鮎川哲也のレビュー一覧
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星影龍三ものの短編四つを収録している作品集。
「消えた道化師」…犯人消失や謎の道化師など、本格モノど真ん中の道具立て。それを可能にするトリック自体は良く見るもののバリエーションだけど、使い方は流石。でも個人的にはこういう犯人はあまり好きじゃないんだけど……。
「薔薇荘殺人事件」……事件そのものよりも、読者への挑戦に仕掛けられた稚気が面白かった。もちろん証拠一つ一つを押さえつつ、論理的に犯人を追いつけていく業にも感動した。
「悪魔はここに」……いまいちトリックが良く分からん……。
「砂とクラゲと」……謎の不思議さとその解決は上手い。でも、こういう錯誤のトリックって、信頼感に欠けると思うんだけどな -
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いわゆる、レア・トラックス集。レアな作品というのは、ファンにはたまらないのだろうけれど、初読なりそんなに作者に馴染みのない読者にとっては、うーん、微妙、な作品であることも多いわけで、本書に収められた短編十五編も、まあ、なんとか読み通せたけれども、通勤電車の中で一編ずつ読んだから読み通せたんであって、面白かったかといえば、はっきり言って全く面白くはなかった。パズル雑誌読んでる感覚といえばいいのかな。登場人物の人格とかはどうでもよくて、謎解きに焦点があたってる感じ。そんな作品が並ぶ中で、『ドン・ホァンの死』(pp239-290)をそれなりに楽しんで読めたのは、私が千葉県在住なせいで、1970年代
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「鮎川哲也」の長篇ミステリ小説『死びとの座~鬼貫警部事件簿~』を読みました。
『りら荘事件』、『早春に死す~鬼貫警部事件簿~』に続き、「鮎川哲也」の作品です。
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一人めの被害者は、芸能人の「ミッキー中野」こと「秋葉原好一(よしかず)」だった!
彼は東京・中野区の公園に置かれたベンチに座っているところを、拳銃で撃ち抜かれて息絶えていた。
――捜査陣は、つぎつぎに出現する容疑者に困惑する。
スチュワーデス、フリーのルポライター、ライバルの同業者たち……動機を持つ人物が多すぎるのだ。
「鬼貫(おにつら)警部」は北へ西へと奔走し、彼らのアリバイ工作を崩 -
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「鮎川哲也」の短篇ミステリ小説集『早春に死す~鬼貫警部事件簿~』を読みました。
『りら荘事件』に続き、「鮎川哲也」の作品です。
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その屍体が発見されたのは、寒さの厳しい早春の朝、東京駅八重洲口にほど近い工事現場だった。
まもなく殺人容疑者は捕らえられたが、推定される兇行時刻にその男は列車に乗っていた。
確かな証人のいる完全なアリバイに、「鬼貫警部」は断念の瀬戸際まで追い込まれるが……。
「鮎川」“本格”の独壇場、鉄道アリバイ・トリックを、明晰な推理が崩していく傑作短編集!
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1955年(昭和30年) -
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ネタバレ久しぶりに古き良きミステリを読んだ!鮎川哲也のりら荘事件は、私内ベスト5にはいるくらい、好きなミステリ。鮎川さんのつくるトリックは、物理トリック系ではなくほんとに論理トリックで、読んでいて毎回驚かれされる。それでいて、独特の、ふっと笑ってしまうユーモアのある文体が好き。どの話もレベルが高かった。特に、【道化師の檻】は、若干、本当にそう上手くいくのか?と思わせる部分もあるが、目撃者に、犯行を起こす前段階で自分の姿を目撃させて、それをあたかも犯行後の姿かのように錯覚させ、殺害後のアリバイをつくるのが見事だった。
【薔薇荘殺人事件】も、犯人を絞りこむ論理が完璧だったし、【砂とくらげと】は傲慢不遜な星