【感想・ネタバレ】中国の歴史 近・現代篇(一)のレビュー

あらすじ

列強の蚕食に苦しむ清国では、甲午の役(日清戦争)の敗戦で不満が爆発。保皇派の康有為は公車上書を著し、立憲君主制を提唱する。義和団事変で8ヵ国連合軍が紫禁城に乱入し、権勢を誇った西太后も光緒帝(こうしょてい)と西安に逃れた。王朝打倒を目指す孫文ら若き革命家たちは集結を始める。中国近代史の精華〈全二巻〉。

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Posted by ブクログ

甲午の役(日清戦争)での敗戦からの近・現代史。
朝廷では変法を望む光緒帝(帝派)と、そうはさせじと実権をにぎる西太后(后派)が牽制しあう。
外では康有為と孫文、それぞれのカリスマが革新に向けて奔走する。前者は上書を繰り返しあくまで上から変法を目指す保皇派、対して後者は士大夫以上の者とは繋がらず秘密結社を終結して地方を押さえながら清朝そのものを覆そうと目論む革命派で、対照的な両勢力の台頭は小説を読んでいるみたいにドラマチックである。そのあたり小説家・陳舜臣が書いているだけあって、主観が反映されている部分が気にならなければ歴史教科書としては読みやすさで最高の部類。

義和団事件の発生は中国人のメンタリティーを思うと想像に易い。
キリスト教の布教が許されている中で排外的な結社・義和団が過激な仇教運動を起こし、多くの人が死ぬ。もっとも信教者のなかには施しだけが望みでまともでない悪質な者も少なからずいたし、特別待遇をうける教会に対する民衆の反発は大きかった模様。西太后が義和団を支持したことで混乱は激化。集団ヒステリーが起こる。それを宣戦布告として諸外国が北京へ侵攻…という流れ。
国が民衆を煽った結果のコントロール不能、外圧の激化。というのは今も見られる。

西太后は世界史上最も長期間一国の頂点に君臨した女性らしい。義和団事件の危機にしても自分で蒔いた種であるが、失脚を免れる手腕と執念は異常。
2008.12.20

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2009年10月04日

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