鮎川哲也のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
実在する都市や交通機関が登場する本格ミステリーです。
北九州と東京を中心に繰り広げられる本格ミステリーです。実在の都市・鉄道・客船等や時刻表・地図等も実際の物を参照しながらストーリーが進み訪れた事の無い地方や乗り物なのに何故だかその情景が手に取る様に脳裏に浮かび最新のミステリーでは味わえない趣が有ります。
鉄道貨物を利用し死体を詰め込まれた黒いトランクが汐留へ発送された、、、
容疑者のアリバイと殺人現場のトリックがこの小説の最大の読みどころです。
登場人物が犯人を追う刑事と容疑者等関係者が学生時代の友人で少数に限定されているのですが鉄道・トラック・船を利用した仕掛けの上手さは最近流行の派手なアクションでどんどん展開が変化するミステリーとは違いスローで懐かしさ満載の本格ミステリー間違いなしの作品と思います。
トリックネタの精緻さも凄いですが犯人の動機がまた驚きでちょっと犯人に気持ちが入ってしまい過激で読後感がスッキリしないギラついたミステリーとは明らかに性格が違い爽快感が有ります。
-
Posted by ブクログ
ネタバレ
「そして誰も」のような緊張感がずっと付き纏っていた。犯行の動機はともかくトリックは面白かった。色の件といい、トランプの件といい。
しかし、警察がひたすら無能。何人も死んでいるのに警戒心は薄く、容疑者の足取りすら調査しようとしない。さらには誤認逮捕。極め付けに探偵役のおっさんが終盤に現れてさっと謎を解いてしまう始末。あまりに役に立たなすぎる…
尼リリスの本名は南カメだが、ナイフのイニシャルはA、死体を引き取りに来た母親もリリちゃん呼び。後者はやや違和感を覚えたが、高慢なリリスなら親がそう呼ばないとヘソを曲げる姿かもしれないな、と思い直した次第。
-
Posted by ブクログ
ネタバレ本格推理もの。舞台は1949年で終戦後すぐ。まだ日本文化が色濃く残っている。旅行ものとしても面白い。人物描写は抑制が効いていてうるさくなくそれでいて特色があって面白い。トリックはかなり凝っているが蓋を開けてみれば単純だ。
当時の時刻表・九州の地図をなんども見返した。そうして実際自分がそこにいるような楽しみ方をした。時刻表をみたり地図をみたりする楽しさが味わえた。
トリックはちゃんと読んでいけば追いつけるので、巻末のトリック解説表がなくても大丈夫。あったほうがわかりやすいが。なので発表当時ではなく洗練されたものが読みたい人は創元推理でもいいと思います。
ただ、序盤にある北原白秋の話などが他のバージョンでは削られているらしく、創元推理版もないかもしれない。こういった話が面白いところなので、光文社版を選んで良かったかも。 -
Posted by ブクログ
とにかく人がどんとん殺される。こっちが考える間もないくらいに。
避暑を目的として学生たちが訪れたリラ荘は、もとの所有者がライラックの花を愛し、それを屋敷の周りに沢山植えていたことからついた、今では日本芸術大学が学生のためのレクリエーションの寮だ。
ここを訪れた学生は、男性が4人と女性が3人。個性的でアクが強いメンバーだ。メンバー同士の仲もあまり良くないようで、なぜ同じ時期にわざわざ訪れたのか不思議な気がするけど。
この犯人はそうとは見せないが、非常に頭がよく、機転がきく。この狭い敷地内で、最後まで疑われずに何人もの人間を短期間に殺すのだから。
読みながら何度も笑っちゃったのは、刑事や警部のまったくの役立たずぶりだ。屋敷に泊まり込むものの、そばから次々と殺人が起こり、挙げ句の果てには、最後まで生き残った誰かが犯人だということしか思いつかない。
そこで探偵の登場だ。
探偵はすごい。話を聞いただけで犯人が分かり、おおよその動機を探り当てる。
これらの殺人が成功した影には、色んな仕掛けや秘密があるのだが、読み終えた今となってはただただよく出来ているなとしか思えない。無理矢理な連続殺人事件のわりには、その犯行自体に無理はない。
同級生や周りの人が次々と亡くなっていく割には、みんなあっけらかんとしていて、これだけ人が殺されているのに警察もそれほど焦る様子もない。緊迫感に欠けるほのぼのしたミステリーだなと感じた。
読んでいる最中は、犯人とその動機が気になって、どんどん読み進めたかったのだが、どうも古臭い文章や表現、時々でてくる変な言い回しが引っかかって読みづらかった。
古い話だから仕方ないけど、よくできたミステリーなので、もう少し新しい時代設定で全部書き直したらいいのになぁと思った。