【感想・ネタバレ】世界はなぜ地獄になるのか(小学館新書)のレビュー

あらすじ

社会正義はめんどくさい。

人種や性別、性的指向などによらず、誰もが「自分らしく」生きられる社会は素晴らしい。だが、光が強ければ強いほど、影もまた濃くなる。「誰もが自分らしく生きられる社会」の実現を目指す「社会正義(ソーシャルジャスティス)」の運動は、キャンセルカルチャーという異形のものへと変貌していき、今日もSNSでは終わりのない罵詈雑言の応酬が続いている──。わたしたちは天国(ユートピア)と地獄(ディストピア)が一体となったこの「ユーディストピア」をどう生き延びればよいのか。ベストセラー作家の書き下ろし最新作。

(底本 2023年8月配信作品)

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Posted by ブクログ

橘玲さんの書籍はこの世界の攻略本なので、読んだことは秘密にしておきましょう。
攻略本を見ながらゲームをしたら簡単になってしまいます。

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2025年12月04日

Posted by ブクログ

はじめに、の中に、タイトルに対しての回答がざっと詰まっているので、ここを立ち読むだけでも意味があると思います。
私は正直ショックだったのですが、なるほどとも思い残念な納得感を感じました。

誰もがその所属するなににも縛られず「自分らしく」生きられる社会は素晴らしい、というのはその通りなのだけれど、結局そのリベラル化が極まっていくことにより社会はどんどん複雑になり、私たちはの首がだんだんと締まっていくという現実。
ポピュリズム(右傾化)がリベラル化の行き着く先ということは、もうどっちに行っても最終的には地獄に着くってことなのかもしれないですね。悲しき人間社会。。
日本も近年は平和と自由を享受できるサービス期間だったのかな。

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2025年11月29日

Posted by ブクログ

SNSで無限に繰り広げられる醜い言い争いやネット上での炎上を1度でも見た事ある人にはぜひ読んで欲しい。

リベラル化の行き着く先、キャンセルカルチャーが勢力を広げる理由、差別、正義、過度な尊敬表現などを生物学的視点を交えて論理的に説明される。

世の中の動きを少し離れたところから見ることで自らの立ち回りや思想を確認し、上手く生きていくことが出来るかもしれない。

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2025年10月21日

Posted by ブクログ

リベラルから生まれた鬼っ子レフトが巻き起こすキャンセルカルチャーの実態がよく分かった。いつでも極端なことを主張するものは、自他共に苦しめ、地獄を作る。アメリカの大学がとんでもないことになっている現状に驚きつつ、日本でも学園闘争が叫ばれた時代に「極左暴力集団」と一括りにされた中に、似たようなことが起こっていたことを思い出す。筆者が言うように、キャンセルカルチャーの落とし穴を息を潜めて回避しながら、新しい時代の新しい解決策を待つしかないのだろうか。

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2025年06月29日

Posted by ブクログ

ネタバレ

おーこれは久々に面白かったです。(最近、著者の新しい本て前の奴と中身いっしょじゃなない?みたいのが多かった気がするのでいうと。)

2025.2.6追記
松ちゃん・中居くん、フジテレビの件など、本当に世界が地獄になってきましたねえ。また、トランプがLGBTをぶったぎったことで、これまでの数年がいかにおかしなリベラルが広がっていたかも露呈しまった気がします


P6
私は”リベラル”を「自分らしく生きたい」という価値観と定義している。そんなのは 当たり前だと思うかもしれないが、人類史の大半において「自由に生きる」ことなど想像 すらできず、生まれたときに身分や職業、結婚相手までが決まっているのがふつうだった。 「自分らしさ」を追求できるようになったのは近代の成立以降、それも第二次世界大戦が終わり、「とてつもなくゆたかで平和な時代」が到来した1960年代末からのことだ。

P7
その影響は現代まで続いているだけでなく、ますます強まってお り、もはや誰も(右翼・保守派ですら) 「自分らしく生きる」ことを否定できないだろう。 「自分らしく生きたい」という価値観が社会をリベラル化させる理由は、自由の相互性から説明できる。
わたしが自分らしく生きるのなら、あなたにも同じ権利が保障されなくてはならない。そうでなければ、わたしとあなたは人間として対等でなくなってしまう。それで構わないと主張するのは、奴隷制や身分制を擁護する者だけだろう。
このようにして、人種や民族、性別や性的指向など、本人には選べない「しるし」に基づいて他者(マイノリティ)を差別することはものすごく嫌われるようになった。わたしと同じ自由をあなたがもっていないのなら、あなたにはそれを要求する正当な権利がある し、先行して自由を手にした者(マジョリティ)は、マイノリティが自由を獲得する運動 を支援する道徳的な責務を負っている。
「社会正義(ソーシャルジャスティス)」をあえてひと言で表わすなら、「誰もが自分らし く生きられる社会をつくろう」という運動のことだ。そしてこれは、疑問の余地なくよいことである。誰だって、自分らしく生きることを許されない社会(たとえば北朝鮮)で暮 らしたいとは思わないだろう。
ここまではきわめてわかりやすいし、自分を「差別主義者」だと公言するごく少数を除けば、異論はほとんどないはずだ。世界も日本も、このリベラル化の巨大な潮流のなかにある。誰もが「自分らしく生きたい」と願う社会では、「自分らしく生きられない」ひと たちの存在はものすごく居心地が悪いのだ。
光が強ければ強いほど、影もまた濃くなる。社会がますますリベラルになるのはよいことだが、これによってすべての問題が解決するわけではない。

P9
1) リベラル化によって格差が拡大する
行動遺伝学の多くの研究によって、社会がリベラルになるにしたがって遺伝の影響が強 まり、男女の性差が大きくなることが一貫して示されている。

これは考えてみれば当たり前で、「自分らしく生きられる」社会では、もって生まれた才能を誰もが開花させられるようになるが、知識社会に適応する能力にはかなりの個人差がある。その結果、社会がゆたかで公平になればなるほど、環境(子育てなど)の影響が 減って遺伝による影響が大きくなるのだ。
リベラル化で男女の性差が拡大するのは、男と女で好きなこと・得意なことに生得的な ちがいが(一定程度)あるからだ。男女の知能の平均は同じだが、男は論理・数学的知能 が高く、女は言語的知能が高い。その結果、経済的に発展した国の方が共通テストの平均 点が高くなると同時に、男は数学の成績が、女は国語の成績がよいという傾向が見られ、 男女の性差は拡大している。
性差だけでなく個人のレベルでも、知能や性格、才能など、わたしたちはかなりの遺伝 的多様性をもって生まれてきて、そのちがいは自由でゆたかな環境によって増幅される。
P10
誰もが自分の才能を活かすことができるリベラルな社会でこそ、経済格差は拡大するのだ。 逆に、独裁者が国民の職業を決めるような専制国家では、(一部の特権層以外の)経済格差は縮小するだろう。

(2) リベラル化によって社会がより複雑になる
前近代的な社会では、個人はイエやムラ、同業組合などの共同体に所属していたから、 社会を統制するには何人かの有力者に話をつければよかった。だが「自分らしく生きられ る」社会では、個人はこうした中間共同体のくびきから解放され、一人ひとりが固有の利 害をもつようになる。その結果、従来の仕組みで利害調整することが困難になり、政治は 機能不全を起こすだろう。

(3) リベラル化によってわたしたちは孤独になる
自由は無条件でよいものではないし、共同体の拘束は無条件に悪ではない。あることを 自由意志で選択すれば、当然、その結果に責任を負うことになる。逆にいえば、自分で選択したわけではないことに責任をもつ必要はない。

(4) リベラル化によって自分らしさが衝突する

P12
リベラルを自称するひとたちは多くの基本的なことを間違えているが、そのなかでもも っとも大きな勘ちがいは、「リベラルな政策によって格差や生きづらさを解消できる」だろう。なぜなら、そのリベラル化によって格差が拡大し、社会が複雑化して生きづらくなっているのだから。

P55
キャンセルカルチャーの特徴は、キャンセルされるような地位についた者が攻撃の対象になる一方で、同じことをしていても、キャンセルできる地位になければ無視されることだ


P78
日本語の複雑な尊敬語や謙譲語は、お互いの身分をつねに気にしていなければならなかった時代の産物だ。それが身分のちがいのない現代まで残ってしまったため、命令形は全 人格を否定する。上から目線になってしまった。日本語は、フラットな人間関係には向異常に丁寧な言葉づかいが氾濫する理由は、日本人が日本語に混乱しているからだ。

P145
毎日、殴るけるの暴力にさらされていたら、とうてい健康に過ごすことはできないだろう。周囲から批判されたり、仲間外れにされたりして、ステイタスが低いことを意識させられ宇のは、脳のレベルではこれと同じ体験なのだ。
人類が進化の大半を過ごした旧石器時代では、ステイタスが下がる(共同体から排除さ れる)ことは文字通り死を意味した。こうして脳は、ステイタスが下がると「このままでは死んでしまう」という警報を全力で鳴らすようになった。
その結果わたしたちは、ささいな批判や噂を過剰に意識して動揺し、ストレスホルモン を大量に分泌させ、交感神経がつねに亢進している状態になってしまう。現代社会では、 この不都合な仕組みが、身体的・精神的なさまざまな不調を引き起こしているのだ。

P161
わたしたちはステイタスの高い者に憧れながら、ステイタスの高い者を引きずり下ろそ うとし、他者からの批判を過剰に気にして身を守りながら、ライバルの足を引っ張って自分のステイタスをすこしでも高めようとあがいているのだ。
ところがステイタスゲームでは、理由もわからないままソシオメーターに振り回されるだけで、どこまでいってもゴールは見えない。この残酷なゲームを、ものごころついてから死ぬまでプレイし続けなくてはならないのだ(高齢者施設では、入居者同士のステイタ ス争いを調停するのが大きな負担になっているという)。

P165
地方の平凡な高卒の女の子は、スーパーなどで非正規の仕事に就き、同級生の男の子と 結婚して子どもをつくるという退屈な未来しか想像できないかもしれない。だがそんな女の子でも、エロス資本を活用することで、数万人や数十万人のフォロワーを獲得できる。 AV会社が「フォロワー100万人でAVデビュー」などのプロモーションを盛んに行なって いるからで、ハッシュタグをつけて写真や動画を投稿するだけで、多くのフォロワー(AVファン)が集まってくる。 それ以外の方法で彼女が同じ数のフォロワーを集めようとすれば、アイドルや歌手、あるいはYouTuberとして有名になるなど、かなりの才能と幸運が必要だろう。そう考えれば、これは評判を獲得する魔法の薬(劇薬)のようなもので、“夢”を目指す女の子が次々と 現われるのも不思議ではない。いまや若い女性にとって、AV女優は「汚れ仕事」ではな く芸能活動と見なされているという。

P168
自分のステイタスが低いと感じたとき、劣等感を覚え自己肯定感が下がる。その意味でわたしたちはみな、ある状況では自尊心が高く、別の状況では自尊心が低い。
自尊心が危機に瀕したとき、どのような対応をとるかは、個人によって異なるだろう。 あるひとは、劣等感を感じさせる集団から離れ、高いステイタスを確保できる(マウンテ イングできる)集団に移るかもしれない。一方、その集団にとどまり、ステイタスを上げようと努力するひともいるだろう。

これは、どちらが正しいとはいえない。

自己肯定感をもてる環境に移れば精神的には楽になるが(主観的なステイタスが健康に 及ぼす影響を考えればこれはきわめて重要だ)、競争を放棄して低い社会的地位に甘んじ ることになりかねない。その一方で、自分を高める努力をすることは成功への条件だが、無理矢理ステイタスを高めようとすると、燃え尽きてしまうかもしれない。ステイタスゲームはきわめて複雑で、唯一の攻略法はないのだ。

P217 地雷原に近づくな
これが、キャンセルカルチャーへのもっとも現実的な対処法になる。そして多くの場合、評判を守り、社会的な信頼を失わないための(ほぼ)唯一の方法でもある。

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2024年08月29日

Posted by ブクログ

ネタバレ

リベラルが格差を広げ、ポリコレが自由を奪う。
前半はキャンセルカルチャーの台頭(小山田圭吾)やポリコレ(会田誠)の実例。またLGBTQなどがいかに少数派の権利から多数派の多大な責務になったかが詳説されている。
インターネットの台頭により、人間は常に世界中の不特定多数との競争を強いられるようになった。その中で成功ゲーム、支配ゲームに勝てない人達が美徳ゲームで報酬を得るために不道徳を攻撃することがSNSを通じて過激化される。他方で推しとはアイデンティティ融合により集団としてゲームに参加しステイタスを上げることである。そのような過程で人々はSNS上で集団を形成し時に互いを攻撃するが、心の痛みは体の痛みと同じダメージを脳に与えるということを考えればこれは実質的には集団同士で暴力の応酬をしているのと実質的に変わらない。

第二次世界大戦後の平和な時間が長く続き、世界は極端にリベラルになった。そこでは各個人の個性が尊重されるべきで、その個性に対する意見は場合によっては社会悪とみなされる。しかも物理的な暴力や脅迫などのわかりやすい悪と比べてこのような社会悪は法律ではなく被害者の感情にのみによって判断されるので、不用意な発言を切り取られSNSなどで集団罵倒などを受けることがあり、これは現代における超法規的な私刑であると捉えると、このような社会はある意味で法治国家以前の相互監視による社会システムにも取ってしまったとも考えられ、特にSNS上での有名人達にとって非常に生きづらい世の中になった。このような世界でダメージを最低限避けて生きていくためには目立たず主義主張を表明せず生活するというのが残念ながら一つの解決策となっている。

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2024年08月04日

Posted by ブクログ

リベラル化の潮流 自分らしく生きられる
 社会が複雑に 孤独に 自分らしさが衝突 格差拡大  
 リベラル化の帰結、その一部としてのポピュリズム

キャンセルカルチャー 反倫理 反道徳
 小山田圭吾 東京パラリンピックテーマ曲 
 ロッキングオンジャパン記事 和光学園 高機能自閉症
 地位についた者が攻撃の対処、キャンセルできる地位になければ無視
 資格がないと辞退すべきだった・・・

ポリコレ political correctness ~グローバル空間での適切なふるまい方
 身分制から生まれた日本語 相手のとの距離を調整 上下/内外
 大きな差別がなくなり 小さな差別へ 言葉づかい 過剰な敬語
  
会田誠「犬」
 オリエンタリズムを超える「低俗な変態的画題を風雅な日本画調で描く」
 アーティストではなく、プラットフォームへの抗議
 言論・表現の自由: 何が正しいかは議論で決着・・できない 

評判格差社会のステイタスゲーム 
 80億人の中で ステイタスを上げる
 「成功」「支配」の地位にない被害者が「美徳」で正義を振りかざす
 「帰属する集団のステイタス」アイデンティティ融合(推し) 
 共同体の制約の中、ステイタスの高いものを引きずり下ろし、自分を高める

社会正義
 欧米の左派の信念 あらゆるものに差別がある 陰謀論 リベラルと対立

大衆の狂気 ~法に触れなければ何をしてもいい
 キャンセルカルチャー産業によって作り出される地獄
 特定の問題に時間資源投じられるマイノリティが そうでないマジョリティを抑圧
 脳はしゃべり続けている差別主義者 ←前頭前野がブレーキをかけている
 「極端な人」 一定の抑圧がされているが 批判されるとブレーキが外れる人
 
 地雷原に近づくな 個人を批判しない リベラルの立場で発言する 

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2024年04月07日

Posted by ブクログ

ネタバレ

リベラルがリベラルであるが故に他の主張と対立してリベラルでなくなってしまう
この本を読んで気付いたのは、情報が溢れかえる世の中ではタイパを重視せざるを得なくなり当事者置いてけぼりでキャンセル活動が行われるということ
私自身研究分野にフェミニズムが含まれ、ネットでの主義主張で引っかかる言動が多々ありモヤモヤしていたがこの本でその原因がよくわかった。
研究を進める際は、この本を参考にして論じたいと思った

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2024年02月08日

購入済み

世界も日本もリベラル化の巨大な潮流の中にあるというのは著者が近著のなかでくりかえし指摘してきたことである。今回はこの「だれもが自分らしく生きられる社会」を目指す社会正義の運動が、「キャンセルカルチャー」という異形のものへと変貌していく現象を考察している。
いつもながら論旨の切れ味がすばらしい。PART3に出てくる会田誠の話は、私が実際にこの個展を見ていたことからとりわけ興味深く読めた。

#タメになる

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2023年08月26日

Posted by ブクログ

なんとなん感じていることが言語化されて行く面白さ。人類が長きにわたって夢見た安定した平和で飽食の世界はユーディストピア。

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2025年11月24日

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人間は自分の見たいものしか見ない。自分の正義と誰かの正義に優劣はつけられず共存する世の中、天国でもあり地獄でもあり、その中で生き抜く必要があるのか。

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2025年10月28日

Posted by ブクログ

読んでいてどんどん怖くなる本。
大義や正義を振り翳して、憎しみ合い攻撃しあう。
人は醜く愚か。
ボンヤリ感じていたことを言葉にしてくれてて、しっくり。
面倒で地獄のようなこの世界で、平穏に生きていきたい。。。

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2025年09月23日

Posted by ブクログ

世の中で起こっていることやニュースで目にするような、なんか「モヤっと」することをはっきり文章にして解説してくれていて、読んでいてすっきりした。
人種問題やキャンセルカルチャーなど、あくまで中立な立場で説明があるため読みやすかった。
リベラル化による弊害など、一切興味のなかった分野にも少し興味が持てて理解できた。
特に、SNSとキャンセルカルチャーの関係など、スマホ脳や最強脳の書籍と関連するような話もあり繋がりが持てた。

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2024年12月29日

Posted by ブクログ

凡庸な結論だけど地雷原に突っ込むな

キャンセルカルチャーが広がり社会と関わりを断ちたくなる者が増えていくって話があったけどまさにそれを考えていた
私はマイノリティ的な属性は持たないので非常に楽に生きていけているけど、それでも面倒な人から絡まれてゲンナリする事がある
マイノリティ側の人の心労が伺える
こちらから攻撃しないから傷つけないで欲しい

白人は無条件で黒人差別の罪を背負わされてる話は興味深かった

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2024年11月16日

Posted by ブクログ

社会問題についての知識が浅いことを認識させられた。頭の中で噛み砕きながら読み進め時間はかかったが、その分考えさせられることが多かった。
エッセンスとして教養も深められた。散々遠回りしても、結局の結論はやっぱりそうだよなと思わされた。ふわっと思っていたことや疑問が言語化されて、1冊の本の分量の根拠も肉付けされた感じがする。

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2024年10月07日

Posted by ブクログ

う〜ん、なんか怖いですね。

SNSの発達で、誰もが自由に発言できるようになった。しかし、執拗に攻撃して炎上し、人を傷つけることも。

マイノリティの人権を保護するが行き過ぎて、マジョリティが息苦しさを感じる。それも違う気がしますし…。

余計な発言をして、物凄いバッシングを受けた事例などもあり…なんでしょうね。生きづらい世の中になったのでしょうか。


冒頭の小山田圭吾さんの話も、なんだかなぁ…そうなの?無実の罪で、東京五輪の音楽プロデュースから降ろされたの?
この内容が、どこまで事実かわかりません。でも、書くことの暴力みたいな事は感じます。どこを、どう切り取って書くかで、受ける印象は変わりますから。

そこから、誰もが発言出来るSNSの暴力的な話になり…本当、生きづらい世の中ですね。

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2024年08月12日

Posted by ブクログ

世の中の歪み、生きづらさの原因、難しさ、矛盾などについて、こういうことなんだな と思う。
地獄的な面について認識しておきつつ、世界や身の回り確かに存在する、ささやかな幸せや美しさに目を向けて生きたい。

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2024年08月12日

Posted by ブクログ

誰もが「自分らしく生きる」ことを追求できるようになってきたという意味でリベラル化は基本的によいことだということは前提としつつ、その必然的な帰結として、そこから生じた「社会正義(ソーシャルジャスティス)」の運動がキャンセルカルチャーという異形のものへと変貌していき、世界が「地獄」と化していくことの背景等を考察し、それをどう生き延びればよいかについて示唆。
偏った考えが入り込みがちなかなり難しい問題だが、著者は冷静かつバランスのとれた筆致で、様々な研究や見解も参照しつつ、考察を進めていて、好感を持つとともに、内容にも納得性があった。
報道で聞きかじった程度でイメージを形成していた小山田圭吾炎上事件や会田誠キャンセル騒動の詳細も把握でき、また、アメリカの「社会正義」運動の実情やトランスジェンダー問題等についても勉強になった。
ただ、この天国と地獄が一体となった「ユーディストピア」をどう生き延びるかということについては、「極端な人」に絡まれないようにする、「寛容」と「中庸」が肝要、そして、この世界の仕組みを正しく理解し、うまく適応することだというあまり救いのないもので、まあそうだろうなと納得しつつも、ちょっと暗澹たる気持ちになった。

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2024年07月31日

Posted by ブクログ

ネタバレ

 「はじめに」でほぼ言い尽くされている。"リベラル"を「自分らしく生きたい」という価値観と定義すれば、「リベラルな政策によって格差や生きづらさを解消できる」は「大きな勘違い」で、「そのリベラル化によって格差が拡大し、社会が複雑化して生きづらくなっているのだから」という。そして「「反知性主義」「排外主義」「右傾化」で、一般的にポピュリズムと呼ばれるが、これはリベラリズムと敵対しているのではなく、リベラル化の必然的な帰結であり、その一部なのだ。--したがって、リベラルな勢力がポピュリズム(右傾化)といくら戦っても、打ち倒すことはできない。」「誰もが自分らしく生きられる社会」の帰結がキャンセルカルチャーの到来を招き、世界を地獄にする。

ということが、具体的に、そして論理的に書かれている。なるほど、そんな感じがする。

地獄を生き抜くための結論は「エビデンスを呈示できる専門分野では積極的に発言してフォローワーを集め、それ以外の領域では炎上リスクのない投稿(ネコの写真など)にとどめるのがいいかもしれない」「キャンセルの標的にされたときの甚大な(取り返しのつかない)損失を考えれば、これがほとんどのひとにとってもっとも合理的な選択になるのではないか。」

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2024年05月06日

Posted by ブクログ

リベラルの行き過ぎで曖昧さがなくなると地獄になることが事例をもって示されている。自由の国米国もどんどん不寛容になっているのかも知れない。「不適切にもほどがある」を思い起こさせる。大きな問題(戦争やあからさまな人種差別)が片付いた今、こまかな問題をあげつらって議論することになり、意見の一致が得づらくなる。大変興味深い本だったが、今後の生き方として「炎上をなるべく避ける」という方策が述べられていて、暗い気分になった。

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2024年03月31日

Posted by ブクログ

行き過ぎたポリコレ、誰もが振り翳し幸福感を感じる社会正義、ターゲットになるとキャンセルカルチャーが蔓延し、正義を讃美するかの様な風潮が世界に溢れる。SNSやネットにより情報は取りやすく広まりやすくなったが、世界はユートピアどころではなくディストピアに向かっているのではなかろうか。

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2024年03月27日

Posted by ブクログ

途中まで読みましたが、個人的な事情によりギブアップです。

個人の自由が重視されるがために世界は無秩序になっていく。

ステイタスゲームに勝つためには道徳的であることが万人に残された唯一の道だが、その手軽な手段として不道徳的な他人を攻撃することが挙げられる。このあたり、解決法が無いというのが辛い。

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2024年03月05日

Posted by ブクログ

橘玲さんの本は、以前にも斜め読み的に読んだことがありましたが、この本、ふと手にして、小山田圭吾炎上事件に関する詳細を読んで、その後は、止まらなくなって読みました。取り上げられているテーマは、キャンセルカルチャー、ポリティカルコレクトネス、表現の自由への萎縮的効果、評判格差社会、リベラルの終焉というか、リベラル化のもたらしたもの、リベラリズムとリバタリアン、コミュニタリアン、エガリタリアンなど、優れて現代的なもので、その議論は、極めて素面の、真摯なものです。
リベラリズム(自分らしく生きるという価値観)が格差拡大、メリトクラシー、社会の複雑化と個々人の孤立、自分らしさに関する価値観の相違による衝突とその過激化をもたらす。。。ポピュリズムがリベラル化の必然的帰結でその一部であるとする著者の基本的な考えには異論もあると思います。
しかし、この数年でサンデル教授の近時のご論考を読んで、その帰結がコミュニタリアンに分類されながらも、保守派の議論にすごく近いんじゃないかという疑念を抱いていた私としては、なるほど、その視点かとヒントを得た次第です。

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2024年02月27日

Posted by ブクログ

リベラルとは、自分らしく生きたいという価値観。そのためには皆対等に同じ権利が保証されなければならない。リベラル化は、必然的に、格差拡大・社会の複雑化・孤独化・アイデンティティの衝突を招く。社会正義の運動は、キャンセルカルチャーに変貌しつつある。

リベラル化を論理的につきつめると導かれることに成程。日本はドメスティックがベースだから、更に大変なのか。

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2025年10月06日

Posted by ブクログ

“地雷原に突っ込むな”

これが全てかな。多様性を強調されるに従い、段々とめんどくささと分断を感じる今日この頃。良し悪しはあると言え、昔の方がまだ生きやすかったのはあるかもしれない。

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2025年03月19日

Posted by ブクログ

 橘玲さんの本は、ごく当たり前のこととして自分達がふわっと思い感じていることを具体的な言葉にして、エビデンスを持って説明しており、毎回分かりやすく読みやすい。
 本作は、一昔前にいわれた言葉狩り等から波及したキャンセルカルチャーに焦点を当てて話しを進めているが、話が深掘りされてLGBTQ等のマイノリティに話が及ぶ辺りから、専門性が強くなり若干飽きてきてしまった。

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2024年04月27日

Posted by ブクログ

・タイトルの命題を現在進行形の事例をもって解説していく本。
・では、それの対処は?これらを肝に銘じ「地雷」を踏まぬ様、慎重にそれぞれの日々を生きよ。
・広範な事例を元に結構明け透けな(でもリアルな)結論を提示した本書。
・全てに賛同できる訳では無いが、ある種実践書の様相を見せているこの本の正直さには好感を持った。

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2024年04月10日

Posted by ブクログ

脳は下方比較を報酬、上方比較を損失と捉える。
そのために、キャンセルカルチャーやネットの正義が蔓延してしまう。

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2024年03月21日

Posted by ブクログ

トランスジェンダーについての疑問点が言語化された。
その他おかしいと思っていることについて述べてある。

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2024年03月17日

Posted by ブクログ

これまで橘玲氏の著作は多く読んできたが、本書は他の進化心理学、人類学とは少し趣が異なる内容。
キャンセルカルチャーや人種差別、リベラル化など現代の社会問題が主なテーマ。

タイトルの世界はなぜ地獄になるのか、に対する回答は最後の最後に一言で示されている。

他の著作と比べてテーマが分散気味であり、最後の結論もイマイチ弱く、全体としての主張が理解しづらく感じた。

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2024年03月07日

Posted by ブクログ

昨今のキャンセルカルチャー、世界の分断、炎上の問題など、最新の研究を紹介しながらよく整理されている。その結果、「地獄」になっていくが、現代の私たちはテクノロジーを手にして幸福な生活も送っている二面性。地獄に向かう世の中に対する著者なりの処方箋も。
いっぽう、最近の著者の作品は、さまざまな研究の紹介が多く、少しわかりづらいと感じることもあり。それだけ世の中が複雑化しているということかもしれない。引用されている原本にあたり、再び氏の著作に戻ることで、よりすっきりするのかもしれない。急がば回れか。

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2024年02月13日

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