陳舜臣のレビュー一覧

  • 中国の歴史(六)

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    明~清。
    明王朝は、その末期に満州族が攻め込んで挙国一致で事に当たらなければならないところを、皇帝がリーダーシップを発揮せず、臣下は足の引っ張り合いで、亡国の憂き目をみることになる。
    そして現在――歴史的円安だって言うのに、政治資金パーティーをどうするこうするで揉めている日本の政治家どもが、それと被って見えてしまうのは、妄想の域なのでしょうか?

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    2024年04月27日
  • 諸葛孔明(上)

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    これだけの小説を執筆するにあたって、作者はどれだけの資料を蒐集したのだろうかと思わせるほどに、事細かに主人公とその時代の人々のことが描写されている。
    上巻は赤壁の戦いまで。三国志によく知られている赤壁の戦いの詳細は語らず、そこに至るまでの孔明と呉の賢臣たちとのやり取りを中心に描かれていることも新鮮である。

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    2024年01月19日
  • 対談 中国を考える

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    あとがきを見ると1978年の書籍、半世紀近く前
    山内昌之さんの解説が2012年、胡錦濤の最後の年
    変わったこと、変わらないこと
    テレビなどの報道よりよほど今の中国がわかる!
    40年前『項羽と劉邦』が面白く、次に『中国五千年』を読んだ、二人の作家の対談ならと手に取った
    今より情報が少ない時代に今よりはるかに真っ当に中国をとらえている!

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    2023年12月26日
  • 対談 中国を考える

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    陳舜臣さんの言う処の 談天半天 であります。学生時代からの友人 司馬遼太郎と語る、中国のあれやこれや、1978年頃の対談ですが、色々な気づきを与えてくれる対談です。曰く、中国の方々は、ほとんど日本の歴史を知らない、魏志倭人伝ぐらいか。おそらく明治維新以降の歴史を少し知っている程度では、という指摘もあり、なんとも味わい深いものがあります。★四つです。

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    2023年11月04日
  • 小説十八史略(四)

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    この巻の前半は三国志から始まるのだが、
    巷で語られてるような内容と、少し違う。
    面白く脚色してあるんだということが分かった。

    この時代はまだ、強くなければならない。
    強い者が良き心の持ち主で善政を
    行ってくれれば良いが、そういう人物は
    生き残れない。
    どの派閥に属するか、どの権力者を担ぐか
    それで将来が決まる。
    権力を持つ側についても、
    謀反やら謀略で叩き落とされ
    奈落の底に落とされる。

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    2022年10月07日
  • 小説十八史略(六)

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    元が興り宋が滅ぶところまで。
    このようにざっと見渡すとずっと権力への闘争が続く。今でもそれは続いているのだが、民はそれに翻弄され続けている。
    なんだかため息が出てしまう。

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    2022年05月12日
  • 小説十八史略(五)

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    隋から唐へ。なかなか波瀾万丈なのだが、いつも兄弟、皇后、皇太后、その親族の争いになるパターン。
    なかなかそれを脱するのは難しいのかもしれない。いつの時代のどこの世界でもこんなパターンが多そう。
    玄宗は思っていたよりも若い頃は、有能だった感じを受けた。それでも唐の傾きが始まっていたのだ。それ以前に則天武后がいたのだったと気づく。

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    2022年04月26日
  • 小説十八史略(四)

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    漢の後、三国志の時期を経てから、なかなか世の中が定まらなかったとは記憶していたが、思わず世界史資料集を見返す。
    こんなにも乱れた時期が長かったとは思わなかった。隋、唐に至るまでの歴史は骨肉合い争い、家臣が(ほとんどが丞相)が皇帝に取って代わるの繰り返し。
    なるほど、だからこんなにも姓の入れ替わりが激しかったのか、と改めて知る。

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    2022年04月01日
  • 中国の歴史 近・現代篇(二)

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    中国の歴史を追いかけて、著者の小説をかなり読んだけども、今作に出てくる登場人物の多いことについていけなかった。ただ、大まかにこの大きな国を王朝から民主かするには時期が悪いように感じるし、時間ももっとかけないといけなかったと思う。
    主義と思想による対立、外国の干渉、利権と権力を欲する者達の争い。もう収拾がつかない。国を一つにするのが無理があるように思った。
    暗殺、裏切りもうなんでもありの世界。
    当時、革命とはこういう痛みを伴うものなのは理解するがあまりにも混沌としていて、どういう風に事が進むのが良かったのか歴史を振り返って見たとしてもわからない。
    結局軍事力がないと国を統治できないのだろうか。

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    2022年01月11日
  • 法顕 ~シルクロード人物物語 高僧のインド求法の旅

    購入済み

    玄奘より二百年前の天竺への長旅

    「法顕」という僧侶は、西遊記のモデルになった、玄奘三蔵より200年前に長安から天竺にわたって帰ってきた僧侶です。
    60歳を超えて、長旅に挑み、十四年かけてインドへ旅して、帰ってきたのは、見事としか言いようがない。

    「法顕伝」を調べていても背景がよくわからなかったのですが、中国の歴史に詳しい作者の手によって、よくわかるように書いてあります。
    小説の形をとっているので、生きた人物として読むことができました。
    鳩摩羅什が破壊僧である、という事は書いてないが、呂光と言う将軍が鳩摩羅什の存在を隠した、という事はわかりました。

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    2021年03月13日
  • 対談 中国を考える

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    近代史において、特に日清戦争を象徴的に、なぜ、日本は近代化に成功したのか?清を凌駕することができたのか?中国の当時の状況と比較しつつ、考えてみることは興味深い。
    当然のことながら、これは長い歴史の中の一過性の状況にあり、そこから両国がどのように変わっていったのかを知ることも重要。

    以下抜粋
    ・日本的なものだろうとわれわれが思っているもので、実は中国がもとだというものがいっぱいあるわけですよ。
    政治思想として、よく国粋主義的なことを言う人がいますけど、だいたい朱子学みたいなことでしょう。それ以前にはさかのぼらない。本居宣長を政治思想にしようとしてもなかなかなりにくい。朱子学だったら、南宋の思想

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    2020年12月27日
  • インド三国志

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    日本では貴重な、近世のインドを舞台にした歴史小説。
    インド亜大陸の大半を支配するムガル帝国の6代皇帝アウラングゼーブ、後にムガル帝国を脅かすインドの土着勢力マラーター同盟の創始者シヴァージー、そしてフランスやイギリスといった西洋帝国主義の尖兵、東インド会社を興亡を描いている。

    上記3勢力を中心に諸勢力が権謀術数や戦争を繰り広げる描写はまさに三国志といったところ。
    この時代のインドに興味がある方や、群雄割拠ものが好きな方は楽しめる一冊だと思います。

    また、上記の三勢力以外にも、ムガル帝国とは持ちつ持たれつ、時には帝国に反旗を翻すラージプートやアフガニスタン諸族なども登場するが、マラーター同盟

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    2020年11月03日
  • 日本人と中国人――“同文同種”と思いこむ危険

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    「同文同種」
    使われる言葉と人種が同じ、という意味だそうです。
    ちょっと古い本なので時代の違いなのかもしれませんが、日本人と中国人、人種が同じと思うことが日本人の共通認識なんでしょうか?

    中国人と一口に言っても、漢民族、満州族、蒙古民族、女真族等々。
    それに対して日本人=大和民族と思われていますが、アイヌの人たちもいるわけです。
    日本人と中国人の人種が同じとは全然考えられないのですが。

    ましてや、同じ漢字を使っているから分かり合えるというのも勘違いで、同じ漢字でも意味が違うことは多々ありますし、今の中国の簡体字と日本の漢字はもう別ものでしょう。

    それを踏まえたうえで、日本と中国の違

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    2019年06月08日
  • 太平天国(四)

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    阿片戦争以後の清朝の歴史を知りたくて読んだ。日本の幕末期に中国では何が起きていたか。東アジアの現代史を理解する上で、陳舜臣の小説は面白く価値がある。2、3巻が冗長で読み辛かった。良い知識補充になった。

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    2018年10月26日
  • 小説十八史略(一)

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    古代中国、特に春秋戦国時代の話を知りたかったので購入。
    時代は殷から秦の統一、楚漢戦争の序盤まで。
    代表的なエピソードを拾って小説にしてあるので、どれも興味深く読めた。
    だが数多ある英雄譚を全て拾うわけにもいかず、後の時代に引用されているような人物が意外と居なかったりする。もっと多くの人物を知りたいとか古代中国を詳しく知りたいと思うなら、別の本で補完するのは必須かと思う。
    この本はあくまで小説なので、元の記録から肉付けや脚色をして物語として読みやすくしてある。
    それは良い点なのだが、本書を古代中国の入り口にしたのでどこまで史書に書かれていたものなのか、十八史略の時点で追加されたものなのかこの小

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    2018年10月20日
  • 小説十八史略(六)

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    宋の滅亡で十八史略が終わる。

    ローマ史を読むなら塩野七生、中国史なら本書が社会人にはおすすめです。

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    2018年03月23日
  • 小説十八史略(五)

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    唐が衰退する直前までの歴史である。

    唐は貞観の治という中国史上最も平和な時代として有名であり、李世民(太宗)から始まり、則天武后や楊貴妃などスターに事欠かない時代である。

    しかし他の時代の例に漏れず、初代の皇帝(高祖)は極めて優秀なのだが、その後の跡継ぎが無能で、政治を放ったらかしにして側近が私腹を肥やす→農民が怒り狂う or 別の側近がクーデターを仕掛ける というテンプレート。

    正直、この展開は見飽きました。。。

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    2018年02月21日
  • 新装版 阿片戦争 (四)

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    ネタバレ

    ★★★2017年7月レビュー★★★


    長い長い物語が終わった。連維材、林則徐、王挙止・・・多くの魅力的な人物によって彩られた物語、史伝だった。もっとも心の残ったのは深刻な政府、官僚組織の腐敗だ。皇帝への報告は虚偽に満ちたものであり、だれもが責任回避しか頭にない。
    本当に責任感をもった、誠実な人間は左遷されるという恐ろしい事態。「過去の中国のこと」と切り捨ててはいけないと思う。現在の会社などの身近な組織でも起こりうることだと感じた。


    次に、英軍による残虐行為。1840年時点においても、兵隊による残虐行為が横行していたのか。坂本龍馬が感銘を受けたという「万国公法」たるものは機能していなかった

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    2017年07月28日
  • 新装版 阿片戦争 (三)

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    ネタバレ

    ★★★2017年7月レビュー★★★

    組織が古びてくる、というのは恐ろしい事だ。優秀な人間が排除され、無能な人間が跋扈する。清国の末期もまさにその状態だったようだ。第3巻では、林則徐が左遷され、英国に対して媚びるだけ媚びて、何としても戦争を回避しようとするだけの琦善(チシャン)が赴任。


    戦争は回避するに越したことはないのだが、相手の言い分を聞くだけでは、結局傷口を広げてしまうことになる。準備不足で戦争に挑むことになり、優秀な指揮官を失ってしまう。


    英国側も、林則徐を好敵手として尊敬していたようだ。
    下関戦争の際の高杉晋作を思わせる話だ。

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    2017年07月22日
  • 新装版 阿片戦争 (二)

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    ネタバレ

    一気読みした。スケールの大きさ、時代の激しさに翻弄されながら。「阿片戦争」という歴史の大きな出来事に突き進んでいく。その中心は林則徐。
    「阿片を厳禁し、中国人の意気を取り戻す。結果、英国と戦争になろうとも、敗北必至であっても見事に戦うのだ」という信念で行動する林則徐。道光帝(やる気の起伏が激しい皇帝)の信任を得て、広東で阿片の廃棄を強行。
    一方で大きな変化を望まないム・チャンアらの勢力と対立する。


    「戦えば負ける」とわかっていながらも、大きな敵に挑まなければならない時があるのだろう。命よりも大事なものが。コンスタンティノープル陥落時のコンスタンティヌス11世も、命を長らえようと思えば、そう

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    2017年07月28日