鮎川哲也のレビュー一覧
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鳥取砂丘で見つかった女の他殺死体。容疑者探しは二転三転するものの、ひとりの画家が浮上する。その画家は、京都で起きた別の殺人事件にも関わっている可能性があることが判明するが、2つの事件のどちらにも鉄壁のアリバイがあった。鳥取県警の刑事、京都府警の刑事が警視庁の刑事と連携して、アリバイを崩すための地道な捜査を続けていくが、難航し、鬼貫警部にアリバイの再検討が託される。鬼貫警部が登場するのは、物語の4分の3が過ぎてからで、読んでいる最中は鬼貫警部シリーズだと思っていなかった。
東京―鳥取間の移動に関するトリック、鞄の鍵と週刊誌によるアリバイトリックはいずれも魅力的であり、京都の殺人事件の動機に関する -
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良作品が揃った短編集。特に「薔薇荘殺人事件」は傑作。
探偵星影龍三と叙述者の作者との関係は、麻耶雄嵩作品のメルカトル鮎と美袋の関係に似ていると思った。
「道化師の檻」
トンネルの中で消えてしまったピエロの謎。
手の込んだトリックに見事に騙された。
犯人も予期しなかったアクシデントが、事件をより複雑なものに見せている。
星影が指摘した失神の理由も面白い。
「薔薇荘殺人事件」
「黒死館殺人事件」の黒死館に似せて造られた薔薇荘で起こる二つの殺人事件。
読者への挑戦状があり、そこまでに提示されているデータで犯人を論理的につきとめることができると書いてあるが、全くわからなかった。
短いページ数の中に -
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学生時代、私がミステリに多少なりともハマっていた頃には鮎川哲也さんの作品はそのほとんどが絶版あるいはなかなか入手困難で、作品の存在は知っていても読むことが出来ませんでした。
その後、『黒い白鳥』や『リラ荘事件』『ペトロフ事件』などは復刊され読むことが出来ましたが、この『黒いトランク』は鮎川氏の事実上のデビュー作でロジックの精緻な積み重ねのアリバイ崩しの傑作という評は知っていても未読だったのですが、このように光文社文庫から2002年に復刊されていたのですね。
舞台は1949年。戦後わずか4年。今となってはその時代設定自体がエキゾチック(?)(当然ノスタルジックではない(笑))な魅力ともなり、贅沢 -
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ネタバレ『翳ある墓標』
新聞記者の杉田はある晩、同僚の高森映子の学生時代の友人ひふみを知る。翌日遺体で発見されたひふみ。ひふみの所持金から熱海まで何者かに車で連れていかれて殺害されたと考え調べ始める映子。行方をくらませた映子。しばらくたち映子の遺体が発見される。映子のために事件を調べる杉田。ひふみの同乗者を見つけ出し死の状況知るが。事故に隠された秘密。事故を起こした車を売るセールスマン熊谷。熊谷のアリバイと曜日により下着を変えていた映子。
『達也は嗤う』
義兄の板原に呼び出された作家の浦和。保険金の受取人を浦和から他の人間に変えると宣告される。その夜何者かに殺害された板原。「自殺ならいいが」と呟く浦