橘玲のレビュー一覧
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☆3.5 政治問題の決着のなさのなさ
双方の主張する善悪二元論が対立し、相対的な視点を失った論争に終りはない。ガザ、イスラエル、原爆、従軍慰安婦…… そのいづれにも犠牲者意識ナショナリズムは存在し、加害の歴史を無視し犧牲者たらうとする。
文学でもやたら原爆小説や原発小説が評価されるきらひがある。みづからが正義だと信じて疑はない者の多いこと。(その点、筒井康隆は谷崎賞の選評のとほりでえらい。)
さて、この本の内容自体は、日本の社会問題にたいしてリベラル観を問ひただすものだ。
それぞれ利害があって口にできないこと。それを橘さんは言ってのける。なかには首をかしげるものもあらうが、議論を深 -
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トランプ氏が次期大統領として再選された。過激な発言で物議を醸してきた反面、その考え方に支持の広がりが見られた結果であろう。その背景には、アメリカ社会の行き詰まりや閉塞感、進路への重大な示唆が感じられる。
起業家として成功を重ね、超富裕層に昇り詰めたイーロン・マスク、エネルギッシュな行動や思想から、トランプ新政府での役割を期待する人々と危惧する人々がいる。アメリカは建国以来の自由主義に対する解釈が分化してきて、中央集権的な仕組みを嫌い、本来の自由に回帰するリバタリアニズム(自由原理主義)が台頭してきた。ギフテッドでありリバタリアンである人々に焦点をあてながら、この新しい兆候を分析している。年功序 -
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先にジャレドダイアモンドの『人間の性はなぜ奇妙に進化したのか』を読んでいたので内容としては既知のものが多い。同じ内容に対して心理学的な実験やホルモンなど生物学的なアプローチでデータを出しているところが異なっている。その点で読みやすくより雑学的な軽い気分で読める。
内容のまとめとして、生物学的な理由により男女は異なるのは事実であり女は男の劣化版というわけではなく別物であること、ホルモンが原因で男は若い頃から性欲の面で女性の100倍くらい猿であり雌をめぐって水面下で熾烈な競争を繰り広げていること、女はそんな勝ち抜いたアルファ雄を落とすためにまた別の競争をしていること。異なる戦いをしているのだから互 -
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自分にも善悪二元論のような0か1かのバイナリー思考のクセがあって、多面的なモノの見方が重要であることはよくわかった。ただ絶対悪とされるものを擁護したいばかりに、無理やりな感じが否めない。単なる天邪鬼と紙一重。
ウクライナ戦争の背景は初めて知ったが、ドンバスにおける地方の勢力争いの域を出て首都キエフの一般市民をミサイルで無差別攻撃し、政権転覆を狙うのは「どっちもどっち」ではないだろ。京アニ事件にしても大阪のクリニック放火殺人にしても全く擁護しようのない凶悪犯罪であり、「どっちもどっち」でも「善悪つけられない問題」でもない。後半になるとますますDD感がなくなってきて、もはや何が主題の本なのかわから -
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