橘玲のレビュー一覧
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【論理的であり論理的でない世界】
いつわれわれも裁判沙汰に巻き込まれるかわからない時代になりました。しかし、法の世界は複雑で専門性が必要となります。そのため、われわれが勉強して専門性を養うより、リーズナブルで良心的な専門機関を知っておく必要性があります。この本はそういう意味で非常に役に立ちます。
「法にかかわる世界は何を生み出しているのでしょう」このような疑問がわいてきます。
非常にお金と時間がかかるわりに実は何も生み出してはないのではないか。生産性という観点からは何もないのではないかと思えます。結局は高い人件費を払っているだけと理解することもできます。
素人から見ると、ないといけないが複 -
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実際にオーストラリア人の代理人として民事裁判に臨み、日本の民事裁判とは何ぞや?ということを書いた本。
日本ではこれから原発損害賠償という過去最大の民事裁判を抱えているため、あらためて民事裁判とは何かということを考える良い機会を本書は与えてくれる。
一応、法治国家の日本では争いを解決するための最終手段は民事裁判となっている。
しかし、あくまでもそれは一つのシステムでしかなく、万能ではない。
あらゆる問題に白黒決着をつけることなど不可能なのだから、どうしでも遺恨は残ってしまう。
その上、公的な制度である以上かけられるコストにも限界がある。
はっきり言って法律は絶対的な正義ではなく、ただの治 -
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経済学、なんすかそれ?南国のおいしい果物ですか〜〜?
レベルのあたしの頭じゃどうかな?と思いつつ、
大学生の頃からずっと使い続けてるジャポニカ学習帳に似た装丁に、
思わず手にした一冊。
余談ではあるが院生のとき、TAしていた固有名詞井田先生もたまたまジャポニカ。
先生は国語をご愛用で、あたしは(今もだけど)算数を利用。
通りかかった固有名詞安冨先生に、
「お、井田君は日本語ができないから国語で、
(注:井田先生はドイツ留学が長く嫁さんがドイツ人)
XX(あたしの本名)は論理的じゃないから算数か」
と、いわれたことを思い出す‥
閑話休題。
第一講から五講まで、
・行動経済学
・囚人のジレ -
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小説も新書も読んだのですが、この人の本は本当にわかりやすい。そして知っていれば本当に得する話というか、金融業界の裏事情、金融行政の至らなさが手に取るように分かります。大学の経営学部や商学部で教科書として用いられているのも納得。
銀行がどうやってお金を搾取しているか、なんていうのはなんとなく分かっていたわけですが、ここでは極めて具体的に綴られているし、身近な話題としてクレジットカードのポイントであったりリゾートマンションの値段の裏側にある事実とか、新聞や広告などの内容を鵜呑みにしているととんでもない目に遭ってしまうこともあるのだな、と。
最近、また面白い本を出されたようなので楽しみです。 -
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新書なので淡々と書かれていますが、マネーロンダリングという一般人に取って雲をつかむような話題をぐっと身近に引き寄せてくれる一冊です。
特にバチカンのローマ法王の怪死のエピソードだったり、アフリカの虐殺の話など、現在の社会問題やら宗教問題、もちろんアルカイダの話も含めて現代史の複雑怪奇な部分までこの本からかなり読み取ることができてしまうという意味では珠玉の一冊。
途中のタックスヘイブンの使い方だったり、複雑な金融スキームを解説しているところは専門的な知識がないと挫けそうになってしまいますが、悪いことをやる人は儲かるんだな、ということと、簡単な儲け話なんてそうそうない、って言うことは端的にわかりま -
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この方の本は読んだことがなかったんですが、愛読しているブログの著者がオススメしていたので乱読してみよう、と1冊目に選びました。
行動経済学とかゲーム理論とか、大学の授業でこういうふうに教えてくれればもっと興味を持って取り組めたのになぁ、と頷いてししまう一冊。内容的にリアリズムを求めてはいけないので、フィクションとして、理論を理解するための副読書としては非常に興味深いです。
ここまでエンタテイメント食を出しながら内容も伴っているということは、筆者のバックグラウンドの知識と筆力がたぐい稀なものであるとの証拠。推理小説以外で「早く続きが読みたい」と思った久々の本です。 -
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ネタバレ「行動経済学」を皮切りに、よくありがちなトラブルを抱えた人間の悩み解決を絡めて経済学を解説した、経済小説集。
めちゃくちゃ、わかりやすい!!
いや、シャブの売人の悩みも登場してるから、よくありがちな、とは言いがたいか・・・。SFっぽい描写も多い。割と重い悩みも登場するが、登場人物がコミカルに描かれているため深刻さはゼロ。ただ、ちょっとした描写がさらりとエグい。
話の展開も小気味良くて、読むのが楽しかった。ページをめくるのがもどかしいほど。しかし最終章は、いきなり家出した女子高生目線で物語が進むため雰囲気が変わる。私は第三者的目線で淡々と語られる方が楽しめたな。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ「自由」の理想系。
大手弁護士事務所のジュニアパートナーの座を目前にした主人公は、その身分をなげうって自由を手に入れる。
彼は「非居住者」としてオフショアを転々とし、どの国家にも納税しない、独立した個人だ。
冒頭の会話が秀逸。
バカンスでハワイのビーチにやってきたNYの弁護士ビルとの会話。
ひとしきりわが身の不幸をしゃべり散らしたあとでビルが訊いた。
「ところで君、なにしてるの?」
「海の見える場所を旅してるんだよ」
「それに何の意味があるんだい?」
「なにもないよ」
「どういうこと?」
「人生に意味があるとかないとか、そんなのうんざりだよ」
「なんてことだ!」ビルは叫んだ。「君は俺の人