永瀬隼介のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
定年退職した刑事が自らが失態を演じた事件に再び挑む異色の骨太警察小説。非常に面白い作品で一気読みした。
永瀬隼介の作品の多くは事件そのものを迫真の筆致で描き、主人公が胸に熱い気持ちを秘めていることに特徴があると思う。
この作品も第一部で1993年に発生した連続幼児殺人事件を非常にリアルに描いている。第二部では17年後の2010年に舞台を移し、未解決となり、時効を迎えた事件を退職刑事の不破が再び追い掛けるという構成になっている。特に第二部の不破が刑事としての執念と魂を取り戻す過程、二転三転の連続で予想を覆す驚愕の展開が良い。
永瀬隼介は信頼出来る数少ない作家の一人だと思う。 -
Posted by ブクログ
全く次の展開が読めず、ページをめくる手が止まらなくなるほど非常に面白い作品だった。
元刑事の菊村直が経営するバーに雇った中国美女・小梅華が菊村の金を持って失踪。菊村は小梅華を追い、中国の白春へ…
これだけでも一つの作品として成立しそうなストーリーなのだが、中国で菊村が経験した奇妙な出来事から物語は急転する。ハードボイルド、ピカレスク、警察小説といった要素も盛り込まれ、いつの間にか登場人物に感情移入してしまう非常に贅沢な作品。
永瀬隼介さんの作品は『19歳の結末 一家4人惨殺事件』を読んで気に入り、ずっと追い掛けて来た。これまで読んだ中では『閃光』が一番面白かったのだが、この作品はこれに匹 -
Posted by ブクログ
永瀬隼介が、好きだ。
もしかしたら執筆の10倍以上の取材をし、100倍もの調査時間をあてているのではと思わせるそのストーリーは常に、フィクションとは思わせないがっしりとした骨組みに載せられている。
人物の書き込みも重厚。
ばらばらと登場する人物は最初は、まったく違う世界を生きている。
ボクサーとしての人生を選び、はぐれものの世界を飛び出した中国人とのハーフ、亮輔。
売れないライターの加瀬。
5人の女性を強姦して殺し、死刑を待ちながら一向に動じることのない死刑囚、穂積。
その人生がそれぞれひとつにつながったとき、そこに現れた震撼すべき事実とは。
読み終わって、膝が震えた。
この -
Posted by ブクログ
永瀬隼介『プーチンになろうとした女 歌舞伎町麻薬捜査』文春文庫。
『歌舞伎町麻薬捜査』シリーズ第3弾。
相変わらず軽いノリの刑事コンビが活躍する警察小説であった。結末からしてまだ続編があるのだろう。
時事ネタを挟みながら、先の読めない緊迫のストーリーが展開する。そして、タイトルが興味深い。『プーチンにならうとした女』とはテロリストの広瀬雅子なのだろうか。
トクリュウによる闇バイトに引き込まれ、強盗を強要された教師を目指す大学生の的場祐介は、強盗に入る寸前で謎の男がトクリュウのメンバーを叩きのめしたことで、犯罪者になる窮地から救い出される。
謎の男の正体は革命家の清家文次郎が遺した最