陳舜臣のレビュー一覧

  • 小説十八史略(五)
    隋から唐へ。なかなか波瀾万丈なのだが、いつも兄弟、皇后、皇太后、その親族の争いになるパターン。
    なかなかそれを脱するのは難しいのかもしれない。いつの時代のどこの世界でもこんなパターンが多そう。
    玄宗は思っていたよりも若い頃は、有能だった感じを受けた。それでも唐の傾きが始まっていたのだ。それ以前に則天...続きを読む
  • 小説十八史略(四)
    漢の後、三国志の時期を経てから、なかなか世の中が定まらなかったとは記憶していたが、思わず世界史資料集を見返す。
    こんなにも乱れた時期が長かったとは思わなかった。隋、唐に至るまでの歴史は骨肉合い争い、家臣が(ほとんどが丞相)が皇帝に取って代わるの繰り返し。
    なるほど、だからこんなにも姓の入れ替わりが激...続きを読む
  • 中国の歴史 近・現代篇(二)
    中国の歴史を追いかけて、著者の小説をかなり読んだけども、今作に出てくる登場人物の多いことについていけなかった。ただ、大まかにこの大きな国を王朝から民主かするには時期が悪いように感じるし、時間ももっとかけないといけなかったと思う。
    主義と思想による対立、外国の干渉、利権と権力を欲する者達の争い。もう収...続きを読む
  • 法顕 ~シルクロード人物物語 高僧のインド求法の旅

    玄奘より二百年前の天竺への長旅

    「法顕」という僧侶は、西遊記のモデルになった、玄奘三蔵より200年前に長安から天竺にわたって帰ってきた僧侶です。
    60歳を超えて、長旅に挑み、十四年かけてインドへ旅して、帰ってきたのは、見事としか言いようがない。

    「法顕伝」を調べていても背景がよくわからなかったのですが、中国の歴史に詳しい作者の手...続きを読む
  • 対談 中国を考える
    近代史において、特に日清戦争を象徴的に、なぜ、日本は近代化に成功したのか?清を凌駕することができたのか?中国の当時の状況と比較しつつ、考えてみることは興味深い。
    当然のことながら、これは長い歴史の中の一過性の状況にあり、そこから両国がどのように変わっていったのかを知ることも重要。

    以下抜粋
    ・日本...続きを読む
  • インド三国志
    日本では貴重な、近世のインドを舞台にした歴史小説。
    インド亜大陸の大半を支配するムガル帝国の6代皇帝アウラングゼーブ、後にムガル帝国を脅かすインドの土着勢力マラーター同盟の創始者シヴァージー、そしてフランスやイギリスといった西洋帝国主義の尖兵、東インド会社を興亡を描いている。

    上記3勢力を中心に諸...続きを読む
  • 日本人と中国人――“同文同種”と思いこむ危険
    「同文同種」
    使われる言葉と人種が同じ、という意味だそうです。
    ちょっと古い本なので時代の違いなのかもしれませんが、日本人と中国人、人種が同じと思うことが日本人の共通認識なんでしょうか?

    中国人と一口に言っても、漢民族、満州族、蒙古民族、女真族等々。
    それに対して日本人=大和民族と思われています...続きを読む
  • 太平天国(四)
    阿片戦争以後の清朝の歴史を知りたくて読んだ。日本の幕末期に中国では何が起きていたか。東アジアの現代史を理解する上で、陳舜臣の小説は面白く価値がある。2、3巻が冗長で読み辛かった。良い知識補充になった。
  • 小説十八史略(一)
    古代中国、特に春秋戦国時代の話を知りたかったので購入。
    時代は殷から秦の統一、楚漢戦争の序盤まで。
    代表的なエピソードを拾って小説にしてあるので、どれも興味深く読めた。
    だが数多ある英雄譚を全て拾うわけにもいかず、後の時代に引用されているような人物が意外と居なかったりする。もっと多くの人物を知りたい...続きを読む
  • 小説十八史略(六)
    宋の滅亡で十八史略が終わる。

    ローマ史を読むなら塩野七生、中国史なら本書が社会人にはおすすめです。
  • 小説十八史略(五)
    唐が衰退する直前までの歴史である。

    唐は貞観の治という中国史上最も平和な時代として有名であり、李世民(太宗)から始まり、則天武后や楊貴妃などスターに事欠かない時代である。

    しかし他の時代の例に漏れず、初代の皇帝(高祖)は極めて優秀なのだが、その後の跡継ぎが無能で、政治を放ったらかしにして側近が私...続きを読む
  • 新装版 阿片戦争 (四)
    ★★★2017年7月レビュー★★★


    長い長い物語が終わった。連維材、林則徐、王挙止・・・多くの魅力的な人物によって彩られた物語、史伝だった。もっとも心の残ったのは深刻な政府、官僚組織の腐敗だ。皇帝への報告は虚偽に満ちたものであり、だれもが責任回避しか頭にない。
    本当に責任感をもった、誠実な人間は...続きを読む
  • 新装版 阿片戦争 (三)
    ★★★2017年7月レビュー★★★

    組織が古びてくる、というのは恐ろしい事だ。優秀な人間が排除され、無能な人間が跋扈する。清国の末期もまさにその状態だったようだ。第3巻では、林則徐が左遷され、英国に対して媚びるだけ媚びて、何としても戦争を回避しようとするだけの琦善(チシャン)が赴任。


    戦争は回...続きを読む
  • 新装版 阿片戦争 (二)
    一気読みした。スケールの大きさ、時代の激しさに翻弄されながら。「阿片戦争」という歴史の大きな出来事に突き進んでいく。その中心は林則徐。
    「阿片を厳禁し、中国人の意気を取り戻す。結果、英国と戦争になろうとも、敗北必至であっても見事に戦うのだ」という信念で行動する林則徐。道光帝(やる気の起伏が激しい皇帝...続きを読む
  • 新装版 阿片戦争 (一)
    アヘン戦争。産業革命によって強力な生産力を持ったイギリスは、自国製品の売り先を探していた、その矛先は清国に向けられた。アヘン戦争はイギリスが仕掛けた非道な戦争といわれている。しかし、その前夜に何があり何が戦争へと導いたのか、詳しくは知らない。そこでこの作品を手に取った。


    清国の新興商人・連維材は...続きを読む
  • レジェンド歴史時代小説 琉球の風 下
    中国の明からの援軍はなく、薩摩藩の圧倒的な兵力の前に琉球軍は降伏し日本・大和の属国に。しかし、琉球の民衆たちは国の再興に動き出す。沖縄の激動を描くレジェンド歴史時代小説!
  • 中国詩人伝
    戦国時代の屈原から、近代の魯迅までの詩人たちの簡単な評伝と、代表作を組み合わせた読み物。
    幻想の詩人、李賀の、色彩感に満ちた詩。
    中国の詩の歴史の中でも異色の存在を、この本を通して初めて知った。

    名前くらいしか知らなかった杜牧が、放蕩の時代があったもののエリートコースにいた彼が、眼病を病む弟のため...続きを読む
  • レジェンド歴史時代小説 琉球の風 下
    歴史的には定まっている事をベースに描いている話なので、物語をどう膨らませるのかという所が難しい題材です。しかし、なかなか上手く話は膨らんています。

    それと、なるほどねぇ。ここで鄭成功が出てきますかと!

    また、最近、空手が沖縄発祥であるということを知ったのですが、震天風や奇羅波丸が繰り出していた『...続きを読む
  • 諸葛孔明(下)
     以前読んだ三国志モノとは所々違う描写があって新たな発見を多く見つけることが出来た。やはり史実を基にしていると言いつつも記録が少なかったり、書によって記述が違っていたりするとそれぞれの作家によって描写は変わってくる点は三国志モノの魅力か。

     この物語では孔明のそれまでのイメージを払拭したかったのか...続きを読む
  • 諸葛孔明(上)
     最初は予備知識の無さゆえに取っ付き難い印象があったたのだが読み進めるうちに三国志の魅力に嵌っていくようだった。

     内容はタイトル通り孔明の活躍を中心に据えて三国志を描いている。故に孔明が一切関わってこない三顧の礼以前の話に付いては軽く触れる程度。だからこそ序盤は物語の全体像が掴めなくて何度も辞書...続きを読む