鮎川哲也のレビュー一覧

  • ペトロフ事件

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    満洲の描写が生き生きとしていて、とてもよい。土地勘がある人でないと書けない描写だなあ。日本の時刻表トリックの元祖が、満洲を舞台にしているというのは、なんというか意味深だ。

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    2020年02月13日
  • 白の恐怖

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    軽井沢の白樺荘で起きた大量虐殺事件を弁護士の日記で語られていく体裁をとっているので、星影龍三や田所警部が出てくるのは最後の最後。盛り上がりはいまひとつといった印象。
    また思わぬところから明かされる真相はかなりインパクトがありますが、犯人を限定するためのロジックが甘く、総じて満足度はあまり高くありません。長らく文庫化されなかったのも頷ける内容かなと思います。

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    2019年03月25日
  • 死びとの座

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    鬼貫警部ものを読みたいと言っていた私にミステリ好きの義父が貸してくれた一冊。
    私が好きな音楽ネタあり、ご近所(ちょっとだけでてくる)ネタあり、まさかの身内ネタまであり、お義父さんたら、すごい!

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    2019年03月09日
  • リラ荘殺人事件

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    古典本格ミステリーを久々に堪能。
    隙のないロジックに、なんなら謎解きのヒントは読者にも平等に提示られているこの作り込み方が本格派だわぁ。

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    2019年03月03日
  • 白の恐怖

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    長らく絶版だったこの作品が2017年に論創社から復刻され、この度、光文社から初の文庫版で出た。買い易くなったのは有難い。
    尤も、作品の出来で言うと氏の長編の中で相当劣ると言わざるを得ない。手掛かりが皆無なフーダニットで、最後に出てきた星影探偵が解決した体裁になっているが肝心の謎解きを全くしていない。
    意外な結末を面白く感じる人もいるだろうが、同じ星影探偵の『りら荘事件』と比べたら天と地。これの絶版本が今でも1万円以上の値段が付いているのが不思議だ。

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    2018年11月28日
  • 黒いトランク~鬼貫警部事件簿~

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    スピード感はなく話そのものは地味だけど、凝ったトリックで面白い。
    じっくりとダイヤを確認しながらの推理はあの時代ならではという感じで、それだけでノスタルジックな感傷を覚える。

    ただ最後まで鬼貫は好きになれなかった。
    時代や作者の観念が手伝って、女性に対する考え方がとても偏ってる。
    昭和なのだからと理解していたけど、終盤に鬼貫の女性観が吐露されていたことで、読後感は正直イマイチだった。
    あとがきからも思ったけれど、作者は女性に何か恨みでもあるのか…
    良くも悪くも昭和の推理小説。

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    2018年10月24日
  • リラ荘殺人事件

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    四十年目の昭和五十一年復刊本だけれど文章も展開も全く古びていない。確立している。一部登場人物達の覚束ない丁寧語だけ気になったけれど時代柄?元別荘の寮を訪れた芸大生達とトランプの残された連続殺人。終盤で登場する探偵星影が有能すぎて際立つ警察との対比が清々しい。沢山の伏線からなる謎解きにわくわくした。

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    2018年10月14日
  • 白の恐怖

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    論創社から出てる「鮎川哲也探偵小説選 」に「白の恐怖」は収録されていますのでそちらでも読めますが、この本はあわせて「影法師」と「随筆」三篇を収録した構成の文庫になります。
    「影法師」の哈爾浜を舞台にした露西亜ネタが、短い中に鮎川哲也のいろんな要素(と遊び心)が詰め込んであって面白かった。

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    2018年09月10日
  • 黒いトランク

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    自分が九州出身で、元の勤務地の通勤路に、物語中登場する別府(べふ)があるので、親近感を持ちつつ読み進めた。
    人の心理として、ここまで綱渡りの凝ったアリバイ作りをするかしら、という点で、どうしてもリアリティを感じることが出来ないが、ミステリーとはそういうもんだ、と思えば、盲点を突いた面白いトリックではありました。

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    2018年05月20日
  • リラ荘殺人事件

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    初鮎川作品。
    人里離れた別荘×男女の学生、なんて連続殺人の推理小説の王道な感じがする。出版は50年以上前だから、少し古風で、王道な感じ。あまりミステリーに詳しいわけではないけれど。
    ちょっとした違和感が最後につながって、推理を聞くと犯人の特定できるのも当然、なぜそれまでの謎を私はそう解釈できなかったんだろうという感じですっきりした。

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    2018年04月02日
  • 黒いトランク

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    論理性にこだわった推理小説との触れ込みで読んだ。主人公の警部を中心に登場人物がすべて知り合いであるという設定。登場人物が限られて少ない中、推理の重心は犯人探しでなく、トリックの解明に紙面を費やす。少し回りくどい説明で辟易するが、読者が迷子にならないよう丁寧な説明を心掛けているのだろう。鮎川哲也というペンネームが、本書から得られた経緯が解説にある。推敲を重ねる著者らしく、作中に物語性に色を添える紅一点が登場するが、初稿ではいなかったのには驚かされる。

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    2017年07月01日
  • 黒いトランク

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    難しいーー。時刻表のくだりは読み飛ばしてしまった。笑 でもトランクのトリックは、非常に頭を使って、面白かった。

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    2017年06月07日
  • 朱の絶筆

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    再読。
    かなり昔読んだことがあるはずなのだが、驚く程まったく覚えていなかった。面白かったという記憶だけはあるのだが。

    犯人は想定内だし、第1の事件についてはタイトルから予想できる部分はあったが、他は伏線なんてあった?というくらい読み落としが多かった。伏線の散りばめ方がうまいので、すぐに再読して自分なりに伏線を拾い直すのも楽しそうだ。
    ただ、第2以降のトリック(という程ではない)はちょっと微妙。当時としては斬新なアイディアだったのだろうけど、私は第3事件で間違いなく被害者になりうる行動をするし、割合そういう人は多いと思う。

    途中、キャラのうるささと冗長な箇所で中弛みせずに一気読みできれば、こ

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    2016年12月29日
  • わるい風~鬼貫警部事件簿~

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    「青いエチュード」、「わるい風」、「いたい風」、「殺意の餌」、「MF計画」は犯人視点の倒叙もので、いずれも犯人の見過ごしていた矛盾点を鬼貫警部が最後に指摘する。
    「夜の訪問者」は、濡れ衣を着せられ、事故死した夫の無罪を証明してほしいとの依頼を受けた私立探偵が、事件に潜むいくつかの謎を解き明かし、鬼貫警部に真犯人を告発する話。
    「まだらの犬」は、この短編集では一番の長編だが、容疑者が二転三転。本格ミステリーというよりも、刑事の捜査における苦労話、警察小説の趣きが濃い。アリバイトリックはちょっと凝り過ぎで、さほど妙味はない。
    「楡の木荘の殺人」と「悪魔が笑う」はハルビンで起こったアリバイトリックに

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    2016年03月07日
  • 太鼓叩きはなぜ笑う

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    私立探偵の足を使う捜査パートと微妙なへっぽこ具合とバーテンによる謎の解明という物語の構成のコテコテ感が良かった。クライマックスで犯人へビシっと証拠を叩きつける春の驟雨と竜王の不吉な旅と中華料理知識が楽しい新ファントム・レディが好き。

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    2015年09月13日
  • 黒いトランク

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    「本格推理小説での伝説の一冊」らしい。
    たしかに、トリックも論理的だし、殺害の動機もまぁ分かるが、トリックをなんでそこまで複雑にする必要があるのかなぁ、と思ってしまった。

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    2015年09月12日
  • 崩れた偽装~ベストミステリー短編集~

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    ネタバレ

    『呼びとめる女』
    同僚の戸沢敏子に万引きの写真をネタにゆすられる豊玉信弥。水上の土地を売ると嘘をつき彼女を誘いだし殺害し、彼女のアパートで新聞を使いアリバイ工作をするが。郵便受けの招待状の秘密。

    『囁く唇』
    過去の自分を消すために戸籍を買った竹岡新一。会社の同僚の美津子と恋におちるが、上司から持ち込まれた縁談を受け入れてしまう。美津子を殺害する新一。カバンを使ったトリック。美津子が使っていた高級な口紅の秘密。

    『あて逃げ』
    大学時代にホストのバイトをしていたことを隠すために当時の客だった柴田と付き合う悪田。上司の娘との結婚が迫るなか柴田を殺害する悪田。ニュースでみたアイドルのあて逃げ事件の

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    2015年03月02日
  • りら荘事件

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    ネタバレ

    いわゆる館モノのハシリと思える、クローズドサークルではないが。背景、登場人物、に時代を感じることはあるが、連続殺人における小道具、アリバイ、会話の端々に隠された伏線、紛れもない本格推理小説だった。

    実際自分も謎が解かれたあとで、やっと気づいたが、氏の本格に対するこだわりが凝縮された一冊なのだろう。

    難を言えば探偵星影龍三はなんとなく好きになれなかった、鬼貫警部が魅力的だからだろうけど…

    次の鮎川作品を鬼貫警部にしよと思った。

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    2017年03月28日
  • 人それを情死と呼ぶ

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    ネタバレ

    良い意味の昭和の小説。
    文章も重厚であるけれど、古臭くない。
    アリバイ工作に無理があると思うけど、どう崩すのかワクワクした。

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    2014年12月11日
  • 謎解きの醍醐味~ベストミステリー短編集~

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    短編集。
    シリーズ探偵は登場せず、事件関係者が素人探偵として活躍します。


    【離魂病患者】自分に会うと死ぬというドッペルゲンガーの都市伝説を利用するおもしろい事件です。ドッペルゲンガーの不気味さと、不倫疑惑の世俗的な胡散臭さが混じって良い雰囲気を醸し出しています。
    素人探偵をする杉が疑惑を抱いた理由が自然な流れなのも良い。杉の私情が混じった結末も印象的です。
    被害者が可哀想でした。

    【夜の断崖】素人探偵を務める記者の女性が溌剌として楽しいです。恋人が足を使って頑張っている間に、彼女が宿で温泉に入りつつも事件を解決してしまうのがおもしろい。

    【矛盾する足跡】洒落っ気があって楽しい一編。作家

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    2014年12月04日