鮎川哲也のレビュー一覧
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いわゆる、レア・トラックス集。レアな作品というのは、ファンにはたまらないのだろうけれど、初読なりそんなに作者に馴染みのない読者にとっては、うーん、微妙、な作品であることも多いわけで、本書に収められた短編十五編も、まあ、なんとか読み通せたけれども、通勤電車の中で一編ずつ読んだから読み通せたんであって、面白かったかといえば、はっきり言って全く面白くはなかった。パズル雑誌読んでる感覚といえばいいのかな。登場人物の人格とかはどうでもよくて、謎解きに焦点があたってる感じ。そんな作品が並ぶ中で、「ドン・ホァンの死」(pp239-290)をそれなりに楽しんで読めたのは、私が千葉県在住なせいで、一九七〇年代前半の金谷行きのフェリーやら養老渓谷やらを楽しく想像できたからです。
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「鮎川哲也」の長篇ミステリ小説『死びとの座~鬼貫警部事件簿~』を読みました。
『りら荘事件』、『早春に死す~鬼貫警部事件簿~』に続き、「鮎川哲也」の作品です。
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一人めの被害者は、芸能人の「ミッキー中野」こと「秋葉原好一(よしかず)」だった!
彼は東京・中野区の公園に置かれたベンチに座っているところを、拳銃で撃ち抜かれて息絶えていた。
――捜査陣は、つぎつぎに出現する容疑者に困惑する。
スチュワーデス、フリーのルポライター、ライバルの同業者たち……動機を持つ人物が多すぎるのだ。
「鬼貫(おにつら)警部」は北へ西へと奔走し、彼らのアリバイ工作を崩そうとするが……。
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『週刊新潮』の1982年(昭和57年)10月21日号から1983年(昭和58年)5月12日号に連作された、「鬼貫警部」シリーズの作品です。
■プロローグ
■被害者を洗う
■進展
■冬の旅
■北の挿話
■失踪
■X氏
■Xの追及
■肉薄
■相合い傘
■付録1●『死びとの座』縁起 鮎川哲也
■付録2●あとがき 鮎川哲也
■エッセイ●想い出五十年 山沢晴雄(作家)
■解説●鮎川哲也と鎌倉 山前譲(推理小説研究家)
一人めの被害者は、芸能人の「ミッキー中野」こと「秋葉原好一」だった! 彼は東京・中野区の公園・中のセントラルパークに置かれた死人の座と呼ばれるベンチに座っているところを、拳銃で撃ち抜かれて息絶えていた… 交際のあったスチュワーデス「大塚ひろみ」、妹のことで「ミッキー中野」に恨みを持つフリーのルポライター「馬場吾策」、ライバルのものまね芸人「原宿慎伍」等の動機を持つ容疑者が出現するが、決定的な証拠をおさえることができない、、、
「鬼貫警部」は北へ西へと奔走し、彼らのアリバイ工作を崩そうとするが、やっと嘘を見破っても、即犯人検挙とならないから厄介だ… その後、失踪した「原宿慎伍」が、「ミッキー中野」を殺害した銃で自殺、、、
事件は解決したかに思えたが、事件の結末に納得がいかない、推理小説家の「高田謙介」は、「原宿慎伍」の恋人「目黒マリ」と、真相の探るべく調査を開始する……。
ものまね芸人を利用したアリバイトリックは予想できた展開でしたが… 大胆なベンチのトリックは意外でしたねー
名前を隠したオープニングも効果的で面白かったですね… 巧くミスリードさせられました。 -
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「鮎川哲也」の短篇ミステリ小説集『早春に死す~鬼貫警部事件簿~』を読みました。
『りら荘事件』に続き、「鮎川哲也」の作品です。
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その屍体が発見されたのは、寒さの厳しい早春の朝、東京駅八重洲口にほど近い工事現場だった。
まもなく殺人容疑者は捕らえられたが、推定される兇行時刻にその男は列車に乗っていた。
確かな証人のいる完全なアリバイに、「鬼貫警部」は断念の瀬戸際まで追い込まれるが……。
「鮎川」“本格”の独壇場、鉄道アリバイ・トリックを、明晰な推理が崩していく傑作短編集!
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1955年(昭和30年)から1962年(昭和37年)に発表された、「鬼貫警部」シリーズの鉄道アリバイトリックに関する短篇を収録した作品集です。
■碑文谷事件
■一時一〇分
■早春に死す
■見えない機関車―二ノ宮心中―
■不完全犯罪
■急行出雲
■下り「はつかり」
■付録1●「あとがき」(抜粋)
■付録2●『碑文谷事件』(「解説」より)
■付録3●『碑文谷事件』(「作品ノート」より)
■付録4●『早春に死す』(「作品ノート」より)
■付録5●『見えない機関車』
■付録6●『不完全犯罪』(「作品ノート」より)
■付録7●『急行出雲』
■付録8●『下り「はつかり」』
■エッセイ●鮎川哲也氏との旅の思い出 濱井武
■解説●鉄道アリバイに苦しむ鬼貫警部 山前譲
島田駅といわた駅という駅名を使った狂句によりアリバイを偽装する『碑文谷事件』、
駅での停車時間を利用してアリバイを偽装する『一時一〇分』、
普通レールと長尺レールでの車両の揺れの違いからアリバイの偽装を暴く『早春に死す』、
貨物線と旅客線が異なるトンネルを抜ける場所を利用してアリバイを偽装する『見えない機関車―二ノ宮心中―』、
倒叙物で吝嗇な犯人が切符を払い戻ししようとして完全犯罪が暴かれる『不完全犯罪』、
増結車により乗車した車両番号を誤解させアリバイを偽装(作るのではなく、無くしてしまう)する『急行出雲』、
写真の裏返し現像によりアリバイを偽装する『下り「はつかり」』、
バリエーション豊かな鉄道アリバイトリックを堪能できました… そんな中でも『碑文谷事件』と『不完全犯罪』、『急行出雲』が印象的でしたね。
現代では通用しないトリックも多々ありますが、この時代だからこその浪漫があって愉しめましたね。 -
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ネタバレ久しぶりに古き良きミステリを読んだ!鮎川哲也のりら荘事件は、私内ベスト5にはいるくらい、好きなミステリ。鮎川さんのつくるトリックは、物理トリック系ではなくほんとに論理トリックで、読んでいて毎回驚かれされる。それでいて、独特の、ふっと笑ってしまうユーモアのある文体が好き。どの話もレベルが高かった。特に、【道化師の檻】は、若干、本当にそう上手くいくのか?と思わせる部分もあるが、目撃者に、犯行を起こす前段階で自分の姿を目撃させて、それをあたかも犯行後の姿かのように錯覚させ、殺害後のアリバイをつくるのが見事だった。
【薔薇荘殺人事件】も、犯人を絞りこむ論理が完璧だったし、【砂とくらげと】は傲慢不遜な星影龍三とぼんやり屋の鮎川くんの掛け合いについ笑ってしまった。
星影シリーズほかにも読んでみたい。 -
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鮎川哲也さん初でした。
完全犯罪だと確信して行う殺人事件。
ちょっとしたミスから真相が明らかに…
・白い盲点
元カレに殺意を抱く…軽井沢の別荘にて自殺に見せかけ…
・暗い穽
探偵に不倫をネタに譲られる。アリバイ工作するが…
・鴉
酔っぱらった勢いで秘密クラブに嵌まってしまう中年教師。譲られ、アリバイ工作をし殺害するが…
・夜を創る
ある誤解から作家へ借金をしてしまう女性編集者。誤解を解こうとするが…
・墓穴
不倫相手より旦那殺害の相談を受ける。上手く行ったはずなのに…
・尾行
『尾行されてる!』そんな思いより浮気をしてる夫は妾と共謀して妻を殺害する…
・透明な同伴者
縁談を持ち込まれた女性作家。縁談はうまく行くが彼女には秘密が…
・葬送行進曲
テナーサックスのスタープレイヤーが堕ちていく… -
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先日「りら荘事件」を読んで、<鬼貫警部事件簿>シリーズを再び読みたくなった。
東京・目黒の喫茶店で中年セールスマンが毒殺された。被害者が最後に喫茶店で会っていた女は数日後、広島・廿日市の線路脇で他殺体となって発見された。
女のバッグからは急行<海星>の寝台券が出てきたことから、<海星>の車中で殺され、列車から投下されたものと思われた。
そして鬼貫は女の関係者である由比という男が怪しいと睨むのだが、由比には鉄壁のアリバイがあった…。
毎回楽しいアリバイトリック。
被害者である女が<海星>の車内で殺されたと思われるものの、由比は<海星>に乗った形跡がない。では<海星>に廿日市に着くまでにどうやってか追いつき、女を殺したのだろうが、そこにどんなトリックがあるのか。
様々なパターンを考えながら読んだのだが、少しは当たり、少しは違っていた。
しかし何より意外だったのはその動機や事件の構図。
東京でのサラリーマン殺害から始まり、広島で女が殺され、容疑者の由比は博多に住んでいる。さらには山口・徳山でも別の殺人事件が起こっている。これらがどう繋がり、由比はなぜこれほど込み入ったトリックを講じてまで犯罪をやり遂げなければならなかったのか、そちらの方が気になったのだが、そこまでしなければならなかったのか?というような真相だった。
読んでみて、松本清張氏の「点と線」を思い出した。調べてみたら1957年~1958年に雑誌掲載されたもの、対してこちらは1966年出版になっている。
「点と線」を意識した作品なのだろうか…と思ったが、登場人物が満州にいたり軍隊に入っていたりと戦争の影がまだ色濃く残っている時代設定になっているため、実際に書かれたのは1966年よりかなり前なのかも知れない。
ここまでトリックを駆使しても、結局最終章のタイトル通り『崩壊』してしまうわけだが、それがそのまま作品のタイトルにもなっているということなのだろう。
完全犯罪の積もりが、実際は計画通りにはいかない。予定外、想定外のことが次々と起こり、そのために余計な犯罪まで起こさなければならなくなる。
だがそもそもの原点、なぜここまでしなければならなかったのかという部分については時代も感じる。しかしこんなことで、と他人からは見えることでも本人には一大事で、しかもそこしか見えていないから起こる犯罪というものは現代でもあるのだろう。 -
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鮎川哲也 「黒いトランク」を読みました。
うーん時刻表がでてきました。
私の今迄のミステリー読書で意外にも初めてでした。
今まで西村京太郎も読んでいませんから。
何しろ未知なる挑戦なのですから。
ミステリーベスト◯をすべて読みたいと思ったのがきっかけでした。
まず入手しなくてはいけない本リストに入りました。運良く本をゲットしました。
それから数ヶ月、次何を読むか気分とか、タイミングとか、目についたものだとか、手近にあったりなどの末、お待たせしました。完読しました。
鮎川哲也 本屋とかではあまり見かけません。
しかし有名です。名前は以前から知っていました。
ミステリーの重鎮のような方。本格推理小説。
他の作品も入手しなくてはならないリストにはいりました。
まず鮎川哲也と見たらゲットします。
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時々無性に読みたくなる昭和ミステリー。
久しぶりに再読してみた。
埼玉県秩父山中にある大学の寮(短期滞在型)<りら荘>で起こる連続殺人事件。いわゆるクローズドサークルものなのだが、特徴としてはトランプカードで連続殺人であることを指し示しているということと、殺害方法が毒殺あり刺殺あり絞殺ありとバラエティに富んでいる(これは作中である登場人物が指摘している)ことだろうか。
七人の男女の学生たちが集まった最初の晩に一組の男女の婚約が発表されるのだが、その目出度い発表とは裏腹に、主役の男女に思いを寄せていた別の男女やそうした華やかな空気をきらう皮肉屋などがいて、雰囲気は不穏な感じ。
そしてその翌日から次々と殺人が起こる。
中には必要?と思われるような殺人もある。
途中で登場した素人探偵・二条に至っては一体何のために登場したのかというくらい出てきたかと思ったらアッサリと殺されている。
そして最終盤に登場したこれまた気障な探偵・星影龍三が自信満々に謎を解き明かすのだが、どうにもキャラクターが好きになれない。
『大体あの男はうぬぼれが強すぎる。自分たちがさんざん首をひねってわからなかった真相を、中途からひょっこりでてきて解けるはずがない』
と、この事件に最初から関わってきた原田警視にこき下ろされている。なのでこういうキャラクターは作家さんの狙いなのだろう。
犯人のパターンとしてはちょっと捻りが入っていてなかなか面白かった。だがそれ以上に驚いたのは毒殺に使われた亜砒酸について。『お茶だとか珈琲のようなタンニン質に逢うと溶けにくい』という性質も初めて知ったが、別の使用方法があるというのも初めて知った。そんな恐ろしいものをこんなことに…と驚いたが、薬も使い方を間違えれば毒になるのと同じことなのだろう。
この作品が雑誌連載されたのは1956年から1957年なので、身長や体重が尺貫法になっている。
ある女性登場人物が身長五尺四寸(約163.6cm)で体重十七貫五百(約65.6kg)なのだが、度々肥えている、太っていると表現されている。
現代ならせいぜいポッチャリ程度でそこまで指摘されるほどの体格ではないと思うが、終戦から十年ほどの時代だとまだ痩せている方が多かったのだろうかと興味深く感じた。
また登場する女性たちが紗絽女(サロメ)だの尼リリスだのと尖った名前を付けられていたり、男性たちを顎で使ったりしている一方で、殺人事件が起きた直後に食事を作らせられるのを当たり前としていそいそ作っているところなんて、時代だなぁと思ったりする。
本作にはもう一遍、この「りら荘事件」の基となった「呪縛再現」も収録されている。「りら荘事件」をぎゅっと凝縮したような中編だが、個人的にはこちらの方が好きだった。何しろ探偵役が鬼貫(おにつら)警部なのだ。
鬼貫警部シリーズとくれば鉄道アリバイトリック。こちらも途中からアリバイ崩しの方向にシフトしていて、この時代ならではのアリバイトリックが面白かった。
デビュー以前に同人誌に書いたものらしいが、プロになる作家さんはすでに独自の世界観や文章があって、出来上がっているなぁという印象。