あらすじ
戦時、満洲で莫大な資産を築いた牧良介。いまは山奥で隠居生活を送る彼の還暦祝いに、親族や客人は集まっていた。遺産相続が話題に上るなか、当の主が何者かに殺された! 殺人は続き、なぜか、どの現場にも逆向きにされた物が……。さらに、折からの強い台風で山荘は密室状態に。不可解事件に名探偵・星影龍三の登場! 鋭い「論理」で真相に迫る、大好評シリーズ第3弾!
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Posted by ブクログ
『道化師の檻』
星影龍三シリーズ
楽団「ハネ・ワゴン」で起きた殺人事件。被害者はパトロンである三木の愛人・まゆみ。浴槽で殺害された被害者。殺害直前に楽団のリーダーとの口論を目撃されていた。犯人と思われるピエロの恰好をした人物が逃走したトンネル。トンネルの出口にいた警官に目撃されることなく消えたピエロの謎。
『薔薇荘殺人事件』
星影龍三シリーズ
薔薇荘と呼ばれる館に住む学生たち。館の主人・田代氏。薔薇荘近くの海岸で遺体となって発見された玉江。彼女の部屋から消えた「ユダの窓」。何度も殴打され殺害された知井。ロープを凶器とせずサンダルを凶器とした犯人の謎。消えた絵画の秘密。
『悪魔はここに』
星影龍三シリーズ
富豪・牧良介氏の家に招かれた鮎川哲也氏。牧氏の行方不明の姪・絵馬子の登場。遺産問題で揺れる甥たち。牧氏の殺害。逆さにされたおかめの面の謎。甥である海彦の爆死事件。逆さまにされた冷蔵庫の秘密。猪谷老人の殺害。逆さまにされた絵画。ローマ字とカナ文字にかくされた秘密。
『砂とくらげ』
星影龍三シリーズ
薔薇荘を再び訪れた鮎川哲也氏。薔薇荘での午睡の習慣。殺害された水戸つね子と吉村徹子。片腕の不自由な徹子。鮎川哲也氏と今里利平がチェスで対局している最中の事件。徹子の様子を見に行った今里氏の行動。鞭で打たれたような徹子と絞殺されたつね子。
2010年11月5日再読
Posted by ブクログ
「道化師の檻」「薔薇荘殺人事件」「悪魔はここに」
「砂とくらげと」
「道化師の檻」が好き。ただトンネルがちょっと分かりにくい気がする。鮎川哲也が星影龍三にちょっといじめられてる感じも面白い。
Posted by ブクログ
良作品が揃った短編集。特に「薔薇荘殺人事件」は傑作。
探偵星影龍三と叙述者の作者との関係は、麻耶雄嵩作品のメルカトル鮎と美袋の関係に似ていると思った。
「道化師の檻」
トンネルの中で消えてしまったピエロの謎。
手の込んだトリックに見事に騙された。
犯人も予期しなかったアクシデントが、事件をより複雑なものに見せている。
星影が指摘した失神の理由も面白い。
「薔薇荘殺人事件」
「黒死館殺人事件」の黒死館に似せて造られた薔薇荘で起こる二つの殺人事件。
読者への挑戦状があり、そこまでに提示されているデータで犯人を論理的につきとめることができると書いてあるが、全くわからなかった。
短いページ数の中に、様々なアイデアが盛り込まれている。
一つ目の殺人事件の伏線はさりげなさすぎてわかりにくいが、第一の事件と第二の事件の裏返しの構造、知井みや子が言った「にせもの」の意味、犯人の特性がうまく活かされた真相、登場人物の属性に意味があったことなど、実によく計算されている。
最後の一文にはさらに驚かされた。挑戦状には、答えが書かれていたのだ。
「悪魔はここに」
三つの殺人現場で、おかめの面、冷蔵庫、油絵が"逆さま"になっていた謎。
三人目の被害者が殺されていた理由が面白い。
「砂とくらげと」
薔薇荘で再び起こった殺人事件。ブラジルに出張中の星影が作者から送られてきた手紙を読んだだけで、真相を見抜いてしまう話。
トリックの核にあたる部分は何となく予想がついたが、真相まではわからなかった。ある小道具の使い方が面白い。
Posted by ブクログ
4話収録された短編集。
どれも現場や事件の状況が異様で、質の高い本格物でした。
遊び心も随所にあり楽しいです。
【化師の檻】消えたピエロが不気味でいいです。消失トリックも楽しいものでした。
【薔薇荘殺人事件】これは見事にやられました。最後の作者の稚気も嬉しい。
【悪魔はここに】現場の不可解な状況が魅力的です。犯人はわかりやすかったかも。
【砂とくらげと】鮎川と星影の仲の悪さに笑います。
Posted by ブクログ
星影龍三ものの短編四つを収録している作品集。
「消えた道化師」…犯人消失や謎の道化師など、本格モノど真ん中の道具立て。それを可能にするトリック自体は良く見るもののバリエーションだけど、使い方は流石。でも個人的にはこういう犯人はあまり好きじゃないんだけど……。
「薔薇荘殺人事件」……事件そのものよりも、読者への挑戦に仕掛けられた稚気が面白かった。もちろん証拠一つ一つを押さえつつ、論理的に犯人を追いつけていく業にも感動した。
「悪魔はここに」……いまいちトリックが良く分からん……。
「砂とクラゲと」……謎の不思議さとその解決は上手い。でも、こういう錯誤のトリックって、信頼感に欠けると思うんだけどなぁ……。
Posted by ブクログ
久しぶりに古き良きミステリを読んだ!鮎川哲也のりら荘事件は、私内ベスト5にはいるくらい、好きなミステリ。鮎川さんのつくるトリックは、物理トリック系ではなくほんとに論理トリックで、読んでいて毎回驚かれされる。それでいて、独特の、ふっと笑ってしまうユーモアのある文体が好き。どの話もレベルが高かった。特に、【道化師の檻】は、若干、本当にそう上手くいくのか?と思わせる部分もあるが、目撃者に、犯行を起こす前段階で自分の姿を目撃させて、それをあたかも犯行後の姿かのように錯覚させ、殺害後のアリバイをつくるのが見事だった。
【薔薇荘殺人事件】も、犯人を絞りこむ論理が完璧だったし、【砂とくらげと】は傲慢不遜な星影龍三とぼんやり屋の鮎川くんの掛け合いについ笑ってしまった。
星影シリーズほかにも読んでみたい。