あらすじ
数寄屋橋近くの三番館ビル六階にバー〈三番館〉がある。落ち着いた雰囲気の、いい店だ。少し早い時間に行くと、達磨大師然としたバーテンがひとりグラスを磨いている。常連の私立探偵は、依頼された仕事を持て余すたび、雑学の大家であるこのバーテンに知恵を借りに来る。どんな事件も、たちどころに解き明かしてくれるのだから!本格ミステリの巨匠が生んだ安楽椅子探偵、ここに登場。最終行の切れ味が素晴らしい「竜王氏の不吉な旅」など5編を収録。収録作品=春の驟雨/新ファントム・レディ/竜王氏の不吉な旅/白い手黒い手/太鼓叩きはなぜ笑う/解説=白峰良介
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Posted by ブクログ
三番館シリーズ。
やっぱり三番館シリーズ大好きです。
特に「竜王氏の不吉な旅」はラストが最高!!
全体的に文章も読みやすいしトリックも秀逸。
昭和感の滲む文章が、今読むとまた素敵なんですよね。
無性にバイオレットフィーズとギムレットを飲みたくなる作品です。
Posted by ブクログ
『春の驟雨』
スカートを切り裂かれたと女に訴えられた男。その女らしき人物が風呂場で死体で発見される。なぜ風呂場だったのか?
『新・ファントム・レディ』
ドンファンの殺人容疑。彼を強請ろうとした強請屋が殺害された。ドンファンのアリバイを握る消えた女の秘密。
『竜王氏の不吉な旅』
スーパーで殺された男。強請屋の男にゆすられた竜王氏のアリバイ。強請屋の知り合いのホステスの最後の言葉。
『白い手黒い手』
楽器のセールスマンが呼び出されたのは幕張。しかし顧客の家は見つからない。幕張で起きた殺人事件のアリバイがくなった男。
『太鼓叩きはなぜ笑う』
殺害された強請屋の探偵。探偵の強請相手のリストノートの1部が破り捨てられていた。容疑者になった男の無罪を証明するために捜査をおこなう探偵の「わたし」。三番館マスターの行った実験。訪問者が訪れた順番とウィスキーの量の謎。
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3番館シリーズの初編。
大体どれも1972年前後の作品なので、今では死語となっている表現がたまーにあるが十分楽しめた。言われてみればそんな表現あったな、と思える年齢の私なので、懐古主義的なのかも。若い世代の人には古すぎるのかもね。
Posted by ブクログ
4-
全体的にとても面白かったのだが、「白い手黒い手」だけ妙に唐突な展開で、会話文も噛み合っておらず、謎もいまいちな上、筋立も強引に感じられる。特に「竜王氏の不吉な旅」の切れ味鮮やかなラストの後に読むと、かなり物足りない。単純に発表順に並べたのだろうと思われるが、5編中の4番目にこれがあるのはあまり印象は良くない。
「よろめき」という言葉が頻出するが、三島由紀夫など読んだこともないので、それが流行語だったとは知らなんだ。今では当時の意味ではほとんど耳にしないが、「不倫」以降は死語か。
Posted by ブクログ
探偵の話を聞いたバーテンが真相を喝破するというアームチェア・ディテクティブもの。アリバイ崩しがメインで、多少の突っ込みどころはあるものの(「新ファントム・レディ」とか)、トリックそのものはどれもさすがというレベル。ただ、おじさん向けのユーモアミステリでもあるので、風俗描写やユーモアセンスの風化が激しい。今の感覚で言えば、不快でしかない描写が、ユーモアのつもりで延々続く。さすがにきつい。昭和のおじさんはみんなこうだったから、しょーがないんだけども。
Posted by ブクログ
私立探偵の足を使う捜査パートと微妙なへっぽこ具合とバーテンによる謎の解明という物語の構成のコテコテ感が良かった。クライマックスで犯人へビシっと証拠を叩きつける春の驟雨と竜王の不吉な旅と中華料理知識が楽しい新ファントム・レディが好き。
Posted by ブクログ
元刑事の私立探偵が巻き込まれた事件を行きつけのバーのマスターが解決していくという安楽椅子探偵の元祖っぽい短編集。
『謎解きは〜』とかはこういうところから派生したんだろうけど、こちらのほうが好感が持てるし、トリックもわかりやすく普通に楽しめる一冊。