橘玲のレビュー一覧
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「格差社会」をさらに絶望的に(?)今どきの表現を使って表現したタイトル。個人の責任で片付けられない、「どう頑張っても上にいけない」人達が出てしまう社会の構造を分析した本。
資本主義、あるいは社会主義でも独裁体制の中で広がる格差を経済面とともに、人が持つ本能や欲求の面からも掘り下げている。時折偏った見方が見えなくもないが、本能に切り込んでいるところは興味深い。しかし、実際にあった事件や、「生きる意味がないから自死したい」人の話題など、全体的に明るい話はない。
最後は動物の繁殖方法も例に出し、人間社会での格差縮小の解決策のひとつを提示しているが、なんだか現実味はなくそれで解消できる感はない。そ -
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作家である著者が合理的な生き方について
金融資本、人的資本、社会資本という3つの資本の観点から解説した一冊。
タイパやマルチタスクなどについての効用についても解説されていることや睡眠と散歩についての効果や幸せの定義など私たちの生活において感じる疑問を本書を読んで多くの研究結果などから知ることができました。
またギャンブルが割りに合わない理由やソックパペットなど本書で知ったこともありました。
金銭資本ではF X、ビットコイン投資の真実など著者でしか知り得ないことも知ることができました。
また不動産や保険についてもどのように向き合うかも理解することができました。
また、人的資本では高い専門性を持 -
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本書を一言でまとめると、「遺伝は通常思われている以上に私たちに影響を及ぼしている」といったところだ。
【1】努力は遺伝に勝てないのか
【2】あまりに残酷な「美貌格差」
【3】子育てや教育は子どもの成長に関係ない
本書は上記の3章からなっている。しかし、章ごとのテーマを突き詰めているわけではない。それは、本書が月間「波」連載されていた「残酷すぎる真実」に加筆・改変したものだからだ。便宜上、章立てにしているが、実際はそれぞれが独立したテーマで、以下の13からなる読み物である。
I 努力は遺伝に勝てないのか
【1】遺伝にまつわる語られざるタブー
【2】「頭がよくなる」とはどういうことか――知 -
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☆3.5 政治問題の決着のなさのなさ
双方の主張する善悪二元論が対立し、相対的な視点を失った論争に終りはない。ガザ、イスラエル、原爆、従軍慰安婦…… そのいづれにも犠牲者意識ナショナリズムは存在し、加害の歴史を無視し犧牲者たらうとする。
文学でもやたら原爆小説や原発小説が評価されるきらひがある。みづからが正義だと信じて疑はない者の多いこと。(その点、筒井康隆は谷崎賞の選評のとほりでえらい。)
さて、この本の内容自体は、日本の社会問題にたいしてリベラル観を問ひただすものだ。
それぞれ利害があって口にできないこと。それを橘さんは言ってのける。なかには首をかしげるものもあらうが、議論を深 -
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トランプ氏が次期大統領として再選された。過激な発言で物議を醸してきた反面、その考え方に支持の広がりが見られた結果であろう。その背景には、アメリカ社会の行き詰まりや閉塞感、進路への重大な示唆が感じられる。
起業家として成功を重ね、超富裕層に昇り詰めたイーロン・マスク、エネルギッシュな行動や思想から、トランプ新政府での役割を期待する人々と危惧する人々がいる。アメリカは建国以来の自由主義に対する解釈が分化してきて、中央集権的な仕組みを嫌い、本来の自由に回帰するリバタリアニズム(自由原理主義)が台頭してきた。ギフテッドでありリバタリアンである人々に焦点をあてながら、この新しい兆候を分析している。年功序 -
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先にジャレドダイアモンドの『人間の性はなぜ奇妙に進化したのか』を読んでいたので内容としては既知のものが多い。同じ内容に対して心理学的な実験やホルモンなど生物学的なアプローチでデータを出しているところが異なっている。その点で読みやすくより雑学的な軽い気分で読める。
内容のまとめとして、生物学的な理由により男女は異なるのは事実であり女は男の劣化版というわけではなく別物であること、ホルモンが原因で男は若い頃から性欲の面で女性の100倍くらい猿であり雌をめぐって水面下で熾烈な競争を繰り広げていること、女はそんな勝ち抜いたアルファ雄を落とすためにまた別の競争をしていること。異なる戦いをしているのだから互