでが結構短期間なのが不思議だったのですが、本著はその疑問を埋めてくれます。
    「三国」の三者はシャー・ジャハーンの次の皇帝アウラングゼーブ、マラーター族、東インド会社。イスラム至上のアウラングゼーブが帝国内にマラーター族のような敵をつくり、不要な内戦を引き起こし国力を弱めた事と東インド会社の台頭が、急速にムガル帝国の衰退を招きます。…

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    2013年10月19日
  • 諸葛孔明(上)

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    諸葛孔明は有名ですよね。

    ズぅ~~~っと気になっていた人物。

    赤壁の戦い(レッドクリフ)でもキーパーソンの一人。

    君主に仕える参謀として一級の人物。

    策略を用いる天才。

    泣いて馬謖を切る。

    死せる孔明生ける中達を走らす。

    ぼくの持っている彼の知識はこの程度。

    ・・・・・・

    読み終わって、えっ?この程度?

    という感想。

    レッドクリフの記述も、えっ?っと思うくらい短い。

    単に枝葉が湿気ないように雨から守ったという程度。

    彼が晩年指揮したという戦いも、スカッとした勝ちは皆無。

    逆に、負け戦ばかり。

    実際の彼も、三国志の中で蜀漢を安定させようとした夢半ばで亡くなっている。

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    2013年10月04日
  • 諸葛孔明(上)

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    読みやすい。古いはずなんだけどね。
    三国志、ではなく諸葛孔明なので序盤の若い頃の話がいいです。
    曹操が滅ぼした光景をみて心を決めたりするのがいい。孔明って感じです。

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    2013年04月27日
  • 北京の旅

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    北京の成立から中国の首都として果たしてきた歴史を振り返り、この千年の王城についてのエピソードを紹介しながら、紫禁城、北海、長城、十三陵などを解説する。この本を片手に観光するにはちょうどいいガイドブック。今からもう30年以上も前の1970年代に書かれているので、今ではこの本で紹介されたのとはまったく違う北京があるのだろう。この違いを知るのも楽しみ。

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    2013年03月03日
  • インド三国志

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    何の心境の変化があったのか、
    戦争ものの本を読んだ感想が違ってきます。

    戦争はやはり無くならないのだろうかという気持ちはぬぐえない。

    ちょっと悲しい気持ちになりますね。

    戦争を起こすのも、戦争が無くなるのも宗教の意味合いは大きいのかなと思います。

    いったい、戦争は何を求めているのでしょうか。

    だれもが専守防衛となれば戦争は起こらないとおもうのですが、

    裏切りものが誰かでる。

    攻撃してくるのだと気づけば前もって叩くとなるわけですわな。

    疑心暗鬼の世界ともいえる。

    誰もが利己的です。

    私だって自分勝手ですが、

    戦争を起こさない方が利益が多いと思うのです。

    戦争を起こす人は戦

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    2012年11月05日
  • 秘本三国志(一)

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    どちらかといえば、正史三国志準拠。というより、正史の裴注をもとにしていると思う。ストーリーは、五斗米道の女性・少容を中心に語られ、英雄の中では曹操が主立って登場する。より現実的な解釈で、三国志を展開している。戦略の裏のかけ引きや、妖術の裏の科学的なからくり、非情な仕打ちに潜む人間的な苦悩、人間が人間らしく描かれていると思う。

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    2012年10月31日
  • 秘本三国志(一)

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    数多の三国志(って全部読破してるわけではないですが)の中でも淡々とした書きっぷりが心地よかったです。綺羅星のごとき豪傑もここではただのアホ。SF三国志「蒼天航路」と一緒に読むのも良いかも。

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    2012年06月29日
  • 秘本三国志(一)

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    演義の悪影響を受けたくない人にはたまらない。可能な限り正史を採用しており、それでいて時系列がきちんとしている。だから歴史の勉強にもなる。特に、道教や仏教に関わる人たちがどのように乱世を生き抜いていたか、そのあたりが興味深い。反面、英傑たちのあらゆる戦いが八百長で片付けられているところが好きになれない。

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    2012年01月11日
  • 小説十八史略(二)

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    秦始皇帝から前漢の武帝までの時代を描く。
    史記に馴染んできた自分としては、再確認と陳舜臣の人物造形に興味があった。

    今回は、張耳と陳余、盧綰、韓王信に注目した。

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    2011年12月21日
  • 諸葛孔明(上)

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    存外面白かった。

    風雲急を告げ、劉備の臣下となってからが特に興味深い。

    陳舜臣の諸葛亮像と劉備像が、私の想像と異なり、二人のやり取りがつい気になってしまうのだ。

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    2011年12月16日
  • 新装版 新西遊記(上)

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    唐代の玄奘法師の紀行
    明代の三蔵法師の孫悟空を伴った冒険
    現代の陳 舜臣の家族旅行

    中国西域の地(シルクロード)の旅を陳 舜臣は重ね合わせる。
    なぜ三蔵法師玄奘を 玄奘と三蔵に分けたか
    そこに作者の作家の目がある。玄奘は実在の求道者。
    三蔵は西遊記の気弱な主人公。
    文の国、歴史の国の中国において、容易に手に入れることができる
    一級資料がありながら、なぜ荒唐無稽な物語が誕生したか
    その物語の冒険譚に原典はどう反映されているか
    作家陳 舜臣がシルクロードを辿る

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    2011年09月30日
  • 諸葛孔明(上)

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    再読。昔から孔明に興味があったが、今回は今までとは異なる視点でよみたいと思った。冷徹なまでに現実を直視する頭脳と、幼い頃の曹操による虐殺を忘れない心が、いいコントラストを生んでいる。昔は劉備が好きだったけど、今は曹操の生き方に憧れる。

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    2011年09月09日
  • 山河在り(上)

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    関東大震災から日中戦争に向かう時代において、日本に住む中国人(華僑の息子)がジャーナリストの手伝いをしながら中国と日本を行き来し、だんだん不穏になっていく世の中の空気を伝えていく、という話。物語そのものより、史実に基づく当時の日中関係の描写に迫力が感じられた。上中下巻の全3巻。

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    2011年09月04日