鮎川哲也のレビュー一覧
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ネタバレ『離魂病患者』
同期でありライヴァルの柊屋との恋の争いに勝って映子と結婚した曾根。ある飲み会の後電車で女性と一緒にいる曾根を目撃したという柊屋。出張中に曾根にプレゼントを持ってきた女。謎の女・石田照子と心中したと思われる曾根。曾根と照子の写った写真。曾根に謎の女の事で相談を受けていた作家・杉の推理。
『夜の断崖』
ミナが打ち合わせに行った翌日に断崖から転落死した作家・茅野。遺体の身元確認のために病院を訪れたミナ。ミナが気がついた違和感。前夜に来ていた浴衣に残っていたはずの焼け焦げの痕が無くなっている。茅野の妻の証言。眼鏡なしで行動できない茅野の残された眼鏡。ミナの同僚・吉岡が話したサングラス -
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ネタバレ『人買い伊平治』
金貸しの老人を殺害した容疑をかけられた若尾道春。死に際に残された「桐生」という言葉と「WM」のイニシャル。海外に逃亡した若尾からの手紙。シンガポールの娼館で人買い伊平治の下で働く若尾。娼婦との恋。殺害された娼婦の復讐。
『死に急ぐもの』
雪の道から転落した車。運転していた会社社長・福田の死。福田の所持していたワンピース。和服しか着ない後妻。
『蝶を盗んだ女』
デパートで蝶の標本を盗んだ女を目撃した若林慎一。万引きした女・大村みゆきに体の関係を強要した若林。関係が深まり恋に落ちた二人。若林の元に二人がホテルに入る写真を持ち込み金を要求する探偵。離婚に追い込まれた若林に仕掛け -
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ネタバレタイトル通り全編アリバイ崩しの短編集。それぞれ趣向が異なり、エッセイも2本挟まれていて充実した内容でした。
【北の女】タイトルがサスペンスっぽくて好きです。ある事が思わぬ方向を示して、そこから一気に真相が引っ張り出されていくのが気持ちいい。
【汚点】アリバイ崩しに鉄道ミステリと贅沢な一編。トリックを見破った瞬間、その場所で犯行時の映像がありありと浮かんでくるような様がぞくぞくしました。用意周到で冷酷な犯人のラストが感慨深いです。
【下着泥棒】下着泥棒事件の瑣末な事が殺人事件の解決に繋がっていくのが流石。濡れ衣を着せられた記者がなんとも哀しい。
【霧の湖】発見者だったり、温泉旅館の叔父さんだっ -
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ネタバレ記念碑的作品。読んだけど、今ひとつトリックがわかりにくかったなどと言ってはいけないのだろう。この文庫版に収録されている作者のあとがきによると、黒いトランクという作品が成立するまでの紆余曲折がよくわかる。作品のストーリー顔負けなくらいに面白い。
引用部分の通り、テンポは決してよくはないし、トリックは難解を極める。簡単に言えば被害者が殺される為に動き、トランクが交差することによって読者を欺くわけだが、図解してもらってようやく理解した次第。犯人の遺書が挑戦状という趣向はあまりいただけなかったので、記念碑的作品とわかっていながら★を一個減らしてしまった。 -
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《五つの時計》
五つもの時計(の時刻)が立ちはだかる鉄壁のアリバイをいかに破るか。
「それまでの四つの時計のトリックと違って、第五の時計の謎はアリバイ工作の大きな山」と鬼貫警部も言ったように、このトリックの謎は最も面白かったなあ。
アリバイトリックが破られる前に、ソバの食べすぎで朱鷺子の腹のほうが先に破れはしまいか。…警部のこのジョークには笑いました。
《道化師の檻》
「五つの時計」とリンクしてるような作品ですね。応用発展形とでもいうか。
“意図したわけじゃないのに”総合すると確かに、出口入口に人目があるトンネルの中からピエロが消失しちゃうのが不思議。
それをまた“気絶”を糸口にして真相を解