【感想・ネタバレ】黒いトランクのレビュー

あらすじ

千九百四十九年も押し詰った鬱陶しい日の午後、汐留駅前交番の電話のベルが鳴り、事件の幕が切って落とされた。トランクに詰められた男の腐乱死体。荷物の送り主は福岡県若松市近松千鶴夫とある。どうせ偽名だろう、という捜査陣の見込みに反し、送り主は実在した。その近松は溺死体となって発見され、事件は呆気なく解決したかに思われた。だが、かつて思いを寄せた人からの依頼で九州へ駆けつけた鬼貫の前に青ずくめの男が出没し、アリバイの鉄の壁が立ち塞がる……。巨星、鮎川哲也の事実上のデビュー作であり、戦後本格の出発点ともなった里程標的名作。綿密な校訂による決定版!

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新鮮なミステリー

本の半分くらい(たぶん)を主人公が頭の中で推理していく話なのですが、こういうタイプのミステリーを読むのははじめてだったので新鮮でした。自分も主人公と一緒に推理してるような気分にひたれて楽しかったです。しかし!トリックは理解できませんでした。僕の頭が悪いのでしょうか?

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2014年01月26日

Posted by ブクログ

ネタバレ

名作、と聞いていたけれど、古くて読みづらいのでは……となんとなしに読まずにこれまで来てしまった。
で、満を持して(?)読んでみたら、面白かった!

トランクと死体と容疑者の移動トリック。
どうしてこんなことを思いつけるのか……。
すごかった。

ガチガチのアリバイトリックだけど、登場人物の絞り込みがすごかった。無駄な登場人物は一人もいなくて、むやみに目くらましのために配置するようなことが一切ない。
中盤くらいで犯人はおおよそ見当がつくんだけれど、そのアリバイを破るトリックのためにどんどん読み進めていくのがつらくない。普段アリバイものは苦手なのに……。

靴磨きの少年のところ(靴の色)は、ちょっと「これは伏線ぽいな……」と思ったけど、子どもが砂山で遊んでいるのなんか完全にノーマーク。
描写は自然で文章は美しく、戦後の日本の風俗描写も生き生きとしていて、小説としてもとても素晴らしかったと思う。
名作といわれるのがよくわかった。おもしろかった。

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2021年02月09日

Posted by ブクログ

ネタバレ

解説で有栖川氏が「世界で一番好きなミステリ」「私が好きなミステリとはこういうもの」と述べているが、まさに私にとっても、好きな要素をとにかく詰め込んでまとめてくれたような小説であった。
まず、クロフツ式の、地道な裏付け捜査とそれにより過去の被害者や犯人の動きが徐々に明らかになっていく過程は、人によっては退屈に感じるかもしれないが、私には、その過程に特に読書の喜びを感じる。
例えば他の人は、最後にどんでん返しがあってその驚きが大きければ大きいほど面白いとか、過去にさかのぼって何があったかを調べていく過程より、小説の中の時間の進行に伴って、どんどん新しい展開(第二、第三の殺人など)が次々に起こっていく方が良いとする向きもあるだろう。だが、有栖川氏が指摘しているように、この小説では必要最低限の登場人物しか用意されていない。だから犯人が意外な人物だったということも、実はない。過去にあったことを丁寧に捜査して明らかにしていく、実はそれだけなのだが、こんなに先が気になり、展開がスリリングなのは、本書が優れた「本格もの」であり、奇抜さや奇を衒うのではない王道の推理小説ということだと思う。
それから戦後すぐの時代の、当時の時刻表を題材にとっている点。当時の鉄道網や鉄道史にも興味がある読者なら、必ず本書も興味を持つことだろう。石川達三や北原白秋など、いわゆる純文学系の話題にも触れられている点も良かった。
また、探偵役たる鬼貫の人となりの描き方も好感を持った(これは個人の好みだが、私は天才肌の奇人変人的探偵より、鬼貫警部のような生真面目で好人物な探偵の方が良い)。
さらに、巻末の解説部分で、鮎川氏が無名の新人だった頃、苦労して本作を書き上げた経緯や、初版から大きく改稿されてきている箇所も多いこともわかり、長年に渡って作者や編集者、さらには読者が、大切にしてきた作品だということが伝わってきて、そのような作品を読むことができて大変嬉しく思った。
また、クロフツの「樽」をあらかじめ読んでいたので、さらに読む楽しさが増したのだろうと思う。「樽」のように、トランクが複数存在すると思われることが明らかになった箇所は、思わず唸ってしまったほどだが、決してクロフツの作品の焼き直しではないことは無論である。「黒いトランク」の方が、よりテンポが早く、やはり日本人が読者なので地名などの位置関係も頭に入りやすかった。

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2019年08月17日

Posted by ブクログ

緻密に組み立てられた論理が美しく、また文章も読みやすいため一気に読み進めた。
アリバイトリックもので、派手さはないけれど非常に引き込まれる作品。こんなに真剣に時刻表とにらめっこしたのは初めてかもしれない。
本編も素晴らしいですが、解説の座談会に愛を感じました。

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2016年07月06日

Posted by ブクログ

字ちっさ(泣)ややこしいけど面白い('◇')ゞ
まさに推理の醍醐味が味わえるんじゃないかと。じっくり整理しながら読まないとごちゃごちゃしてくるけどね。
風見鶏の話もいい例えだなと思った☆

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2011年10月10日

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読み応えがあって面白かった。
登場人物の描写や会話が少なく、謎解きの記号として使われているので、今読んでもそれほど読みにくさを感じず読めた。

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2024年01月31日

Posted by ブクログ

戦後、間もないころの香りが漂う物語

作者は鮎川哲也
その名は東京創元社主催の推理小説新人賞「鮎川哲也賞」でおなじみ。
彼の1956年の出世作で、今もって名作とされる物語。

ようやく復興の進んだ東京の汐留駅に、異臭を放つ黒いトランクが届けられた。
事件は九州での捜査により一旦解決を見るも、とある依頼から警視庁の刑事により再捜査が始まる。
物語は次第に、トランクと駅、鉄道、不審人物の行方の謎が絡み合って、少しずつ異なった様相を示し始める。

描かれているのは戦後まだ国内航空便が再開されておらず、鉄道や汽船が重要な移動手段とされていた時期。
描写の中にも、戦後間もないころの情景があちこちにちりばめられている。
そういったところは横溝正史の描く時代背景にも共通するが、どちらかというと都会的な雰囲気が、場面や登場人物への色付けに施されているところに独特のものがある。

ここに、「戦後の本格推理小説の原点」といわれる所以があると思う。

この後、鉄道を使って数々の“旅する刑事”が作り出されていく……。

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2022年12月13日

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ネタバレ

私のようになんとなくすいすい読んでいって、おおよそのトリックであったり謎解きであったりといったものをゆるやかに楽しんでいるタイプの人には、時刻表トリックはあまり向いてないかもしれないけれど、表題のトランクに関するトリックでは、見事に鬼貫警部と一緒に悩まされて、最後に明かされるトリックになるほど!と思わされる。
刊行されたのがずいぶんと昔であるけれど、今の時代に読んでも違和感なく入り込むことができる。
自身でトリックを解いていきたい人には一部納得のしかねるところもあるというのは、他の人の感想を見ていると確かにそうだとは思わされるものの、あくまでもこれは虚構であって現実ではない。そこにツッコミを入れるのは野暮に感じる。

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2021年01月03日

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面白かった。とことん論理的思考。トリック関係は頭がこんがらがるくらい複雑な印象受けたけど、読んでいて楽しかった。

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2019年10月10日

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名作と誉れ高いが、まだ読んだことがなかったので。
トランクに関する論理や、容疑者のアリバイを地道に崩していくのは、今読んでもとても面白いのだが、やはり時刻表アリバイトリックはリアルタイムで読むほうが楽しめるものなのだろう。
作中では1949年の日本が描かれているが、当時の常識も70年を経た今では変わってしまっている…。時代の流れを感じさせる作品だった。

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2019年09月01日

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トリックの中のトリック。華麗なる盲点とでも言おうか。モノの「すり替え」を考える時、どこが変化点になっているか、を、つい大局的に見てしまうところをうまくついてきている。「え?そこ?」と言いそうになりながらも秀逸さに負けた。

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2017年01月09日

Posted by ブクログ

派手さはなくとも、トリック一つと丹念な描写でこれだけのものが出来上がるということを示してくれている。

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2016年12月24日

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何枚もメモ書きながら読んだが途中で投げ出す。火サスの再放送の鬼貫さんに嵌り読み始めたので時刻表のトリックには覚悟をしてのぞんだのだが。混乱の糸で読者の頭をぐるぐるにひっ絡めてやるぞ!いう作者の執拗な思いを感じずにはいられない。トリックの複雑さでしんどくなったが意外と内容はシンプル。ドラマもそうだったが、謎に対して真摯に真面目に向き合っている作者の姿勢が伝わる硬派な推理小説だと思う。

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2016年09月19日

Posted by ブクログ

日本版「樽」と呼び声高いらしいので読んで見たのですが、解説によれば「蝶々殺人事件」にインスピレーションを受けたらしく、ほぇーなるほどー。内容については凄まじかったです(^^;クロフツの樽を彷彿とさせる幕開けから、またまた樽臭溢れる地道な捜査が行われ、最後にやられました。解説にも言われていた通り、どうやってこんなトリックを思いついたのかが本当に良く分かりません。感激しました。九州の方に詳しくないせいか地名には終盤になっても手こずりましたが、読んで良かったです。近い内に再読をして理解を深めたいですね^^

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2015年11月22日

Posted by ブクログ

複数のトランクが鉄道輸送で往来し、数多くの地名が登場するため、クロフツの「樽」みたく頭が混乱しました。作者もマッチ箱を動かしているうちに「ヒョッコリと思いついた」らしいです。解説で北村薫が「再読すると思ったよりシンプル」と述べられているように、たしかに一見、複雑に思えるものの、基本構造はとてもスッキリとしていて美しく感じました。

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2015年09月19日

Posted by ブクログ

文体は古臭く読みやすいとは言えませんが、それを越えた魅力があります。さらっと読めるような作品ではないので、読むのに気合いが必要。これを読んでしまうと今のミステリーが物足りなく感じます。天才的な閃きではなく、ひたすら論理と実証で捜査を進めていく鬼貫警部が印象的でした。

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2014年01月08日

Posted by ブクログ

メイントリックの他、地名のトリックやすり替わりのトリックなど、幾つも盛り込まれているのでとても読み応えがあります。複雑なのに破綻なく構築しているところが凄いです。
また、探偵役の鬼貫警部は何度も壁にぶつかりますが、ごくさり気ないところからトリックを解体していくロジックが圧巻です。
全体的に地味ですが、アリバイトリックの最高峰に位置する作品だと思います。

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2015年09月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

文春の「ミステリー100」の上位にあったもので、
偶然古書店で発見。名作と呼ばれるものはやはり期待してしまう・・・

分刻みで、XとZが やら 
時刻表によると人物XがQに・・・やら
私の頭が理系にできてないせいもあり、何やらややこしい。
トリックの素晴らしさに付いてゆけないまんま、流されてしまいました。


犯人、被害者、刑事、その他容疑者、かかわる人々、
みんなが大学時代の同級生だなんて無理やり感全開ですが、
これで違和感ないのでしょうか?

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2013年04月22日

Posted by ブクログ

論理、論理、また論理。ロジックミステリ好きには堪らないかと。

だいぶ都合のよい部分も見受けられるし、突飛なトリックでなければ“ウケ”ない現代には少々古めかしく映るところもあるけれど、裏を返せば、こんなにシンプルな謎をここまで緻密に、懇切丁寧に絡ませ解く推理小説、今はなかなかないんじゃないだろうか。

読んでいる最中、ほんの少し息切れしてしまったけれど、完走してみると不思議と別の作品も読みたくなっていた。鮎川魔力。今度は短編にも手を出してみよう。

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2012年04月18日

Posted by ブクログ

少し前に読んだので詳細はぼやけているが、緻密ながら飽きさせず、面白かった。

いずれ再読したい作品。

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2011年09月04日

Posted by ブクログ

シンプルなお話ながら、それでいてトリックはちょっと複雑
じっくり読んでいかないとトランクや犯人の動きに置いてかれそう

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2009年10月04日

Posted by ブクログ

戦後しばらくしてが舞台の作品。
当時としてはライトな感じだったのだろうが、今になると文章が少し古い。

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2025年11月29日

Posted by ブクログ

実在する都市や交通機関が登場する本格ミステリーです。

北九州と東京を中心に繰り広げられる本格ミステリーです。実在の都市・鉄道・客船等や時刻表・地図等も実際の物を参照しながらストーリーが進み訪れた事の無い地方や乗り物なのに何故だかその情景が手に取る様に脳裏に浮かび最新のミステリーでは味わえない趣が有ります。

鉄道貨物を利用し死体を詰め込まれた黒いトランクが汐留へ発送された、、、
容疑者のアリバイと殺人現場のトリックがこの小説の最大の読みどころです。

登場人物が犯人を追う刑事と容疑者等関係者が学生時代の友人で少数に限定されているのですが鉄道・トラック・船を利用した仕掛けの上手さは最近流行の派手なアクションでどんどん展開が変化するミステリーとは違いスローで懐かしさ満載の本格ミステリー間違いなしの作品と思います。

トリックネタの精緻さも凄いですが犯人の動機がまた驚きでちょっと犯人に気持ちが入ってしまい過激で読後感がスッキリしないギラついたミステリーとは明らかに性格が違い爽快感が有ります。

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2021年05月03日

Posted by ブクログ

ネタバレ

どうやったかに特化した推理小説。いろんなトリックが散りばめられてておもしろかった。

よくできたトリックだけど一点だけ。若松駅の前で、たまたま運よく彦根運転手のトラックを捕まえられたけど、いつまでたっても博多まで行くトラックを捕まえられない可能性だってあるんじゃないの?時間が肝のはずなのに、そこが行き当たりばったりで納得いかない。列車の時刻の正確さ云々よりよっぽど気になる。

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2021年01月03日

Posted by ブクログ

自分が九州出身で、元の勤務地の通勤路に、物語中登場する別府(べふ)があるので、親近感を持ちつつ読み進めた。
人の心理として、ここまで綱渡りの凝ったアリバイ作りをするかしら、という点で、どうしてもリアリティを感じることが出来ないが、ミステリーとはそういうもんだ、と思えば、盲点を突いた面白いトリックではありました。

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2018年05月20日

Posted by ブクログ

論理性にこだわった推理小説との触れ込みで読んだ。主人公の警部を中心に登場人物がすべて知り合いであるという設定。登場人物が限られて少ない中、推理の重心は犯人探しでなく、トリックの解明に紙面を費やす。少し回りくどい説明で辟易するが、読者が迷子にならないよう丁寧な説明を心掛けているのだろう。鮎川哲也というペンネームが、本書から得られた経緯が解説にある。推敲を重ねる著者らしく、作中に物語性に色を添える紅一点が登場するが、初稿ではいなかったのには驚かされる。

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2017年07月01日

Posted by ブクログ

難しいーー。時刻表のくだりは読み飛ばしてしまった。笑 でもトランクのトリックは、非常に頭を使って、面白かった。

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2017年06月07日

Posted by ブクログ

「本格推理小説での伝説の一冊」らしい。
たしかに、トリックも論理的だし、殺害の動機もまぁ分かるが、トリックをなんでそこまで複雑にする必要があるのかなぁ、と思ってしまった。

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2015年09月12日

Posted by ブクログ

ミステリランキング上位だけに、期待値がかなり高かったけど、その分かえってちょっと肩透かし、って意味で評価は渋めに。書かれた時代を考えると、時代背景は気にならないし、時刻表トリックも良く考えられていると思うし、なんだけど、淡々とした筆致のせいもあってか、どんどん先が読みたくなる!的なドキドキ感がいまひとつだった。まあでもそれって、本作に期待する方向性が違う、って言われればそれまでなんだけど。

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2014年11月28日

Posted by ブクログ

鮎川哲也の戦後本格の出発点となった里程標的名作。綿密な校訂と著者の加筆訂正による決定版。(「BOOK」データベースより)
汐留駅でトランク詰めの男の腐乱死体が発見され、荷物の送り主が溺死体となって見つかり、事件は呆気なく解決したかに思われた。だが、かつて思いを寄せた人からの依頼で九州へ駆けつけた鬼貫の前に青ずくめの男が出没し、アリバイの鉄の壁が立ち塞がる……。作者の事実上のデビューであり、戦後本格の出発点ともなった里程標的名作!(内容紹介より)

伝説の名作(?)をやっと読むことができました。
いつもクロフツの樽を思わせる作品といわれる本作、私も樽は既読だけど正直細かいことはよく覚えていない。
なんか樽が馬車であっちこっち運ばれて、刑事が足で捜査していたなあくらい(笑)。
そういう意味では確かに似ている。
鬼貫刑事、最初は想い人のために休みを使って捜査を始めた。
携帯もない、電話さえ今のようにすぐつながるものではない、そんな時代の捜査はひたすら足を運ぶしかないわけで、大変ですよね。

トランクの動きと人の動きが途中でわからなくなってきたりもしたのですが、途中でなんて単純なことなんだろうと気づきました。
ところで、運送屋さんの証言がイマイチよくわからないんだよなあ。
アレは嘘ついていたってことなのかなあ。

古い作品でもストレスを感じずに読めたのは、鮎川氏の文章が美しいからでしょうね。

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2013年08月25日

Posted by ブクログ

巨匠:鮎川哲也のデビュー作であり代表作。★3つの評価は、僕が時刻表アリバイものが不得手だから。土地と列車と時刻表が絡むとどうも頭が硬直しちゃって…得意な人なら★5つの名作なんだろうと思います。個人的には『人それを情死と呼ぶ』や『りら荘事件』の方が楽しめました。でも、こういう緻密な本格ものをずっと追求した筆者がいたからこそ、日本のミステリ界の今がある。その功績はやはり、偉大です。

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2012年01月20日

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