陳舜臣のレビュー一覧
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琉球の人々のしたたかさ
欧州、大国明、強国島津、将軍家徳川の狭間にあって生き抜く道を模索していく琉球の人々を克明に描いている。一言で言えば貿易立国のDNAの物語だ。戦国時代の終わりを迎えていた当時の日本は勝つか負けるか、生か死かの精神にまみれておりまったく違う国家だった。多様化の時代、学ぶべきことの多い読書だった。
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Posted by ブクログ
単なる歴史書でもなく、大いに創作がくみこまれているのだが、これこそが歴史小説というような圧倒的パワーをもって読者をひきつける物語展開は素晴らしい。
複数の登場人物の視点を巧みに組み合わせたり、話したりしながら総合的な歴史のうねりのようなものを実感できる。
単に林則徐の世界というわけでも、英国側の事情というわけでもなく、複雑に絡み合った世界を立体的に構成するのだ。
そこで大きな役割を果たすのが脇で物語を進める脇役たちである。歴史上に登場しない人物も巧みに語らせ、庶民の立場、わいろを要求する立場の人間の所作が物語に拡がりをもたせているのだ。 -
購入済み
三国志は好きでいろいろと読んできました。それぞれ誰を主人公にするかで作風が変わってきましたが、今回は道教・仏教の指導者の立場の人の立場で、悪役とかではなく中立に書かれていることで、三者の人物像が少しはわかったような気がします。
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Posted by ブクログ
こんなに近くの国なのに、その歴史をほとんど知らないなと思い読んでみた。五帝紀から15年戦争まで、5千年くらい?の歴史本。そして長い。全七巻のすべてが500ページを超える大作で、週末のみの読書では読み終えるのに2か月掛かった。また、あとがきにも書いてあるが、阿片戦争以降がやや駆け足に書かれている。ちょっと物足りないなと思っていたら、中国の歴史 近・現代篇なるものがあるらしい。しかも全10巻とか。いつか読んでみようかなぁ。。。
追補 あとがきを読んで近・現代篇が全10巻と書いたけれど講談社版で全2巻らしい。どういう感じなのだろう。尽きることのないような資料を読み込んで、咀嚼と反芻を繰り返して自分 -
Posted by ブクログ
陳舜臣『小説十八史略』(全6巻)読み上げました。
史書など18の歴史書を子供用にひとまとめにしたもので、
これは最高に面白かった。
夏王朝から宋までの約3000年余りの中国の国家興亡の様子を概観したものです。
皇帝、皇帝の母、皇帝の親族、重臣、宦官、地方豪族、西方、北方の諸民族などが
入り乱れて、領土覇権を争います。
その中には、親兄弟関係なく、欲望をむき出しにして、
まさに骨肉の争いが展開されています。
人間の欲望ってこんなにすごいのか、人ってここまで残忍になれるのか、
読んでいて本当に考えさせられます。
でも、このシリーズ最後の巻に、文天祥という武人の話が出てきます。
漢民族国家の宋と