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その屍体が発見されたのは、寒さの厳しい早春の朝、東京駅八重洲口にほど近い工事現場だった。まもなく殺人容疑者は捕らえられたが、推定される兇行時刻にその男は列車に乗っていた。確かな証人のいる完全なアリバイに、鬼貫警部は断念の瀬戸際まで追い込まれるが……。鮎川“本格”の独壇場、鉄道アリバイ・トリックを、明晰な推理が崩していく傑作短編集!
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Posted by ブクログ
「鮎川哲也」の短篇ミステリ小説集『早春に死す~鬼貫警部事件簿~』を読みました。 『りら荘事件』に続き、「鮎川哲也」の作品です。 -----story------------- その屍体が発見されたのは、寒さの厳しい早春の朝、東京駅八重洲口にほど近い工事現場だった。 まもなく殺人容疑者は捕らえられた...続きを読むが、推定される兇行時刻にその男は列車に乗っていた。 確かな証人のいる完全なアリバイに、「鬼貫警部」は断念の瀬戸際まで追い込まれるが……。 「鮎川」“本格”の独壇場、鉄道アリバイ・トリックを、明晰な推理が崩していく傑作短編集! ----------------------- 1955年(昭和30年)から1962年(昭和37年)に発表された、「鬼貫警部」シリーズの鉄道アリバイトリックに関する短篇を収録した作品集です。 ■碑文谷事件 ■一時一〇分 ■早春に死す ■見えない機関車―二ノ宮心中― ■不完全犯罪 ■急行出雲 ■下り「はつかり」 ■付録1●「あとがき」(抜粋) ■付録2●『碑文谷事件』(「解説」より) ■付録3●『碑文谷事件』(「作品ノート」より) ■付録4●『早春に死す』(「作品ノート」より) ■付録5●『見えない機関車』 ■付録6●『不完全犯罪』(「作品ノート」より) ■付録7●『急行出雲』 ■付録8●『下り「はつかり」』 ■エッセイ●鮎川哲也氏との旅の思い出 濱井武 ■解説●鉄道アリバイに苦しむ鬼貫警部 山前譲 島田駅といわた駅という駅名を使った狂句によりアリバイを偽装する『碑文谷事件』、 駅での停車時間を利用してアリバイを偽装する『一時一〇分』、 普通レールと長尺レールでの車両の揺れの違いからアリバイの偽装を暴く『早春に死す』、 貨物線と旅客線が異なるトンネルを抜ける場所を利用してアリバイを偽装する『見えない機関車―二ノ宮心中―』、 倒叙物で吝嗇な犯人が切符を払い戻ししようとして完全犯罪が暴かれる『不完全犯罪』、 増結車により乗車した車両番号を誤解させアリバイを偽装(作るのではなく、無くしてしまう)する『急行出雲』、 写真の裏返し現像によりアリバイを偽装する『下り「はつかり」』、 バリエーション豊かな鉄道アリバイトリックを堪能できました… そんな中でも『碑文谷事件』と『不完全犯罪』、『急行出雲』が印象的でしたね。 現代では通用しないトリックも多々ありますが、この時代だからこその浪漫があって愉しめましたね。
鬼貫警部シリーズ。 【碑文谷事件】犯人を疑うきっかけになったイニシャル、誤認逮捕、捜査の行き詰まり、真犯人のアリバイ崩し、謎の動機と盛りだくさんだったと思います。 殺害の方法や写真、偽名など電車のトリックだけでなく細かな点も練られた犯罪でおもしろかったです。 動機に関しては分かるような分からないよ...続きを読むうな。しかしラストの鬼貫警部の心の呟きが辛辣。 冒頭の、野球にいちゃもんをつけてぼこぼこにされる男に笑いました。 【一時一〇分】一時一〇分の謎よりも車のトリックの方が好きです。犯人逮捕の場面の女性には軽く騙されました。 【早春に死す】鬼貫警部の前に立ちはだかるアリバイが実は……。発想の転換がおもしろいです。不自然に止まった時計の時点で怪しいのですが、布田の行動や言動が思わせぶりで惑わされました。 【見えない機関車 二ノ宮心中】コレをこんな風にアリバイトリックに利用して犯罪計画を立てるのはおもしろい。豆知識みないな真相なんですが、発見したら嬉しいですね。犯行時の犯人の行動の描写も後から見ると楽しい。 冒頭の死体発見の女性についての描写がなかなかひどい。 【不完全犯罪】倒叙物。犯人の計画がどこで破綻するのか、犯人側からの描写です。まぁそうなるだろうとは思いましたが、この犯人の性格はおもしろいです。計画から犯行時の犯人の思考や行動も楽しめました。車のメーターは上手い事します。 【急行出雲】これもトリックは分かりやすいのですが、アリバイを崩すのではなく、アリバイを見つけ出す、という話の展開がユニークです。 【下り「はつかり」】このアリバイを支えるセーターがおもしろいです。時刻表トリックかと思っていたのでそこは意外でした。タイトルが良いです。
『碑文谷事件』 鬼貫警部シリーズ 殺害された女優・山下小夜子。被害者の夫・山下一郎の九州から東京へ向かう電車の中にいたというアリバイ。一郎が電車の中で乗り合わせた大池宣造に通過駅の「島田」「磐田」を読みこんで読んだ俳句の謎。事件発覚後タクシーを待たせ入れ替わったと思われた一郎。 『1時10分』 ...続きを読む鬼貫警部シリーズ さまざまな女と関係を持つプロデューサー・稲田登の殺害事件。チケット注文の電話オペレーター・甘利ツル子の元にかかってきた稲田登からの電話の時間一時十分。稲田の婚約者・丘リリ子の殺害事件。容疑者としてあがったネリー絵島の車から見つかった血塗れのナイフ。田所警部の捜査。 『早春に死す』 鬼貫警部シリーズ 柴崎しず子をめぐって対立していた国領一臣と布田福次郎。殺害された国領。布田のアリバイ。国領の退社時間の謎。止まっていた会社の時計と警備員の証言の秘密。 『見えない機関車 二ノ宮心中』 鬼貫警部シリーズ 剣豪小説家・和田倉大輔の死。蕎麦を届けに来た女性が発見者。容疑者として逮捕されたライバル作家・祖父江。事件当日、八王子で心中をしようとしていた槇と吟子。列車に飛び込むことを恐れ睡眠薬を購入に行った槇。槇のアリバイの秘密。 『不完全犯罪』 鬼貫警部シリーズ 田丸出版を共同経営する田沢と丸毛。田沢に使い込みがばれた丸毛は田沢の殺害を計画する。アリバイ工作の為に購入したキップの秘密。払い戻しに訪れたキップの罠。 『急行出雲』 鬼貫警部シリーズ 田辺きぬ子を強請る三田が殺害された。容疑者として挙がったのはきぬ子の恋人・唐沢。唐沢のアリバイ。急行出雲の11号車に乗ったという唐沢。しかし同じボックス席に乗り合わせたはずの乗客たちは唐沢を目撃していないと証言。唐沢の義弟・空知良彦が用意したキップ。旅行業者である空知の特別車両の秘密。 『下り「はつかり」』 鬼貫警部シリーズ 殺害された河井武子。目撃された千家和夫。麻薬に依存していた武子に強請られていたと思われる千家。武子の正体にかくされた秘密。千家のアリバイを証明する下りの急行「はつかり」の写った写真と千家の手編みのセーターの謎。 2011年1月12日再読
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早春に死す~鬼貫警部事件簿~
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鮎川哲也
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