鮎川哲也のレビュー一覧
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鬼貫警部シリーズ。
【碑文谷事件】犯人を疑うきっかけになったイニシャル、誤認逮捕、捜査の行き詰まり、真犯人のアリバイ崩し、謎の動機と盛りだくさんだったと思います。
殺害の方法や写真、偽名など電車のトリックだけでなく細かな点も練られた犯罪でおもしろかったです。
動機に関しては分かるような分からないような。しかしラストの鬼貫警部の心の呟きが辛辣。
冒頭の、野球にいちゃもんをつけてぼこぼこにされる男に笑いました。
【一時一〇分】一時一〇分の謎よりも車のトリックの方が好きです。犯人逮捕の場面の女性には軽く騙されました。
【早春に死す】鬼貫警部の前に立ちはだかるアリバイが実は……。発想の転換がおもしろいです。不自然に止まった時計の時点で怪しいのですが、布田の行動や言動が思わせぶりで惑わされました。
【見えない機関車 二ノ宮心中】コレをこんな風にアリバイトリックに利用して犯罪計画を立てるのはおもしろい。豆知識みないな真相なんですが、発見したら嬉しいですね。犯行時の犯人の行動の描写も後から見ると楽しい。
冒頭の死体発見の女性についての描写がなかなかひどい。
【不完全犯罪】倒叙物。犯人の計画がどこで破綻するのか、犯人側からの描写です。まぁそうなるだろうとは思いましたが、この犯人の性格はおもしろいです。計画から犯行時の犯人の思考や行動も楽しめました。車のメーターは上手い事します。
【急行出雲】これもトリックは分かりやすいのですが、アリバイを崩すのではなく、アリバイを見つけ出す、という話の展開がユニークです。
【下り「はつかり」】このアリバイを支えるセーターがおもしろいです。時刻表トリックかと思っていたのでそこは意外でした。タイトルが良いです。 -
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鬼貫警部の短編集。全編アリバイ物です。
【白昼の悪魔】殺人現場に残された多くの手掛り。この手掛かりから徐々に犯人を…と思いきや探偵や記者が登場して別方向へ話が展開していくのがおもしろいです。
ラストは哀愁漂ってますがちょっと安っぽいドラマでした。
【誰の屍体か】冒頭で芥川がお酒飲んでごろごろしているのが気持ち良さそう。
犯行に使われたと思われる品々が届けられるという導入がミステリアスで楽しい。
最初はミスを犯した鬼貫警部ですが、依頼者が集めた情報から見逃されていた真実を見つけ出す鬼貫警部の慧眼が、依頼者視点からだと分かり易くおもしろいです。
残忍な死体の扱い方や芸術家たちなど結構どろどろとしていて楽しめました。
【五つの時計】名作と名高い作品ですが、なるほど凝ってます。まさに鉄壁のアリバイ。真犯人のアリバイを支える五つの時計をどうやって攻略するのか。ほんの僅かな手掛かりから鬼貫警部の推理が冴え渡ります。これも容疑者の無実を信じる依頼者の視点で、手品のトリックを明かすように真相をつまびらかにしていく鬼貫警部の解決シーンが楽しいです。
そばがおいしそう。
【愛に朽ちなん】本書ではこれが一番好きでした。大きさの違う2つの箱。一方にはなぜか死体が詰められ、違う場所へと送られていた。このトリックを瞬時に思いついた犯人はすごいです。解決のきっかけとなることさえ分かれば簡単な事なのかもしれませんが、ネタバレの後もわたしは混乱しました。ただ犯人の告白は退屈でした。ここは鬼貫警部にびしっときめてほしかったです。
【古銭】冒頭から手がかりが散りばめられています。犯人もこのトリックを考えた時アレを気にするもんだと思いますが迂闊だなぁ。メインのアリバイ崩しの他にこそ泥や新聞配達の少年のエピソードがあっておもしろいですね。
【金貨の首飾りをした女】古銭収集ってそんなにポピュラーな物なのかな。
容疑者とされた男が無実を証明する為に奔走するという最初の展開がおもしろいです。
逃亡劇、調査、元妻との関係、過去の事件。短編ですが単調なアリバイ崩しでない濃さがありました。
しかしすごいトリックだ。よくこんなトリックを考えつくなぁ。
【首】最初のいたずら電話はそんな事しなくても、とは思うけれどおもしろい。幾重にもアリバイの為の策が弄してあり、その残忍さも含めて複雑怪奇です。解決の糸口となるアレも矛盾点からの推察でさすが鬼貫警部。 -
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『犯人当て推理傑作集』ということで、犯人当てものが9編収録。解決編がうしろに纏めてあるので、問題編だけ読んでじっくり悩むのも良し、とっとと解決編読んじゃうも良し。
なかでも倒叙モノである『ふり向かぬ冴子』が面白かった(← 倒叙なので犯人当てというより、犯人の犯罪計画のどこにミスがあったのか、を当てる)。
まぁ、読者に犯人を当てて貰う事が目的なので、全般的にほどほどに小粒なトリックですが、どの作品も主人公が片っ端から甘党だったり、音楽ネタやロシアネタなど、読んでてほっこりするポイント満載。
作品の舞台が、洋館、ホテル、客船にペンションと、ミステリ読みなら「うひょー♪」な設定なこともあり、大変楽しめました-。 -
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ネタバレ『鳥羽ひろし君の推理ノート』
『テープの秘密』
無くなった父親が残したテープに残されたポメラニア語という謎の言語。盗まれた宝石とテープを狙う謎の盗賊団。
『真夏の犯罪』
田舎からの帰り道故障したバス。ほかの乗客と共にルービンシュタイン博士の屋敷に泊めてもらうことに。乗客の目撃した黒い幽霊の影と赤ん坊の泣き声。赤い星の謎。東京で連続する赤ん坊誘拐事件との関連。
『幻の射手』
元の鬼小隊長・明石副社長に送り付けられた脅迫文。透明人間による銃撃事件。警護のために池社長と宿に逃げ込むが・・・。
『クリスマス事件』
クリスマスのパーティーに三公という男を雇いサンタクロースの扮装で登場させた森夫妻。一瞬の停電に最中に銃撃された岩井博士。盗まれたダイヤのネクタイピン。岩井博士の原子力研究の成果を盗み出そうとしたスパイの正体。
『冬来たりなば』
山名博士宅の温室の中で気絶した松吉が目撃した「悪魔」。続いて使用人のしず子さんが目撃した「悪魔の手」。銀行ギャングの逃亡。山名博士の逃がした蜘蛛の秘密。
『油絵の秘密』
天才少女画家・小島麻子の誘拐事件。展覧会に出品された絵画に隠された暗号。男しかいない蕎麦屋のごみ箱から見つかった長い髪の毛に隠された秘密。
『幽霊塔』 -
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ノンシリーズの短編集。もっさりしたタイトルが多いのだが、中身は相変わらず容赦ない。
密室同様、アリバイのバリエーションも多くはない。そこを全編違った味付けで勝負してくるのは、逆算プロットの美学か、それとも緻密なトリックのなせる業か。
アリバイを組み立てた犯人と、それを崩していく探偵役ふたつの視点が、地味ながらてきぱきと描かれ、短いページ数の中に極上の本格空間が広がっている。やはり完成度と安定感では群を抜くなあ。時代を感じさせる表現が多少気になるが、それはそれで雰囲気は出ている。
『夜の疑惑』のラストは好き。ちゃんと三段オチになってるのが巧くてニヤリとさせられる。 -
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正統派のアリバイトリック。時刻表がばんばん出てくるが、苦手な人でも楽しめる。
手掛かりゼロの状態から、容疑者を絞り込むまでのプロセスが第一段階。ある偽作をめぐり、関係者宅を奔走する刑事たち。ただ話を聞くのではなくて、事件の本質に迫ろうとする姿勢にわくわくする。
第二段階はアリバイ崩し。意外な展開が加わり、ますます容疑者が怪しくなる。もうこれ以上時間の壁を崩せない、という場面で満を持して(?)鬼貫警部登場。固定概念を捨て視点を変えてみる。何もなさそうな証言から手掛かりの糸を手繰り寄せる。そうしないと解決できない緻密なプロットを、さも当たり前のように披露する手腕は正に本格の鬼。
今回は決め手のひとつがやや弱かったのが残念だが、馴染みある土地や駅名が出てきたので、なかなか興味深く読ませてもらった。質がいいと地味さも武器になるのだ。