あらすじ
清朝末期。大英帝国の新興資本は、市場を求め中国進出を企てていた。彼らが流入させた阿片の暴利を貪る特権商人、官僚達の中に、国を憂う清廉潔白な実力官吏・林則徐と豪商・連維材がいた。明治維新を始めとした近代アジア史に強烈な衝撃を与えた事件を活写する陳文学の最高峰、新装版登場!(全4巻)
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Posted by ブクログ
アヘン戦争。産業革命によって強力な生産力を持ったイギリスは、自国製品の売り先を探していた、その矛先は清国に向けられた。アヘン戦争はイギリスが仕掛けた非道な戦争といわれている。しかし、その前夜に何があり何が戦争へと導いたのか、詳しくは知らない。そこでこの作品を手に取った。
清国の新興商人・連維材は開国を望み、「何かを変えねばならない」という得体のしれない破壊欲をもった男。一種のギルドである公行と衝突しながら、茶の輸出で大きな利益をあげてゆく。
清国政府(道光帝)はアヘン厳禁・弛禁の論争で揺れる。林則徐は改革派であり、この人物もまた、破壊欲をもった男といえるかもしれない。
中華思想を固持したい清国の思惑。官僚の腐敗。新興商人の台頭。イギリスをはじめ列強の進出、アヘンの横行。なんという時代だろう、当時の人間にとっても何かが胎動している。その正体はわからない。そんな時代だったのではなかろうか。